エチオピア(5)ラリベラのホーリーすぎる日曜ミサとささやかな逃走劇
現在、世界一周的なことをしている私はエチオピアのラリベラという町にいます。一枚岩をくり抜いて作ったオーパーツ的な教会が有名なこの町は、第二のエルサレムと言われるほどの、キリスト教の聖地。そんな場所で迎える日曜日は、地元の皆さんが参加するミサが開かれます。
【現在地】ラリベラ(エチオピア)
Lalibela(Ethiopia)
【気温】22度(昼)
【天気】晴れ・くもり
【通貨】1ビル(ブル)=約5円
どこかが狂っている気がするラリベラの町
ホーリーな町という謳い文句の印象からか、私はここへ来るまで、ラリベラはもっと穏やかでのんびりしていて、それこそ聖者みたいな清い心の人たちが暮らしているもんだとばかり思っておりましたが、これは大きな勘違いでした。
町の中心には、旅行者にたかる気満々のゴロツキの男性陣がたむろし、ホテルから一歩出るとそこにはいつも誰かしらが待っていて、ひとときも私が落ち着ける時間はありません。
昨日の夜気づいたんですけど、ホテルの前にマジでずっといる。
彼らの目的は、まずお金、そしてもしかしたら性的な何か。その割合はターゲットによるのでしょうが。しかしながら、私にお金や性的な何かを求められても、一切提供する気はありませんので、この人たちと接することがものすごくストレスになってまいりました。
だってもうほんとにずっとついてくるんだもん。
とても小さなことかもしれませんが、カフェでコーヒーを飲んだらなぜか私に話しかけてきただけの知らない人の分まで払わされていたり、勝手に私のたばこを吸ったり。地元の方々との交流は大切だと思うのですが、ここ数日で目にしたあまりにあからさまな彼らの搾取的な行動は私を相当げんなりさせているのです。言ってしまえば
この町めんどくせえぇぇぇ
かといって一日中ホテルの部屋に閉じこもっているのはあまりにもったいない。
というわけで、この囲われているというか、はべらせているというか、とにかくどうしようもなく気持ち悪い現状を打開すべく、対策を講じることにしました。
私が導き出した最善、そして唯一の結論。
よし、まこう。
撒く。つまり姿をくらまし、ゴロツキさんたちの手の届かない場所へ行こう。
とりあえず日曜ミサを見に教会へ
私がラリベラで楽しみにしていたのが、日曜ミサの景観。他に類を見ない石窟教会の日曜ミサに集まる人々は、なんというか、それだけでとても神聖な感じ。かつてインターネットで見つけた写真があまりにも素敵で、どうしてもこれは見ておきたかった。
朝5:50空がうっすら明るくなるころ、ひとりホテルを出て教会へ。さすがにこの時間はまだゴロツキさんたちは起きてないだろうと思いきや、しっかり見つかってしまいました。
ねえ、なんで!?
旅行者を逃さないための何かしらのネットワークが存在するんじゃないかなあ。
「私、ひとりで行きたいからついてこないで大丈夫です」と言ってみるも、彼らも日曜の朝は教会へ行って祈るのですから行き先は同じ。
ミサのあとどこに行くんだ? あそこに行こう、ここに行こう、朝ごはんを食べよう、トゥクトゥクを手配してやるよ。などなど、毎日毎日よく飽きないものです。
あ゛あ゛めんどくせぇなあと思いながら、セントジョージ教会に到着。朝6:30ごろはまだ人もまばら。
しかし、7:00ごろになるとどんどん増えていきます。
うーん、やはりとても絵になりますねえ。神秘的な十字架が印象的なセントジョージ教会は、私の一番のお気に入り。
一枚岩を掘ることで作られた”石窟教会”ですから、その所在は地面の下。けっこうな高さがあるんですよ。
ミサの時は、クリスチャン以外は教会内部に入ることができません。
7:30過ぎ、どこからともなく司祭さんが登場すると、人々がその周りを囲みます。
近くでは、聖なる泉の水を浴びるために待つ人々の姿も。
小屋の中が、ホーリーウォーターのお風呂だそうです。
私がずっと写真を撮っていてこの場所から離れないもんだから、ゴロツキさんたちもしびれを切らし、外で待ってるから、と教会入り口を指差します。待ってなくていいよ、と思いつつも、無言でニッコリ。
写真を見ていただくと分かると思うのですが、この日曜ミサを訪れる人々は皆白いスカーフを身につけています。私も昨日買ったばかりの白いスカーフをおもむろにとりだし装着。
変装完了。
こうして地元の方々の中にまぎれこめば、遠目には私がどこにいるかわからないはず。そして、事前に調べておいた抜け道で、町の反対側へ。後ろを振り返りながら草木の生い茂る道を注意深く歩いて行き、やっと舗装路にでました。
ラリベラは、世界遺産の石窟教会群を挟んで、坂の上エリアと坂の下エリアに別れています。
私が滞在している「BLULEL HOTEL」(1泊250ビル/約1,250円)がある非常にめんどくさいエリアが坂の上。
そしてこちらが、その反対にある坂の下です。
こっちにきてびっくり!!
