レソト(6)国境の向こう側!? 絶景以外何もない「サニマウンテンロッジ」
現在レソトという国を旅行しております。本日はレソトと南アフリカのボーダーポイント「サニパスボーダー」までやってきました。南アフリカとレソトにまたがる世界遺産でもある「ドラケンスバーグ山脈」に位置するサニパスは、なんといってもその“絶景っぷり”で有名な場所。本日早朝、Mokhotlong(モコトロン)を出発し、約2時間のバス旅を経て到着いたしました。
【現在地】サニマウンテンロッジ(レソト)
Sani Mountain Lodge(lesotho)
【天候】晴れ
【気温・湿度】1度・29%(朝)
【為替】1ランド=約7円
あなどれない標高に心が折れる
昨日に引き続き、本日も移動。コーヒーでしっかり脳を目覚めさせ、朝6:40、宿泊していた「Grow」というゲストハウスを後にします(Growの詳細はこちら)。Growから、メインストリートに出る小道は少しだけ上り坂。元気いっぱいに出発したものの、
おかしいなあ。はぁはぁ。なんか息苦しいんだよなあ、この場所。おかしいなあ。
と思ったところで気が付きました。
標高!!!
ここ2,000m超えてる!!!
私に関して言うと、実際に“おかしい”状況にありました。精神的な問題ではなく。
2,000mとはいえ、平地と比べると約80%の酸素濃度。こんな高地を朝っぱらから35kg抱えて歩くなんざ、これもう完全に自殺行為。私はアスリートでもなんでもないのに、高地でとことん体を苛め抜く必要があるのでしょうか。
心の中で叫びます。
「南アに着いたらぜっっったい荷物減らそう。
実家に送ろう。半分だ、今の半分の量にしよう。もう無理。ほんと無理。ハァハァ」
心の中どころか、気づけば声に出していました。無意味な高地トレーニングで心がぽっきりと折れ「次ネット使えるタイミングきたら“海外 荷物の送り方”でググろう」そう決意し、バスターミナルまでの1kmを息も絶え絶えに歩き抜きました。途中で撮った朝焼けに照らされる村の写真。すごくいい感じ。
バスがいっぱいになるまでの時間の楽しみ方
モコトロンから、私が目指す「サニパスボーダー」までは、レソトのパブリックトランスポーテーション、いわゆるミニバスを使用します。ミニバスというのは、人数がいっぱいにならないと出発しないことで有名な乗り物。それはコストパフォーマンスの問題で、同じ距離を走るならより多くの人間を乗せて、より多くのお金を支払ってもらったほうがもうかるからです。
それはあたりまえのことなので別にかまわないのですが、現地の方々は、人と待ち合わせするときどうするんだろう、と不思議でたまりません。到着が何時になるか分からないのですから、約束はできませんよね。
朝一バスターミナルに行けば「人が集まらなかった」ってことにはならないと思うのですが、これが夕方だった場合、最悪「人数集まんないから、今日はもうバス終了! はい解散!! 」みたいなこともあり得るわけですよ。
「ごめん、今日バスの人数集まんなかったから行けないわあ」ってなるんでしょうね。
そんな不思議な乗り物を頻繁に利用している私ですが、私はこの「人がいっぱいになるまでの時間」がわりと好きです(急いでいないとき限定で)。
朝7:00バスターミナルに到着。場所はこのあたり。
ターミナルと言っても、ぽつんと1台停まっているバンがSani-Passボーダー行き。
南アフリカ側のボーダーオフィスを超えたその先ですので、レソト側のボーダーオフィスのところで途中下車することになります。
このバスがいっぱいになるまで待つのですが、私が到着した時点ですでの6人の地元の方が乗っていらっしゃいました。レソトのバスのシステムは意外とちゃんとしていて、バスのドライバーさんが持っているノートに名前、住所、電話番号を書き込むのです。その横に払った金額が明記してある場合もあり、旅行者の私もそれにならって、自分の情報を書いてもらいます。
乗り合いのミニバスなのに、一律の正規料金がある感じです。
この方法ですと、なんとなく安心感があり、おそらく交通費は今まで一度たりともぼられたりしていないと思います。交通費に限らず、たぶんレソトでは一度も正規料金より高いお金を請求されてない。これはすごいことです。
7:30を過ぎたころ、朝食やお菓子などを売るおばさまたちが集まってきました。
はらぺこの私も、ここで朝ごはんをいただくことにします。まずは、揚げドーナツ。
まだ温かくて、もちもち!! 2ランド(約14円)。
それから、ミルクティー。5ランド(約35円)。
そして、こちらもあったかふわふわのできたてのパン。7ランド(約49円)。
素朴な味がして、どれもすごくおいしい。
