タンザニア(7)マフィア島への行き方とまさかのニャミサティ村滞在記
現在世界一周みたいなことをしている私は、アフリカのタンザニアを旅行中。9割がたご存知ないと思いますが、マフィア島という島に行くために移動をしている途中です。ちなみに、通過点として滞在しているのは、ほぼ100パーセント、ご存知ないと思いますがニャミサティ村でございます。
【現在地】ニャミサティ村(タンザニア)
Nyamisati(Tanzania)
【気温】26度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】10タンザニアシリング=約5円
マフィア島ってどんなとこ??
タンザニアにあるマフィア島をご存知ですか? ご存知ないですよね。私も知りませんでした。
地図でいうとこちら。
タンザニア首都ダルエスサラームから南に下り海へ出たあたり。有名なリゾートアイランド「ザンジバル島」の南に位置しています。
タンザニアで出会う外国人バックパッカーさんは、みなさん口を揃えて「ザンジバルいいよー!! 」とおっしゃいます。そしてマフィア島なんて誰も知らない。でもタンザニア人の方にマフィア島行くんだというともれなくみなさん「それはいい! あそこはいいところだ!! 」とおっしゃいます。
ザンジバルは、いわゆるザンジバル自治区でタンザニアとは一線を画しています。海外からの旅行者も多く、世界に誇る立派な観光地。しかしマフィア島は完全なるタンザニア領。この情報の少なさから鑑みるに、海外からの旅行者はかなり少ないと思われます。私の中では「地元っ子が集うリゾートアイランド」というイメージ。
ここに何があるかというと、まああれですよ。そりゃ海です。そしてダイビング。
マフィア島の南部、チョレベイというところは大変海がキレイなことで有名。世界有数の豊かな岩礁が広がっていて、海洋公園にもなっています。なんとここには50種類以上のサンゴと、400種類以上の魚類が生息していると言われているんです!! そして10月から1月にかけては、ジンベイザメに出会えることもあるとか。
そんな素敵アイランドですが、私はつい1ヶ月前までその存在すら知りませんでした。ではなぜ今こうしてマフィア島に行こうとしているのか。
それはですね、先日南アフリカで参加したサーディンランというイベント。そこで出会ったダイビングインストラクターのベスさんが、猛烈プッシュしていたのがマフィア島なんですよ。
投稿はこちらなんですけども、
彼はマフィア島のダイブショップで1年間働いていた経験があり、それはもうキレイだと、絶対に行ったほうがいいと。
このように砂浜に地図を描きながら説明してくれまして。
そうかそうか、そんなにいいなら絶対に行こうと決めて早1ヶ月。やっとマフィア島に行けるタイミングがやってまいりました。
昨日のこと。宿泊しているサファリインの受付のおじさんにマフィア島について尋ねました。
「私、明日マフィア島に行きたいんですけど…」
「おぉ! あそこはいいぞー!! 俺も行ったことがある。でも…行き方知ってるのか!? 」
マフィア島には、飛行機で行く方法と、船で行く方法の二通りあります。
飛行機だとダルエスサラームの空港に行けばよいだけで非常に簡単なのですが、私は船で行きたいと考えておりました。だってダイバーは海からやってくるものと相場が決まっているのですから。
「行き方ね、実はあまりよくわかってなくって…」
これに関しては本当にもうびっくりするくらい情報がありませんでした。天下のGoogle先生もお手上げのようです。
真偽のほどは置いといて、多くの情報で溢れかえっているこのご時世、「情報がない場所」を探す方が大変だと思うのです。Google先生ですらあいまいな情報しかお持ちでない未知の場所へ行ける機会なんてそう多くはないのです。そう思うとなんだか胸熱。
「マフィア島にボートで行くのは簡単じゃないぞ。まずMbagala(ムバガラ)バスターミナルまで行って、それからNyamisati(ニャミサティ)行きのバスに乗る。ニャミサティ村でマフィア島行きのボートに乗り換えるんだ」
「はあ…」出てくる場所の全てが初耳。「そのMbagaraとかいうバスターミナルまではこっからダラダラ(乗り合いバス)で行けるんですかね? 」
「行ける。しかしニャミサティ村行きのバスは出発が早いんだ。朝5時にはここを出たほうがいい。そうなるとダラダラはまだ走ってないから、タクシーを呼んでやろう」
