ナミビア(10)ウェルウィッチアシャトルでスワコップムントへ来た理由
現在アフリカにある「ナミビア」という国を旅行中です。ナミビア滞在も残すところあと3日となってしまいましたが、最後に私がやりたいことがあと一つだけ残っております。それを実現するために、昨日首都のウィントフックからスワコップムンドという町までやってまいりました。
【現在地】スワコップムンド(ナミビア)
Swakopmund(Namibia)
【天候】晴れ
【気温・湿度】29度・40%(昼)
【為替】1ナミビアドル=約7円
スワコップムントは、ナミビア第二の都市で、ナミブ砂漠などの起点となる町です。ウィントフークからスワコップムントまでは、複数のバス会社やシャトルバス会社が運航しておりまして、所要時間は約4時間。私がとった手段は、シャトルバス(車体はハイエースのようなバン)です。
荷物用の小さい車が後ろに取り付けられていますので、バックパックが大きくても大丈夫。
利用したシャトルバス会社は「WELWITCHIA SHUTTLE(ウェルウィッチア シャトル)」。
決め手は、なんといってもそのネーミング。
車体に描かれたこちらの植物。
これが「welwitchia(ウェルウィッチア)」です。和名は「奇想天外(キソウテンガイ)」。
ご存じない方もおそらくいらっしゃると思いますが、この「ウェルウィッチア」という植物、見た目はものすごく地味ですが、なんというか、よくわからない変な魅力があり、一部のファンからは強い人気を誇っております。これ目当てにナミビアを訪れる人もいるとかいないとか。
そして何を隠そう、私もこの植物の魅力に憑りつかれた人間のひとり。ナミビアを発つ前にどうしても会いに行きたくて、「ウェルウィッチアシャトル」に飛び乗ったのです。
【ウェルウィッチアとは】
アンゴラとナミブ砂漠にのみ自生する巨大植物。
誕生は約1億年前。
そこからほぼ形状を変化させることのないまま今に至ります。進化も退化もほとんどしていません。植物界のシーラカンス。いわゆる“生きた化石”です。
成長がかなり遅いため、発芽から種を付けるまでに最低でも25年はかかると言われております。そして、
寿命は、長いもので約2,000年。
ふぁ!!?!?
すごいですね。ナミブ砂漠に生えているもっとも大きいウェルウィッチア(約4m)はこのくらい生きているらしいですよ。それがこちら。
葉っぱは、かなりボリューミーに見えますが、実はこれもともとは2枚の葉。それが経年劣化により割けたことでこのようになっているのです。乾燥した土地で生きていくため、葉っぱと根っこから水分を吸収するわけですが、それでいて葉っぱの数を増やすことはしないというストイックさ。どんなにズタズタになろうとも、ウェルウィッチアは、生涯この2枚の葉しか持ちません。
一説によると、若い個体がほとんど発見されておらず、絶滅が危惧されているとのことですが、いかんせん寿命が長い。1,000年2,000年と生きていかれますと、絶滅とか言われても、たいして危機感を持てないという現実。
ゴミのように見えるのに、
知れば知るほど魅力が増していく不思議な植物。なんかこう、過酷な環境でひっそりとたくましく生きている“孤高の植物”という感じがかっこいいではないですか。そんなウェルウィッチアをこの目で見たい気持ち、ほんの少し伝わりましたか?
