マダガスカル(22)ガチ切れなんかもしたけれど、私はげんきです
現在世界一周をやっている私は、その第一か国目・マダガスカルにいます。孤独な一人旅ですが、そのぶん現地の方々と関わる機会がたっぷりあり、毎日なんやかんや面白い体験をし、とても充実しています。
【現在地】ノシベ/(マダガスカル)
Nosy Be(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】34度・72%(昼)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
交渉制とか苦手なものですから
マダガスカルではフェイスブックをやっている人が多く、お世話になった人たちとフェイスブックでともだちになり「その節はお世話になりました」なんて言って無事に旅を続けられている感謝を込めた報告をしたりしています。
それぞれの町や村での素敵な出会いがうれしくて、喜々としてこのブログで報告をしていますから、このブログを読んでいただいている方は「マダガスカルっていい人しかいないんじゃないの」なんて思われているかもしれませんが、別にそういうわけでもありません。
私は交渉とか全然得意ではありませんが、マダガスカルは基本的に何でも交渉制。商店なんかは別ですが、ものを買うのも移動するのも、全員に適用される一律の“定額料金”なんてものはありません。
ですから、たぶん私は至る所で相場より高めに支払っているでしょうし、払う必要のないチップだとか荷物代だとかも、よく分からなくて支払ったりしています。
こういうのは“悪意”とはまたちょっと違いますからね。そのへんをいちいち気にしていると、毎日落ち込む羽目になりますから「必要経費」と自分に間違った暗示をかけてすべてなかったことにしています。
そんな私ですが、たまに、なかったことにできないトラブルもあります。今日はそのお話を。これわざわざ書く必要あんのかなーとも思いますが、いい話ばっかりピックアップしてても、なんか嘘くさいじゃないですかー。ありのままの日常をお伝えします。
全力の怒りは精神衛生上むしろプラスかもしれません
昨日私が訪れた念願の「ツィンギー」。投稿はこちらです。
ツィンギーがあるのは「アンカラナ特別保護区」で、ここは正式なライセンスを持つガイド同伴でないと入ることができません。さらに、たどり着くまでの道は相当なオフロードで、4WD車でないと見に行くのは不可能。
ということで、起点となる町「ディエゴ・スアレス」の旅行代理店でガイドとドライバーを手配してもらい個人ツアーに臨んだのです。
当然スタートからガイドはいたのですが、昨日の投稿に一切出てこないのは、ひとえに私がもう彼にうんざりしてしまったからです。うんざりどころかガチ切れと言ってもいいと思います。
まず、朝5時30分、私の泊まっているホテル集合だったはずが、ガイドがきていなくてドライバーさんだけしっかり待機。むしろ私の方が3分くらい遅れた。ドライバーさんもガイドと面識がないみたいでしたが、必死でいろいろなところに電話をかけ「ガイドはどうなってるんだ」と問い合わせをしてくれました。彼は終始ちゃんとしたまともな人でした。
40分遅れてガイド登場。
しかもお酒入ってる。
私は、国籍問わず、お酒にだらしがない人がすごく嫌いです。
さすがにこれはガイドとしての仕事に差し支えるんじゃないかとイラッとしたところからツアースタート。ガイドは移動中ほとんど寝ていて、起きたかと思うと吐いたセリフが
「俺は今日遅れて来た。だが今日おまえに最高のものを見せてやる。俺を信じろ」
信じられるわけがありません。
事件の発端は昼食時の出来事
普通の食堂に入って普通にいつものようにチキンを使ったメイン料理と大量の米が出てきます。それを食べて、お会計。
なぜか私だけ10倍以上の金額を請求される。
あのさあ、こういう料理がね、
いつもだいたい3,000アリアリ(102円)とかだからね、今まで「やすーい! おいしーい! マダガスカルさいこー! 」ってなってましたけども、このとき私に提示された金額は
40,000アリアリ(約1,360円)
「あ゛ぁん? 」
いやいやそれはないでしょう。こういっちゃなんですが、まずいとかおいしいとかは置いといて、これに1,360円はさすがに無いと思うの。
「いや、なんで!? 」
ガイドが仲裁に入ります。
「ここはレストランだから、ちょっと高めなんだ。わかるだろ? 」
「わかんねーわ」
確かにコーラも飲んだりしたから10,000アリアリ(340円)くらいなら払ってもいいよ。でも1,360円は無い。全然無い。そうこうしていると、ガイドが「店の人と話を付けてくる」とか言って、店の奥に消えていきます。戻ってくると、