驚くほど静かで落ち着いてる!!
わりとお高めのホテル(30ドル/約3,000円以上~)が立ち並ぶエリアだからか、暇を持て余したゴロツキさんの姿もありません。私が来るべきははなっからこっちでした。
とりあえず朝ごはん。
そしてお店の前に腰掛けて食後のコーヒーをいただきます。
ちょいちょい地元の方に話しかけられますが、坂の上と違って、みなさん素朴。
ただ見慣れぬ外国人に興味があるだけで、タバコくれとかコーヒーおごれとか、ガイドをしてやるとか、トゥクトゥクをアレンジしてやるとか、言ってくる人は誰1人いません。
宿代けちんないで最初からこっちに泊まればよかったと心底思います。
坂の上とはあまりにも違う環境に喜びをかみしめながら町中を散策。すると、なにやら華やかなお土産やさんが数軒目に飛び込んできました。
そういえば、エチオピアのお土産ってあまりイメージわきませんが、どんなのがあるんだろう…。
わくわくしながら近づいていくと、これはびっくり!
やだーカラフルでかわいいじゃないですかー!!
アフリカの中でも完全にノーマークだったエチオピアの手工芸品がこんなに私好みだったなんて。
色とりどりのカゴは、モロッコのものと似ています。インジェラを入れるカゴのミニチュアだそう。小物入れにぜひー。
エチオピア名物白いストールのバリエーションもたくさん。
独特の雰囲気。
大興奮でハアハア言いながら物色していると、お店番をしている女の子が話しかけてきました。
「名前は? どこから来たの? 」というおきまりのやり取りのあと、お土産についていろいろと説明してくれます。私が選びやすいように並べてくれたりww
彼女の名はユキちゃん、17歳の高校生です。
泊まっているホテルはどこ? と聞かれ「BLULEL HOTEL」と言うと、「坂の上から来たの? 遠かったでしょ? 」と。
そんな彼女に「いやいや遠かったもなにも、私逃げて来たんですよ」と愚痴ります。「坂の上はさ、男の人ばっかりで、みんなして旅行者になんやかんや言ってくるでしょ? わたしちょっと疲れちゃって…」
そう言うとユキちゃんは「たしかにあれはあなたにとってアンコンフォタブルでしょうね。戻りたくないんだったら今日はここにいるといいわよ。お店の中にいれば誰も話しかけてこないでしょ? 」と。
なんて優しい…。今の私にとって彼女はまるで天使。
しかもユキちゃんから「今からコーヒーセレモニーをやるんだけれど、もしよければあなたもコーヒーいかが? 」というお誘いが。
ええっ!! コーヒーセレモニーですと!!