ウィントフークからスワコップムンドまでの行き方
シャトルバス
【会社名】WELWITCHIA SHUTTLE(ウェルウィッチア シャトル)
【運航便】
ウィントフーク(Windhoek)14:00発→スワコップムンド(Swakopmund)18:00着
スワコップムンド(Swakopmund)7:00発→ウィントフーク(Windhoek)11:00着
※どちらも毎日運行。
【金額】片道260ナミビアドル(1,820円)
【乗車方法】メールにて事前予約。HP(welwitsiashuttle.com)に書いてあるメールアドレスに、希望乗車日、乗車人数、乗車場所(滞在中のホテル名)、降車場所(滞在予定のホテル名)、希望支払方法、自分の連絡先(携帯電話が望ましいが、なければメールでも可)をメールします。
翌日にはたぶん空きがあるかどうかの返信が来ます。支払いは当日車内でできますのでそれを希望すればよいかと。
空席がある場合は、予約完了の旨と、ホテルにピックアップに来てくれる時間がメールに書いてありますので、その時間にホテルで待機しておきましょう。
シャトルバスのよいところは、滞在先の宿まで迎えに来てくれ、宿泊予定のホテルまで送り届けてくれること。
ウィントフーク発が14時で、スワコップムントに到着したのが18時。外は暗くなりかけていたのですが、しっかりゲストハウスまで送っていただいたので何も不安はありませんでした。
こうして昨日やってきたスワコップムントですが、実は先週も私はここへきています。2泊3日ナミブ砂漠ツアーの滞在に利用した場所なのです。投稿はこちら。
そのときついでに行けばよかったんじゃないかという話もありますが、まあこのウェルウィッチアという植物にみんながみんな興味があるかというとそんなことはまったくなく、むしろ時間が限られたツアーで何を削るかって言ったらまあウェルウィッチア削るよね、みたいな位置付け。砂漠ツアーで行動をともにした皆さんの口から「ウェルウィッチア」というワードが出ることはただの1度もなく、それはまあそうだろうなと思っておりましたので、今度は一人でやってまいりました。
どうしてもウェルウィッチアツアーに行きたいです
本日の朝のことです。ゲストハウスのスタッフさんに、
「前もって予約しておいたウェルウィッチアの半日ツアー、明日ですけど、大丈夫ですよね? 」と聞いてみました。一週間前にここを訪れた際に、ウェルウィッチアを見に行くツアーに申し込んでもらうようお願いをしていたのです。
私は明後日には、次の目的地に向けて出発しなければなりませんから、明日を逃すともう後がありません。
ところが返ってきた答えはというと、
「ああ、あれね、2名以上からじゃないと参加できないらしいのよ。参加したいなら誰か友達を見つけないと無理ですって」
え…おひとりさまお断り!?
そしてそれを今言うの!?
内心このように思いましたが、まあ正式に契約書を交わしたわけではありませんし、支払いも済んでおりません。参加できないもんはしかたないので、あきらめ
られるわけねーわ。
こっちはわざわざそのために片道4時間、往復3,240円かけてここまで来てんだよ。
ということで、これは困ったぞ、と。まったく悪びれる様子のない宿の人に怒る気も失せ、仕方なく代替策を検討することにします。おひとりさまお断りの風潮には感心しない。
ぼっちにはツアーの参加資格がない、と言われましても、現状私は1人なわけで。この状況を今日明日の2日でリカバリーするのは100パー無理。
となると、残る選択肢は2つ。スワコップムンドから約70km離れたウェルウィッチアまでたどり着くには…
- タクシーをチャーターして行く
- 自分でレンタカーを借りて行く
どちらも全く考えていなかったので、果たして可能なのかどうかも分かりません。町中にタクシーはそんなにいたっけ? レンタカー屋さんはあったけ?よく分からないので、とりあえずゲストハウスを出て町の中心に行ってみることにしました。
ツアーに参加できないということは、どちらにしろ個人で行くことになります。その場合、入場許可証、いわゆるパーミットなるものが必要です。
