レソト(5)久しぶりのローカル飯のおいしさと食料分散の重要性について
昨日の朝、滞在していたマレアレアロッジを散歩中に2人のレソト人の男性と出会いました。首都のマセルから来たという彼らは、ただの観光ではなく、お仕事の一環でここを訪れているとのこと。詳しく聞いてみると、レソトのすばらしい場所やホテルなどを海外に紹介するブックレットを作っているそう。
【現在地】モコトロン(レソト)
Mokhotlong(lesotho)
【天候】晴れ
【気温・湿度】1度・29%(朝)
【為替】1ランド=約7円
元同業者との出会いによってもたらされた情報
レソトには「雑誌」というのはないそうで、そのかわりとなっているのがブックレット。海外から来る観光客向けのブックレットを作るお仕事をしていらっしゃるのがレスィザさん。いわば雑誌の編集者みたいなものですから、以前同じような仕事をしていた私からすると、なかなか興味深いでのす。
左の赤い服がレスィザさんで、右がカメラマンのパオルさん。現在滞在しているマレアレアを紹介するブックレットに、私が憧れる“毛布先輩”(詳細はこちらの投稿)の写真を掲載したいそうで、パシャパシャとかっこいいお姿を撮ってらっしゃいます。
撮影がひと段落したところで、ちょっと話を聞いてみました。
「レソトのいろいろな観光地を紹介していらっしゃるということは、
たくさんの素敵な場所をご存じなんですよね? 」
「そうだね。国内のいろいろなところにこうして取材に行っているからね」
「私は、明日ここをチェックアウトして、レソトのどこか他の村に行こうと思っているんですけど、どっかおすすめあります? 」
「あるよ。
レソトに来たならやっぱりサニパスに行かないと。あそこの景色は、本当に美しい。しかも、南アフリカとの国境付近、少し国境を超えたような場所にロッジがあるんだ。地図で見ると分かると思うんだけど、ボーダーの間にあって、とにかくスペシャルな場所だから、ぜひ行ってみるといい」
そう言って、行き方まで教えてくれました。その方法がこちら。
今いるマレアレアロッジから首都のマセルまで行く。
そこから、Maputsoe(マプツェ)→Butha-Buthe(ブツァ ブツェ)→Mokhotlong(モコトロン)とミニバスを乗り継ぎ、最後はモコトロンから「サニパスボーダー(Sani Pass Border)」を目指す。
この移動は1日では無理なので、まずは、マレアレアロッジから、モコトロンという村まで移動。モコトロンで1泊するのがベストだそう。
地図でいうと、こんな感じ。
道路の整備されていない山の中は通ることができないので、直線距離はたいしたことないのに、ぐるーっとまわって行かなければなりません。
すごくいい情報を教えてくれたレスィザさん。撮影が終了すると、毛布先輩の毛布を拝借して自らも乗馬。
さすがレソトの男。首都のマセル在住にも関わらず、すんなり馬を乗りこなしていらっしゃいました。あれですね、都内在住で普段車とか乗らないけど、自動車免許は持ってますよ、みたいな感じなんでしょうね。
マレアレアロッジからモコトロンまでの行き方
首都のマセルからモコトロンまでの直行は、マセルを6時か7時くらいに出発する大型バスが1便あるようですが、マレアレアロッジスタートの場合は、それに間に合いません。ですから、村と村をつなぐミニバスをこまめに乗り継いで行くしか方法はないのです。
滞在中のマレアレアロッジからマセルまでは直行のミニバスがあります。朝6時発と聞いておりましたので、早起きです。バスが来たのは6時30分ですが、それを待つ間の空の美しさったらなかったです。
そこから乗客がそれなりに集まるのを待ちます。さすがにここで満席になるほど人は集まりませんので、ある程度人が乗ったら出発するようです。
7:20 Malealea Lodge(マレアレアロッジ)発
たくさんの人が途中で乗り降りしていきますが、バスは首都マセルまでダイレクトで行ってくれるのでありがたい。50ランド(約350円)。
9:20 Maseru(マセル)着
ここへ来るバスが一緒だった男性が、私が次に乗るMaputsoe(マプツェ)行きのミニバスまで連れて行ってくれました。
しかも荷物を持ってくれまして、チップなんか要求されることもなく、
「これに乗ってMaputsoe(マプツェ)まで行ったら、次はButha-Buthe(ブツァブツェ)行きに乗り換えるんだ。Butha-Buthe(ブツァブツェ)に着いたら、Mokhotlong(モコトロン)行きがあると思うから最後はそれだ」
と、親切にMokhotlongまでの道のりを教えてくれて、笑顔でバイバイ。このブログにもう何回も書いた気がしますが、レソトは本当に親切で優しい方が多いです。見返りなしに。
思ったより閑散としているマセルのミニバスターミナル。レソトは、ガイドブック『地球の歩き方』が“首都のマセル以外に町らしい町はない”と言い切っちゃうような、激しく田舎な国なんですが、唯一の町らしい町がこれで大丈夫なのだろうかと不安になります。
