タンザニア(10)ファッションで腹は膨れないが心は満たされるという話
世界一周してみよう! まずはアフリカを北上!! なんつって旅をしております私は、現在タンザニアのマフィア島に滞在中。昨日は念願のタイビングを堪能し最高に幸せでございました。そうして本日は、マフィア島の玄関口「Kilindoni(キリンドーニ)」村の散策と、ファッションにまつわるお話を少し。
【現在地】マフィア島(タンザニア)
Mafia Island(Tanzania)
【気温】26度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】10タンザニアシリング=約5円
金銭的にけっこう痛いマフィア島での生活
マフィア島に着いた初日に書きましたが、この島の南東部の海は海洋公園として保護されているエリア。この中に入る場合は、1日につき20ドル必要です。貧乏バックパッカー泣かせのこのシステム。さらに、今いるのはそれなりのリゾート宿しか存在しないUtende(ウテンデ)という場所。今のホテルね、一泊40ドルもするんですよ。
こんなことではあっという間に貯金が底を尽きてしまいますから、本日私は海洋保護エリア外である「kilindone(キリンドーニ)」村への移住を余儀なくされていたのです。キリンドーニは、船着き場や空港があるこの島の玄関口。島で一番大きな村です。
朝、宿のオーナーであるメレメタさんに、チェックアウトする旨を伝え、Kilindoni(キリンドーニ)に安宿がないか聞いてみます。
「本日私はキリンドーニに移動します。キリンドーニで、安くて、それでいて素敵な宿をご存じないでしょうか?? 」
「俺はキリンドーニにも宿を持ってる。一泊25,000シリング(約1,250円)だ。安いだろう!! 」
「わぁー安い!! いいですねー」
「でもなぜ移動するんだ!? ここに泊まっていたらいいじゃないか。正直、ここは海洋公園のゲートの外だから、海沿いに行かなければ滞在しているのもバレない。パークフィーを払わなくても大丈夫だ」
「なんと!! 裏技ですか!! ってそれダメなやつー。ブログに書くとたたかれるやつー。とはいえ、私の経済力では、ここで生活するってだけでももう限界なのです…。あとさ、やっぱ村の様子も見たいじゃないですか。リゾートではなく、ローカルの皆さんがどのように暮らしてらっしゃるか知りたい」
「なんだ、じゃあ今日以降は、キリンドーニの宿と同じ25,000シリング(約1,250円)でいいからこっちにいなよ」
「え!? いぃぃぃいいいんですか!? 」
4,000円の宿がいきなり1,250円って、これもう完全にさじ加減ー!!
オーナーのさじ加減バンザイ!!
「それと、俺は今日車でキリンドーニに行く用事があるから、村を見たいならいっしょに乗ってくか?」
わあ!! 至れり尽くせり。村見たいけど、正直10km自転車はきついかなって思ってたんですよね。
こうしてキリンドーニ村訪問が決まった私には、ひとつ行きたい場所がありました。
それは「テーラーさん」。
モザンビーク、マラウィ、タンザニアあたりでは、町中にたくさんのテーラーさんがいて、人々の洋服を作ったり、修理したり、お直しをしたりしています。
洋服は既製品を買うのではなく、作ったり、古いものを直して使ったりするのが普通のことなんですね。キリンドーニは小さな村ですが、それでもテーラーの1軒や2軒あるでしょう。
そこで私が作りたいもの。それはカンガを使ったワンピース。
カンガというのは、タンザニアの女性たちがスカートとして腰に巻いたり、赤ちゃんを抱っこするときにつかったり、男性がストールにしたり、それはもう多用途で、そして非常に美しく、デザインのバリエーションも豊富な布のこと。
先日ダルエスサラームで購入した、これ以上ないくらいに私にピッタリのカンガ。覚えていらっしゃいますでしょうか。
多くのカンガには、1枚1枚違ったスワヒリ語のメッセージや格言が描かれていて、女性たちはその意味も踏まえつつ、自分に合ったカンガを選び着用しています。
私のカンガはこちら。
スワヒリ語で書かれたこの言葉の意味は、”縁と浮世は末を待て”。つまり、良縁と好機とは無理に求めず、自然に来るのを待つのがよいという意味。この”待つ”には、辛抱強くとか我慢強くというニュアンスが込められています。
すごく気に入っているこのカンガ。ついにこれを使うときが来たのです。
しかし、テーラーさんには苦い記憶が。マラウィのムズズでオリジナルワンピースを作ったとき、それはもうこれ以上ないくらいに私にピッタリの、サイズ的にものすごくぴったりピタピタのワンピースが出来上がってしまい、くやしい思いをしたのです。
というわけで、同じ轍は踏まねぇぞ、と。
私の体型と、私の好きなシルエットを一番理解しているのは、他でもないこの私。
今回は、自分で完璧に仮縫いまで済ませた状態でテーラーに乗り込むことにしました。
朝っぱらからカンガを広げ、ひとりこそこそと縫製作業。
この宿のテラス、すごくいい。Tシャツとクッション、ボーダーボーダーしていることに後から気が付きました。
