南アフリカ2(1)できれば避けたかったよね私は。はじめてのヒッチハイク
元気いっぱい世界一周をやっております私は、現在南アフリカの「コックスタッド」という町に到着しております。次の目的地「ポートセントジョーンズ」までの中継地として一泊するだけなので、とくに何があるのかよくわかりません。今朝まで標高約3,000mのレソトにおりまして、そこから約200kmの道のりを経てやってまいりました。
【現在地】コックスタッド(南アフリカ)
Kokstad(South Africa)
【天候】晴れ
【気温・湿度】20度・32%(昼)
【為替】1ランド=約7円
サニマウンテンロッジからアンダーバーグまでの行き方
今朝までいたのはサニマウンテンロッジという、絶景しかない素晴らしい宿(宿の詳細はこちら)。ここからサニパスロードを通って南アフリカに抜けるのです。全体の経路はこんな感じ。
まずは、レソト&サニパスへの玄関口アンダーバーグ(南アフリカ)までの行き方。
9:00 宿をチェックアウト
ひとつ手前の村「モコトロン」からやってくる乗り合いバスは、毎日だいたい9時半から11時くらいの間にサニマウンテンロッジに到着します。モコトロンで人数がいっぱいになり次第発車なので、日によって時間はバラバラ。誰にも予測できません。
バスが到着するまでに、イミグレーションオフィスで出国手続きを済ませておきます。
写真の一番左の赤い屋根の建物がオフィス。パスポートを出すとすんなりポンっとスタンプを押してくれます。
しかし、ここで疑問が。
「モコトロンで満席になって、途中で誰も降りなかったら、途中乗車する私は乗れないんじゃないの? 」
若干不安になった私は、出国手続きをしつつイミグレスタッフさんに尋ねます。
「私、今日ここから乗り合いバスに乗って南アに下りたいんです。バスが満員で来ちゃったらどうすればよいんですかね? 」
「そんなの心配しなくても大丈夫だ。俺が絶対乗せてやるから。
それよりブランケットはどこにやったんだ!? ずっと巻いてた毛布があっただろう」
レソトの方々が伝統的に身に着けていらっしゃる毛布のことです。これに憧れすぎて、私はなけなしのお金をはたいて購入し、レソトにいる間中身にまとっておりました(購入時の投稿はこちら)。
たった一人でやってきた見慣れぬ東アジア人がなぜかレソトの伝統的な毛布を巻いてうろうろしている。
これはとんでもなく目立ちます。そもそも、ロッジと小さな村以外何もないエリアですから、私という存在の異物感はハンパなかったと思いますので、イヤでもみなさんに覚えてもらえるんですね。
「イミグレの人、欲しがるねー!! 」と思いながら、バッグの中にしまった毛布をひっぱり出してまた身に着けます。「よしよし」と満足そうに笑うイミグレの人。レソトの方は最後までみなさん感じがよく、「人生に疲れたらまたここに来よう」と思わせてくれるような大変素敵な国でございました。
10:30 モコトロンからの乗り合いバス到着
バスの乗客が降り、出国手続きを済ませます。
10:45レソト側ボーダーオフィス付近から乗り合いバス出発
南アフリカのボーダーオフィスを少し超えたあたりの乗り換えポイントまで110ランド(約770円) 。ちなみに、バスは満席で到着しましたが、3人掛けのスペースに4人座ることで私のスペースが確保されました。確かに何とかなりますので、ご安心ください。
ここから、“絶景”と名高いサニパスボーダーを通って山を下って行きます。窓から見える景色は、それはそれは美しく、
しかしながら、道路の状態は非常に心もとなく、
いろんな意味でドキドキわくわくするドライブでした。
レソトの乗り合いバスの中では、いつもレソト語の曲が大音量で流れています。アフリカっぽいノリの良い曲を、レゲエっぽくアレンジし、ちょっとゆったりさせた感じの音楽は、優しくて陽気なレソトの人々をそのまま歌にしたようで、とても心地よく響きます。
この曲を聴くのもあとわずかだなあ、と思うとちょっと寂しいなあ。
11:15南アフリカ側のイミグレ(サニパスボーダー)到着
ここのボーダーオフィスにパスポートを提出し、入国手続き。カウンターにパスポートをあずけたあとは、しばらく待機。そして、乗り合いバスの乗客は、まとめてパスポートを返却されます。
南アフリカボーダー付近から見上げるサニパス。
11:30南アフリカ側のイミグレ(サニパスボーダー)出発
12:00乗り換えポイント到着
一旦バスを乗り換えます。乗客全員が乗り換えるので、待機なし。
12:05乗り換えポイント出発
ここから南アフリカのアンダーバーグまで35ランド(約245円)。
12:45 アンダーバーグ(南アフリカ)到着
世の中どこでもバスがあると思ったら大間違い
アンダーバーグに到着し、他の乗客がみんな降りた後、ドライバーさんに尋ねます。
「私は本日、kokstad(コックスタッド)まで行きたいんですけど、そっち方面のバス乗り場はどこですかねえ?」
「コックスタッド行きたいの!? あー、バスないんだよねー」
え…、ないの!?
