エチオピア(3)ラリベラの石窟教会完全ガイド&魅惑のフライデーナイト
世界一周をやっております私は、現在アフリカのエチオピアという国を旅しています。ここは、なんと言いますか、他のどの国とも似ていない、よくも悪くもオンリーワンな場所でございます。本日は、世界一周出発前からぜひぜひ行ってみたいと思っていたラリベラの石窟教会群を訪れました。
【現在地】ラリベラ(エチオピア)
Lalibela(Ethiopia)
【気温】22度(昼)
【天気】晴れ・くもり
【通貨】1ビル(ブル)=約5円
私が滞在しているのは、ラリベラという町。ここには、世界遺産にも指定されている「石窟教会」があります。エチオピア滞在のハイライトと言っても過言ではない有名な場所であり、私も、絶対に来たかった場所。朝から夕方までみっちり観光してまいりましたので、その様子をお伝えします。
言わずもがな朝食もインジェラ
朝起きて、宿の近くの食堂にて朝ごはん。昨日の投稿でご紹介したインジェラという食べ物は、エチオピア人のソールフードでございまして、当然朝昼夜ともれなく食べられています。
朝は、ちゃんと朝食バージョン的なメニューがあり、インジェラ+卵&ビーフで50ビル(約250円)。
すげーおいしいってわけではないですが、2回目のインジェラで、すでにこの味に慣れつつある私。ただし、この量の多さはかなりきつい。薄いクレープ状とはいえ、イネ科の植物が原料ですからしっかり炭水化物。すぐにお腹がいっぱいになります。
朝ごはんを済ませ、食後のコーヒーを飲みながら目の前の道路を観察。
教会に行かれる方は、みなさん白いストール、スカーフをまとっていらっしゃいまして、ここが敬虔なクリスチャンの町なんだなあと再認識。
教会に入るときは、白い布をまとうのがマナーらしいです。
8:00ホテルの前で待ち合わせをしていたガイドさんと合流。町の中心部から、教会群までは徒歩10分程度。ゆっくり歩いて向かいます。
■ラリベラ教会群の観光について
【チケット料金】50ドル(チケットは5日間有効)
ラリベラにある11の教会すべてで有効。購入したチケットには、名前とパスポート番号を記入するところがあり、もちろん本人しか使えないチケットです。
【入場時間】8:00~12:00、14:00~17:00
各教会の入り口や、敷地内のいたるところにチケットをチェックする人がいます。本人確認のためにパスポートを見せろと言われたことは1度もありませんでした。
ガイドなしでも入場可能です。教会の敷地内をガイドなしで歩いていると「ガイドを雇わなければならに決まりだ」と嘘をついてお金を取ろうとする悪い人がいますのでご注意ください。
【教会群の地図】
ラリベラの町には11の教会があり、ガイドさんはそのすべてをガイドしてくれます(ガイド料400ビル・約2,000円※1グループ)。教会群は大きく分けて、北側の第一グループと南側の第二グループ、そして真ん中あたりに、独立して「セントジョージ教会」があります。
私は、午前中に第一グループ、午後に第二グループとセントジョージ教会を訪問しました。本ブログの内容は、ガイドさんの英語の説明を私がざっくり訳しているだけなので、間違いがあるかもしれません。ごめんなさい。
そもそも、このラリベラの石窟教会群は何のために造られたか。
時は11世紀~12世紀にまでさかのぼります。もともとこの地域で信仰されていたのがキリスト教。キリスト教の方々は、聖地エルサレム巡礼したい、と思われるわけですが、当時、イスラム教の方々がそこにたどり着くまでの道を占領しておりました。
エルサレムに行くことができなくなったエチオピアのクリスチャンの方々。これは困った。そこで登場するのが、この町の名前でもある、ラリベラ王です。
ラリベラ王には兄がいて、なぜだかその兄がラリベラ王に嫉妬して毒を盛ります。
毒を摂取したラリベラ王は、三日三晩昏睡状態に陥ります。そして、その間にヘブンを見たと。さらに、神から、ホーリータウン(つまり第2のエルサレム)を作りなさいと言う啓示を受け、この石窟教会の建造に取り掛かったそうです。この教会群一式を作り上げるのに23年かかったと言われています。
ちなみに、”ラリベラ”とは現地の言葉で「ハニーイーター」。ラリベラ王が生まれたときにミツバチが寄ってきたそうで、王の母親が「ラリベラ」と名付けたらしいです。
それでは、各教会をざっくりとご紹介いたします(番号は私が見た順番です)。
■第一グループ(北側)
【1】聖救世主教会
Bet Medhane Alem(Church of the World Saviour)
ラリベラで一番の大きさを誇る石窟教会。メインエントランスに一番近く迫力満点のこちらは、1つの岩を掘り下げて作られています。つまり、位置的には、地面の中に存在するということ。こんな大きな建物を、地下に掘るなんてとんでもなく手間のかかる作業です。
窓の形が独特で、上段はアクスム様式、下段はギリシア様式。
教会の周りを流れる細い川は「ヨルダンリバー」と呼ばれています。
