マダガスカル(11)無意味な野宿と引き換えに手に入れた渾身の写真
昨日マダガスカル南西部のトゥリアーラという町から、「モロンベ(ムルンベとも言う)」にやってきました。ここへ来た目的は、私が一番みたいバオバブが生えているから。有名な「モロンダバ」のバオバブよりもっともっともっと見たい最強のバオバブを見るために、タクシーブルースで12時間かけてやって参ったのです。
【現在地】モロンベ(マダガスカル)
Morombe(Madagascar)
【天候】晴れ
【気温・湿度】25度・75%(夜)、38度・25%(昼)
【為替】100マダガスカルアリアリ=約3.4円
ホテルに着いてはみたものの
昨日、タクシーブルースによる恐怖体験についての投稿いたしました。くわしくはこちら。夜7時40分、真っ暗な「ムルンベ」の村に降ろされた私は、目星を付けていた宿「ホテル バオバブ」を目指して歩きます。『地球の歩き方』に地図すら載っていない村なので、“海に面して建っているコテージ風”というのを手掛かりに、海沿いへ。とても小さい村なので、あっさり発見。ところが、
真っ暗。たぶん、誰も人がいない。
まだ20時前とはいえ、ここはとんでもなく田舎。夕方の時点で宿泊客がいなければ、きっとホテルも営業しないのでしょう。
やばい…。どうしよう。
昨日の投稿を読んでいただければ伝わると思いますが、ここにたどり着くまでの道中、生きた心地のしない数時間を送り、精神的にかなり疲弊していた私。「とりあえずホテルバオバブに着けばなんとかなる」とギリギリ心が折れることなく持ちこたえることができましたが、さすがにこの状況で、完全にハートが折れてしまいました。
もういい。ここで寝よう。
真っ暗な中、別のホテルを探す力は残っていませんでした。っていうか、もうこの暗闇の中大きなバックパックをかかえてうろうろするより、おとなしくホテルの敷地内に潜り込んで野宿したほうが安全なんじゃないだろうか、と考えたのです。
とりあえず、塀を乗り越えホテルの敷地内へ。まわりから見えづらいであろう木陰をさがし、荷物を下ろします。
お腹すいたなあと思ったところで、道中、バナナを購入したことを思い出しました。
生きる糧となるバナナ、プライスレス。
「バナナおいしいよバナナ。買っといてよかったー」今日ほどバナナをありがたいと思ったことはありません。それから、とりあえずタバコを吸って、顔や体に浴びるほど虫よけをスプレーをかけまくります。
私は、当初野宿なんてするつもりはありませんでしたから、テントも寝袋も持っていません。ということで、唯一の装備はここに来るまでずっとお尻の下に敷いていた毛布。これにくるまって横になります。
日本でも海外でも、野宿なんて初めての経験ですから、最初はドキドキしましたが、しっかり睡魔が襲ってきました。うとうとしていると、ガサガサという物音が…。一瞬で気が引き締まり、目を凝らしてあたりを見回すと…
出たよ、犬。
4、5匹の犬が餌をさがしてうろうろしています。
これ完全にバイオハザード(プレステのソフト)じゃないですかあぁぁあぁ(涙目)
若き日の私を恐怖に陥れたゾンビ犬の映像とともに「狂犬病」の3文字が頭をよぎります。出発前に予防接種は済ませたものの、こんなド田舎で、残りの狂犬病ワクチンをすぐ打てる保証はありません。怖い。今日ほど犬を怖いと思ったことはありません。
私と同い年くらいの方は、昔やったことがあると思います、『バイオハザード』とかいうゲーム。
ガッシャーン!!!
とガラスを割って、目がいっちゃっててよだれをダラダラ垂らした血まみれのゾンビ犬が突然飛び込んできて襲い掛かってくるあのシーン。
チキンな私は何度もプレイしていて「ここで犬来るよ」って分かっていても毎回毎回ビビりまくっていました。上の画像見ると全然怖くないですが、リアルに描くとこうなりますから。
これは怖いでしょーよ!!!