これはスワコップムンドにある「Namibia Wild Resort(ナミビアワイルドリゾート)」で即日発行可能。とりあえずナミビアワイルドリゾートに行けば何かしらアドバイアスをしてくれるかもしれません。
地図でいうとここ。
看板が出ているので分かりやすいナミビアワイルドリゾートオフィス。
営業時間は月曜から金曜の8:00~17:00です。
2階がパーミット発行カウンターで、そこにいた女性に聞いてみます。
「ウェルウィッチアを見に行きたいんですけど」
「オーケー。どうやって行くの? ツアー? レンタカー? 」
「まだ決めてないんですけどね、タクシーで行こうかなって。4WD車じゃなくても行けますかね? 」
「まあ4WD車のほうが安心だけど、普通の車でも行けないことはないわ。でもあなた、タクシーはやめなさい。誰があなたの身の安全を保障するの? ドライバーがいい人だとは限らないでしょう。砂漠の真ん中を走っているときに、何かされたり何か盗られたりしないって保証はないんだから」
地元の人にそんなこと言われるともう絶対タクシーなんて乗らないと固く誓うしかないんですけれども。
「ほお、そういうもんですか。タクシーは危ないということですね。ではやはりレンタカーですかね」
「ええ、レンタカーのほうが断然いいわ。車を借りたらまたここへきなさい。そうしたら、パーミットを発行してあげるから」
丁寧にお礼を行って再び町へ。タクシーという選択肢が消えた今、残るは「レンタカー」一択です。はっきり言ってため息しか出ません。
車の運転、とても苦手。
その昔免許取りたてのころの話。実家に帰った際に、何の目的もなくただ「夜のドライブに行ってみよう」と思い立ち母の車を運転し、何もない壁に自らぶつかったことがあります。全然大事故とかではなく、ぬるぬるとぶつかった感じです。
車体は少し傷がついた程度で済みましたが、表に出ていない内側のどこかしらに致命的なダメージを負わせてしまったようで、その次に実家に帰ったときには
母は別の新しい車に乗っておりました。
車1台を再起不能にしてしまった罪。無意味な行動の代償がでかすぎて愕然としたのを覚えています。修理ができない場所がおかしくなっていたそうです。
非常に人間ができた私の母は、一切私を咎めることはありませんでしたが、それからは一度たりとも車を運転していません。
なんとなく作ってきた国際運転免許証はトイレットペーパーより価値がないなと、自分のポンコツっぷりに泣きたくなりながら町を歩いていると、ふと目に入った旅行会社の看板。「Namib i」というところです。
ここでレンタカー屋さんのことと、せめてマニュアル車が借りられるところがあるのかどうか聞いてみようと思い立ちます。
カウンターにいた元気いっぱいのおばさまに尋ねます。
「ウェルウィッチアを見に行きたいのですが」
「ツアーで? それともレンタカーで? 」
できることなら車の運転を回避したい私は、とりあえず軽くジャブを打ってみることにします。
「じ、自転車で行こうかなって。
さっき近くでレンタルサイクルのお店を見かけたんですよね」
「あなた、何言ってるの!?
ここから片道70kmもあるのよ? 自転車は無理よ」
自転車で世界一周や大陸横断・縦断していらっしゃる方もいるくらいですから、がんばれば行けないことはないかと思ったのですが、
まあ私に70kmの砂漠サイクリングは無理でしょうね。
「ですよね。自転車はないですよね。私もそう思ってました。しかしね、ゆうても私はおひとりさま。ツアーうんぬんおっしゃいますけど、
1人ではツアーに参加できないって知ってるんですよ」
「そうね、今はオフシーズンだからツアーも毎日催行されるわけではないし、だいたいは2名以上から申し込み可能ね。で、あなたもしツアーに参加するとしたらいつがいいの? 」
「明日です。むしろ明日しかなくて。
I really really really ラリルレリリアラリィ
want to see welwitchiaなんです。どうにかなりませんかね? 」
「オーケー。じゃあツアー会社に聞いて、明日ツアーが催行されているか聞いてあげましょう。もし催行が決まっていて空きがあれば、一人でも参加できるかもしれないわ」
ありがとうございます。ありがとうございます。
