マダガスカル(27)最後の最後まで遊び倒す系旅人の原付ノシベ周遊記
本日、ついにマダガスカル滞在の最終日となってしまいました。私が滞在していたのは、北部にあるノシベという島。本日の午後にはアンタナナリボへと向かう飛行機に乗らなければなりません。わずか半日の自由時間でしたが、最後の最後の最後まで全力で遊び倒してやりました。
【現在地】ノ・シベ(マダガスカル)
Nosy Be(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】27度・72%(朝)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
ノシベでレンタルバイク! 島を一周してみよう
マダガスカル滞在も気づけば約1ヶ月が経過。ここまでずっと一人で旅していた私の前に、昨日貴重な旅友が降臨なさいました。偶然お会いした旅人「けんさん」。昨日の投稿はこちらです。
我々は偶然にも同じ飛行機でアンタナナリボに戻ることになっており、自由に使える時間はあと半日。それでも、しっかりこの島を満喫しようということで、バイクを借りて島を一周することを計画。
朝8時、レンタルバイク屋さんの前に集合した我々は、さっそくバイクを選びます。
レンタルバイク屋さんは、私が滞在しているアンバトゥルアカの村の中にもいくつかあり、値段も似たり寄ったり。原付のレンタル代は、1日30,000アリアリ(1,020円)前後です。
私はてっきり、1人1台レンタルするもんだと思っていて、日本でもツーリングをたしなまれるけんさんのスピードに付いていけるかな、足手まといになるんじゃないかな、と心配していたのですが、レンタルは1台。
「ええぇぇ!! も、もしかして、後ろに乗せていただいていいんですか!? 」
なんと、けんさんが運転してくださり、私は後ろでゆうゆうと座っているだけでよいとのこと。その昔、異常に警察につかまってしょっちゅう罰金を払わされるのがつらいという理由で原付を手放した私からすると、本当にありがたいことです。
本日の我々のパートナーは「Orbit号」。
どこのメーカーだかよくわかりませんが、真っ赤な車体がかっこいい!!
バイク屋の方にいただいた地図を見ながら、ルートを組み立てます。
どう見ても「普通に島を一周する」一択。
分かりづらいので、別の地図で説明しますが、この距離約1時間と言われます。実際には、45分くらいでした。
そしてぐるっと一周で約3時間とのこと。
我々に残された時間は、あと5時間ちょっと。寄り道しながら1周するのにちょうどいい時間ですな。
けんさんは、バイクとか車がとても大好きだそう。そういった乗り物に詳しくないのでよくわかりませんが、日本では、もっと大きくてエンジンもパワーのあるバイクに乗っていらっしゃるとのこと。
正直原付では少し物足りなかったかもしれませんが、そのドライビングテクニックは素晴らしく、この国でさんざん乗ってきた「タクシーブルース」の1,000倍は快適な乗り心地。
ぎゅうぎゅうに押し込められた記憶が大部分を占めるマダガスカルの移動から一転、全身に風を感じ、非常に爽快で開放感あふれるバイクは、とにかく最高の気分でした。
誰もいない海を独り占めする贅沢
まず目指したのは、スタート地点から約1時間の島の北部のビーチ。ちらほらリゾートホテルも見受けられますが、朝9:00のビーチには誰の姿もありません。
こんなにキレイなのに、それを独り占めできるなんて、
贅沢なことこのうえなし!!!