「なるほど。しかしダルエスサラームではタクシーに乗ってはいけないという掟があるのですが(個人的に)。危険ではないですか? 」
「俺の知り合いのドライバーだ。バスターミナルに着いてからニャミサティ村行きのバスまでしっかり送り届けるように話しておいてやるから大丈夫だよ」
「あざーす」
というわけで、本日。
ダルエスサラームからニャミサティ村への行き方
5:00 タクシーがホテルに迎えに来て出発
5:30 バスターミナル到着
Mbagala(ムバガラ)バスターミナルの場所はこちらです。
ターミナルまでのタクシー代25,000シリング(約1,250円)。まだ外は真っ暗ですが、バスターミナルには思いのほか人はたくさんいて、路地で売っていたコーヒーで目を覚まします。
7:15 乗客が満員になったので出発
【バス料金】
1人5,000シリング(約250円)、大きな荷物1個3,000シリング(約150円)※私は2個で6,000シリング(約300円)
このバスターミナルおよびバスは、ローカルの人ばかりで、英語を話す人はほぼいません。
荷物代がかかるよ、とか、荷物後ろに積み替えるだけだから大丈夫だよ、とか、ドライバーさんとほかの乗客のみなさんが一生懸命片言の英語で説明してくださいました。私の運賃より荷物代のが高いのですが、不当に請求されているわけではないと思います…たぶん。
バスはけっこうなスピードで走り出し、ぐんぐん南へと進んでいきます。
私が目指すのはニャミサテ村。ところが、頼りにしている「Maps me」というオフラインでも使える地図アプリにこの村は載っていません。場所はここなんですけどね。
どんだけ小さな村なんだろうと若干の不安を抱きつつも、とにかく行ってみるしかありません。ちなみに、Google MAPで出てくる、Nyamisati村の画像。
これ完全に嘘ですから。この写真、どっか全然別のよその場所です。
出発して2時間半が経過した頃バスが左折。だんだんと海側に近づいて行きます。先ほどまでの舗装路とは打って変わって、赤土のデコボコ道に。
そうして10:30、やっと到着いたしました。ニャミサティ村。思ったよりバスやダラダラがたくさん停まっていて安心します。私が乗ってきたバスがこちら。
信頼の置けるガイドブック「地球の歩き方」には、マフィア島について数行しか書かれておらず、飛行機で行けるよ! という情報のみ。仕方がないので、どっかの宿に放置してあったロンリープラネットのページを写真に撮っておきました。その情報によると、毎日午後2時に、ニャミサテ村からマフィア島への船が出ている、とのこと。
ちょっと着くのが早かったかぁ、まあ適当に時間潰せばいいやと、とりあえず船着場に向かいます。
そこには想像よりはだいぶしっかりしたフェリーあ、ボートかな。が停泊していました。
ボートに出入りしている人に聞いてみます。
「マフィア島に行きたいのですが、船は何時出発ですかね? 」
「4時だ!! 」
あれー、ロンリープラネット情報ちょっと古かったのかなあ。でもまあ4時なら4時で仕方ないよね。
「わかりました。チケットはどこで買えますか? 」
「チケットの販売は、8時からだ」
ん? 8時?
え、でも出発4時って…
……ん??
「出発は、今日の午後4時ですか明日の朝4時ですか? 」
「明日の朝、日の出前に出発だ」
えーーー!!!
聞いてないよそれはー!!
今日は船出ないという衝撃の事実に、呆然と立ち尽くす私。
えっと、明日の朝4時ってことは、ここで夜を明かすってことですよね。でも、何の情報も無い。皆無。
なんで飛行機で行かなかったんだろう。120ドルくらいだからそんなに高くなかったのに。やっぱダイバーたるもの登場は海からでしょっていう変なこだわりいらなかったなあ。興味本位でボート乗ってみようかなって…ボート土器土器するよねって…ついそんなふうに思っちゃった私の馬鹿。
よく調べもしないで、いや正確に言うと調べたけど全く情報を得られなくて、人に聞いても詳細は誰も知らなくて、それなのになぜとりあえず行ってみようとか思っちゃったんだろう…。
とにかく、どうしよう。
すると、フリーズ中の私に1人の男性が話しかけてきました。
「泊まるとこ、あるよ」
パァァァ!! 私の顔はこの効果音がすごくぴったりハマるくらいに輝いたと思います。
まじっすか! ありがたいっす!!
