レソト(9)毛布が導いてくれた絶景と優しさの国。旅の記録をまとめます
本日は、レソトのサニパスボーダーというところにあるサニマウンテンロッジから、南アフリカへと下る予定でございましたが「悲報! 乗り合いバスが途中で故障して今日はバス来ないってよ」という状況になり、1日滞在を延ばすことにいたしました。
【現在地】サニマウンテンロッジ(レソト)
Sani Mountain Lodge(lesotho)
【天候】晴れ
【気温・湿度】1度・29%(朝)
【為替】1ランド=約7円
となりの村を探検しよう
バスが来ないという事実を知らされたのは、午前11時過ぎ。ここ数日の経験によると、サニパスを下る乗り合いバスは、だいたい10時台にやってくるのに、今日は姿を現しませんでした。おかしいなと思い、周りのお店の人に尋ねると「バスが故障したから今日は来ないよ」と。来ないもんはどうしようもありませんので、1日滞在を伸ばすことに決定。
私が泊まっているサニマウンテンロッジの周辺にはこれといった施設もなく、ただただのんびりと過ごすことになります。せっかくなので、本日は村の方に足を延ばしてみることに。足を延ばすと言っても、村はバックパッカー施設のすぐ隣。ちょっと歩くだけで、レソトの地元の皆様の生活を垣間見ることができるんですね。
朝焼けに照らされるレソトの伝統的なおうち。コロンとした三角屋根がかわいらしい。
まずはお子様。洗濯をしています。偉い。
そして小さなお子様をつれた女性と、そのお兄さん。
三人ともかっこよく巻物を取り入れていらっしゃいます。
日陰でくつろぐ男性陣。毛布の民ならではのスタイル。
みなさん写真を撮っていいか聞くと、快くOKしてくださいました。もちろんチップとかは要求されません。
そういえば、このあたりの方々は、会話の最後とか、すれ違ったときとかに、元気よく親指を立てて
「シャープ!! 」
とおっしゃいます。「Good!! 」ってやる感じで、「シャープ!! 」。
響きもいい感じでかっこいいので、私もことあるごとに「シャープ!!! 」をやり、大人も子供もみなさん力強く「シャープ!!! 」を返してくれるものですから、きっとレソト語で、okとかniceとかfineとかそういう意味なのだろうと解釈しておりました。
最終日の今日、改めて英語の話せる方に、
「ねえ、ところでシャープってどういう意味ですか? レソト語ですよねえ」と尋ねると、
「英語だよ! 英語の挨拶でシャープ!! ってあるだろ。レソト語ではクルキーリだ」
え、シャープって英語だったの!? てっきりレソト語だと思ってました。なんだかよく分からないシャープの使い方ですが、okとかniceとかfineとかの代わりにぜひ使ってみてください。
ここ数日の食生活について
実は、現在私は今までにないくらいの財政難でして。というのも、ランドの現金をそんなに所持していなかったのに、レソトについて早々に毛布を購入。そして早朝の移動が多く、ATMに立ち寄る間もなく、ここサニパスまで来てしまいました。
3日前サニパスに着いた時点で、南アに抜けるためのバス代を差し引くとマジで500円切っている状態でした。
とはいえロッジはクレジットカードが使えますから、併設のレストランで食事をすれば現金は使いません。夜は自慢の豪華ビュッフェが人気だそうですし。
しかし、こんな状況になってくると、逆に「文明と金に屈するものか」という変な意地が出てきまして…。
こんな自然豊かな場所に来て、素朴に生活を営むレソト人の側で、豪華ビュッフェディナーはなんか違うんじゃないですかねえ、なんて。
とはいえろくな食料を持っていない私は、このあたり唯一のスーパーマーケットの商品でなんとかやりくりしようと試みました。
スーパーはこんな感じです。
ここで買った食材でパスタを作ります。缶詰めに入ったソーセージみたいのと玉ねぎとスパゲティ。
鶏だし・うま塩味(鍋キューブ)。
これがね、すごくおいしい。
すごくおいしいのですが、見た目が残念なので写真は載せません。ほんとにおいしいんですけどね。あとは、たまごも売っているので、目玉焼きとかゆで卵とか作って食べていました。りんごとオレンジもあるのでデザートにも困りません。そう考えると、スーパーマーケットには必要なものは何でも売っていることになりますね。あ、タバコは売ってないのでご注意ください。
結局食べる豪華ビュッフェディナー
そんな生活でしたが、宿泊が1日伸びたことによりまじで無一文に近い状態になりました。人間1日くらい何も食べなくても死にはしないのですが、そこに食べ物があるのなら食べたい。
というわけで、あっさり文明と金に心を売り渡し、アフリカで1番標高の高いパブで飲み食いしてやることにいたします。意思が弱くてすみません。
ほら、私ブログでいろいろためになる情報載せなきゃですからね。今後ここに行かれる方のために自慢の豪華ビュッフェがいったいどんなものなのかも、しっかりレポートする義務があるんじゃないかなって。使命感。そう、旅ブロガーとしての使命感に突き動かされたわけです。
バーはこのような看板が掲げてありまして、
中に入るとたくさんのお酒が。
ワインの数とかすごいんです。
で、私はお酒に弱く、カシスウーロンしか飲めませんので一応確認しましたが、
カシスは置いてありませんでした。
といわけで、コーラで我慢。
そして、夕食の豪華ビュッフェは隣のレストランで食べます。
とてもあたたかい雰囲気のおされな店内。
最初にスープが出て、それを飲んだらあとは自由に好きなだけご飯をどうぞというシステム。
メインディッシュは、
羊の焼いたやつとスペアリブ。
野菜は、人参と芽キャベツ。
生野菜のサラダもあります。
いろいろと取ってきて、さあいただきます。
!?