青く晴れ渡った空にヤシの木が映えますね。浜辺には何軒かお土産屋さんもありました。
けんさんは海で泳がれ、私は砂浜で一服し、しばらくぼーっとした後こちらのビーチを後にしました。
カメレオンが普通に落ちている島ノ・シベ
北に進むにつれ、どんどん緑が多くなり自然豊かな島の表情がうかがえるようになるころ、突然けんさんがつぶやきます。
「あ、カメレオン…」
「!? 」
ちょwwwwカメレオン落ちてたww
先日、レッド・ツィンギーを訪れた際、大好きになったカメレオン。こちらの投稿です。
マダガスカルには、意外と普通に野生のカメレオンがいるんだ、と知った私は、それ以降いろんな場所で
「カメレオン落ちてないかなー」
と周囲に気を配りながら行動していました。しかし、そう簡単に出会うことはできず、「今日こそはカメレオン落ちてたらいいなー」と内心期待していたのです。
そんな私の目の前に現れた真っ赤なカメレオン。
ウミガメといいカメレオンといい、「いたらいいなー」と思ったらほんとにいる…。この国は期待を裏切りません。
私はこれまで、白いカメレオンと緑のカメレオンを見たことがありますが、今回は赤。
か、かわいい///
ほどよいサイズの赤いカメレオンは、想像していたよりもずいぶんとゆっくり歩き、道路を横切っているところでした。
「わあーーー!! カメレオン!! やばい! かわいい!! 」そう言ってつかまえようとしたところで指をかじられます。
「いたたたたっ!! 」
この時、カメレオンの口の中は鮮やかな黄色だということを発見しました。それでもなんとか捕獲に成功し腕に乗せたところがこちらの写真。
私、すごくうれしそう。
しばしカメレオンと戯れ、その場をあとにします。
カメレオンは持って帰れないけどこれならいいよね
バイクを走らせていると、唐突にお土産屋さんが並ぶ場所を発見しました。なぜここに、と思いながら近づくと、そこから見る景色がとてもユニーク。写真がうまくなくて分かりづらいのですが、
手前に湖、そのむこうに海。ほかではなかなか見られなそうな景色が見られるビューポイントのようです。
アクセサリー系にあまり興味がない私はそのへんスルーなのですが、ここで最強のおみやげを発見!! それがこちらです。
さっき見たばかりの赤いカメレオン、にそっくりの置物。
実際のカメレオンをお土産として持ち帰るのは難しいかと思うのですが、これなら持って帰れます。マダガスカルに生えている「ラフィア」というヤシの葉を使って作られており、そのゆるさについ笑みがこぼれます。こういう雑貨、ほんとうにたまらなく大好き。
そこからさらにバイクを走らせ、メインの道路から脇道に逸れ、島一番のビューポイント、パソ山へ。ノシベの島の中心には、いくつかの湖と「Mont Passot」という山があります。阿蘇山ならぬ、パソ山。この山の頂上付近までバイクで登ることができまして、そこからの景色がまた最高!!
最初に行った北部の半島がきれいに見渡せて、穏やかな海に囲まれた緑豊かな島なんだなあと実感。少し高い位置にあるため、ほかの場所より涼しくて、心地よい風が通ります。
ノシベの特産品イランイランの木を発見
走行中、島のいたるところに生えている、変わった形の木に目が留まりました。
「けんさん、ちょっと止まっていただいていいですか? 」と、変わった木の写真を撮るためにバイクから降ります。木が下に向かって枝を伸ばしているような不思議な成長のしかたです。
マップを見ると、そういえばこの付近にイランイランの精製工場があった気が。ノ・シベは、“香料の島”と呼ばれており、女性の方は耳にしたことがあるかもしれませんが、香水によく使われる「イランイラン」の産地として有名なのです。せっかくだから行ってみようか、と近くで休憩をとっていらっしゃったおじさんに聞いてみます。
フランス語、全然ダメなので、なんとなく「イランイランの工場どこですかね」というニュアンスを問うてみると、
「あー、イランイランねー!! これこれ、この木だよ!! 」的な返答が帰ってきました。なんとこの不思議な形の木がイランイランの木。そしてどこかからその花を摘んできてくれ、私にプレゼントしてくれました。
たしかにすごくいい香りがする。
走行中あまり気にしていませんでしたが、このあたり全体にほんのりとイランイランのいい香りが漂っています。確かにここは“香料の島”。
ちなみに、イランイランは「男性が最も女性らしさを感じる香り」「官能的で催淫作用がある」なんて言われていて、なんというか、つまり、
セ、セクシーな香り?
