こいつのためなら1つ余計に席を購入してもいいと思える旅の相棒
世界一周をなさっている方々の中には、「バスキング」といって、路上でなにかしらのパフォーマンスをし、その対価としてお金をもらうというスタイルの方がいらっしゃいます。楽器を演奏したり、歌をうたったり、その他ジャグリングとか? ちょっと私も詳しいことは分かりませんが、自分の持つ何かしらの特技というか才能を駆使してお金を稼ぐ手段です。また、お金儲けというより、現地の人とのコミュニケーション手段としてバスキングをたしなまれる方もいらっしゃるみたいです。
以前、アコースティックギターを持って世界一周をしているバスカーさんにお会いしたことがあります。ギターって、ケース含めると、けっこう重いんですね。しかも楽器は精密機器同様、飛行機に乗るとき預け荷物にすることはできませんから、どうしても機内に持ち込まなければならない。持ち込んだとしても、サイズ的に座席上の手荷物入れに入らない。どうするのか聞いてみるとその人は言いました。
「アコギのためにもう一つ座席取るんだよ」
そのときは、へぇ~そんなものかあ、大変だなーくらいにしか思いませんでした。でも、いざ自分が世界一周する立場になったとき、その異常さに気づきます。「もう一席取るとかサラッと言ってたけど、すごくない!? こっちはもう経由地がおかしな感じになっちゃって無駄に時間かかるけどとにかく安いチケットを!! って血眼で探してるっていうのに…」。まあ経済状態に関しては人それぞれだと思いますが、楽器のためにシート余計に買うって、なんだよその楽器愛。素敵すぎるじゃないですか。
そういえばこの前旅友会でお会いしたシモーネさんという方は、なんと世界一周にハープを持って行かれるそうです。シモーネさんも言ってました。
「ハープのために追加で1席買うのはもう仕方ないかなーと思って」
おいおい、かっけーな。バスカーさんにとって、楽器とは旅の相棒であり、なくてはならない存在。さらに人によっては“生きる糧”ですから、そりゃもう大切にするわけですよ。追加シート1つ分の金なんて惜しくないぞ、と。そういうのにね、私はグッときてしまいます。だから、今日は私も紹介しようと思います。
こいつのためなら、なけなしのお金をはたいて飛行機の座席を1つ余計に購入してもいい。そんな私の旅の相棒。
フィン。
もう一度言いましょう。フィン。足ヒレです。
こいつのためなら、もう一席……
買うわけあるか。フィンちっとも精密じゃないですから。ものすごくシンプル。なんなら預けても大丈夫だし、持ち込みサイズも超えないから普通に座席上の手荷物入れに入ります。
まあでも一応ね、シミュレーションしてみました。
真っ赤なフィンが、堂々と鎮座していらっしゃる。今にもタバコに火をつけてカプチーノに手を伸ばしそうな勢いです。こうしてみるとフィンもなかなか絵になりますね。どことなく憂いのあるたたずまいは渋さを感じさせます。それでいて、ゴム素材特有のマットな質感からはセクシーさも香っていて、なんていうかこう落ち着いた大人の風格を漂わせていますね。ついうっとりと見とれてしまうんですけども、これが私の相棒です。ダイビング、いっぱいやりますからね。
フィンなんて現地でレンタルすればいいじゃんって思われるかもしれません。そして実際そうなんですけどね。でも持って行きたいんです。とりあえず、ちょっとやってみる。もし不必要だなと思ったら、後半に待ち構える中米・南米は置いていくことにします。
ダイビング&スノーケル関連の持ち物はこちら。
フィンってね、けっこう重いです。私のSサイズで1,015g。ネットでいろいろ検索しても、フィンを持ち歩いているバックパッカーさんは皆無。理由は一つ。重いし邪魔だからにほかなりません。だから旅の荷物はこの相棒ありきでしっかり考えないと、バックパックがかなりの重量になってしまいます。
ということで、自分の荷物がだいたいどのくらいになるのか練習してみようと思い立ち、持って行きたい洋服を集めてみました。
あー、これ全然ダメですね。完全に入りきらない。だってここに寝袋とかその他いろいろな生活用品プラスされんだもん。服、とりあえず圧縮袋に入れてはみたものの、なんでもかんでも圧縮すればいいってわけじゃなかったです。Google先生に、荷物を小さくする方法ないですかと聞いてみても、圧縮より素敵な方法は出てきませんでした。これはたぶん収納技術の問題じゃなくて私の気持ちの問題です。
まずね、何日に1回洗濯するから持ってく服は何着でいい、とかそういう問題ではありません。そんな安直な計算をしているようでは、旅に必要な服の本質は語れません。
「今日この服を着たいからこれがいい」「今日はこっちを着たい気分だからこっちにしよう」