「20,000アリアリ(680円)でいいって言ってるから払ってよ」
もうね、ガイドのふところに金が入っているのは、誰の目にも明らか。
「そんなもん払う訳ねーだろ」
と、断固拒否の私。こうしてどんどん時間が過ぎていきまして、さすがにツアーの途中だし、ということでドライバーさんが私をなだめます。
「ガイドとは後で話をするとして、先を急がないと、今日あなたが見たいものが見られなくなる」
確かに。ツアーの順番でいうと、先にレッドツインギーを見終わった我々は、ランチの後「アンカラナ特別保護区」のトレッキングを控えておりました。時間との戦いに敗れた私は、怒りながらも20,000アリアリ(680円)を机にたたきつけ店を出ました。
車で走ること1時間。目的の「アンカラナ特別保護区」に到着。そこでガイドを問い詰めると、
「俺たちはマラガシー(マダガスカル人)であなたはホワイト(白人? 黄色人種? よくわかんないけど、アフリカ以外の人)だ。だから、同じものを食べても金額が違うことだってある」
あくまで店のせいにするガイド。
「はぁ!? 私は3週間くらいこの国を旅行しているけれど、そんなこと今まで1度もなかった。首都のアンタナナリボだって、ちょっと大きいトゥリアーラだって、もっともっと田舎の村だって、みんなローカルの人たちと同じ値段でごはん食べさせてくれたよ」
「それは、今までがたまたまそうだっただけだ。ここはマダガスカルで、マラガシーとホワイトが別々に扱われることはよくあるんだよ」
「ねーよ。今まで1度たりともなかったけど、もし今日がそうだったとして、マダガスカルの人は、そうやってマダガスカル人と外国からの旅行者を差別するんだね」
「差別ではない。あなたがこれから行くアンカラナ特別保護区だって、外国人旅行者は入場料が65,000アリアリだけど、マダガスカル人は2,000アリアリ。それでもあなたたち旅行者は払うじゃないか。それと同じだ」
ここで私はふと考えます。
確かに、物価の安い国に行くと、有名な観光地には「外国人料金」があるのはよくある話。カンボジアのアンコールワットは地元の人はタダで入れるけど旅行者はけっこうな金額を払います。スリランカのシーギリヤロックなんて、現地の人の年収越えなんじゃないかと思うほどに鬼のように高額な入場料を払った気がしますね。
でもまあそれだけの額を支払う価値があるような気がするし、それはそういうもんだから仕方ないかーととくに疑問に思わなかったのですが、
それはつまり公的にボラれてるってことと同義!?
この国で散々乗ってきたタクシーブルースの値段も、旅行者と地元の人たちの運賃が違うんだろうなーという気がしていたけれど、それもまあ仕方ないよなーと納得しておりましたが…。
え、じゃあボラれてるか否かの違いって何?
「本来の金額より高いよ」と知りつつ支払うのなら、それはボラれているわけではない。でも、そうとは知らずに本来の金額より高い料金を払わされたらそれはボラれているということ?
え、だったら…。だんだんよく分からなくなってきましたがしかし、繰り返しになりますが、
これに、
1,360円は、ない。
おまけにさっきから「ここはマダガスカルなんだ。日本とは勝手が違う、分かるだろ」と繰り返し言ってくるガイド。私の神経を逆なでしまくっていることに気付かないのでしょうか。
「もうおまえ黙れ」
本当に腹が立つなあと思いつつ、もう20,000アリアリ(1,360円)置いてきちゃってますからね。とはいえ、言いたいことは言っておかないと気が済みません。
日本では、どれだけ腹が立っても、「クライアントさんだから」とか「この先も仕事で関わらなきゃいけないから」とかなんやかんや気にして、全力で怒りをあらわにするという機会がほとんどなかった私。まあだいたいの人がそうだと思うんですけど。
でもここは職場でもなければ、彼と今後関わる必要もない。なにより私の大切な旅行に水を差され気分を害された。
我慢する理由がありません。
「私はあなたの言うことを一切信じていないけど、仮にさっきの食堂の人が、私がマダガスカル人じゃないことを理由に多くのお金をとったのだとして、あなたはガイドで、いろいろなお店を知っているはずなんだから、マラガシーだとかホワイトだとかいって差別するような店に客を連れて行くべきではない。
もしこの先、あなたが日本から来た旅行者をガイドすることがあったら、あの店には絶対連れて行かないで」
そう言うとガイドは
「あ、ちょっと店が質素すぎたかな、次からはもっと豪華なところに連れていくように…
「違う!!!
