タンザニア(6)ダルエスサラーム街歩きと的確すぎるカンガの言葉の魔力
現在アフリカを北上しております。そして世界一周の途中です。昨日、アルーシャからダルエスサラームにやってまいりまして、本日は1日、ダルエスサラーム観光をすることにしました。しかし、観光と言いましても、あまり治安のよくない、というかものすごく悪いという噂のダルエスサラームですから、訪れる場所をかなり絞って出かけております。
【現在地】ダルエスサラーム(タンザニア)
Dar es Salaam(Tanzania)
【気温】26度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】10タンザニアシリング=約5円
日の出と当時に!! さっそく街へ出てみよう
昨日夜にここダルエスサラームに到着し、夜の長距離移動を避けるために滞在したバスターミナル近くの宿「KGB HOTEL DAR ES SALAAM」。あまり人におすすめできないクオリティな上にWiFiも使えずしかも1泊25ドルと高額。コスパ過去最低な宿を7:00チェックアウト。早くどこか他のホテルに移動したかったのです(昨日の投稿はこちらです)。とはいえ宿の人は親切で、安宿がたくさんあるエリア(POSTA周辺)までの行き方を丁寧に教えてくれました。
宿から大通りに出ると、道路を渡ったすぐ先に「ダラダラ」乗り場があります。そこからダラダラに乗って行く方法です。
「ダラダラ」とはタンザニアの公共交通機関で、いわゆるミニバス。
これに乗って「ムナジモジャ」バスターミナルまで行き、そこから歩くか、ダラダラを乗り換えるとのこと。この「ムナジモジャ」、どう聞いても「モジャモジャ」に聞こえます。
私は「ダラダラに乗ってモジャモジャへ行く」ということをしっかり頭に入れて宿を出発しました。
朝7:00ですから、地元の皆さまの通勤通学時間と重なり、たくさんの人を乗せたたくさんのダラダラが絶え間なくやってきます。私が乗るのモジャモジャ行きのダラダラはそんなに多くないようで20分くらい待ったところでやっと到着いたしました。
バスのコンダクターさんが大きな声で「モジャモジャ」と叫んでいるので間違えることはなく、急いで乗り込むと、荷物が多い私のための特等席に座らせてくれました。
みなさんと向かい合う形で着席。この席なんか気まずい…。
そうして通勤通学ラッシュの真っ只中を、ダルエスサラームの中心に向けて進んで行きます。そんなに長い距離ではないのですが、道路の渋滞に巻き込まれ、バスに揺られること約1時間。モジャモジャ(ムナジモジャ)に到着。
ここは多くのダラダラの終点&始発になっているようで、たくさんの人でごった返しています。朝の新宿駅みたいな感じかなあ。
ダラダラを降りるとすぐのところに、朝ごはん屋さんがありました。パンケーキやあたたかい飲み物を売っている女性たち。
朝ごはんはしっかり食べときたい派の私は、パンケーキ2個とチャイを購入。各200シリング(約10円)。私、路上の朝ごはんがすごく好きみたいで、とてもテンションが上がります。
世界中を旅していると、いろんな場所で「チャイ」と言われる飲み物に出会います。インドはミルクティー、トルコは激甘ミルクなし、ほかにもあった気がしますが、とにかく国によってアレンジは様々。そしてここダルエスサラームの「チャイ」は、甘めのジンジャーティーです。
これがすごくおいしくって、普段は完全にコーヒー党の私ですがここでは迷わずティーを選びます。現時点で、世界一私が好きなチャイは、ダルエスサラームの生姜紅茶だなあ。こんな風に売られていて、だいたいどこでも200シリング(約10円)。
買ったものをどこで食べようかなとキョロキョロしていると、お店の女性たちが口々に、「後ろに入りな! 」「ここに座りな!! 」「ほら、荷物はこっち!! 」「チャイはこのレンガの上に置いていいから!! 」と私を店内? に招き入れてくれて、ゆっくり朝ごはんを堪能することができました。(全てスワヒリ語とジェスチャーのみのやりとり)
この安全な場所から道行く人々を眺めていると、女性たちのファッションが今までになく華やかになったことに気が付きます。
あ、垢ぬけてる!!