ターミナルの周囲にはおうちがない人たちのバラック
ではなく、レストランです。
大変失礼いたしました。
朝ごはんがまだだったので「とりあえず腹ごしらえ」と思い、その中の1軒に入ってみます。
おいしそうな牛肉の煮込みを作るかわいらしい女性。
牛肉の煮込み+何らかの炭水化物。ハーフサイズ。8ランド(約56円)。
お店の女の人は「え、これ食べたいの!? 」みたいに驚いて、周りにいたおじさんたちにも「しっかり作ってやれよ」みたいなことを言われて冷やかされ、すごく照れておりました。写真を撮っていいかと尋ねると、さらに照れていて、とてもキュートでございました。お味の方はほんのりカレー味っぽくもあり、濃厚で、ちょっとピリッと辛くて、すごくおいしかったです。
それから、お昼ご飯用に何か買っておこうと、別のお店へ。
おいしそうなソーセージを焼いている女の人がいらっしゃいました。
ここでランチボックス的なものを購入。12ランド(約84円)。
このソーセージもまたかなり美味でしたよ。バーベキューソースみたいなのがかかっていて、緑の野菜はこれ高菜です。
日本で食べる高菜とそっくりの味で、ごはんがすすむ。
と言いましても、この一見ご飯のように見える白い食べ物は、全然ごはんではありません。ポジション的には炭水化物だと予想されるのですが…。
こちらの白い炭水化物の原料は何なのでしょうかね? ほとんど無味で、これ手で食べるのですが、口に入れるとパラパラとほぐれる感じです。
そういえば、久しぶりにローカル飯にありつけました。スーパーで買う安全安心の清潔飯もいいですが、たまには、
なんだかよくわからないものをなんだかよくわからないまま食べるのも悪くありません。
10:45 Maseru(マセル)発
ミニバスがいっぱいになるまで約1時間半かかりましたが、無事に満席になり出発です。マセルからマプツェまで51ランド(約357円)。
12:25 Maputsoe(マプツェ)着
着いた途端、Buthe-Buthe(ブツァブツェ)行きのミニバスのドライバーさん数名が殺到。みなさん早く自分のミニバスをいっぱいにしたいので、客の取り合いになります。あれよあれよという間に、その中の1台に乗せられ、すぐにミニバス出発。
12:30 Maputsoe(マプツェ)発
マセルからButha-Butheまで30ランド(約210円)。マセルから北へ行くほどどんどん田舎になってきます。周囲の景色は相変わらず、かっこいい岩山がそびえていて、レソトらしい雄大な自然を感じさせます。
14:00 Butha-Buthe(ブツァブツェ)着
バスターミナルのすぐ後ろまで山がせまっています。徐々に気温が下がってきて、少しずつ標高が上がっている気が…。つぎは、Mokhotlong(モコトロン)まで行くのですが、ここではなかなか人数が集まらず、ミニバスターミナルでしばらく待つことに。
私がレソトへ来た目的のメインは、
レソト人の毛布の着こなしを参考にするため。
この毛布は、パソトブランケットと言われる、レソトで伝統的に見に着けられているファッションアイテム。高い防寒機能がありますので、気温が下がれば下がるほど絶好の毛布日和なのです。今日も毛布の民はかっこよく毛布を着こなしておりまして、Butha-Butheのバスターミナルを行きかう人も、尋常じゃない毛布率。
まあ、伝統的に毛布を見に着けてきた方々なので、これは当然と言えば当然です。さりげなく、自分の毛布姿も混ぜてみました(毛布をGETした詳細はこちらの投稿をどうぞ)。
私の分析によると、マセルやマフェテンなど都会では毛布率はさほど高くなく、田舎に行けば行くほど、たくさんの毛布の民を目にすることができるようです。
これだけみなさん毛布を巻いていらっしゃるのだから、毛布の生地でコートなりスカートなり作ったらいいんじゃないかな、なんていう無粋なことは考えないでください。あくまで毛布をまとうということにこだわりをもつ民族ですから。
バスがいっぱいになるまでまだしばらくかかりそうなので、これから数日分の食料を買い込みます。この先、南アフリカに抜けるまでの間に行く場所は、本当に僻地で、まわりに手軽な飲食店などないことが予想されます。
野菜は多分そこらへんの道ばたでも買えるから、必要なのは、
パンと、缶詰めのミートボールと、缶詰のソーセージと、コーヒーに入れるミルクと、あとお菓子とお菓子とお菓子。
お菓子多めで食料の準備万端。ちょうどバスがいっぱいになったところで、本日最後の移動です。モコトロンを目指しましょう。ちなみに“モコトロン”と何度も書いていますが、正確な発音は「モホトロン」に近い感じで、ハッキリと“コ”を発音しないんです。なんか難しかった。
15:45Butha-Buthe(ブツァブツェ)発
乗車時間がもっとも長い区間。そしてこの区間で一気に標高アップ。窓から見える景色に白いものが混ざりはじめ…。
あれ…、もしかしてこれは…
雪!?
聞いてねええぇぇー!! 雪はまずいよー。
標高ぉぉおお!!!
