マダガスカル(26)ぼっちの私の前に降臨した旅友とノシイランジャツアー
現在マダガスカルを旅行中の私は、北部にある「ノシ・ベ」という島にいます。一ヵ月近く滞在したこの国とももうすぐお別れ。明日、ついにアンタナナリボに戻り、そのまま南アフリカに飛ばなければなりません。
【現在地】ノ・シベ/(マダガスカル)
Nosy Be(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】27度・72%(朝)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
最後の最後に私の前に降臨なさった旅友
1ヶ月にわたるマダガスカル滞在も、1日フルで使えるのは今日が最後。しかし、何をするか決めていなかった私は、とりあえず空腹に耐えかねて、村の屋台に足を運びます。
まだ7時前。滞在しているアンバトゥルアカでの朝食は、ここ! と決めている屋台の近くまで来ると、なんだかすごく清潔そうで爽やかな、日本人と思われる男性が反対側から歩いてきます。
「あの人、絶対日本の人だ…」
そう確信しましたが、知らない人と接するのは過度に緊張してしまうのでだいぶ苦手なうえに、ここ1ヶ月日本語を話しておりません。そもそも底辺レベルだったコミュニケーション能力は、さらに退化の一途をたどっている今日この頃。しかも、薄汚れた格好に、当然すっぴん。おまけに寝起きです。
マダガスカルに入って初めてお会いする日本の方を前にして、完全に「こんなときどんな顔をすればいいか分からないの」状態。とりあえず、
「あ、おはようございます」
と普通に挨拶をして一礼。
そして、何事もなかったかのように地元の人たちに混じって朝ごはんを食べ始めます。
今考えると、日本から遠く離れた異国の地で偶然お会いした同じ国の方に、この態度はないだろと思うのですが、こっちも緊張してますから。
そうすると背後から「あのー何食べてらっしゃるんですか? 」と声がかかります。
「え…いや…ちょっと分かんないです」
感じが悪いと思われるかもしれませんが、実際問題、私は、自分が毎朝食べていたこの茶色いやつが
いったい何なのか、最後の最後まで分かりませんでした。
私「あ、食べます? 」
彼「いや、大丈夫です」
私「ですよね」
でももしかしたら、彼もお腹が減っていて本当はこれを食べたいのかもしれない、と思った私は、この茶色いやつについて説明を試みます。
私「えっと、なんか、もちっとしてて、蒸しパン? いや蒸しパンほどふわっとはしてなくて。羊羹…うーん、羊羹よりはさっぱりしてるんですけどね。少し甘くて、とにかくモチモチ感が癖になる感じです。1個200アリアリ(約6.8円)、安いですよ」
彼「はあ…」
別にこれを食べたかったわけではないようです。
少し話してみると、彼は日本から旅行でいらっしゃった「けんさん」という方で、翌日夕方の飛行機でアンタナナリボに戻られるということ。なんと私と同じ便です。
お互いノシベでの自由時間は残すところあと1日半。何をやるか決めていない私は問います。「今日は何をするんですか? 」すると、
「ノシ・イランジャに行くツアーに参加します」
とのこと。私が滞在しているノシベという島のまわりには、1時間~2時間前後で行ける小さな島がいくつかあります。そこに1日かけて行くツアーが毎日のように催行されており、おそらくメジャーなツアーが下記の2つ。アンバトゥルアカの旅行会社で申し込みが可能です。
■ノシ・コンバ&ノシ・タニケリー1日ツアー
先日私が参加したツアー(こちらの投稿)。ノシコンバで、動物園的な「レミュールパーク」に行き、ノシタニケリーでスノーケリングをするという、アクティブ派におすすめの1日ツアー。参加費用80,000アリアリ(約2,720円)前後。
■ノシ・イランジャ1日ツアー
大小2つの島からなる「ノシイランジャ」。干潮時のみ、この2つの島の間に砂浜で出現し、ひとときだけつながることで有名。なんともロマンチックで素敵な景観が楽しめます。スノーケル向きの海域ではないため、とくに何をするでもなく、ビーチでゆっくりのんびり過ごしたい方におすすめの1日ツアー。参加費用100,000アリアリ(約3,400円前後)
日曜日以外は「猿がたくさんいる島」もセットで付けられるようですが、ここは個人が所有している島らしく、日曜は行くことができません。もし、猿が目的の方は、日曜日以外の日に参加されることをおすすめします。
どちらのツアーも、10人~15人前後の参加者が一つのボートに乗って行くというシステム。
「ノシ・イランジャですか…」
上の説明を読んでいただくと、予想はつくかもしれませんが、ノシ・イランジャ、一人で行く方はあまりいないと思われます。なんていうか、手持無沙汰っていうか、ちょっと…さみしいかなーなんて。ソロプレイはきついんじゃないかな。っていうか、要は、
「おひとりさまお断り」的なツアーなんじゃないんですかぁ!?