そう。着る服というのは、気持ちに大きな影響を及ぼします。だから、ここでつまずくと、あとあと非常に苦しむことになります。洋服っていうのはものすごく大事なんです。軽量、速乾とか「は? 」ですよ。お気に入りの服を着ているとわけもなく楽しい気分になり、不本意な服を着ていると一日憂鬱に過ごすことになります。だから、毎日好きな服をその日の気分に合わせて着るのが精神衛生上もっとも重要なのです。
そして、万華鏡のようにコロコロ変わる私の気分を5ヶ月にわたり満足させるワードローブとなると、これは3枚や4枚で足りるはずがありません。みなさんは一か月後、二ヵ月後、何を着たい気分になっているかなんて予想できますか? 私はできません。だからなるべく多くの選択肢を残しておきたい。
そうやって服を選んだもんだから、Tシャツ12着、長袖トップス9着、羽織りもの7着、パンツ7本、ワンピース4着、みたいなバックパッカーにあるまじき数量の洋服を圧縮袋に詰め込むという結果になってしまいました。今これを読んでいる「とりあえず圧縮すればどうにかなるでしょ」とか思っている人は、考えを改めたほうがいいです。世の中そんなに甘くないですから、気を抜くと私のようにバックパックに入りもしない一か月くらい洗濯しなくてもなんとかなる量の服を無駄に圧縮してしまう羽目になります。そもそも空間的に入ってないのですから、「荷物が重くてどうしよう」というステージにすらたどり着けない状態です。
ただね、これ、「オシャレをしたい! 」「自分を着飾りたい! 」とかそういうのとはちょっと違うと思うんです。だって、持って行く服ほとんど白、グレー、紺、黒ですもん。おまけに無地、もしくはボーダー。たぶんほかの人が見たらほとんど全部同じ服です。それを何枚も何枚も詰め込んで。でも私にとっては明確な違いがある。レングスが、シルエットが、細部の縫製方法が、微妙な色のニュアンスが…。
「っていうか50リットルやそこらのバックパックに5ヶ月分の荷物を入れようっていうのがそもそもの間違いなんですよ。そんなの入るわけないじゃないですかー」と言ってみても始まらないので、少し、改善できそうなところを考えてみました。
まず、ボーダー。
トレンドに左右されない普遍的なかわいらしさが魅力のシマシマは「プチバトー(PETIT BATEAU)」のもの。子供の肌着ブランドからスタートしているだけあって、やさしい着心地が特徴です。見た目はカジュアルですが、歴史あるブランドの代表作だけあって高い品質にも定評があります。洗濯を繰り返しても劣化することなく、永く愛用できる逸品。紺ベースのほうは薄い色のボトムに。白ベースのほうはダークカラーのボトムに、と普段は使い分けてるんですけどね。どっちかにしなきゃダメですかー?
続いて、ニット帽。
寒いとき用のウールの紺。暑いとき用の綿・アクリルの紺。ちょっと色味が欲しい時用の紺×赤。今現在、休日はほとんどニット帽をかぶって生活していますから、最低限この3種はマストだと思うんです。逆にこの3種を所持していればある程度どんなシーンにも対応できると言えますね。どうしても減らさなきゃダメですか?
そして、Tシャツ。
白、グレー、紺。同じ形3枚いらないですかね? でも色によってけっこう雰囲気変わるんですよ? とくにこのTシャツは紺がいい! この紺は“いい紺”ですよ。こんないい感じの紺はなかなかお目にかかれません。縫製方法にもこだわりがあって、「丸胴」と言う、体の側面に縫い合わせがない仕立て。ボディが筒状になってるんですね。これだと、余分な縫製がないぶん動きやすく、体にピッタリ貼りつかないから着心地も満点。生地も厚手で耐久性もバッチリなんです……。
めんどくせぇぇぇぇ
何がめんどくさいってもう、完全に自分自身がめんどくさい。私はバカか。これ1着ずつやんの!? 出発までに間に合うの!?
ね。気持ち悪いですよね、私。でもさ、5ヶ月間のワードローブがここにギュッと凝縮っていうか圧縮されるわけですから、この取捨選択で旅の明暗が分かれるといっても過言ではないと思うんですよ。できれば全体的に“取”でいきたい。そんな甘えた考えでいる私は、今日一日費やしても、旅に持って行く服に関して、何の成果もあげられませんでした。
あーあ。準備全然進まねーな。
最後に、ほんの少しですが、生産的なことをしたぞ、というアピールをさせてください。今日は、鮫洲に行って国際運転免許証を作ってきました。どうやって作るかは、他の人がたくさん紹介してらっしゃると思うのでググってください。
以上。本日も、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
旅の荷物の取捨選択、迷いますよね。
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