エチオピア(23)アリ族村で体験!! どこまでも自給自足な花嫁修業
現在世界一周なんぞをしております私は、エチオピアを旅しています。昨日からエチオピア南部「オモバレー」に暮らす少数民族「アリ族」さんのお宅にホームステイ中。本日はアリ族に学ぶクリエイティブ生活、そして彼らの自給自足についてご紹介したいと思います。
【現在地】ジンカ(エチオピア)
Jinka(Ethiopia)
【気温】25度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】1ビル(ブル)=約5円
モノづくりに長けた「アリ族」の生活
昨日は、エチオピア暦の大晦日ということもあり、我々の手土産「羊」をみんなで分け合って食べました。それはとても楽しい夜でしたが、慣れない暮らしの疲れもあり、日付変わるカウントダウンを待たずして就寝いたしました。昨日の投稿はこちらです。
この村を訪れた最大の目的は、「アリ族的自給自足テクニックを学ぼう」。オモバレーには16の少数民族が暮らしています。その中でアリ族は、日常生活に使う様々な道具や食品を作ることを得意とする民族。
「ものづくり」というものに非常に興味がある私は、アリ族村に滞在し、様々な経験をさせていただきました。本日はそれらをレポートしたいと思います。
【朝は栄養満点のお茶から始まる】
アリ族の朝は、ざっそ…
いや、栄養分の詰まった草花を、臼ですりつぶして飲むことから始まります。
自分でつぶしながら「あぁこれを飲むのかあ」と複雑な気分。
メインはコーヒーの葉。実ではなく、葉っぱもお茶にしていただくんですねえ。
そのほかにも次から次へと、得体の知れない植物が投入され、最後にグリーンペッパーとニンニクと塩が入ったところで、味を想像するのをやめました。
鍋で煮出すこと20分。
ほほう、なかなかいい感じに仕上がってきているではありませんか。
これを小さな湯呑に入れて全員で飲みます。
一口飲むと、
一気に目が覚める!!!
ガツンとくるわあ。スパイスと塩気となんだかわからない植物の味!! 脳みそが瞬時に覚醒し、シャキッとしたところで、アリ族の手作り教室をご案内いたしましょう!!
【花嫁修行! インジェラお料理教室】
こちらの女性はインジェラを作っていらっしゃいます。
エチオピアの人々の主食「インジェラ」はテフというイネ科の植物を原料にしたクレープ状の食べ物。一部の人からは「見た目ぞうきん、味はゲロ」と評されておりますが、まあ慣れてしまえばそんなに悪いものではなく、確かに酸味はあるもののこれはこれでおいしいなと思うようになります。
アリ族村付近では、原料のテフをあまり栽培していないそうで、かわりにコーンを使ったインジェラを食しています。コーンを粉にして水と混ぜ、イーストを入れ数日置いて発酵させます。
それがこちら。
これを陶器のフライパンで焼いていきます。ぐるーっと円を描くように流し入れ、薄くのばします。
蓋をして数秒置いてから裏返し、さらに数秒焼いたら完成。
かなり大量のインジェラがありますが、これはマーケットで売るためのもの。インジェラを焼く作業を見ながら、ガイドのアスマモさんが言います。
「アリ族の女性はインジェラを上手に作れるようになって一人前なんだ。おいしいインジェラを作ることができる女性ほどよりよい旦那さんと結婚できるといわれ
「あー私嫌いだなー、そういう考え方。料理ができるからいい奥さんって、なんですかそれー。我々女性は家事ロボットではないですから、それはやっぱりその人の性格というかパーソナリティーを重視していただかないと。料理ができる=女性としての価値が高いみたいなこと言ってると、モテませんよ」
もののたとえで言った言葉に真っ向から異論をとなえ、ガイドを困惑させる空気の読めない私。とはいえ、より生活に密着した部分でほかより秀でた能力があるというのはとても大切なこと。見た目がどんなにかわいくても、生活能力ゼロではさすがに困ります。
アリ族女性のクリエイティブ活動は、そのまま花嫁修業に直結するととらえていいでしょう。さあそれでは私もチャレンジしてみましょうかね。
グルーっと流し入れて。
はい、なんか変な形になっちゃいましたね。
片面が焼けてきたら、これをひっくりかえ
あっっっつ!!!! うわーあっつい!!!
これ素手でやんの!? ひゃー大変です。こうして出来上がりました。私のファーストインジェラ。
これは売り物にならないので、その場でみんなで食べました。アリ族の女性は大変です。「胃袋を掴んだ者が真の勝者」というのは世界共通なんですね。
【ワイルド系バリスタが淹れるコーヒー】
続いては、こちらもエチオピア人の生活に欠かせないコーヒー。先日訪れたハマル族さんは、コーヒーの実ではなく、殻を使ったお茶を飲んでいましたが、アリ族はしっかりコーヒーの実の部分も飲みます。
まずコーヒーの実。それがこちら。家の近所に木を植えているので、そこかしこで収穫できます。
中にはちゃーんとコーヒー豆の形の実が入っています。
コーヒーの実は、かじったらけっこう甘かったです。それでは本日はこのコーヒーの実を使って…
えーそこから!? と思った方、ご安心ください。本日は実を収穫し、すでに乾燥させたものをご用意しております。
これを煎るところから始めましょう。平らな鍋に実をざーっと乗せて、火にかけます。
焦がさないようにかきまぜ続けること30分。
段々と色が変わってきまして、いい感じに焙煎できていますよ。
そうして、こんがりいい色になったら豆の完成!!