そう思った私は、迷わずノシ・コンバ&ノシ・タニケリー1日ツアー(ひとりでも楽しめそうなアクティブなプログラム)に参加済みだったわけですが。
しかしまあそこでも、カップル7組+私、そして運よく日本のゲーム好きフランス人というメンバーで…。このような写真を撮っていらっしゃるカップルの方々を眺めて少しうらやましく思ったりしておりました。
本当は、2つにつながる島、見たかったな…。そこを歩いてみたかったな…。でもひとりだしな…。
そんな私の前に、突如降臨なさった「けんさん」。ノシ・イランジャに一緒に行ってくれる確率大! でも初対面ですし、もしかしたら、ひとりで行きたいかもしれない。そのへんしっかり空気読まないと彼に迷惑ですから、おそるおそる聞いてみます。
「わ、わたしも行こうかな…なんて」
「行きましょうよー!!! せっかくなんで! いっしょに行ったほうが楽しいですよ」
なんて爽やかなんだろう…。これはたぶん社交辞令じゃないだろうと判断した私は、ノシ・イランジャツアーへご一緒させていただくことに決めました。
ということで、一旦ホテルに戻り、「もしかしたらスノーケリングもできるかもしれない」と念のためTシャツの下に水着を着て、マスクとスノーケルを持参し9時にビーチに集合しました。
ノシベに行くならおすすめの「ノシ・イランジャ」ツアー
ノシベの天気は快晴で、朝にも関わらずジリジリと焼けるような暑さ。しかし、船が出発すると、だんだん雲行きがあやしくなってきました。気温も少し下がってきており、波がかかると寒いくらい。ちょっと残念だなーと思いつつ、遠くを見ると、なんだか不思議な光景が。
大きな黒い雲の下に、局地的に雨が降っているのが見えます。
「わあ、あんなの初めて見たー」とちょっとうれしくなっていると、けんさんがつぶやきました。
「あの上、空島がありそうだなあ…」
「!? 」
けん、さん…? あなた、もしかして…。
けんさんは、仕事のお休みを利用しては国内・海外問わずいろいろなところを訪れていらっしゃるそうで、私よりだいぶ海外旅行経験が豊富。そして、さらっと「空島」とか言っちゃうことからもお分かりのとおり、ワンピースファンでもありました。
旅行好き×『ONE PIECE』好きということで、作品に登場する町や村のモデルとなった場所の話で盛り上がります。
ファンの方はご存じでしょうが、ウォーターセブンがベネチアだとか、シャンドラがグァテマラだとか、『ONE PIECE』に登場する町や村は、世界中に実在する様々な都市をモデルにしているのでは、と言われています。
そして、『ONE PIECE』に登場するドレスローザにあるアカシアの町。こちらですね。
その右奥に描かれている建物がスペインの「ロンダ」という街だと、そうけんさんはおっしゃいました。
確かに!! まさにそうだと思われます。
手前のアカシアの町がスペイン・バルセロナにあるガウディ建築の「グエル公園」なんじゃないかというのは有名な話ですが、その背後にもモデルとなる場所があるなんて初めて知りました。
さらにすでにロンダに訪問なさったこともあるそうで、すごくきれいでステキな場所だったということでした。私もぜひ行ってみたいなあ…。
けんさん、かなりのワンピース好きとお見受けしましたよ。
私も負けじと、こちらのシーンについての知識をひけらかします。
しかし、「ルフィが麦わら帽子を置いた場所の後ろに生えている木がバオバブだと思います」という話まではしてみたものの、つい先日そこで愛のあるオマージュをやってきました、とか言う勇気はありませんでした。
こちらの投稿。
同じツアーに参加していた、“海賊っぽい”いで立ちのおじさま。(けんさんではない)
「今日のキャプテンは完全に彼ですね」「間違いないですね」とコソコソ話す我々を乗せて、船はノシイランジャを目指します。
出航から1時間半、若干雨に見舞われたりもしながら、船はノシイランジャへと到着。荷物を置いて、あとは自由時間です。
不思議な2つの島の楽しみ方
到着したとき、まだ干潮になっておらず、完全にはつながっていなかった2つの島。砂浜が見え隠れするくらいの状態でした。そこで我々はまず小さい島に渡ってみます。
歩いていると、両側から波が打ち寄せてきて不思議な感じ。右から、左からザブンザブンと足元をさらってゆくので、歩きづらくふらふらします。
小さい島にはとくに何もないみたいなのですが、ここまで到着したことに満足感。
このころには、崩れかけていたお天気もなんとか持ち直し、分厚い雲が消え、澄んだ青空が見えるようになりました。
「天気、ころころ変わりますね。これだからグランドラインは…」みたいなことを勇気を出して言ってみましたところ、しっかり同意していただけてよかったです。
ゆっくりと歩いて戻り、今度はこの景色を高いところから見てみることに。砂浜から見上げると、少しだけ山になった場所がありましたので、そこに登ってみることにしました。
少し雨が降った影響か、地面はぬかるんでいて歩きづらいのですが、斜面を登り始めると、だんだんと島と島がつながっている部分の全景が見えるようになります。
木々の隙間を縫って写真撮影。
登れば登るほど景色がよくなって、疲れなんて一切感じず、元気に山の頂上を目指します。
しばらく上ると、見晴らしの良い高台に到着。学校らしき建物と、かっこいい灯台が現れたらそこが頂上。
当然一番上から見下ろした景色がもっとも美しく、その写真がこちら。
このころには、島同士が完全につながっていて、
砂浜が描くゆるやかな曲線が、驚くほど美しい。
高台からの眺めを堪能し、ビーチに戻りだらだらしていると、お昼ごはんの時間になりました。
お昼ごはん、すごく豪華!!!