ほかの町や村と比べると、明らかにおしゃれになった!!
まず朝ごはん屋の皆さまのファッションもカラフルでかわいいですもん。
さすがタンザニアの首都ダルエスサラームです!! ずっと見ていても全然飽きない。というわけで、ここで定点観測。
勝手にストリートスナップ@ムナジモジャバスターミナル(ダルエスサラーム)。
イスラム色がぐっと強くなって、ロングスカートはもちろんショールの美しさも見逃せません。
朝ごはん屋さんの隣は、タバコ&お菓子屋さん。
日本では見かけませんが、アフリカや東南アジアの多くの国々では、タバコは1本ずつバラ売りもしています。いつもタバコは箱で買っているのですが、1本いくらなんだろうかと気になったので、試しに購入。一箱はだいたい4,000シリング(約200円)です。
タバコ1本200シリング(約10円)。
箱で買うのと変わらないということが分かりました。
ここで30分ほど過ごし、時刻は9:00。女性たちのファッションをたっぷり堪能したところで、そろそろ私のお目当の場所へと向かいましょうか。
お目当ての布「カンガ」のマーケットへ
ここダルエスサラームに来た1番の理由。それは、布。
タンザニアをはじめ、東アフリカの女性たちが身につけていらっしゃる素敵な布の現地調査。そして、購入。
お隣マラウィではじめて出会ったタンザニアの布。マラウィではチテンジと呼ばれていた布です。この布の魅力にとりつかれた私は、マラウィですでにフライングして購入してしまいました。投稿はこちら。
しかしやはり、この布の発祥の地タンザニア、そして多くのデザインが集まるであろう首都ダルエスサラームで、この布を買いたかったのです。
過去の投稿でちらっと書いたかと思うのですが、タンザニアの布「カンガ」には、1枚1枚にスワヒリ語のポエムというか格言がプリントされています。それを身につけることで、自分の気持ちを表現したり、ポエムのようになりますようにと願いを込めたり。
ただ美しいだけではなく、この素敵なシステムに惹かれた私は、ここダルエスサラームで、もっとカンガのことを知ると同時に、私にふさわしいポエムなりメッセージなりが描かれたカンガを探し当てるつもりです。
ムナジモジャバスターミナルから道路を1本渡ると、そこは大規模な布屋さん街。
地図はこちら。Uhuru Streetという通りです。
通りを挟んだ両側はもちろん、大通りから少し入った奥まったエリアまで、布を扱うお店がたくさん集まっています。お店の前には、華やかな布をまとった女性たちがたくさん。
各店の品揃えは似たり寄ったりですが、絵柄のセレクトに若干違いがありますし、たまにそのお店でしか見かけないデザインもありますので、一軒一軒くまなくチェックする必要があります。
かなり真剣に店回りをしていると、細い路地の手前で手招きする女性がいます。その女性について路地の奥へと入っていくと、表からは見えない場所にたくさんのカンガが飾られていました。
わあー!!
すごくたくさん!!