自分で着てみたりしながら、理想のワンピースが完成(仮縫い)。
そうして、宿のオーナー、メレメタさんといっしょにキリンドーニのテーラーさんへ。村の中心でメレメタさんと別れ、3時間後に待ち合わせ。
中心とはいえこんな感じで…。
遠くに、私が到着した船着き場が見えます。
非常にのどかです。のどかの最上級。のどけすと。
カラフルな衣装に身を包んだ女性たちが路上で何かを売っています。
道路沿いのお店の方々に「テーラーさんはどこですかー?? 」と聞きながら歩きます。村の方々はとても陽気でニコニコ。みなさん口々に「マンボー!! 」と挨拶してくださいます。
タンザニアに入ってからほんのすこーーーしスワヒリ語を覚えました。今後タンザニアを訪れる方に言いたいんですけど、タンザニアは今まで行ったどこよりも、現地の言葉(スワヒリ語)を話したり、話そうと努めると、地元の方にすごく喜ばれます。
みなさんものすごくスワヒリ語を愛してらっしゃるのです。
普段は、英語圏でない国に行っても英語で押し切ればいいかと思ってしまう私ですが、ここタンザニアでは、スワヒリ語を話すことの意味を身をもって感じていますから、ちょっとだけ覚えるよう努力しました。
地元の人「マンボー」(ハロー)
私「ポアー」(ハロー)
地元の人「カリブー」(ウェルカーム)
私「アサンテー」(あざーす)
このキャッチボールがポンポンポンっとできるようになったら一人前。私、成長したなあ。「マンボ」と言われたら、「マンボ」と返すのではなく、その答え方は「ポア」が正解。これでタンザニアに来たばかりなのかそうでないのかの判断が付きます。
村を歩き始めるとすぐに「テーラーはこの奥だよー」と1軒のテーラーを教えていただきました。
村のテーラーは女性たちの憩いの場
細い道を入ると、あそこに見えるのがテーラーです。
インターネットカフェ要素はひとつもありませんのでご注意ください。
この村には数軒のテーラーがあるようですが、こちらは女性のテーラーさんです。とても体格がよく、なんだかすごく安心感のあるサルハさん。お店には、ほかに5人の女性が集まっていて楽しそうにおしゃべりしていらっしゃいました。ムスリムの方が多いので、写真は撮ることができないんですねえ。
なんというか、このテーラーは、村の女性たちの憩いの場的な感じ。入れ代わり立ち代わりたくさんの女性がやってきます。
誰一人英語を話しませんが、私がワンピース(仮縫い)を取り出しながらお店に入ると「こっちこっち!! 」とイスを用意してくれて「この子はいったい何を作りたいんだろう」と興味深そうに私を見つめています。
言葉は通じなくとも、ここに来た時点で何を作りたいというのは伝わりますし、すでに完璧に仮縫いを済ませていますから、何の問題もありません。
国境も言葉の壁も超え「服を作る」という共通の目的にむかってがんばっていきましょう!!
さっそく使う糸をミシンにセットします。生地が青いので、最初は青い糸を選んでくださったのですが、糸の色は黒指定。黒いステッチがかかっても目立たないような柄の配置になるように計算して作ってますから、ここは妥協できません。
それから、1本ずつ順番にステッチをかけていただくよう指示します。
まずは両サイド。
「はい、ここ縫ってくださーい」「では次はここでーす」
それが終わったら、上の部分。
「ぐるーっと一周縫ってくださいねー」
サルハさんはいったい何ができるのかよく分からない状態だったと思いますが、私の指示するままにダダダダッっとすごい速さでミシンをかけていきます。
女性たち数人に見つめられながら、だんだんと出来上がっていくワンピース。
キャミソールタイプですが、下がってこないように、バストの上の部分に平ゴムを入れる設計です。このゴムの長さに関しても、私はすでに計測済み。おおむね縫い終わったワンピースの胸元の部分に平ゴムを通していきます。
ところがここでみなさんしきりと「大きすぎる、もっとキツくしろ」というジェスチャー。
「いやいやいくら私でも、そこまで胸元きつくしちゃったら、わがままボディが苦しいんですけどー」
と思っていたら、みなさん9割完成したあたりまで、これはロングスカートかゆったりしたパンツになるもんだと思っていらっしゃったようで。
まあね、ウエストもバストも大差ないですよ。それでいいです。大丈夫です。
こう見えて私はA型。表に出ない部分も、しっかりまっすぐ塗ってもらいたい。
しかしサルハさん、ステッチななめってるー!! なんか生地ぐにゃってなってますけどー。
まあ仕方ないです。これがタンザニアスタイル。「自分で縫わせてくれ」と言う言葉がのどまで出かかっていましたが、ここはサルハさんにお任せしましょう。
あ、糸は手で引っ張って切るんですね。ハサミ、見当たりませんもんね。
ワンピース本体が終わったら、今度は肩のストラップ部分を作ります。ストラップは、意外と目立ちますから、ここは丁寧に
って言ってるそばから携帯で電話しながらミシンかけてるー!! わあ器用。
それから、ストラップを本体に取り付ける位置は…と
あぁぁああぁあぁ!!! ボールペンで印つけちゃうの!?
