マダガスカル(4)ようルフィ、久しぶり。まさかここで会うとはね。
こんにちは。昨日、午前11時にマダガスカルのモロンダバという町に着いております。初めてのタクシーブルース体験は、夜を徹したお尻の痛みとの戦いに終始し、完全に敗北しました。痛くて何回も起きましたからね。とはいえ、一度も尿意をもよおすことなく、世にもおぞましいと噂の中継地点のトイレを利用することはなんとか避けられただけでも御の字。次、タクシーブルースに乗るときは、万全の対策を練って、もっと快適に乗れるようにがんばりたいと思います。
【現在地】モロンダバ(マダガスカル)
Morondava(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】
25度・71%(朝)、35度・37%(昼)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
到着してタクシーブルースを降りると、たくさんの客引きやプスプス(自転車の後ろに人乗せるやつ)ドライバーが集まってきます。
「とりあえず私さ、15時間30分ぶりに膝をまっすぐに伸ばすから、ちょっと待ってよ」
そう思いながら、ガクガクの膝をかかえ屈伸をしつつ、屋根にアタッチされていた自分の荷物を受け取っていると、一人の男の人が話しかけてきました。
「ホテル決まってる? うちのホテルなかなかいいよ。ビーチに近いし、キレイだし、Wifiもあるよ」
見せられたパンフレットを確認すると、「HOTEL TRECICOGNE」と書いてある。
「あ、この名前見たことある。誰かのブログで見たぞ。日本の人もよく泊まってるところですね」
だったらいいかー荷物重いしー、と思い値段を聞くと30,000アリアリ(1,020円)。
「この辺の相場だと25,000アリアリ(約850円)でいけるって聞いてるんですけどね(Google先生に)」
そう答えると、あっさりOKとのこと。じゃあ行きますかー! とその前に、私はここで“ソニ”とかいう男の人を探さなければならないのです。
“ソニ”とは日本人御用達の、英語ができるガイド。この町の周辺にある見どころは、到底徒歩なんかでは全部まわることができず、かといって個人で何の事前情報もないツアー会社を手配するのは正直怖い。となると、フリーランス(たぶん)とはいえ、日本人の間ではそれなりに知名度の高い“ソニ”に手配してもらうのがなにより手っ取り早い。あと、フランス語がメインのこの国で、英語ガイドはなかなか希少なのです。
かつてこの場所を訪れたバックパッカーさんの多くがお世話になっているこのガイドさんを探し出して、私もツアーをアレンジしてもらいたかったのです。
ちなみに、旅の先人たちのブログから読み取れる彼の評判は賛否両論で、
賛3:否7くらいかなー。
賛は、「親戚の家のパーティーに招いてくれる」「カラオケに連れて行ってくれる」「地元の人が行くレストランに連れて行ってくれる」など。
否は、「ぼったくる」「追加でなんやかんや金を要求してくる」「時間を守らない」など。
「疲れるから」という理由で、パーティーとかカラオケとかに行くつもりのない私としては“否”の部分しか残らないわけですが、ソニ以外の方法を知りませんから選択の余地はありません。NOソニ、NOモロンダバ。ここモロンダバの日本人観光市場は“ソニ”の独占状態。
手掛かりは“ソニ”っていう名前しかないのにホントに探せるのかなと思いつつ、ホテルの男の人に聞いてみます。
私「“ソニ”とかいう人をご存じないですか」
ホテルの男「マイネームイズ・ソニ」
私「は? 」
ホテルの男=ソニ「ワタシ、ソニサンデス」
あなたがわたしのマスターか。彼こそがソニでした。マスターではないですが。そっかそっか。ソニ、たぶんバスターミナルで待ってて日本人ターゲットにキャッチしてんだねー。そりゃよかった。探す手間が省けた。
そのままホテルまで行き、部屋を見せてもらったところきれいだしお湯もでるので、ちょっと悩んでるふりしつつもここに決定。また荷物持って他のホテル探す気力も体力も残ってるわけないんですよ。
部屋で一息ついた後、ホテル1階のレストランでソニとツアーの打ち合わせ。
バオバブサンセット、サンライズ、いろんな種類のバオバブ、とにかくバオバブをたくさん。そしてキリンディー国立公園も一応。そんなバオバブ三昧+サルのたくさんいる雑木林を1日かけてまわるツアー。まあ私はバオバブが見られればそれでおけ。でキリンディー森林保護区はついでに行っとくかくらいの感じ。ということでツアー内容に不満はありません。
「で、いくらなんですか? 」
そう。私の苦手な金額交渉です。
ソニ「400,000アリアリ(約13,600円)。グッドプライスー!! 」
私「うん、高いよね」
過去に行った人のブログ情報を見ると、だいたい300,000~200,000アリアリ(約10,200円~6,800円)くらいなんですよ。200,000はもうかなり旅のベテランな方々で、さすがに私レベルの人間がそんな金額叩き出してやろうなんて思ってませんけど、400,000は高すぎるんじゃないですかね。
だって私一人で払うんですよ。
先人のみなさんは、どういう仕組みか知りませんけど同行者と一緒だったり、なんだかここでお友達と待ち合わせしたりしていて、
「合計300,000アリアリだったので1人100,000アリアリでしたー」
みたいな投稿をしてらっしゃいますけどね、一人で全額負担する人の気持ちも考えてみてください。
ざっと町を見た感じ、ここで偶然日本人に会う確率は、相当低い。かといって合流するようなお友達もいない。でもバオバブ見たいから仕方ない。泣く泣く一人で全額負担するんです。無職なんですよ私。だから、400,000は勘弁してください。
さすがに大金なので、私も一生懸命交渉して、なんとか260,000アリアリ(約8,840円)になりました。
この金額が高いのか安いのか分かりませんが、全力で苦手な金額交渉をがんばったので、これが私にとってのグッドプライスです。
ソニから解放されると、私はすぐさまTシャツ短パンに着替え海へ向かいます。さっきから波の音と潮の香りがする!