ほんとに1枚1枚違ったポエムが描かれています。
大興奮で布を見ていると女性が布の説明をしてくれます。しかしほぼスワヒリ語、ときどき英語。9割わからないのですが、タンザニアの布には種類があり、それぞれ呼び名が違うということはわかりました。
まず、私が買いたいと思っているポエム入りの布がカンガ。絵柄に天地左右があり、巻きスカートとして着用したりショールとしてかぶったり。これで何かを仕立てるのではなく、そのまま使うんだと思います。通常4m売り。
それから、絵柄が前面に印刷してあってポエムが書いてない総柄の布はチテンジ。こんなやつ。
こちらは、6m売りが主流なよう。チテンジを使ってオリジナルの洋服を仕立てる女性が多いのだそう。
この2種類がタンザニア生産の布で、ほかにはナイジェリアやコンゴで生産されている別の布も見かけました。きらびやかな布の数々、目が回りそうな色の洪水に目移りしてしまいますが、
何と言っても私が今欲しいのはカンガ。
お店に並べられているカンガを一心不乱にチェックします。
気になる絵柄のカンガを引き抜いて台の上に並べていきならが、お店の女性にポエムの意味を尋ねます。
「このポエムはどういう意味ですか?」
女性、ニコニコ笑っている。
「あの、これ英語で言うとどんな感じになるんですかね? 」
女性、ニコニコ笑っている。
つ、通じてない。
ですよね、公用語、スワヒリ語ですもんね。これは困った。私にぴったりのメッセージを見つけたかったのに、なかなか難しそう。
とはいえスワヒリ語で書かれた言葉は、どうがんばっても解読不能。
「仕方ない。ジャケ買いしよう」
その昔、かっこつけてターンテーブルを購入し「やっぱCDよりレコードだよね」とかすかしたこと言いながら下北や町田のレコード屋さんに通っていた時期があります。これは若さゆえの黒歴史と言っても過言ではないのですが、
つまりそのノリです。
カンガをディグり(ディグるとかww)、
ポエムの意味はわからなくても、とりあえず気に入った絵柄を買う。ポエムの意味はあとで英語がわかる人に教えてもらうしかありません。
と、ここで、気に入った絵柄のカンガを発見!!
私の好きなブルーの絵柄。爽やかな白がアクセントになり、シックな黒が全体を引き締めています。
このデザインは、ほかの店で見かけなかった…。これ欲しい。でも、この文字の羅列が何を意味するのかはわからない。
もしかして、全然意味不明なメッセージかもしれません。でも、仕方ないのです。そうしてお買い上げ。4m10,000シリング(約500円)。
広げてみるとこんな絵柄です。
この時点で、布屋さん街に来てから3時間が経過しています。早く布を見たくて、バスを降りてそのまま来ましたが、もう40kg近くにまでふくれあがった荷物を抱えての街歩きはきつい。今日泊まるところを見つけて荷物を置きたい…。普通こっちが先。
本日の宿SAFARI INNと街歩き
この日の宿として目星をつけておいたのは、布屋さん街から徒歩10分くらいの場所にある「safari inn」。行ってみるとシングルルームに空室ありで、すんなり泊まることができました。1泊2,800シリング(約1,400円)。
Safari innは、WiFiがあると地球の歩き方に書かれておりましたので、さっそくつないでみたところ、スマホは問題なくつながるのですが、PCはうまくいきません。完全にWifi難民。ブログの更新できないじゃん! 困るー! ということで、街歩きがてらネットカフェもしくはwifiのある飲食店を探すことにしました。
宿を出て歩いていると、おいしそうなやつ発見!!
「フルーツサラダだ!! 食べたいか!? 」との問いかけに「食べたい!! 」と即答し、お買い上げ。1,000シリング(約500円)。氷でキンキンに冷やされたたっぷりのフルーツ。スイカ、マンゴー、メロン、バナナ。あとはよくわからないです。ダルエスサラームの水道水は、あまり衛生的ではないという話ですが、この氷…なんて食べてる途中に気づきましたが、今のところとくにお腹を壊していませんので大丈夫みたいです。ぜひどうぞー。
ふらふら歩いていて見つけたWiFiのできる店。
ハンバーガーのセットが10,000シリング(約500円)と、けっこう高級なのですが、ここの無理WiFiはかなりさくさくで、とても快適にネットができました!
場所はこちら。
ついに明かされるカンガの意味
ネットを済ませ店から出てタバコを吸っていると、1人の男性が話しかけて来ました。旅行会社を経営しているという彼は、私をサファリのツアーに勧誘したかったようです。しかし私は先日アルーシャでサファリは済ませてきたばかり。丁寧にお断りしつつここで閃きました。
あ、この人英語できる。カロンガの意味を聞いてみよう!!