エチオピア名物コーヒーセレモニー
エチオピアの独特な文化、コーヒーセレモニー。これをガイドブックで見てから、コーヒー好きの私としてはぜひ参加してみたかったのです。
オリジナルなスタイルで、コーヒーを五感で楽しむという素晴らしい行事。これを1日3回朝昼晩と行うのが主流だそうで、セレモニー用のセットは、各家庭にはもちろん、こうしてお土産屋さんの一角にもあるのです。
ユキちゃんが準備をしてくれています。
まず、床に敷いてある草にご注目ください。
こちらはケテマという草で、まるで自然の中にいるようにするという演出。お花までちりばめてあってかわいいですね。そして、セレモニー用の小さな七輪に、独特の香りがする乳花という素材を入れます。すると部屋いっぱいにいい香りが立ち込めセレモニースタート。
コーヒー豆を小さな臼で粉状にし、それをポットにたくさん入れます。その中にお湯を注ぎしばし待機。
コーヒーが煮だされたら、まずは一杯目を小さなカップに注ぎます。
それを手渡され飲んでみると、うん、これはおいしい!!
めちゃくちゃ濃いストロングコーヒー。でも、苦味は少なくておいしい。一杯目はコーヒーの味を楽しむために、砂糖などは入れないで飲みます。
一杯目を飲み終えると、カップに二杯目が注がれます。二杯目は、一杯目よりやや薄め。これにはお砂糖を入れて飲んでみました。これを飲み干すと最後の三杯目。コーヒーセレモニーは、コーヒーを3杯で1セットです。
各家庭で毎食後にこれをやるそうですが、まあ、都会ではやってないか省略していると思います。あとは、友達を招いたときや、お客さんが来た時にも欠かせないイベント。なんだか中国のお茶のセレモニーと似ていました。
美味しいコーヒーをごちそうになったあと、さんざん悩んでお土産を購入。
カラフルでかわいいでしょう!!
小さい小物入れ各50ビル。お皿各100ビル。
たくさん買ってくれたお礼にと、ユキちゃんが、エチオピアンガール風に髪を編んでくれました。
あのー、ここでこうして数時間遊んでますけど、誰1人お客さん来ない。大丈夫かなあと心配になります。とはいえ、お互いに相手の国のことをよく知りませんので、聞きたいこともたくさん。
私としてはまず、女の子も英語を流暢にしゃべれることに驚き。町中で話しかけてくるの男の人ばかりでしたから、てっきり女の子はあまり英語を話さないんじゃないかと思っていました。
ユキちゃんに言わせると、女性はあまり表に出ていろんな人たちに話しかけたりしないし、男子と女子がいっしょになって遊んだりすることも少ないのだそう。これはエチオピアのカルチャーなんだそうで、そんなことをしていると、家族があまり良い顔をしないということです。
なるほど、いろいろと納得。
それからお互いのスマホに入っている写真を見せ合ったりしながら、なんとも平和な1日を過ごしました。坂の下、最高。
夕方になりお腹もすいたので、そろそろ坂の上に戻ると言うと、なんとユキちゃんから「明日のランチにあなたを招待したいんだけど、もしよかったら、うちに食べに来ない? 」とのお誘い。
い、いいんですか!?
「明日は、いとこが遊びに来るからみんなでお昼ご飯を食べることになってるのよ。エチオピアのおいしい料理を作るからぜひ!! 」ですって!!
知らない人についていかない、というのは、ぼっちのバックパッカーの鉄の掟ではありますが、こんないい子がなにか悪いことを企んでいるとは思えません。二つ返事で参加の意思を表明し、とりあえず今日は坂の上に帰ります。
ちなみに、本日のお昼ご飯兼晩御飯はこちら。
おなじみインジェラ料理ですが、本日はビーフにしてみました。少しスパイシーでピリッと辛いのですが、食べられないほどの辛さではなく、おいしくいただきました。ボリュームたっぷりでお腹いっぱい。これで70ビル(約350円)です。
坂の上に戻ると、しっかりゴロツキさんたちがホテル前にたむろしていて、「どこに行ってたんだ」「俺たちとの約束をやぶったな」と非難されました。
あのさぁ、あなたたち私の彼氏かなんかでしたっけ??
そもそも約束なんてしていませんし、どこに行っていたか報告する義務もありません。ほんとうに不思議な人たちです。
それでは、本日の投稿はこれにて終了。ラリベラ最終日の明日は、天使(ユキちゃん)とそのご家族とランチを共にする予定。いやぁ、楽しみですねえ。それでは本日も最後までお付き合いくださってありがとうございます。
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