そういうこと言ってんじゃなくて、国籍によって金額や対応を変えるような店に連れてくなって言ってんの。私もマダガスカルに来て初めてそういうことを言われて、悲しいし嫌な思いをしているから、この先ここに来た日本人にそういう思いをさせたくない。
っていうかね、いつまでも食堂のせいにしてるけど、私それ全然信じてないから。
今日のことは、このツアーを手配してくれた旅行代理店に報告する。そして、日本からの旅行者には絶対あなたを担当にさせないよう依頼する。
ガイドであるあなたが、この国に興味や好意を持って訪れた旅行者に対してこんな失礼なことをするなんてありえない。最低」。
こうして全力で怒り狂い、いつもの数倍流暢な英語でまくし立てた私。ここまでストレートに感情を表現するのって、実は精神衛生上すごくプラスなんじゃないかと思ったりするのですが。そんな私にドライバーさんは「なんかごめんね。言いたいことは分かったから」と言いながらピーナッツがたくさん付いたおせんべいみたいなのをくれました。
怒りはありつつも、ツインギーと洞窟ですっかりご機嫌になった私は、思いのほかいい気分でツアーを修了。マダガスカルは欧米の影響でドライバーやガイドにチップを支払う文化があります。
ガイドが私から多めにむしりとった金額、最後にチップとして渡そうと思っていた金額と同じなんですよね。何もなければ普通にお渡ししたのに…。
私は、1日オフロードをがんばって運転してくれたドライバーさんに駆け寄ります。そうして、これ見よがしにチップを進呈。
ガイドに関しては完全に無視。
私の性格の悪さと器の小ささが見て取れる実にいじわるな行動をとり「これでドローでしょ」と最後に負けてない感じを出したところで私の気持ちも収まりました。
アンダー1,000円の差額の話でなぜそこまで必死になるんだ、見苦しいなあとみなさんお思いでしょうが、絶対に負けられない戦いがそこにはあったのです。
でもやっぱり最後は優しい人に癒される
とはいえ、夕食の後で、宿泊していたホテルのオーナーといっしょにタバコを吸っておりましたところ、微塵も悪くないそのオーナーからも謝られ、非常に気まずい思いをしたのも事実です。
ごくたまに滞在する日本人から学んだのか「コンニチハ、オハヨゴザイマス、アリガトゴザイマス」が言えるとても陽気で誠実そうなオーナーが私に言いました。
「ドライバーから昼間の話は聞いたよ。実のところ、食堂の人が外国人であるあなたを差別したのではなく、ガイドが指示していたんだと思うんだ。彼は遅刻をした上に飲酒していて、さらにあなたに嘘をついている。ガイドとしてあってはならないと我々も思っている。彼にはきつく言っておくから、マダガスカルのことは嫌いにならないでほしい」
「知ってる。でもね、大丈夫です。どこにだっていい人もいれば悪い人もいます。私がこの国に抱いているプラスのイメージは、別段変わってはおりません。今日のガイドはあれでしたけど、ドライバーさんはしっかりした人だったし、あなたも、誠実な態度で私に接してくれている。3週間滞在してみて、この国は親切でホスピタリティに溢れた人が多いなと私は身をもって感じておりますよ」
「そうか、それならよかった。私たちはあなたのマダガスカル滞在が素敵なものになることを本当に願っているよ」
そして、ホテルのオーナーはビールをおごってくれようとしましたが、私はお酒が飲めないので、コーヒーをいただきました。結局なんかまたいい人が登場してきたな…。
そして、ガイドに啖呵を切った通り、旅行代理店にメールを送り付けるところまできっちりやりきって、ガイドと私の戦いは幕を閉じました。
すぐに旅行代理店のできるスタッフ・ナディーナさん(こちらに登場)から返信がきて、メールには、丁寧なお詫びの言葉とともに、今後日本からの観光客には、絶対に彼を紹介することはないと書かれておりました。