「あのーサファリツアーには参加しないんですけど、ちょっと聞きたいことがあって…
これ、どういう意味なんですかね?? 」
先ほど買ったばかりのカンがを広げて見せます。暇だったのか、旅行会社の男性は快く教えてくれました。
「これはあれだ。ペイシェントは、ライフのキーになるって書かれているな」
「ペイシェント?? 」聞きなれない英単語。意味を知りません。
「そうだ。んーつまりwaiting。何もしないでただじっと待つんだ」
「はあ。待つことが人生のカギだと」
「そうだ。MAISHAはlifeのこと。SUBIRAはpatient。そしてUFUNGUOはkeyだ。急いだり焦ったりしてはいけない、じっと待つことが人生のカギを握っているって、そう書かれている」
なるほど!! つまり、
縁と浮世は末を待て
意味:良縁と好機とは無理に求めず、自然に来るのを待つのがよい。
うわあぁぁあぁぁ
ねえ、な ん で 知っ て ん の!?
今まで私がいかに待ってこなかったか。
ここで具体的なエピソードを晒すのは控えさせていただきますが、私の周りの方々はよぉくご存知だと思います。カンガの言葉の魔力ってすごい。もうね、全部お見通し。
ちなみに、”Patient”の意味をあとで調べたら、“我慢”とか”辛抱”とかそんなような感じでした。
そう、私は待てない女。
我慢強くも辛抱強くもありません。柄と色が気に入ってたまたま選んだカンガですが、そのメッセージは完全に私への戒めであり、これほど的確な人生のアドバイスはありません。
いいでしょう。待ちましょう、良縁と好機。
今もすでに待ってるし、ゆったらかれこれ33年待ってますけど。それが”鍵”だと言うのなら、もう少し待ってみることにします。
そしてさらに気になっていたことを尋ねます。
「このポエムっていうかメッセージ、今も女性たちはちゃんと意識してるんですか? デザインだけじゃなく、意味を確認して選んでるのか? ってことなんですけど。それとも、そんなことしてたのは昔の話で、今はあんまり気にしてなかったりするんですかね? 」
「もちろん今も女性たちは気にしてるさ。ちゃんとメッセージも大切にしている。どんなに気に入ったデザインだろうと、そこに書かれている言葉の内容が自分の気持ちに合わなければ絶対に身につけない」
「へえーそうなんですね。なんか素敵な習わしですねえ」
「カンガに描かれているメッセージは”神”や”宗教”に関する内容が多いんだ。しかしここダルエスサラームは、クリスチャンとムスリムがともに暮らしているだろう? だから、カンガのメッセージによっては、宗教的に身につけるべきじゃないものもあるんだ。例えば、コーランとかラマダンが出てくるメッセージをクリスチャンの女性が買うことは絶対にないからな」
「ああ、確かに。そうなっちゃいますね」
「あなたのカンガに書かれている言葉はとても素晴らしい。宗教に関係しないポエムだから、あなたも身に着けることができるでしょう。大切にするといい」
「ほんとどうも親切に教えていただいてありがとうございました。あ、サファリツアーは行きません」
こうして学ぶことができたカンガのあれこれ。カンガの真相を知りたくてダルエスサラームまでやってきた甲斐がありました。
デザインもメッセージも私にぴったりのカンガにも出会えて、今日はとてもハッピーです。この先もし機会があれば、ジンタンの四字熟語Tシャツのように、私も「縁と浮世は末を待て」と書かれたカンガを身につけて町を闊歩してみたいなと思います。
それでは本日も最後までお読みくださってありがとうございました。
思わずして鍵にまつわる布アイテムを更にもう一枚ゲットとは
これにはマユミさんも内心ニヤリですね、なんて笑
先日は下手すると命にかかわる場面でしたが、
ドライバーさんが良い方で本当にラッキーでしたね
ご無事で何よりです