彼は船着場にほど近い商店のかたで、店の奥には数部屋ほどゲストハウス的な部屋がありました。外観。
彼について行きあてがわれたシングルルーム。
たぶん、今までで1番アレな感じ。
これね、カメラの感度がいいから明るい感じになってますけど、実際このくらいです。
一泊10,000シリング(約500円)。
わあ、個室に500円で泊まれるなんて夢みたい(棒読み)
しかし私には行く場所がありませんから、ここに泊めていただくか路頭に迷うかの2択です。
「あぁ、ついに私も南京虫とかダニとかそういうインセクト的なやつの餌食になるのか…」とは思いましたが、ここは覚悟を決めて、宿泊させていただくことにしました。
【ホテル名】たぶんない
【料金】1,000シリング(約500円)
【部屋の種類】シングルルーム
【設備】
電気:ない
シャワー:ない
トイレ:建物の外
電源:ない
ドアの鍵:ない
WiFi:当然ない
こうして本日の宿を無事に確保することができました。
ニャミサティ村ってどんなとこ!?
とたんに元気になった私は、さっそく荷物を置いて村の散策。といっても、すんごく小さな村なので、10分くらいで端っこです。
うん。たぶんここまで。
村の人たちは思いのほか気さくで、休んでおしゃべりしているところへ手招きして呼んでくれ、片言の英語でようこそ! 的なことを言ってくれます。
見慣れぬ東アジア人ですから、お子様たちは遠くからこちらの様子をうかがっています。
こちらから近付いていっても、控えめに微笑むばかり。
どうしたお子様!!!
大量のオレンジを一個100シリング(約5円)で売っていました。
写真を撮っていると、一個くれました。
木陰で休んでいると、近くで働いている男性が、お芋をくれました。
シンプルに唐辛子パウダーだけで味わうお芋は、素朴な味がしてなかなかよかったです。
カフェの近くでタバコを吸っていると、お店の女性が入っておいで! といって、チャイをごちそうしてくれました。
このチャイも生姜味ですごくおいしい。カフェの写真。
やけの正装のカニ売りのおじさん。
カニいるか? と言われましたが、カニはいただきませんでした。
それにしても、なんだかいろいろなものをいただいてばかりです。
なぜならここで私はすごく目立つ。
当然いつものように、どこまでも地味な格好で、どこまでもコソコソしてはいるのですが、たぶん、東アジア人なんてめったに来ないんだろうなと思います。目立ってもいいことはないと思い、必死で気配を消して歩きつつ、村の中心まで戻ってきます。
村の風景を撮影していると、私に気づいた若い男性陣が奇声をあげて走ってきました。
ヤバい!!! 襲われる!!!
カメラなんて堂々と出してたからだ!!
あわててカメラをしまい、身構えたのですが、どうやら様子が違います。みなさん口々にフォト! フォト! と叫んでいる!!
あ、写真を撮ってほしかったの!?
言われるがままに撮影。
俺も撮ってくれ! 一緒に撮ろう! と大騒ぎ。若者のみなさんの迫力に押され、戸惑い気味の私の、こわばった笑顔がなんとも言えませんね。
目立っちゃダメなのに、村の中心ど真ん中でこれだけ騒げば目立たないわけありません。
どんどん人が集まってきて、あっという間に大規模な撮影大会に。
この村の方々は、素朴で気さくでとてもフレンドリーです。あぁびっくりしたー。
ひととおり騒ぎ終えると、村の散策再開。
遠くに男性ばかりの人だかりが見え、その中心に女性が立っています。
なんだろうと思って近づいてみると、洋服の実演販売でした。
メインの商品はナイロンブルゾン。女性がいろんなブルゾンを着用し何か叫ぶと、何人かの男性が手を挙げ、その中の1人に女性がブルゾンを放り投げました。
たぶん競り落としたのでしょう。
次々とブルゾンが紹介され、誰かが手を挙げ購入していきます。
って、着てるし!!