私の次の目的地は、ポートセントジョーンズという村。かつてサニパスカラアンダーバーグ経由してポートセントジョーンズまで行かれた日本の方は、おそらくほとんどいらっしゃらないと思います。みなさんアンダーバーグから、ダーバン方面に行かれるみたいですね。全然情報がなく、とりあえず、地図だとこのような感じなので、
大きいっぽい町「コックスタッド」まで行って、そこで一泊。それから「ウムタタ」経由で「ポートセントジョーンズ」まで行けばいいよね。そこそこ大きい町なんだから、町間をつなぐバスが出てるでしょ、なんて軽く考えておりました。
そんな私に降ってきた悲報。
コックスタッドに行くバスないってよ。
これは予想外。言葉を失う私にドライバーさんが笑いながら言いました。
「バス無いけど大丈夫だよ。みんなハイクしてるからさ。あんたもハイクで行くといい」
あーハイクね。知ってる知ってる。やるよねーみんな。
…え? …ハイク?
ハ、ハイク!?
ええぇぇええぇ!!!
聞いてないよそれは。
ハイクってあれでしょ? ヒッチのやつでしょ?
ヒッチのハイクはまずいよー。
右も左もわからない旅行者に実はバスあるのにヒッチハイクしかないとか嘘つくメリットは何もないですから、これは本当なのでしょう。優しいドライバーさんはさらに続けます。
「ハイクの場所まで連れてってやるからさ、あとがんばんな! 」
ちょ、ま、え…
降ろされた場所には、すでに数名の先客がいらっしゃいました。
ああ、確かにハイクの場所だわ。
でもなんかこう、気軽な感じ。
「買い物終わったし、サクッとハイクでもして帰りますかね」みたいな雰囲気ですよ。近くでヒッチハイクをしていた女性に尋ねます。
「ここハイクの場所で合ってます? 私コックスタッドまで行きたいんですよ。あなたもコックスタッドですか?」
「私はコックスタッドの半分くらいの距離の村だけど、方向は同じね」
「念のため伺いますが、本当にバスはないんですよねえ? 」
「ええ、ないわ」
「ですよね。ヒッチハイクはわりとよくたしなまれるんですか? 」
「そうよ。車がないから買い物に行くときはいつもヒッチハイク。あなたもやるの? まあお互いがんばりましょ」
なるほど。みなさん日常的にヒッチハイクを行っていらっしゃると。つまりヒッチハイクというのが一つの交通手段として確立されているわけですね。
ということで私も準備に取り掛かります。こんなこともあろうかと、太い油性ペンも白い紙もしっかり持ってるあたり、確信犯のにおいがしないでもないですが。
大きな声では言えませんが、ホントは少しうらやましかった
ヒッチハイク。それは私にとって実はちょっと魅力的な響き。
今までたくさんの旅ブログ(とくに男性ブロガーさん)で目にしてきた「ヒッチハイク」というワード。しかし女性でありおまけに独りである私にとって、野宿と同様、このヒッチハイクも、重大禁止事項として、【ダメ! ゼッタイ! リスト】入りしています。
【ダメ! ゼッタイ! リスト】
野宿
ヒッチハイク
暗くなってからの一人歩き
ドラッグ葉っぱ関係
不純異性交遊
これをしっかり守って、安全第一で旅を続けておりますが、本当は少しだけ、バックパッカーの男性陣がよくブログで書かれている、
「今日は行けるところまで行って、着いたところで野宿すればオケ」だとか、「お金がないのでヒッチハイクで次の町まで行くしかねーな」だとかの、ちょっとした“冒険”がうらやましくもありました。
もちろん、私だってヒッチハイクの危険性は重々承知で、知らない人の車に乗ってはいけませんというのは国内外問わず適用される禁止事項だと思っています。まさか好き好んでやるわけないじゃないですかー。やだなー。
ただねー、ちょっと今回に関してはこれ仕方ないよねー、ハイクしか方法がないんだから。私だって自ら進んで危ない目にあいたいわけではないんですよ。
とはいえハイクしないと目的地まで行けないって言うじゃないですか。消去法で一択になってしまってはしょうがない。
やりましょう!! ヒッチハイク!!