こうしておばさまはどこかに電話をかけ、
なんと残り1席というギリギリのところでツアーの参加権を得ることができました。
ホテルに任せっきりにしないで、最初から「Namib i」に行けばよかったです。場所はこのあたり。
スワコップムンドの町の様子
明日のウェルウィッチアが確約されたことで心に余裕が生まれましたので、スワコップムンドの町中を観光しながら宿泊しているゲストハウス「Skeleton Beach Backpackers(スケルトンビーチバックパッカーズ)」に戻ることにします。
ここは、昔ドイツが植民地化していた時代がありまして、町の様子はヨーロッパの街並みを思わせます。
むしろ、どこかのテーマパークかと思うぐらいにかわいらしい建物たち。
しかも、砂漠の中に作られた町は碁盤の目のように整備されており、歩きやすく分かりやすく、旅行者に嬉しい配置。
このような中心部から少し歩くと、スワコップムントでもっとも有名な観光スポット。「クリスタルギャラリー」があります。
ここには、世界一大きい水晶が展示されておりまして、それがこちら。
人物と比較するとそのスケールがすごく分かりやすいのですが、わざわざ自分が隣に立って水晶といっしょに写真に写りたというほどの思い入れはなかったので、たまたま通過したおじさんで代用させていただきました。
遠近感を考慮して見てみてください。かなり大きいんです。
館内に展示されているこの水晶のほかに、洞窟に水晶がそれらしく埋まっているような、展示が見られます。
暗く静かな洞窟に、ひっそりと光り輝く水晶はまるで
完全にモンハンじゃないですかー!!!
ピッケル持ってくればよかったあぁぁあ!!
ティガレックス置いてみたww
防具を強化するための何らかの鉱石が出る気配がぷんぷん漂っています。ギャラリー運営サイドとしても、はっきりいってたいして力を入れてないであろうこの展示に異常に興奮し、洞窟を行ったり来たりする私。
間違いなく入場料20ナミビアドル(140円)のもとはとったと思います。
こうしてひとときモンスターハンターの世界を堪能したあと向かったのは、
何らかの戦争をメモリアルした記念碑。
えっと、これは大丈夫なやつですか。
ここまでのリアルさは誰も求めていないんじゃないかと思いながら、血みどろの慰霊碑を眺めます。
赤い着色はあとから誰かによって足されたものだと思われます。いわゆる悪ふざけ。
戦争によってたくさんの血が流れたのだと、それはもうその言葉どおりに、露骨に訴え掛けてくる記念碑をしっかりと目に焼き付けてホテルへと戻ってまいりました。
だいぶ雑な紹介で申し訳ないのですが、スワコップムンドの町はこんな感じです。
ゲストハウスに戻り、スタッフさんたちに、「明日ウェルウィッチア行けることになったよ」と報告するとみなさんすごく喜んでくれました。別に悪い人たちではないのです。居心地のよいこのゲストハウス、私はとても好きでした。
明日はいよいよウェルウィッチアとご対面。それでは本日も最後までおつきあいくださってありがとうございました。
■スワコップムンドでおすすめのゲストハウス・安宿
Skeleton Beach Backpackers(スケルトンビーチバックパッカーズ)
住所:14 Moses Garoeb str, Vineta, P.O. Box 23658 Windhoek, Swakopmund, Swakopmund
宿泊日:2016年6月7日~8日
部屋の種類:ドミトリー
金額:140ナミビアドル(約980円)/泊※ありの場合、予約なしは160ナミビアドル(約1,120円)
【設備】
- Wifi:しっかりつながりますが、速度はやや遅め。
- シャワー:共同2つ※お湯が出る。すごくきれい。
- トイレ:共同2つ
- 朝食(宿泊費に含まれる):トーストやコーンフレーク、ヨーグルトなど充実。コーヒー、ミルクなどもあります。
【個人的な感想】
とてもきれいで快適にすごせるゲストハウス。料理ができる広いキッチンあり。コーヒーや紅茶は自由に飲める。近くにSPARというスーパーマーケットあり。
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