いやいやいやいや、ないですよ。下心とか。
この島に勝手にこの植物が生えているだけですから。しかし、このような知識を披露すると、何かしらけんさんに誤解を与えて警戒心を持たれる可能性があると判断しましたので、ここは「いい香りですねー」というコメントのみにとどめておきました。
少し先に工場を発見。
しかし入場料が10,000アリアリ(約340円)とお高めで、外から眺めるだけにし、かわりに近くにいらっしゃった地元の方々と交流。
スマホを使用した遠隔シャッターでいっしょに写真を撮りましょう的な提案をしたつもりでしたが、みなさまスマホの方が気になって気になって、それどころではありません。
そんなこんなで言葉は一切通じませんが、けんさんが木に登ってその場が沸いたり、みなさんといっしょに写真を撮ったり、リンゴを渋くしたような小さな実をいただいてかじったり、にぎやかなひとときを過ごしました。
そこからしばらく走ると、ノシベの空港があり、さらに進むと「エル・ヴィル」という地元の方々でにぎわう村があります。本島からのボートはここに到着しますし、大きなマルシェ(マーケット)などもあるので、ここはこの島でもっとも栄えている地域。
エルヴィルでバイクを停めて、500アリアリ(約17円)のアイスを食べながら少し歩きます。
「エル・ヴィル」は、一言でいうと、生活感たっぷり。かなり雑多な雰囲気で、リゾート要素は皆無。「泊まるならやっぱアンバトゥルアカ(今宿泊している村)のほうが断然いいですねー」なんて言いながらその場を後にします。
ここから、スタート&ゴール地点のアンバトゥルアカまでは20分くらい。ガソリンスタンドでガソリンを満タンにして戻ります。
バイクの旅が楽しすぎて、この辺りではテンションもかなりアップしていて、2人して日本のなつメロを熱唱。“原付と言えば! ”なジュディマリの『くじら12号』にはじまり、「ブルーハーツ」「リンドバーグ」などなど。若干メインストリートを外れて行ったり来たりしながら、90年代のヒットソングメドレーを口ずさみ、ラストスパートです。
なんとか時間ぎりぎりにアンバトロアカに戻ってきて、お昼ご飯を食べてバイクを返却。これにて原付の旅、終了です。
空港への道すがら、最後のサプライズが
どんなに楽しい時間にも、必ず終わりは来るもので、この日の飛行機でアンタナナリボに戻らなければなりません。けんさんが、1回利用しただけだというのになぜかとても仲よくなっていらっしゃった「ロメオさん」が運転するタクシーで空港へと向かいます。
最終日といえどもしっかり遊び倒し、大満足の私は車内でウトウト。すると車が突然停車。そしてロメオさんが言いました。
「カメレオーン!! 」
「!? 」
ハッと覚醒して窓から外を見ると、そこには緑色のカメレオンが一匹…。
カメレオンまた落ちてたー!!!
しかも今度は大きいやつ! びっくりするほどゆったりペースで道路を横断中。車に轢かれやしないかとヒヤヒヤします。
喜んで車外へ飛び出し駆け寄ります。
近くにいたおじさんが木の枝を持ってきてくれて、それにカメレオンをアタッチ。
やっぱりかわいい!!