こんなおばさまたちが近所にパンとミルクティーを売りに来てくれたら、私は毎朝買うと思います。パンは大きすぎて食べきれなかったので、残りは今後の食料としてストック。
あ、ランドランド言ってますけど、これは南アフリカの通貨。レソトにはロティという通貨があるのですが、南アフリカランドも普通に使えます。しかも、ランドとロティは等価ですので、お金が混ざっても分かりやすいです。
朝食を食べてお腹いっぱいになったころ、おもむろに取り出したのは、先日手に入れたパソトブランケット(Basotho Brancket)。レソトの人々が伝統的に身に着けていらっしゃる毛布です。レソトに到着した翌日に購入し、それからは毎日肌身離さず身に着けています。早朝は寒いのでこれを巻いているとかなり寒さをしのげるんですよ。
するとおばさまたちが「いいブランケットね」なんて褒めてくださいます。そして私も「いやいやおばさまのブランケットも素敵じゃないですか」なんて。こうしてわいわいできるのも、この毛布のおかげ。
昨日私が発見した、
「都会より田舎のほうが毛布着用率が高い法則」
に間違いはなかったようで、ここMokhotlong(モコトロン)は、毛布率が鬼のように高い。日本でジーンズ穿いている人の割合と同じぐらいだと思いますよ。
この柄はなかなかめずらしい。
馬との相性バツグン。
後姿がクール。
程よいボリューム感。
ラフな羽織り方がおしゃれ。
レソト人のアイデンティティと言っても過言ではない素敵毛布を誇らしげに着用した見慣れぬ東アジア人を地元の暇な人々がほっとくはずもなく、通りかかる人は皆「いい毛布だねー」「どこで買ったのー? 」「レソトの毛布が好きなのかあ」なんて話しかけてくださいます。
小さな村ですから、顔見知りも多いようで、ミニバスのまわりが一気ににぎやかになりました。
そうこうしているうちに、ひとりふたりと乗客が乗り込み、ついにバスがいっぱいに。時刻は8:30を指しています。
楽しく過ごすと、1時間半なんてあっという間。もっとここにいてもいいと思うくらいに陽気なレソトの人々とたいへん有意義な時間を過ごすことができました。じゃあねと手を振って、バスは出発。
8:30 Mokhotlong(モコトロン)発
緑の木々は減り、高地っぽい感じの景色が広がります。
距離的には50kmとそう遠くはないのですが、ガタガタの山道ですし、うねりの激しい上り坂なので、思った以上に時間がかかりました。料金110ランド(約770円)。
10:15 Sani Mountain Lodge着
ちょっとはみ出しちゃってるホテルww
1時間半の道のりを経て、到着しましたサニパスボーダー。サニパスというのは、南アフリカとレソトをつないでいるルートの名前。そのルート上にあるボーダー、つまり国境です。
ここまでがレソト。ゲートの先は南アフリカ。
その直前。というよりサニパスボーダーの真横なんですけども。そこに、私が滞在する「Sani Mountain Lodge(サニマウンテンロッジ)」があります。
地図でいうと、こちら。
ん?
国境??
そうなんです。なんだかよくわからないのですが、位置的には、レソトから飛び出しちゃってる。そんなギリギリのホテルです。ちなみに標高は2,873m。
まずはその立地についてご説明します。
Sani Mountain Lodge(サニ マウンテン ロッジ)のメイン部分はどうやらお金に余裕がある方用でして、こちらにレセプションがあります。あと、アフリカ一標高の高いパブと書いてあるパブも併設。
ここはレストランも兼ねており、食事もできます。あとWifiが使えるのはこの周辺のみ。
そしてそれらの建物とは500mほど離れたエリアにあるのが、バックパッカー用の施設。看板にはこんなふうに書かれています。
バックパッカー用の施設は「Sani Top Backpackers&Camp Site(サニトップバックパッカーズ&キャンプサイト)」というのが正式名称みたいです。ただ、予約や宿の管理はSani Mountain Lodge(サニ マウンテン ロッジ)が一括で行っています。
分かりやすいように周囲の環境を写した写真をご覧ください。
ちょっと遠すぎてよくわかりませんかね。では、
格差が顕著。バックパッカー用の施設は、どちらかというと村寄りです。そして私が宿泊するのは当然こちら。建物近くで見るとこんな感じです。
このバックパッカー用の施設には、
ドミトリー(ベッド6台)暖房無しの部屋
が2つとあと何部屋かありますね。ちらかっている荷物は同室の南ア出身グレッグさんという方のものですね。で、角度を変えると、もっと散らかしている私の二段ベッド。
最安がこのドミトリーで1泊250ランド(約1,750円)。けっこうお高めです。