続いて、これをグラインドいたします。用意するのは小さい臼と杵。朝、雑草ティーを作ったやつと同じ道具です。
これに豆を入れて、餅つきの要領で、何度も何度もたたきます。お手本がこちらー。
けっこうな重労働ですがこういう黙々とやる感じの単純肉体労働得意ー。
こうして細かくくだいたコーヒーの粉を、水と一緒にポットに入れて火にかけます。
コーヒーの粉を煮出すので、エチオピアのコーヒーは驚くほど濃くってめちゃめちゃストロング。
さあできました!! コーヒー。
ものすごくいい香りがします。コーヒーのお茶請けは、ポップコーンやゆでたコーン。お子様たちといっしょにかじります。
【土器土器!! ポット作りに挑戦】
さあ次は、陶器作りに挑戦。挑戦と言っても、ちょっとお皿の形を作ったりさせてもらうだけですよ。
だって、こんな大作、素人の私にはとうてい無理!
アリ族の中では、陶器を作るのは女性の仕事。母から娘へと、その手法が受け継がれてゆくのです。陶器づくりを教えてくれたこの女性も、彼女お母さんから習ったそう。
見た目より作るのが難しくって、だんだん飽きてきました。ふと隣を見ると、お子様たちが何やら作っています。
アリ族の子供は、今まで出会った中で、ぶっちぎりで人懐っこくてかわいい。子供とか、好きで好きでたまらないというわけではない私ですら、目じりが下がってしまうほど。
小さい土器、くれるの?? かわいいなおい。
作った器は、一旦乾燥させるために1日置きます。そして、そのあと、表面を滑らかにする作業を経て完成。最後は家の裏にあるスペースにてしっかりこんがり焼いたら完成です。
草の葉をすりつぶして作った釉薬をぬって光沢を出すと、より素敵な仕上がりになるんだそう。
町で使われているポットや鍋は、はほぼすべてアリ族が作ったものだそうです。
【苦手なお酒の作り方も一応】
私はお酒に弱く、強い酒なんてぜったいに飲めないのですが、一応アリ族村で作られているローカルな酒造りの現場も見せていただきました。
原料はコーン。実を水に浸して、ちょっと芽が出るまで育ててからお酒造りの開始。
芽の出たコーンを干して、粉にします。それからホップと熱湯を加え数日置く。そうして出来上がったものをこちらの「アリ族特製蒸溜マシン」に投入するのです。
原始的に見えて、しっかりと計算された機能的なシステム。
右側の大きなポットに、原料を入れ、火にかけます。中身の液体が沸騰し、水蒸気となったものが、左側に流れ込みます。左側の器の中には、水とガラスポットが入っていて、水蒸気が冷やされ、ここで再度液体に戻る仕組み。
思ったより複雑ですね。こうしてできたお酒がこちら。
ボトルを振って細かい泡がいつまでも出ているほど、アルコール度数が高くよいお酒だそうです。このボトル、けっこう泡が残っておりますよ。そうして、手渡された中身。いわゆる、ホーリーウォーター。
興味津々のお子様に見守られながら、試飲。
あぁ、コーンのにおいがほんのりしますねえ。こわいよーこわいよー。
!?
い゛い゛い゛ぃぃぃぃ。
ちょっと舐めただけでギブアップ。こんな強い酒私には飲めませんでした…。
こうしてぐるっと村を一周して、アリ族さんの生活を見せていただきました。
彼らの作ったものはジンカのマーケットで売られておりまして、人々の毎日の生活の役に立っています。自給自足の暮らしとは言え、現在は、物を売って得たお金で、自給できないプラスチック製品や薬、石鹸などは購入しているそう。
こんなふうに、古くから代々受け継がれた技術を、今なお継承し続け、現役で役にたっているなんてすごい。
日本にいるときの私は、なんでも買ってきて済ませちゃってたなあ。
忙しい毎日では、さすがにコーヒーを焙煎するところからはじめてみましょう! なんてできませんけど、たまには、こんな心に余裕のある暮らしもいいものだなあと思いました。アリ族村入村料600ビル(約3,600円)※宿泊の場合。
たくさんお世話になったアリ族村ホームステイもここまで。この日は、エチオピア暦の元旦です。せっかくなので、一般的なエチオピアの人々がどのようなお正月を送ってらっしゃるか「ジンカ」の町に見に行きたいと思います。明日の投稿をお楽しみに~。それでは本日も、最後までお読みくださってありがとうございました。
コメントを残す