目の動き方が不思議だし、くるんとカールした尻尾も素敵。こんなに近くで見られるなんて、幸せいっぱい。
ここに来るまでの車内で、ロメオさんにカメレオンを見つけた話をしていると、彼は地元の人なので「あーカメレオンねー。蛇は嫌いだけど、カメレオンは別にどうってことない」みたいなことをおっしゃっていました。
しかしね、ロメオさん、カメレオンを近づけると、非常にびびっていらっしゃる。
マダガスカル人の中にも、爬虫類苦手な方がいるんですね。体の大きい彼がカメレオンを恐れて車内へひっこむ姿は、カメレオンに負けないくらいかわいかったです。
ノシベの空港でロメオさんとお別れし、我々は「飛行機」という最上級に快適な移動手段でアンタナナリボに飛びました。
※カメレオンの有無やその出現場所は、タイミングによりけりです。ご注意ください。
2万5千円で買った時間と、旅を充実させる最後のピース
本日私は、ノシベからアンタナナリボまで飛行機を使いました。これは当初予定していたことではありません。本来であれば、タナへと戻る交通手段も、得意の「タクシーブルース」を使うつもりでいたのです。しかし、この国を旅しているうちに「できるだけ長く滞在したいな」という思いが強くなり、飛行機で戻ることを思いつきました。
チケット代約2万5千円は、貧乏バックパッカーの私にとって決して安いものではありません。しかし、こうすることで移動時間がぐっと短くなり、時間にすると約1日半ほどノシベ滞在を伸ばすことが可能になりました。
そう、つまり、それはけんさんと出会いノシ・イランジャに行った1日と、バイクで島を周った半日。この時間にあたります。
言ってみれば私はわずか2万5千円でこの楽しい経験を購入したことになるわけです。
これは安い買い物でした。
思い切って飛行機のチケットを買ってよかったなあとつくづく思います。
私はここ一ヵ月、マダガスカルでとても充実したときを過ごしてきました。いろんな場所に行き、いろんな人と出会い、それはそれは刺激的で、今までにない新鮮な経験ばかり。しかし、一つだけ欠けていたものがあります。
それは、「きれい」「すごい」「楽しい」という感覚を誰かと“共有”すること。
一人旅ですから、基本的に、感動や驚きはひとりでかみしめるもの。それはそういうものですから、別になんとも思っていませんでした。もちろんその時々、いっしょにいた方と英語で「Amazing!! What’s Beautiful!! 」なんて言い合うことはありました。
でもそれって、日本語吹き替え版の映画を観ているような感じといいますか。母国語ではありませんから、どうしても自分の感じたことをありのまま正確に表現できていない状態。
そう考えると、近しい感覚・感性の人と、使い慣れた言葉を用いて、その素晴らしさや美しさや楽しさを“共有”できるということは、とても貴重なこと。
一人では味わえないドキドキわくわく胸躍る経験。でも、これはあたりまえですが、その言葉通り、
どうがんばっても一人でできることではないのです。
最後の最後に、このような素敵な機会を与えてくださったけんさんに感謝です。
バイクを運転してくれてありがとうございます。カメレオンを見つけてくれてありがとうございます。いろいろよくしていただいて本当に感謝しかありません。
原付の後部座席に座りつつ「くっついては申し訳ない」と終始力を入れていた腹筋と、カメレオンにかじられた右手の人差し指、それから日焼けした顔と腕。それらにほんのり痛みを感じつつ、しかしそれも楽しかった思い出の一部ということにして、本日の投稿を終わります。
明日はマダガスカルから南アフリカに移動します。飛行機でぴゅーんなのですが、ナイロビとヨハネスブルグを経由いたしますので、一日かかってしまいます。明日の今ごろは、ついにアフリカ大陸に上陸していることでしょう。
それでは本日も、最後までお付き合いくださってありがとうございました。
コメント6件
こんばんわ!
「くっついては申し訳ない」。
紡木たく、かと思いました。青春!
今後もどうかご無事で!
はじめまして!
偶然です!
私は5/22-5/29までマダガスカルにいました!今は日本ですが南アに行かれるのですね?!ケープタウンは本当に良かったですよ、見所満載で!
シャークダイビング挑戦して来て下さい!
すごく分かる気がします。
距離感ていうか、ATフィールド的な。
すごく分かるので、読んでてキュンキュンするのです。
今日もどうかご無事で!