ついに、フィンの出番なんじゃないですかー。
日本からわざわざつらい思いをして持ってきたフィン。ブログで「フィン、持って行きます! 」って早々に宣言してしまったもんだから、後半真剣に荷物を検討しだしたころにはすっかり後に引けなくなってしまったいたフィン。
わあー
茶色ーい!!
分かります? 海めっちゃ茶色い。スノーケル、フィンはおろか水着もおあずけ。砂浜は白いし、いい感じにヤシの木とか生えてるんですけど、泳ぐ感じではなさそうです。せっかくなのでビーチの様子を。
で、海は誰も泳いでない。
今日のイチオシ。
クラゲの残骸。
この写真撮影に夢中になりすぎて、このあと近くにあったもうワンサイズ小さめのクラゲを踏んで盛大に転倒します。周りにいた現地の人を多少ざわつかせつつ、何事もなかったかのように起き上がり、軽く砂を払います。
「そういえば朝から何も食べてない。お腹がすいたな」
目に入った、ビーチ沿いにあるオシャレ(? )なレストランへ。
ゼブ牛(マダガスカルの牛)をどうにかした感じの料理とライス、あとコーラを注文。これで7,000アリアリ(約238円)。
牛肉とろっとろで、よく煮込まれてて美味。トマトソース味だと思います。自分が料理しないので、食べたことある味でも、それが何なのかよく分からないところが残念。食後にタバコを吸おうとして、宿にライターを忘れてきたことに気が付きます。仕方ないのでお店の人に借りようと奥に入って行くと、
いたよマダガスカルの自宅警備員!!!!
日本を代表する花形産業として有名ですが、ここマダガスカルにもしっかりいらっしゃった。レストランの目の前に広がる美しいビーチなんて一切無視して昼間っから熱心にPCモニターの監視(アニメ観てる)に従事する自宅警備員を1名発見しますた。
「『ONE PIECE』じゃん!!!」つい口をついて出てしまった。
振り返る彼と目が合います。
ほんの数秒の出来事でしたが、お互いに悟りました。
「きっと、分かり合える」
言葉は通じないけど、これはもう完全に意気投合するよね。
ドレスローザ編のクライマックスあたりですね分かります。麦わらの一味と、海軍と、ドフラミンゴ一派の三つ巴。白熱したシーンを彼は夢中で観ていました。
いやー、まさかルフィにこんなところで会えるとはねー。こんなに遠く離れたマダガスカルとかいう国でも愛されているなんて、これはもう感動以外の何物でもないですよね。どうにかして尾田栄一郎先生にもお伝えしたい。
この後、彼のお母さんが彼の隣に私用の特設席を作ってくれまして、小一時間ほど仲良く『ONE PIECE』を観賞しました。食い入るようにパソコンの画面を見つめるギーク(オタク)が2人。
お母さん、そんなあきれた顔しないで。彼は大丈夫です。『ONE PIECE』が好きとか、むしろ将来有望です。
アニメがひと段落した後は、フランス語と英語と日本語をめちゃくちゃに交えながら、
「ゴムゴムのガトリング!! ウェーイ!! 」(ハイタッチ)
「ねえちょっと『海賊王におれはなる』ってフランス語で言ってみてよ」
みたいなキャッキャうふふをやって、レストランをあとにしました。断言します。ギークに、国境はない。あれですね、マダガスカルってほんと素敵な国ですね。
明日はついに念願のバオバブです。ソニが朝ちゃんと5時半に迎えにくればの話ですけどねー。
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