羊、うまっ!!
なにこれ超柔らかい。臭み一切なし。そこらへんに羊いっぱいいるなあと思ったら、こんな美味しい料理になっちゃって!
続いて…
スペアリブ、うまっ!!
しっかりじっくり煮込んであって、とろとろジューシーです。フルーツっぽい少し甘めのソースと相性バツグン。
生野菜も久々でありがたい。生野菜のどころか玉ねぎ以外の野菜を口にするのが久しぶりです。
そしてデザート。
クリームがたっぷりと乗った、甘いもの大好きっ子のハートをくすぐるルックスです。
下にはなにが入っているのかなと思いながら食べると、これがどこまでもクリーム。
生クリームではなく、カスタードクリームに近いのですが、最後の最後までクリームという激甘デザート。
至福…。
こうして久しぶりに美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、心の底から大満足。
ディナービュッフェ220ランド(約1540円)。もちろんそこらへんの食べ物の価格と比較すると鬼のように高いのですが、まあこの美味しさと雰囲気でこのお値段は、全然許容範囲だと思います。
文明最高。お金って大事。たまには金にものを言わせるのも悪くないです。
食事が終わると、バックパッカーはバックパッカーらしく、少し離れたバックパッカー用の施設に戻らなければなりません。
暖房なし、22時に電気が止まる、お布団+寝袋なしでは寝られない極寒ドミトリールーム。この時点で気温はマイナス5度くらいまで下がっているのですがしかし!
空を見上げれば、視界いっぱいに広がるのがこの光景ですよ。
私、自分が撮った写真を見て、カメラが壊れたかと思いました。
上の写真はシャッタースピードを8まで下げた状態です。さすがに普通に空を見上げてここまでの数は見えないのですが、肉眼でもこのくらいは見えます。
反対側の空。
なにこれ宇宙?
レソトの星は、とんでもなくすごいことになっております。私史上ぶっちぎりで1番だなあ。
寒さにガタガタ震え、鼻水を垂れ流しながらでもしばらく眺めていたいと思える美しさ。
まあ10分ぐらいでギブアップですけどね。こうして無数の星々に見守られながら、レソトでの本当の最終日は幕を閉じました。
レソトで真っ先に手に入れるべきは毛布
海外で、地元の方々とのコミュニケーション手段として、おそらくもっとも手っ取り早いのは一緒に飲みに行くこと。地元の銘柄のビールやお酒でウェーイ!! と乾杯すればぐっと距離が縮まると思うのです。
しかし、残念ながら私はお酒がほとんど飲めません。しかも、女性一人で夜の酒場に出入りするのはかなりの勇気が必要です。
そんな人間でもできる非常に簡単なコミュニケーション手段が“洋服”なり“ファッション的な何か”なんじゃないかなあと。もちろん都会では、これといってその土地を象徴するようなアイテムがなかったりするのですが、レソトのように古くからの伝統を大切にしながら暮らしている場所もあります。
そうなると話は早い!! 郷に入っては郷に従え、です。自分もそれにならってみれば、それはなかなか楽しいことが待っているかもしれません。
レソトに来たきっかけは、なんといっても「伝統的な毛布」。パソトブランケットと呼ばれるこの毛布、私が思っていた以上に着用率が高く、田舎へ行けば行くほど、たくさん目にすることができました。
そんな状態ですから、このパソトブランケットはレソト人を象徴するファッションアイテムだと言っても過言ではありません。
それを巻いてみるとどうでしょう?