それから、広いキッチンがあります。
あと、私が気に入ったのは、夜になると暖炉を付けてもらえる共用エリア。
今現在宿泊客は、グレッグさんという方と私しかいないので閑散としていますが、おかげでほぼほぼ独り占めできて最高です。この部屋はなんかあたたかい雰囲気があってとても好き。暖房機器のないドミトリーの部屋はとても寒いので、むしろここで寝たいと思ったぐらい。
この施設のすぐ左にあるのが地元の方々の村。主な産業は放牧。あとはおそらくロッジで働いていらっしゃる方が多いかと。
そして、バックパッカーは高級なレストランのごはんではなく、だいたい自炊をされると思うのですが、ここで食料を買えるのは一店舗だけ。それがこちらです。
野菜は、玉ねぎとトマトを売っていました。あとパスタ、ビスケット、小麦粉など。もし、しばらく滞在する方は、食材を買って持ち込まないとつらいと思います。
以上が宿周辺の環境です。あとは何もありません。本当に何もないのです。
「絶景しかない」と言っても過言ではない場所
この地に降り立った瞬間、何もなさに驚きを隠しきれませんでした。
周囲を散策したところ、ロバ、
羊、
にわとり、
お子様。
それくらいですかね。だって立地がこれですもの。
聞こえる音といえば、放牧している羊の首に着けられたベルの音のみ。
のんびりしとるなあ。
標高の高さと美しい自然が堪能できることから“アフリカのスイス”なんて呼ばれているレソトですが、この感じはまさに
「アフリカのモンゴルだわ」
しかし、それだけではありません。忘れてはならいものがもうひとつ。
それが“絶景”。
レソトに入国した瞬間から思っておりましたが、風景がすべて絵になる。
なんかかっこいいんですよね。岩肌がごつごつしていて、切り立った崖が連なっていて、自然が作る芸術っぽい感じがとても私好みです。
そんなレソトの中でもここは別格。
今までレソトで見た景色は、どれも遠くの山々を“見上げる”かたちで雄大さを感じておりましたが、ここは“見渡す”という表現がしっくりきます。
標高2,873mから見渡す眺めのかっこよさ。
これが宿のすぐ裏に広がっているのです。
なにこれ…
レソトすごいじゃん。
なんだか漠然と「果てまで来た感じ」がしますなあ。
つまりね、ここには、“絶景しかない”と。そういうことなのでございます。
本日は村の周りを少し歩いただけでそんなに遠出はしておりませんが、明日はマレアレアロッジ続き、ここサニパスでも「ホースライディング」に挑戦しようと思います。それでは、今日もまた、長々とした投稿に最後まで付き合ってくださってありがとうございました。
■サニパス(レソト)でおすすめのホテル・ゲストハウス
Sani Mountain Lodge(サニマウンテンロッジ)
Sani Top Backpackers&Camp Site(サニトップバックパッカーズ&キャンプサイト)
公式HPはこちら。予約もここからできます。
宿泊日:2016年6月27日~6月30日
部屋の種類:ドミトリー(6人部屋)
料金:250ランド(約1,750円)/泊
【設備】
Wifi:レセプション周辺のみ使えます
シャワー・トイレ:共同。お湯はしっかり出ます。お湯はガスを使っているので、何時でも使用可。しかし、日中の少しでも暖かい時間帯にシャワー浴びないと、夜は確実に浴びる気なくすと思います。ぜひ、お昼ご飯の後ぐらいにシャワーを浴びてください。
キッチン:しっかりとした大きなキッチンがあります。冷蔵庫もあります。なので、材料さえあれば料理し放題。
【個人的な感想】
ドミトリーの部屋は暖房機器がなく、極寒です。お布団あるものの、寝袋がなかったら寒すぎてアウトだったかもしれません。もし本当にギブアップの場合は、ホテル施設のほうに行けば、費用はかさみますが、暖房か暖炉のあるお部屋に泊まれます。
さすがに冬は寒すぎてキャンプ無理ですが、あたたかい時期にテント泊とかしてみたいです。宿のオーナーによると、9月10月の春くらいが一番ベストだそうですよ。あと5月~6月は雪が降ったりもします。7月中旬は、アフリカの学校の冬休みにあたるので、家族連れで予約がいっぱいだそうです。こんなとこまで行って泊まれないとかキツいので、ぜひ予約をしてからどうぞ。HPから予約できます。
きましたねーサニトップ。
霧(雲?)の中に佇むレソトの人は見れましたか?
放牧してる羊のベルのみ聞こえるのくだりとか、行ったときの事思い出して和んじゃいました。
レソト色々ほっこりする国ですよねー。
またレソトに行くことがあれば、今度はセモンコンやモルモンとかも。
人も風景(滝あります)もかっこいいとこですよー。
続き楽しみにしてます。