彼は、私に宿を提供してくれたお店のかた。朝は着ていなかったピンクのブルゾンを着ています。これは絶対競り落としたばかりの戦利品。村の男性を見ていると、かなりの割合で、このクソ暑いのにナイロンブルゾンを着ていらっしゃる。なんだかほっこりします。
おそらく、多くのタンザニアの男性が来ている洋服はほぼ古着。村ではこのように洋服が売られています。
きっと、たまに新商品が入荷されると、実演販売が行われるんでしょうね。楽しいイベントです。
その後、船着き場周辺に移動。船に乗り込む美しい衣装の女性たち。
写真を撮っていると、再び地元のみなさんにつかまり撮影大会。
よくわからないですけど、なんだか秘密基地みたいなところ。
このあたりで、普段の私からは考えられない原因不明の目立ちっぷりに正直疲れてきました。ということで、村の散策しゅうりょーう。村をうろうろするのはあきらめて、端っこのカフェでのんびりと過ごしました。
17時になると、船のチケット売り場がオープン。
明日の朝4:00発のチケットを購入し、3:00に船着場集合と言われます。料金は、13,500シリング(約675円)。
そしてこちらが晩御飯。
トマトで炊いたごはん(たぶん)に、トマトと牛肉(のかけら)をトッピング。ほとんど米なんですけど、これが意外とさっぱりしていて食べやすくて美味でした。3,500シリング(約175円)。
食後に村をうろついていると、ついにお子様たちが動き出しました。昼間は遠巻きに眺めてたまにスワヒリ語で叫んで私の注意をひく程度にとどまっていましたが、夜になってついに本気を出してきたようです。
「フォト! フォト! 」とせがまれ撮影大会をした後は、カメラをお貸ししてどうぞご自由にと撮影させてあげていますと、みるみるお子様たちが集まってきて大騒ぎに。
撮った写真を確認。
まわりの大人たちからは「あーあ、この子こんなに子供集めちゃって…」みたいな目で見られながらも、一緒に遊ぶこと1時間。
そろそろ切り上げますかね、と部屋に戻った直後、誰かが部屋をノックします。
そこに立っていたのは近くの食堂の女性。「ちょっとお話ししましょうよ」と片言の英語でお誘いを受け、食堂へ。ジンジャーチャイをごちそうになり、彼女は片言の英語、私は片言のどころかただ単語を羅列しただけのスワヒリ語で会話を交わします。
年齢は? 旦那は? 子供は? などなど、私という珍客に興味津々の様子。それから珍しそうに私の髪を触って、じっくり観察しています。
アフリカの女性は、かなり強めの癖っ毛の方が多く、それを細かな三つ編みにして束ねるブレイズというヘアスタイルが主流。その編み方には様々なバリエーションがありすごくおしゃれ。そしてここでは私のような直毛(取れかけパーマですが)はかなり珍しいのです。三つ編みをしてもハラハラとすぐほどけてしまう私の髪を面白そうに何度も三つ編みにしてはほどいて遊んでいらっしゃいました。
そらから私のiPhoneに入れてあった日本の写真や動画をいっしょに観ました。
彼女は、今年の4月、通勤中に撮影した総武線の車内から眺める市ヶ谷―飯田橋間の川沿いの桜の動画がお気に召されたようで、何回もリピートしていました。
この村では、しがない貧乏バックパッカーの私が、人気絶頂のアイドル的な扱いを受け、ごちそうになった甘い甘いジンジャーチャイ合計6杯。オレンジ4個半、ふかしたお芋1個、フライドポテト1皿。ほんとにもうお腹がいっぱいです。
一挙手一投足に注目が集まり、たくさんの人に呼び止められ話しかけられ、かつてない歓待を受けました。ちょっと疲れはしたものの、ニャミサティ村の人々の温かさを身をもって感じた1日。
そして、本当に外国人が珍しいんだろうなあ。
想定外の滞在となったニャミサティ村。こんなとこで1日過ごすとか何しよう? と思っていましたが、意外と楽しく過ごすことができました。
観光地ではなく、タンザニアの普通の村は、犯罪の香りなんて全くしない平和で穏やかな場所。タンザニア=凶悪都市というイメージのあった私からすると、全く別の表情を見ることができ、とても新鮮で、有意義な経験をさせていただいたと思います。もし、ひまでひまでしょうがない方は、ぜひニャミサティ村へー。
それでは本日の投稿はこれにて終了。見知らぬ、天井。おやすみなさい。
明日はいよいよマフィア島へと上陸です。本日も最後までお読みくださってありがとうございます。
■ニャミサティ村の中心部マップ
私は一泊の宿をとりましたが、チケット売り場のうしろに待合室を発見しました。地元の方々はここで船の出発まで待たれる方が多いようです。
ただ、荷物もありますので、村をうろつきたいなら宿をとったほうが安心かなあと思います。私の泊まった宿以外にも、村にはいくつかゲストハウス的なところがありましたので、全部が満室になることはないかと。
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