実際問題、暗くて犬の様子をちゃんと見られたわけではないので、ここまでヤバイ犬だったかっていうとそれはちょっとよく分かりませんが、緊張感はあのゲームの100倍くらいだと思ってください。だって、バイオハザードはハンドガンなりショットガンなりを持ってますけど、私は丸腰ですからね。
とりあえず、ビクトリノックスのマルチツールを握りしめながらじっとしていると、ゾンビ犬の群れは私の周りを2周して、どこかに去って行きました。初めての野宿で学んだこと。
人間以外にも敵はいる。
意外としっかり寝て、目覚めるとそこには…
こうしてゾンビ犬の恐怖から解放された私は、ほどなくして睡眠体勢に入り、結局朝4時半まで普通に寝ました。たぶん7時間くらい寝てる。
4時半に起きたことがある方はそう多くないと思いますので説明しますが、この時間は、外はまだ暗く、明るい月がどこかにいってしまって、そのぶん星が一番きれいに輝くタイミング。たぶん。
「早く明るくならないかなー」と切望しながら夜空を見上げると、
星空、やばい…。
もうなんて表現していいか分かりませんので「やばい」としか言えないのですが、今まで見たことのないような数と明るさで、空から零れ落ちてきそう。
「せっかくがんばって野宿をしたんだから、せめて記念に素敵な写真を残そう」
そう思った私は、カメラを持ち出して撮影タイムに入ります。撮れた写真がこちら。
どーですかぁぁぁ!?
野宿と引き換えにこんなに美しい星空を切り取ることができました。流れ星まで激写しちゃってんじゃん。いやーこれは自分でもお気に入りの1枚ですよ。PCでこの投稿を読まれている方は、写真クリックしていただくと大きくなりますからね。もしあれだったら、この写真、スマホの待ち受けとかPCのデスクトップ画面とかに使ってもらってけっこうですから。そのために、ブログのタイトルとURL入れときましたから。個人的な使用の範囲内であれば無許可でOK。あ、もし暇だったらコメント欄とかでその旨教えていただけると私としてもうれしいんですけどね。
そしてつらいときはこれを見て、「マダガスカルで犬におびえながら想定外の野宿させられるよりはマシだな」と思って、どうにか乗り越えてください。
朝がきて知る、驚愕の真実
朝5時半を過ぎると、空がだんだん明るくなってきます。
目の前の海の色もまた美しい。
完全に路上生活者がここにいた痕跡。
こうして無事初めて(っていうか最初で最後にしたい)の野宿を終え、周囲も明るくなってホッと安堵していると、ホテルの脇の小屋から男の人が出てきした。どうやら宿のスタッフさんのようです。
あ、人いたんだ…。
愕然とする私。必死でコソコソした意味。むしろもっと騒げばよかった。まあそんなこと言ってもあとの祭りではありますので、気を取り直して、尋ねます。
「今日泊めてもらえますー? 」
すでに敷地内で一泊したことは無かったことにして、あらためて本日のもう1泊をお願いしてみます。快くOKしてくれたホテルの人は「ちょっと担当者呼んで来る」みたいなことを言って、なんと、私が夜を明かした場所のすぐ脇に建っている小屋のドアをノックします。まさに写真に写っているこの小屋です。
あ、その小屋にも人いたんだ…。
小屋からは女の人が出て来ましたが、どこかおびえた様子で早口で何かを言っています。指さしているのは、私がいた場所のまわりに散乱するバナナの皮とタバコの吸い殻。フランス語は分からないので、正確には何て言っているか不明ですが、意味していることは十分すぎるくらいに伝わります。
「夜、誰かがこのへんにいたのよ!! だって物音がしたもの! ほらバナナの皮とかタバコの吸い殻がある!! 」
うん、私がいたよね。
つーか、だったら起きて私をホテルに入れてよ。夜つらかったよ。こわかったよ。普通に寝てたけど…。でもヒジとかろっ骨がちょっと痛いもん。
こうして無駄に野宿しちゃった感たっぷりの残念な一夜を過ごし、やっとホテルに入れてもらえた私は、シャワーを浴び、洗濯をし、一息つくことができました。