とりあえず、紙に目的地「kokstad」と書いてみます。
あとは車が来たら手を挙げてアピール。そんなにたくさんの車が通るわけではありませんので、一台一台しっかりドライバーさんの目を見て停まってくださいビームを送ります。
しかし、なかなかうまくいかないもので、1台も止まる気配はありません。
私の目から発せられる切実な停まってくださいビームに対して、少し微笑んでくれる方がいたり、反対側に行くんだよごめんねって言うジェスチャーをしてくれたりはするのですが…。
こうして約1時間が経過。
話には聞いていましたが、ヒッチハイクって難しいんですね。まあ私がドライバーだったとしても、どこの馬の骨ともわからない薄汚い私のような人間を隣町まで乗せてくために停車なんてしないと思いますけどね。
と、ここでヒッチハイク共同戦線を張っている地元の女性が、「全然だめねー! ちょっと休憩」と言ってタバコを吸い始めました。
「あ、じゃあ私もー! 」と言って2人してタバコを吸っておしゃべりしながら、片手間にヒッチハイク。
微塵もやる気が感じられない態度の悪いヒッチハイカー2人がヘラヘラしながら手を挙げたところで停まる車なんているわけな
あ、停まった…
わはは! やった! 開始から約1時間ちょっと、見事ヒッチハイク成功です。
何このヒッチハイク[イージーモード]ww
停まってくださったのはコックスタッド在住のおじさんで、他にも2人ヒッチハイカーの先客あり。
私も、いっしょにヒッチハイクした地元の女性も、無事車に乗せてもらうことができました。
ちなみに、このあたりのヒッチハイクはドライバーさんにお金を払います。ここから110km先にあるコックスタッドまで50ランド(約350円)。
車が走り出して分かったのですが、まわりは広い牧場や農場ばかりで家もあまりなく、
簡単に言うと、ド田舎。
これは確かに車社会だなあと実感。みなさん車なのであまりバス路線が発達してないようです。
そうして約1時間半のドライブの末たどり着いたコックスタッド。私の泊まっているホテルはすごくわかりやすい立地にあり、すぐ前まで送っていただきました。
初めてのヒッチハイクをなんとか無事に成し遂げた達成感。わずか1時間でしたが、
「もしこのまま暗くなるまで1台も停まらなかったらどうしよう」と不安になったり、
「いっそ行き先書いた紙に、500ランド(約3500円、相場の10倍)払いますって追記しようかな」とヒッチハイクの秩序を乱すよからぬことを考えたりしながらの非常にドキドキしたひとときでした。
そして車が停まってくれたときのうれしさたるや!!
短時間でこんなに気持ちの浮き沈みを味わうことってめったにないと思うのです。友人知人に怒られるのを承知で言いますが、
ヒッチハイク、楽しかった。
いつもはホテルにテレビが備わっていても、それを付けてみることはないのですが、ふと何の気なしに電源を入れてみると…
ナ、ナルト!!
「ヘイ!ナルトウズマキ! 」とか、けっこうシリアスなシーンなのに英語の吹き替え笑える。ヒナタの白眼は、吹き替えでも「ビャクガン」と言っています。なんだか、ナルトとヒナタに、よく頑張りましたと言ってもらってる気がしてうれしい気持ちでいっぱいです。南アでも放送されてるなんてすごいなあナルト。
あと、がんばった自分へのご褒美。
明日はついに南アフリカのポートセントジョーンズまで到達の予定。明日の移動は、ちゃんと公共のバスがあることを確認済みなので、もうヒッチハイクはいたしません。
いやほんとに今日が最初で最後です。
またひとつ、無駄にレベルがあがった気がするなあと思ったところで、本日の投稿は終了です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ビッチバイク ニッチバイク 箱根ターンパイク
適当に書いてみました。安全第一で。