マダガスカル(5)“木”を見に行くために会社を辞めた現無職はこちらです
2016年4月いっぱいで、約5年半勤めた会社を辞めて、早10日が経とうとしています。まだ10日なのにもう数年が経過したかのような感覚で、正直今となってはまったく信じられません。大きくて立派な会社にヒールのついた靴を履いて、イヴサンローランのバッグを持って、スタバのソイラテ片手に通勤するOLになるとかいう夢を見ていたのかもしれません。
そんな私は現在世界一周の途にありまして、現在地はこちら。
【現在地】モロンダバ(マダガスカル)
Morondava(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】
25度・71%(朝)、35度・37%(昼)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
会社辞めてまで何しに行くか
会社を退職する前にたくさんの人に聞かれました。「仕事辞めて何するの? 」
「ちょっと海外のほうに…」
そんなに親しくもない人に堂々と「世界一周行ってきます」なんて言う勇気のない私は、このようにぼんやりとした返答をしておりました。空気の読める大人の場合、普通はここで「そうなんだ」と言って終わると思うのですが、人によってはさらに聞いてくることがあります。「え、どこの国? 」
私も適当にアメリカとかカナダとかフランスとか、それっぽいところを言えばいいものを、嘘をつくのも苦手なもので、そこはきちんと答えます。
「マ、マダガスカルです…」
もうこれ以上は聞かれないと思いきや、さらに深堀りしてくる人もいらっしゃるからびっくりします。「え、何しに? 」
なぜ赤の他人にそんなことまで言わなければならないのか分かりませんが、私も聞かれたことには正直に答えます。
「ちょっと見たい木があって…」
ここまでくると、さすがに会話終了です。私もこれ以上説明するのがめんどくさいし、向こうもだんだん意味が分からなくなってきます。
親しい人には、そりゃあ目をキラキラさせていかにバオバブがかっこいいか、いかにマダガスカルに期待しているかを説いてまわっていたのですが、そうでもない人に関してはこのように意味不明な会話をしたまま退職の日を迎えました。
このブログには、世界一周に行きたい理由とか経緯とか意気込みとかそれはそれはいろいろなことを書き綴ってまいりましたが、やはり面と向かって人に話すとなると、どうしてもコミュニケーション能力に難ありな部分が前面に出てきてしまって、激しく言葉足らずに終わってしまうのです。
つまり私は、
木を見に行くために会社を辞めたおかしな人。
もうそれでいいです。世の中にはそういう人がいたっていいじゃないですか。いやまあ、完全に100%木を見に行くためだけかっていうとそれは違いますよ。それでも、私がこの木、それはバオバブなんですけど、にかける熱い思いは筆舌に尽くしがたいものがあるのです。
そんなバオバブがたくさん生えている町こそが、今私がいるマダガスカルの「モロンダバ」。そして今日は、そのバオバブを「バオバブお腹いっぱい。ちょっともうしばらくバオバブ見たくないわー」ってくらい堪能するためのツアーの日です。
ツアーとは言え、参加者は私のみ。あとはガイドの「ソニ」という男の人とドライバーさんだけ。合計3人で、バオバブ・サンライズからバオバブ・サンセットまで、文字通り日の出から日の入りまで、たっぷり1日堪能しよう、というわけです。ソニとドライバーさんは、毎日毎日バオバブ見てますから、実際もうおなかいっぱいなんでしょうけどね。
“ソニ”プレゼンツ、バオバブ三昧ツアーの詳細
はたしてこのブログを読んでくださっている方の何割が、「バオバブ」という木についてご存じなのか分かりませんが、少なくとも私の母親と妹は、私が送ったバオバブ速報写真を見て「へぇーこれがバオバブなんやねー大きいねー」みたいな返信を送ってくれましたから、そこまで有名ではないのかもしれません。
まあでも知らなくても大丈夫です。今知ってください。私がバオバブのことを知ったのは10年くらい前で、旅先で会った人に話を聞いたのが始まり。日本に帰ってインターネットで検索して出てきた写真を見て、「木と人の縮尺がおかしいんじゃないか」と目を疑いました。
とにかく見た目のインパクトがすごい。尋常じゃないデカさ! あまりに個性的な独特のフォルム! 同じ地球上の光景とは思えませんでした。そこから、マダガスカルとバオバブは私の憧れとなり、「死ぬまでに絶対行くべき場所」堂々の第一位となったのです。今回の世界一周で、まず一か国目にマダガスカルを選んだのもそのため。おかげさまで、アフリカ素人が無謀にも北上ルートを選択するという残念な事態になってしまったのですが。
「バオバブをとにかくたくさん見たいの! コース」
260,000アリアリ(約8,840円)
―――――――
5:30 ホテルにソニが迎えに来る
ソニ、ちゃんと10分前くらいに迎えに来てくれました。途中にあるバオバブを見ながら「バオバブ街道」まで行き、サンライズ観賞。
7:00 朝食
村の中の食堂。生活用品とかも売ってるところ。
パスタ×パスタ。ちょっとカレー味とちょっと塩コショウ味が混ざった感じの味でした。これとコーヒーで4,000アリアリ(約136円)。
8:30 「キリンディー森林保護区到着
シファカという真っ白な猿。
ブラウンなんちゃらとかいう猿。
またシファカ。
就寝中のふくろう。
なんかかわいい鳥。
10:30 森林散策終了
キリンディー森林公園内のレストランで昼ごはん。
【キリンディー森林公園について個人の感想】