こちらが「ホテル バオバブ」です
ホテルは、ちょっとさびれた感じはあるものの、南国風のコテージタイプ。
ビーチチェアなんかもあったりして、目の前の海にそのまま行けるオシャレな立地。
この置物、昨日の夜「人がじっとこっちを凝視してる」みたいに見えてめっちゃビビったやつー。もうやめてー。
ホテルの詳細情報はこちらです。
村の雰囲気とビーチの雰囲気
今日はもう何もしないでゆっくり休もう、と思い、とりあえず食料調達。
村の様子はこんな感じで、素朴で、質素。
市場があったので潜入。
肉、米、野菜などなんでも売っています。
女の人が顔に塗っているのは、日焼け止め効果のある何か。何なのかよく分かりません。
タクシーブルース会社の前を通ると、なんと昨日私たちを恐怖のどん底に陥れた「ラスタ号」の姿が。
うそ…なんか屋根に荷物詰んでらっしゃいますけど…。もしかして、またこれに乗客を乗せてトゥリアーラまで戻る気じゃ…。
そんな「ラスタ号」を憐憫の目で見送って、村をふらふらしてみましたが、37度を超える暑さでぐったり。日本にいたころは、まず買うことはなかったコーラが激しく飲みたくなり、「コカ、コカ」と言って歩き回ります。マダガスカルでは、コカ・コーラのことを「コカ」と言いますが、よろよろしながら「コカ、コカ」言ってると、まるで何かの中毒者みたいです。謎の商店でやっとの思いでコーラを手に入れ、
ついでに揚げドーナツを2つ食べて腹ごしらえ。
コーラが2,000アリアリ(約68円)、ドーナツは2つで200アリアリ(約7円)。
ということで、コーラをゲットしたら、ホテルの目の前の海辺へGO。レジャーシートは、ちょいちょい出番がありますから、これからバックパッカーをやる方はたぶん持っといたほうが便利だと思います。
何回かこのブログを読んでくださっている方はお気づきかと思いますが、私はお酒がほとんど飲めません。だから、こんなとき「とりあえずビールで乾杯、ウェーイ!! 」ってしたいんですけど、それもかなわぬ夢。「コーラでウェーイ!! 」です。
毎回食事シーンの投稿がいまいち盛り上がりに欠けるなあ、なんて思わずに、ソフトドリンク専門の私をあたたかく見守ってくださるとありがたいです。
ほとんど人のいないきれいなビーチで、
ごろごろして、本を読んだり音楽を聴いたりしながらのんびり過ごし、だんだんと日が暮れてきます。
午後5時半、サンセット。あぁぁぁ沈んじゃうー!!
あーあ、沈んじゃった。
しっかり日没を見届けてホテルに戻りました。
こうして今、屋根と壁がある屋内にいて、ゆっくりコーヒーを飲みながらブログを書いていられることがいかに幸せなことか、というのをあらためて感じます。今、午後11時。昨日の今ごろは、恐怖で眠れ…
あ、眠れてたな。
でも、もう二度と野宿はしません。野宿、ダメ、ゼッタイ!! 明日はついに最強のバオバブに会いに行く予定。どうやって行ったらいいのか、まだ何も目途が立っていないんですけどねー。どうにかがんばってみます。
それでは本日も、最後まで読んでくださってありがとうございました。
コメント6件
こんにちは!
僕も夏にマダガスカル行きたいなぁ…と思っていたら、ブログにたどり着きました!
ステキな文書で、情報もたくさんのっているので、すごくわかりやすいし、楽しいです!!!
野宿にタクシーブルースに…たくましすぎます!笑
これからも引き続きステキな旅を!
ブログ応援してます!!!
ほんとに何もなくてよかったですね!!
ラスタ号といい、ヒヤヒヤしながら読みしたf(^_^;
そして星空キレイすぎです!!
のんびり海辺で過ごしてるのも羨ましい!
早くいきたーい!
明日の記事も楽しみにしてます⭐
いつも楽しく(過去記事から順番に)読ませて頂いてます!
憐憫、なんて久々に聞きました。
僕が知ってる仰々しく貫禄のある言葉は、脆弱でしたが
憐憫もなんか良いですね!
年末から僕も世界一周の予定です。
今後もどうかご無事で!