洋服の持つ力というのは意外とすごくって、ただ毛布を巻いただけで「私はここの文化に興味があるんです。あなたたちともうちょっと近づきたいなと思っているんです」というのが自然に伝わる。
レソトはほとんどの場所に英語を話せる人がいて、旅行中何も困ったことはありませんでしたが、それでも田舎に行けば行くほどどんどん話せる人の割合が減っていきます。そんな中では、毛布の力は絶大で、これは本当に言葉を超えたコミュニケーション手段になりうると確信。
日本の温泉とかで、海外からいらっしゃった方が浴衣を着てるのを見ると、なんかうれしくなるのは私だけではないと思います。しかもその着方がちょっと間違っていたり、サイズが合ってなかったりすると、なおさらかわいくてグッとくる。
こちらのレソト序盤の投稿で書きました。
毛布は防寒のためだけにあるんじゃねーんだよ、と。
当初私が考えていたのは、防寒に加え、安心感とファッション性。確かにそれもありましたが、行ってみて一つ追加要素がありました。
それがコミュニケーション手段。
この先レソトを訪れる方には、ぜひぜひ毛布をゲットなさることをおすすめしたいと思います。
【レソトについてまとめます】
レソトの唯一のおみやげはなんといっても毛布
レソトで買った私の唯一のお土産は毛布です。ほかには、“パソトハット”と呼ばれる、レソトの伝統的な帽子のミニチュア版をたくさん見かけました。
実寸のパソトハットもありますが、地元の方々もそんなにかぶっていらっしゃいませんでした。
ほかには、こんな手作り感溢れる壁に掛ける飾りもありました。
あと、寒すぎて限界だと思ったら、サニマウンテンロッジの近くの商店でニット帽を買うことができますのでぜひ。
お店はこちら。
どっちがいいか問題
出発前にみなさん悩まれるかもしれない「どっちがいいかな」というアイテムについて。レソトだけでいうなら、私の見解はこちらです。
●メインバッグ(バックパックかコロコロか)
大きな町や村の道路は意外と整備されておりますが、ロッジに行かれる場合は、完全に山道です。ガッタガタですので、バックパックの方が移動しやすい気がします。しかし、そんなに長距離を歩くことはないと思いますので、コロコロでも大丈夫。
●カメラ(コンデジか一眼か)
とびっきりいいカメラをお持ちになって、心ゆくまで絶景を撮影してください!! なんならレフ板とか三脚とか、カラーフィルターとか、いろいろカメラ機材持ってきて、写真撮影に全力を注いでもいいと思います。
●靴(普通のスニーカーかトレッキングシューズか)
スニーカーでも大丈夫でしたが、馬に乗ったとき足の甲が少し痛かったです。あと、サニマウンテンロッジに行かれる場合は、周囲を歩くときトレッキングシューズの方が格段にラクだと思います。地元の方の足元を見ると、けっこうトレッキングシューズっぽい靴を履いてらっしゃる方が多かったです。
レソト旅行のベストシーズンについて
南半球にあるレソトは、9月10月の春ごろがベストシーズンだと言われています。緑も多く、気候もよいので、確かにおすすめ。ロッジのスタッフさんとかに聞いても、9月10月が一番良いとおっしゃっていました。
屋外でキャンプもできますので、より自然と触れ合えて楽しいと思います。
しかし、私としましては、あえての冬6月7月ごろをぜひおすすめしたい。
なぜなら毛布着用率が一番高いから。
暑い時期には、おそらく毛布人口がくっと減るんじゃないかなあと予想されます。私は冬しか知らないので実際のところよくわかりませんが…。
ただ、寒い時期にレソトを訪れる際は、防寒対策をしっかりして行ってくださいね。
以上が超個人的レソトまとめです。明日こそは本当にここレソトを後にして、南アへと下ることができるよう祈って、本日の投稿を終了とさせていただきます。最後までお付き合いくださってありがとうございました。
コメント6件
mayumiさん!おひさしぶりです!
穏やかで優しいレソトの方々に支えてもらいながら、ご無事に旅をされていて、ひと安心です!!
私も高級コンデジをメインとして持っていく予定だったのですが、『完全に一眼レフ』!?( ;∀;)!?
カメラ迷子になってきました(・∀・)
はじめまして、少し前から拝見させていただいております。
メキシコの死者の祭りに興味があるという記事を書かれていらしたので、私も!と思い、それ以来ひっそり読んでいます。
今回のシリーズを読ませていただいて、どうしましょう、レソトにとても興味がわいてしまいました。私も子供時代にタオルと毛布の間くらいの素材の物を手放せない時期があったのでその呪いでしょうか(笑)。
英語は壊滅的だし、片言中国語しかできないのに、私も毛布を巻いて馬に乗りたいですよ(笑)!
他の方も含め、たくさんのアフリカ記事を読ませていただいた中で唯一行きたくなった場所です。
mayumiさんが書かれなければ一生知らない国だったかもしれません。ありがとうございます!!