エチオピア(25)コンソの2段スカートと栄養たっぷりローカルビール
現在世界一周をしております私は、エチオピアを旅行中。南部にあるオモバレーというところにおりまして、本日は、ジンカ(Jinka)という町からコンソ(Konso)という町まで移動します。このコンソは、『コンソ村の歴史的景観』として世界遺産にも登録されているところ。訪問の様子をお届けします。
【現在地】コンソ(エチオピア)
Konso(Ethiopia)
【気温】29度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】1ビル(ブル)=約5円
ジンカからコンソへの行き方(公共のバス)
ジンカからコンソまでの移動は、地図でいうとこうなります。
ジンカの町のバスターミナルはこちら。
このルートは、利用者が多いので、普段であれば1日に数本のミニバスが運行している模様。しかし、私が利用した日は、お正月の翌日で、バスは早朝の1本のみしかありませんでした。
7:20 バスターミナルに行くと、ほぼほぼ満席のミニバスを発見! あっぶねー。かなりぎゅうぎゅうのバスですが、乗れただけマシです。
9:50 ジンカを出発して、約2時間半、コンソの町に到着です。
この日は月曜日。コンソのマーケットが開かれる日です(コンソのマーケットは月曜と木曜)。
着いて早々目を奪われるのは、女性たちが着用しているスカート!!!
2段になったボリュームたっぷりのスカートこそが、コンソ族女性の民族衣装。
若い女の子からおばさままで、たくさんの人々がこのスカートを着用なさっていて、それはそれはかわいらしい光景が広がります。
これまで紹介してきた、ハマル族やムルシ族みたいに、「ザ・少数民族」なテイストではないので、旅行者さんからの注目度はそこまで高くないのですが、ファッション好きな方であれば、かわいくてかわいくて仕方のない着こなし。
たくさんの人でにぎわっているマーケットを歩いていると、いらっしゃいました、テーラーさん。
これだけ気合の入ったスカートを着用なさっている民族ですから、テーラーさんも大忙しの様子。
たくさんの女性たちに囲まれ、ミシンを踏んでいる男性。きっと腕利きのテーラーさんなのでしょう。スカートの状態のもので売っているのかと思っていましたが、みなさんがはいてらっしゃるスカート、きっとオーダーメイドなのですねえ。
このコンソスカート、買うかどうか悩むところではありますが、一応、値段を尋ねてみました。「あのー…まだ買うって決めてないんですけど、1枚おいくらくらいなんでしょう…? 」
「6m? 8m? どのくらいのが欲しいの!? 」
え、メートル指定!?
そうなんです。このスカート、長さがどうとかではなくって、ギャザーのたっぷり具合といいますか、フレア具合によって値段が違うんです。生地の使用量ですから、6mより、当然8mのほうがひらひらふんわり、ボリュームたっぷりのスカートになります。
「8mだとおいくらくらいですか? 」
「500ビル(約2,500円)だ。2枚、3枚って買うならディスカウントするぞ」
なるほどなるほど。明らかな旅行者価格です。そして2枚、3枚は欲しくありませんので、今回はスカートの購入は断念。買っても、たぶん日本ではく機会はないもんなあ…。
ヒラヒラスカートに身を包んだキュートな女性たちだらけのマーケットを散策。
頭に巻いたバンダナも民族衣装の一部なのでしょうか?? マーケットをより鮮やかに彩ります。
緑、黄色、赤はエチオピアの国旗の色。
その後は、地元の方が集まるローカルビアハウスへ。
ビアハウスといってもあれですよ、お酒のんでウェーイってやる感じではなくってですね。ここでいうローカルビアとは、このあたりの少数民族さんの多くが普段飲まれているいわゆる「カロリーメイト」とか「ウイダーインゼリー」とかそういう感じのポジションの飲み物なんですよ。
先日訪れたハマル族さんが集まる町「ディメカ」でもローカルビアハウスを訪問しましたが、コンソ族さんもそれと似た習慣をお持ちなのです。
ここに来れば、ローカルな方々の素の表情に触れられますから、少数民族訪問をなさる方は、各町のローカルビアハウスに足を運んでみるとよいと思います。町の人に聞くと教えてくれます。
さあ、やってきました、コンソのローカルビアハウス。
さっそく目につく男性と女性のですが、これがコンソの伝統的な衣装。
女性は先ほどからご紹介している、2段になったスカート。そして、男性は、ボーダーの短パンなんですねえ。これまたかわいらしい。
そして飲んでいらっしゃるのが、ローカルビア「チャガ(チャカ)」。
ゾルゴーンという穀物を粉にして、熱湯と、発酵のためのイーストを入れ、数日おいたものです。
あのー、私これすごく好きってわけではないんですけれども、ローカルビアと少数民族さんというのは切っても切れない関係にありましてですね、ここにきて、いっしょにローカルビアを飲むと、急激に距離が縮まる気がするんですよ。(ぜったいに残してはいけない)
最初の一口。
まず感じるのは、酸味。これは発酵させているからですね。ハマル族の村より、固形物多めで、とてもドロッとしています。においと食感、というかのど越し? は、甘酒に近いんですよ。でも味は酸っぱい。