さらなる私の性格の悪さと粘着質で執拗に相手を追い詰める歪んだ人格が露わになりましたが、ここまでやると意外とすっきり「済んだことだから」と気持ちも切り替えられます。
モヤモヤや嫌な思い出を抱えたまま旅をするよりは、その場その場で発散し、そこらへんの道端にポイと捨ててきてしまったほうが、より身軽で快適な旅ができると思うのです。
あとになって冷静に考えてみると…
今思うと、私は彼がガイドであるからこそ、その行為や発言に腹が立ったんだと思います。これが、人を困らせて得たお金でないと生活できない人たちだとか、ちょっとずる賢いバスのチケット屋だとかだったらそれはまよくあることで、騙される方が悪いとまではいいませんが「次からちゃんと警戒しておこうね」ってなってそれで終わり。
でも、たくさんの外国人観光客と接するガイドが、そのお金をずるして多めに払わせたり、マダガスカルでは外国人を差別するみたいなほとんどありえないようなことを「よくある」と説明したり、「諸外国ほど発展してないから仕方ない」とか甘えたことぬかしたり、全体的に非常にふざけた態度に出たから頭にきたんです。
ガイドという仕事は、毎日たくさんの観光客と接します。だから嫌でも海外から来る旅行者の懐事情を知ることになる。こんな薄汚れてしょっちゅう「金がない」とぼやいている私ですら、現地の人からしたらとんでもない大金を抱えてうろうろしているわけです。
そんなのを繰り返し目にしていれば「このくらいの金額いいでしょ。安いもんでしょ」って思ってしまうのも理解できなくはない。でも、なんていうか、それをガイドがやっちゃうと、旅行しに来た人は「マダガスカルってそうなんだー」って思っちゃうじゃないですか。
私はこれまで、マダガスカルの人たちに対して彼の言っているような残念な印象は一切持っていなくって、たぶん、マダガスカルはそんなかっこ悪い国ではないんですもん。
旅行者に一番近い存在のガイドが、間違った認識(それもだいぶネガティブなもの)を率先して植え付けてどうすんだ!?
とね、マダガスカル関係者でもなんでもない私はなぜか憤ってしまったんですね。意味が分かりませんね。
ということで、本日はこれにて終了です。
あ、現在地とか書いてませんでしたが、無事に「アンカラナ特別保護区」からタクシーブルースで「アンキフィ」というところまで行き、そこからボートに乗り換えて「ノシベ」という島までたどり着いています。移動については、おいおいちゃんとまとめますのでしばしお待ちください。
今日はあんまり素敵なお話ではなかったかもしれませんが、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
コメント4件
はじめまして。いつも楽しく読ませてもらってます。
怒るって、体力使いますよね。感情をあまりに表に出さないといわれる日本人が。しかも英語で。私もカナダ旅行中に怒り最終的に泣いて、まったく関係ない人に謝られた経験があり、読みながらうなずいてしまいました。
「この先、同じことを他の日本人にはするな」というところもまったく一緒で。嘘つかなければお互いに気持ちよく終われるのに、なぜ目先の欲に負けるかなー?思ってしまいますね。
今回はたった一人の爆弾岩(と読んでる(笑いながら攻撃、不気味にほほえむ、ので))がいたけど、ドライバーさんが本当にいい人でよかったです。
私もチップこれ見よがしに渡すな、と思ったのでコメントしました。
これからも気を付けて。楽しみにしていますね。
mayumiさんはじめまして
自分も海外でトラぶったことありますが、怒りに任せてほぼ99%日本語でクレームつけてました。
ちゃんと現地の言葉でクレームつけられるなんてすばらしい。
mayumiさんを見習って語学を勉強しないとね。
今後もいろいろとあると思いますがお気をつけて。