“バオバブのおまけ”的な扱いで、微塵も期待しないで行ったので、意外と猿とかいたから「おぉ! 」ってなりましたけど、これめっちゃ期待して行ったらけっこうアレな感じかもしれません。このような「森林保護区」的なところに初めて行ったので、一般的なものがどうなのかよく分からないのですが、基本的に雑木林のお散歩でたまーに猿とかがいたりする感じでした。そういうものなんですかね。
あと、髪の毛に強めのパーマをかけていると、蜘蛛の巣とか枯れ葉とか、なんだかよくわからないものとか、とにかくいろいろなものが絡まって取れなくなりますので注意してください。
11:50 「キリンディー森林保護区」をあとにする
■キリンディー村のバオバブ
雲一つない空にバオバブの雄姿が映えます。
■「王様のバオバブ」
なぜか引きの写真を撮り忘れました。真下から見上げたバオバブ。
バオバブの花。
バオバブの幹。
■「愛し合うバオバブ」(新婚)
“young loving baobab”と呼ばれているようです。この木の写真は、先日、めでたく結婚式を挙げた友人に捧げます。世界一周出発を2日後に控えていた私は式への参加ができなかったのですが、祝福の気持ちは人一倍! このねっとりと絡みつくバオバブのように、末永くお幸せに。(←言い方)
■「愛し合うバオバブ」(熟年)
ついでにこっちも捧げときます。樹齢が高いので、幹が太く、よりからみ合っています。こんなふうに二人仲良く老後を迎えてください。
この近くでおみやげ購入。バオバブをかたどった木の置物。
彼が作っています。
私が買ったのはこの2つ。3,000アリアリ×2個(合計約204円)。
■「像のバオバブ」
形が像の横顔っぽく見えるからこのような名前で呼ばれています。
14:30 いろいろ見たものの、サンセットまで時間が余る
近くの町でだらだら
16:00 バオバブ街道に戻ってきてだらだら
やっぱ人間と木の縮尺が不思議。
近くで売ってたバオバブの子供。
17:00 徐々に日が傾き始めるのを眺める
パノラマ。
17:40 ほぼほぼ日が沈む
18:30 ホテルまで送ってもらって終了
―――――――
想像をはるかに超えたパワーに満ち溢れたのバオバブの姿を目の当たりにし、鳥肌がたちました。スケールが人知を超えてる。「あんまり期待しすぎると、逆に実物見ても感動しないんじゃないか」みたいなことを懸念していましたが、そんな心配は全くの杞憂に終わりました。あたりまえですけど、インターネットで「バオバブ街道」とかって検索して出てくる写真を眺めるのとはまったく別次元。
どっしりと地に足をつけ、上へ上へとまっすぐに伸びていくバオバブの木の力強さは、
想像より100倍かっこよくて、100倍神秘的で圧倒されました。
ということでバオバブ三昧の一日をお届けしました。私は大満足でしたけど、もしかしてこのブログを読んでらっしゃる方のほうが「バオバブもうお腹いっぱいー」ってなってしまったかもしれません。勝手にヒートアップしてしまってなんかすみません。
本日も、最後までお読みくださってありがとうございました。
コメント8件
バオバブ街道、行ってきました。
情報、ありがとうございました。
確かに付近には宿泊できるようなところはありませんでした。
逆にすっきりとバオバブが見られる今の状態が素敵だと
思いました。
もしかしたら、だれかの役に立つのかもしれない情報です。
モロンダバの街からバオバブ街道までは、
タクシーで60-80,000MGAでした。
これは、単純バオバブ街道往復です。
奥にあるバオバブアモーレにも行くと80kMGAでした。
出発15時で夕陽を見て帰るパターンと4:30出発で朝日を見る
パターンが一般的なようです(2017年3月初旬)。
街からの道のりの半分は舗装道路、残りの半分は未舗装の
でこぼこ道でした。
雨季でも特に4WDでなくても行けそうでした。
モロンダバからタナまではタクシーで700-800,000MGAで
12時間だそうです。
飛行機が飛ばなかった場合の手段として検討しました。
モロンダバからタナまでの飛行機に預け入れた荷物から
電気製品を抜き取られました。
どなたかは、ご用心あれ。
すでに帰国されていると思います。
まだアフリカ北上のところあたりを読ませていただいています。
どうしても気になっていますので、ついでに質問させてください。
素敵な写真がいっぱいで、感嘆しています。
私が見たナビブ砂漠よりも何倍もきれいで、また行かなくては、
などと。。。
ご自身が移っているとても良い構図の写真はどのように
撮られているのでしょうか。
三脚ですか、リモコン撮影ですか。
気になって、気になって。。。
ご帰国後、どのようにされているのかを含めて、
ゆっくり読ませていただきますね。
はじめまして。
今度2月中旬から3月上旬にマダガスカルに1人で行きます。
雨季ですね、ハハハ。
バオバブを何度も楽しみたいので、バオバブ街道に
泊まれないかと考えているのですが、
宿泊施設はありそうでしたでしょうか。
タイミングはずれの質問ですみません。
今はキューバにご滞在でしょうか。
順番に読ませていただきます。
お元気でお過ごしください。
初めまして^ ^
バオバブ素敵ですよね(^ν^)
私もすごく感動しました。
モロンダバまで行くのはめちゃくちゃ大変だったけど、本当に行ってよかった場所!
いつもはお土産買わないのですが、私もバオバブの置き物だけは買って帰りました〜笑
これからも気をつけて旅続けてくださいね!
お邪魔いたします。 拝読しておりましたら、本ブロガーが女性と判りビックリしましたょ!
当方はサン=テグジュペリを読んでバオバブに邂逅、近年NHKで福山君が案内しておられた❛Hot Spots❜を観て同植物にさらなる憧憬を抱き、巨大になる同種は見送りミニバオバブ?的なPachypodiumなる種の育成を始めているアラフィフです。
臨場感溢れるブログ、現地に同伴させていただいたような錯覚を覚えました。 これからの道程も、無病息災で恙無きよう! 失礼いたしました。