オワタ…
これはちょっとやりすぎですよ(涙目)。
こうしてまさかの豪雪地帯を抜けてまいりましたが、目的のモコトロンには雪は積もっておらず、ほっと一安心。しかし、標高が高いことに変わりはなく、極寒です。ブツァブツェからモコトロンまで110ランド(約770円)。
19:00Mokhotlong(モコトロン)着
やばい。暗くなってから到着してしまった
日が沈んだ後の美しい色の空を見ながら、
「わあきれいだなー」なんて思いつつバスに揺られ、本日宿泊のMokhotlong(モコトロン)という村に着いたのは19:00。私は宿の予約をしていなかったのですが、希望の宿名を告げると、ミニバスのドライバーさんが場所を知っていて、ゲストハウスの前まで連れて行ってくれました。
バスに乗っていた地元の方々は、みなさんとてもフレンドリーで、バスを降りる際には「忘れ物ないー? 」とか「毛布ちゃんと持った? 」とか「良い旅をー」とか口々に声をかけてくださって私はとてもいい気分でバスを降りました。
そんな楽しい時間もつかの間、やばいことに気が付きます。
南半球にあるアフリカは、現在冬真っただ中。当然あたりは真っ暗です。
そして案の定、ゲストハウスも真っ暗。ゲートにも鍵がかかっているっぽい。
よみがえるムルンベ(マダガスカル)の記憶(投稿はこちら)。予期せぬ野宿をする羽目になり、怯えて過ごした一夜。あのときと全く同じ状況ではないですか!!
あの頃にはなかったテントという装備を手に入れたとはいえ、ここで野宿はない。
朝起きたら冷たくなってるパターンのやつ。野宿ダメゼッタイ!!!
慌てた私は、真っ当にゲートから入ることをあきらめ、まあまあの高さの有刺鉄線の柵をなんとか超えて、とりあえず敷地内に降り立ちました。
と、そのとき、ゲストハウスの建物の一つから男の人が登場。
やった! 人がいた! という喜びと同時に、
あれ? わたし今不審者と思われてない?
という不安がよぎります。
決して不審者ではありませんが、行動はどう見ても不審者。必死でバックパックを指差し、旅人であることをアピールします。
どうやら英語が通じないゲストハウスのスタッフさんは、呆れた顔をして、レソト語で何か言いながらゲートに手をかけ軽く押すと
すんなりオープン。
あ、ゲートの鍵、かかってなかったね。とんだはやとちり。
へへへと照れ笑いする私を見てにっこり笑い、部屋まで案内してくれました。それからガスストーブを点けてくれて、またにっこり。言葉は通じないですけど、すごく感じがよくて、野宿に怯えていた私は、一気に安心感に包まれました。
他の宿泊客はいないですが、一応共用エリアがあり、電子レンジと湯沸しポットも完備。さあそれでは晩御飯でも作ろ
あぁぁあああ!!!!
ついさっき買った食料、バスの中に忘れてきたあぁぁああ。
特技:忘れ物って履歴書に書いてもいいぐらい、私は忘れ物をよくします。私から忘れ物をとったら何も残らないんじゃないかな。
バスに忘れてきたあの袋には何を入れてたんだっけ? そう思い返してみると、パンとお菓子とお菓子とお菓子。そういえば、潰れても問題なさそうな缶詰めのミートボールとかミルクとかはバックパックに入れておいたんだ。
こうして、食料の分散という自身のファインプレーによって、おいしいミートボール(グレービーソース味)と、お湯を入れるだけで作れる乾燥味噌汁(元同僚から餞別でいただいた)で素敵な晩御飯が完成。
あと途中で陽気なリンゴ売りさんからリンゴ買ったんだった。
これでデザートも完璧。普通にご飯を食べられたことが本当に幸せです。お菓子は非常に残念ですが、傷は浅かった。
みなさんね、お金は複数箇所に分けてもつのが旅の基本ってことはよくご存知と思いますが、
食料もまたしかり、です。
そして、忘れ物をしない、というのも大切なことです。
旅における大切な事柄を、身を切って皆様にお伝えしたところで、本日の投稿は終了とさせていただきます。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
■Mokhotlong(モコトロン)おすすめの安宿・ゲストハウス
Grow(グロウ)
宿泊日:2016年6月27日~6月28日
部屋の種類:ツインルーム
料金:200ランド(約1,400円)
【設備】
Wifi:なし
バス・トイレ:3部屋で共同
共用エリアにガスストーブあり。到着してすぐと早朝に、管理しているおじさんがストーブを付けに来てくれました。各ベッドに電気毛布あり、とてもあたたかく、熟睡できました。お部屋、すごくきれいです。
【個人的な感想】
メインストリートからすぐの場所にあります。Butha-Buthe(ブツァブツェ)からバスで来ましたが、ドライバーさんにGrowと言えばすぐ分かってもらえました。部屋に貼ってあったポスター。
どうやら値上がりしたみたいです。管理しているおじさんは、英語が話せないですが、最低限の意思の疎通はできまして、とくに不便なことはありませんでした。電子レンジと湯沸かしポットがありますので、食料をお持ちの場合は、何かしら作ることができると思います。ミニバス乗り場からは1kmくらい離れています。
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