これを朝仕事に行く前に飲んで力を付けるわけですね。
けっこうなドロッと感ですから、かなりおなかにたまります。飲み物というより、食べ物に近い、毎日の生活に欠かせないスタミナ源なのです。チャガを飲んでいると、となりのおじさんからお皿が差し出されました。
乗っているのは、茹でた小豆。ビアハウスにいらっしゃる方々は、まったく英語を話されませんが、「ハルシャ! ハルシャ! 」とおっしゃいますので、おそらくこの小豆の料理名がハルシャ。
コンソ族の皆様は、グリーンペッパーのペーストなんかを付けて召し上がっていましたが、私はそんなスパイシーなもの付けず、どこか懐かしく、そしてやさしいお味を噛みしめながら茹で小豆をいただきました。
世界遺産! コンソ族が暮らす村とは
おなかも満たされたところで、コンソ族のみなさんが暮らす村に行ってみましょう。コンソ族は9つの村があり、それぞれ集まって暮らしています。私が行ったのは、コンソの町から一番近い「ダラ」という村。
世界遺産にも認定されている、コンソの集落の特徴は、山の斜面に畑を築き、さらにそれを要塞としたところ。
このあたりの地域は、平地が少なく、そのままですと畑作にはあまり適しません。そこを開墾し、斜面に段々畑を作り、作物を育てること始めたのがコンソ族。今はこれ収穫が終わって草が枯れちゃってますけど、立派な段々畑なんです。
さらに、しっかりとした石を積み重ねて作った塀は、攻めてくる他部族から自らの土地や人を守るために機能しているのです。
要塞都市のようでものすごくかっこいい!!
しっかりと塀に囲まれた安心感のある住宅。
畑で取れた作物はこのような高床式の食糧庫で保管します。
中をくりぬいて乾燥させて食器にするためのヒョウタンのような植物。
山の上の村まで荷物を背負って運ぶ女性たち。
不安定なエチオピア情勢
実はこの日、マーケットを散策している途中にちょっとした事件(というほどでもない)が起きました。突然、マーケットにいたコンソ族の人々が、マーケット会場の出口に向かって一目散に走り出したのです。
わけがわからなくって、とりあえずみなさん逃げていますから、私もいっしょになって逃げました。泊まっていた宿が、マーケット会場からすぐ近くにあり、私がホテル内に入ると、すぐホテルのドアにカギをかけ後から誰も入れないようにしていました。
「何があったの? なんでみんな逃げてんの!? 」と聞いても、ホテルのスタッフさんはそんなに英語が堪能なわけではなく、とにかく「危ないから外に出るな、今日は観光はやめたほうがいい」を繰り返すばかり。
マーケット会場で何かあったのか? とも思いましたが、爆発音や銃声なんて聞こえなかったし、火が出ているとか血を流している人がいたとか、そんなこともありませんでした。
しかし、宿のドアの隙間から外をのぞくと、迷彩服を着たアーミーの方々がたくさん。
なんなんだろうと思いつつ、宿の敷地内で休んでいると、偶然やってきた英語を話す現地の人が状況を説明してくれました。
人々がパニックになった原因は、一人の女性が、電話越しに「えー!! 殺された!! 」と叫んだからだそう。彼女は、数十キロ離れた場所にある村の妹だか姉だかと電話していて、電話の向こう側にいる誰かが、政治運動家VS警官隊との闘いで殺されたという知らせを聞き、つい大きな声で叫んでしまったとのこと。
電話越しに叫んだ「殺された! 」という叫びを聞いた周囲の人々が、まさに今この場で起こったことだと勘違い。そして急に逃げ出したことから、マーケット会場にいたほかのすべての人々も一斉に逃げ出す事態に。
けっきょく、ここコンソで何かが起こったわけではないですが、現在もエチオピア北部では、政治運動家と政府との対立が激化しており、人気観光地である「ゴンダール」や「バハダール」も安全ではなくなってしまっています。
遠く離れた南部の町でも、やはり人々の心のどこかにそんな国内情勢は暗い影を落としていて、ちょっとしたことが引き金になってパニックになってしまったのかなあ。こういうとき、現地の言葉が分からないと困るなあと思います。そしてひとりだとやっぱり不安だ。
というわけで、コンソの村、ほんとうはもっとじっくり見たかったのですが、なんとなく村の人たちの表情も暗く、コンソの町自体もそわそわしてあまり雰囲気がよくありませんでしたので、かなり短時間で切り上げました。
わずか1日の滞在でしたが、明日コンソを発ち、出発地である「アルバミンチ」に戻ります。それでは本日はこのへんで。最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
■コンソでおすすめの安宿・ゲストハウス・ホテル
ここコンソは、エチオピアからケニアへと抜ける人々が必ず通る分岐点。金額重視の旅人さんのために、本日の宿情報を記します。
このレストランの裏にあります。
1泊80ビル(約400円)。
室内に充電できるコンセントがありませんので、宿のスタッフさんに頼んで充電してもらう必要あり。トイレ共同(内部はブログへの写真の掲載を控えたいと思うほどのレベル。お察しください)。
シャワーなし。
監獄にいるような気持ちになれる室内。
コメントを残す