サラダ、串焼きの肉、大きな白身魚、それにカニ。たっぷりのごはんといっしょに、おなかいっぱいいただきました。
のんびりせよと言われてもなかなか難しいお年頃
食事のあとは、再び自由時間。私は一応道具も持ってきたことだし、とスノーケリングにチャレンジしてみますが、
視界、約2m。
ツアーに参加していらっしゃるほかの方々に「スノーケルしてたけど、どうだった? 」と聞かれ「小さなお魚が数匹いました」と報告。そして、やはりここはスノーケリング向きのポイントではないですね、ということを教えて差し上げました。
ノシイランジャは、無人島ではなく、ここに住んでいらっしゃる方々もいます。ビーチ沿いには、島の方々が経営するお土産やさんがいくつか見受けられました。この島の特産品である刺繍を施した布や細々した雑貨など。
ビーチを彩るカラフルな布は見ているだけでもわくわくします。
私は、先日ウミガメといっしょに泳げたことがうれしくて、思い出に、ウミガメを刺繍した布を購入。「私が作ったのよ」と布を売っていた女性が少し照れながら教えてくれました。
このような手作りの縫製品に目がない私は、縫っているところも見せてもらい大満足。
10,000アリアリ(約340円)は高いのかもしれませんが「実際作った人を前にすると、ディスカウントしずらいよね」なんて思いながらけんさんのほうを見ると、
なんだか楽しそうに現地の方々と遊んでいらっしゃいます。
さっきまで遠くから我々観光客を眺めていた子供たちがいつのまにかけんさんのまわりに。それから一緒に全力で砂浜をダッシュ。さらに、屈強そうな男の人たちとアームレスリング。けんさんの圧勝でした。最終的に、懸垂&木登りまで…。
わんぱくだなあ…。
私より年上なのにびっくりするぐらい元気いっぱいのけんさんは、私にはとうていできない、ハイレベルな方法で現地の方々とコミュニケーションを取り、あっという間に仲良くなってしまいました。
こうしてそれぞれ有意義な時間を過ごし、結局、このツアーのコンセプトだと思われる“ビーチでのんびり”の時間はそんなに長くなかったように思います。しかしどう過ごすかは個人の自由。とても充実した楽しい滞在となりました。
15:00過ぎに船はノシイランジャを出て、ノシベ本島のアンバトゥルアカに戻ります。
何かにつけてそうですが、いつだって帰りは早く感じますね。
ホテルに戻りシャワーをあびて再び集合。私のホテルからは遠くの夕日がきれいに見えるのですが、けんさんが宿泊なさっていたビーチ沿いの素敵ホテルからは、もっと近くで沈む夕日を拝むことができました。
マダガスカルで見る最後のサンセット。
太陽には雲がかかり完全に姿を現してはいませんでしたが、それはそれは美しく感慨深いものがありました。
夕日が沈んでからも、しばらく海を眺め、それから夕ご飯を食べて9時前に自分のホテルに戻ってまいりました。「帰る時間、早いなあ」と思われるかもしれませんが、ここはマダガスカル。街灯なんてありません。だいたい17時30分に日没、それから20分もするとあたりは完全な闇に包まれます。18時とか、本当に深夜かと思う暗さ。
ひとりで旅をしている私にとっては、
暗くなる時間=門限。
夜にひとりでうろうろするのは自殺行為です。日没を見届けるとすぐに帰路に付かなければならないという、箱入り娘のような生活をしておりましたので、こんなに遅い時間まで外を出歩けるのはとんでもなく貴重。1人で歩かなくて済む今日だけは、不良娘になったような気がして、とてもうれしかったです。
本日の投稿はこれにて終了。明日はついにマダガスカル最後の1日です。本日も最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。
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