海外の方の縫製作業をこんなに間近で見るのは初めてで、いろいろつっこみどころ満載でしたが、なんとか完成したワンピース。
最終的には、お店にいる女性みなさんが、仮縫いの糸をほどくのを手伝ってくれたり、生地を裏返すのを手伝ってくれたり、とても楽しくわいわいとした共同作業になりました。
そうしてサルハさんはじめ、女性たちが見つめるなか、さっそく試着。
そ、そんなに見つめられると緊張します///ドキドキしながら着用。そして、そして…
拍手喝采!!!!
女性たち「いいねいいね」と大盛り上がり!!! こんなに褒めていただけるなんて恐縮です。
いやーこれはうれしいですねえ。完成したワンピースを着て記念撮影。
ミシンに座らせてくれました。
私、うれしそうだなあ。
「アサンテー!!! (ありがとう)」と大きな声でお礼を行って、縫製代金10,000シリング(約500円)お支払い。
宿に戻って、気になるとことを若干修正し、そして出来上がりました。渾身のワンピース。
おらぁぁあああぁ!!!! 見たか!! これが女子力です。
ラップドレス風に、風がふくとちらっと布がめくれるデザイン。もちろん内側はしっかり縫われています。
胸元に平ゴム入りでずり落ちてこないですし、リボンで結ぶタイプのストラップも付けました。
つまり、こう見えてチラリもポロリもしない、非常に硬派なキャミソールワンピです。
後ろはこんな感じ。
あまりにも私にぴったりすぎるタンザニアの格言もしっかり活かしておりますよ。
そしてこの青!!! 海によく似あう鮮やかでいて深みもある素敵なカラーでしょう。
未来の旦那さぁぁぁぁん!!! 見てますか!? 私、待ってますよー!!!
風が吹いてもチラリとしない安心感。顔が険しいのは、まぶしいから。
色もサイズもデザインも言葉の意味も、なにもかもすべてが私にミラクルフィットしたワンピース。
大満足でございます。
私が私がと繰り返し、自分の写真を誇らしげに掲載し、こんな投稿はかなりうっとうしいだろうなあという自覚がありますが、今日だけは許してください。
だってこのワンピース、すごくお気に入り。
もちろん私もね、いつもいつもこんなチャラついた格好をしているわけではありません。むしろ普段は、ダークカラーの無地Tシャツにハーフパンツ。性別不明のジェンダーレスな着こなしばかりです。だって私はバックパッカー。
カンガ1枚500円、縫製代500円。まあね、1,000円あれば1泊分の宿代にもなりますよ。食事なんて2.3食は食べられる金額です。セーブマネーが必要とされるバックパッカーにとって、このデート対応のワンピースがどうしても必要かっていうと、そうでもないです。デートの予定、無いですから。
ファッションでお腹は膨れません。でも、私にとってはとてもとても意味があります。言葉が通じなくても、一緒に何か作業をするとそれだけでぐっと距離が縮まるし、それはとても充実した時間になります。おしゃれをしたり、かかわいいもの美しいものを身にまとう楽しさは、世界共通。我々女性の特権です。
観光地の入場料や、宿代、バス代、食事代と同じように、私にとっては必要経費。
腹が膨れない代わりに、心が膨れます。
そして、荷物も膨れ、出費も膨らみ、また自分の首をしめるのですが、それもまあいいでしょう。
タンザニアを旅行なさるみなさんも、ぜひ、自分にぴったりのカンガを見つけて、さらにそれでお洋服なんかを作ってみるといいんじゃないですかね! というわけで、本日の投稿はこれにて終了。今日もまたさいごまでしっかり読み切ってくださってありがとうございましたー。
mayumiさん!
私mayumiさん絶対A型だろうな〜と思ってました^^
ブログの文と配置の綺麗さ、衣類の米軍式たたみ、他にも思う場面が多々!
サルハさんのドヤ顔!!笑
ワンピースとっても素敵です!さすが文化卒ですね^^
それに、異国の地で生地を買い現地で仕立ててもらう
なんと素敵なイベントですか〜^^ 羨ましい限りです!
そしてmayumiさん とってもかわい〜!!!!