これも、エルサレムを意識して付けられた名前。こちらの窓の形は、鍵穴。
2つの鍵穴は、それぞれ天国と地獄を表しています。
【2】聖マリア教会
Bet Maryam(Church of Mary)
この日はミサが開かれておりました。
内部には、カラフルな絵画がたくさん。
内部の柱には貴重な壁画が描かれているそうですが、今は布で覆われていて見ることができません。
こちらはホーリーウォータープール。
入ると子宝に恵まれると言われております。
【3】ハウスオブクロス
Bet Meskel (Church of the Cross)
【4】聖ダナグル教会
Bet Danagel(Church of the Virgins)
かなり小さい教会ですが、内部には美しい絵画が飾られています。
カラフルな色は、すべて草花から抽出したインクだそう。
【5】【6】聖ゴルゴダ教会&聖ミカエル教会
Bet Golgotha and Bet Mikael(Church of Golgotha and Sain Mikael)
この2つの教会は、内部でつながっています。聖ゴルゴダ教会は女人禁制。ガイドさんが内部の写真を撮ってくれましたが、このような12使徒の象があるそうです。12使徒ねー…。
聖ミカエル教会は、ラリベラの中でもっとも美しい教会と言われています。
窓から差し込む光がとてもきれいで。つまり埃っぽいわけですが。
天井からホーリーな鳩がぶら下がっていました。
これで北側終了です。
ここから少し歩いて次なる教会に移動していくわけですが、その途中に、100年くらい前まで使われていた伝統的な家屋があります。
2階建てで、1階は家畜小屋、2階に人が住んでいました。家畜が1階にいると、上に熱が上がってきて、あたたかいそうです。さらに歩いていくと、道のわきで絵を描いている男性を発見。
彼は教会の司祭さんだそうです。司祭さんとか言われると、なんかこう真面目な感じがしますが、絵のタッチはかなりポップ。
ここで、青い羽の天使の絵をお買い上げー。1枚100ビル(約500円)。なかなかいいお値段ですが、この絵が描かれているのは、紙ではありません。なんとヤギの皮の裏なのです。
だからきっと高級なんだなあー、と勝手に解釈。
■2つの教会群の間にあるとても美しい教会
【7】聖ジョージ教会
Bet Giyorgis (Church of Saint George)
第一グループと第二グループの間に位置する教会がこちら。ラリベラの石窟教会群の中で、私がもっとも見たかったのがこちらです。1枚岩を掘り下げて作られた「モノロティック」というスタイルで、その特徴はなんと言ってもクロスの形。
高さ、奥行き、幅はすべて12m。1階、2階、3階に分割されており、1階が家畜、2階が家族、3階が奥さんを象徴しています。
12使徒をシンボルとした12の窓があるのが特徴で、ミサの時以外は、内部にも入れます。聖書や本などを入れたラリベラ王の宝箱。
司祭さんが持っているのは、セントジョージクロス。
外側には、ミイラも。
このミイラは、エジプト、シリア、エルサレムなどから来た修道士さんのもの。この教会が素晴らしすぎて、故郷へは帰らずここで死ぬことを選んだ方々だそうです。
教会には通常3つの入り口があり、一つは男性用、一つは女性用、一つは司祭さん用です。司祭さんは、結婚できますが、生涯1回だけと決められているそうです。奥さんがお亡くなりになっても再婚はできません。もし再婚するなら、司祭を辞めなければならないそうです。
第一グループと第二グループの間には、ヨルダン川という川が流れています。
これもエルサレムを意識したネーミングなのですが、川の中ほどにも十字架が。
それではここから第二グループ。
■第2グループ(南側)
【8】聖ラファエル&聖ガブリエル教会
Bet Gabriel and Rufael (Church of Saints Gabriel and Raphael)
教会の脇にある細い坂は、通称”天国への階段”。幅50cm高さ20mこの道を登ると天国へ行けると信じられていたそうです。外側はシンボルオブヘブン。
内側はシンボルオブヘル。ヘルの入り口…。
中にはクロスを持った司祭さんがいらっしゃいました。
【9】聖マルコス教会
Bet Merkorios (Church of Saint Mercurios)
ラリベラの教会群の中で2番目の大きさを誇る教会。
内部は暗いのですが、
3賢人や12使途を描いた壁画があります。
こちらは12世紀に描かれたもの。
16世紀の動物好きの僧の絵。
セントマルコスがローマの王キングウラノスを殺している絵。
【10】聖エマニュエル教会
Bet Amanuel (Church of Saint Emmanuel)
第2グループの中で最も美しいと言われている教会です。
中には司祭さんがいて、精緻な造りの十字架を見せてくれました。
この外側には裁判所的な役割の場所があり、溝の下に犯人、上にラリベラ王が立ち裁きを行ったと言います。
【11】バリバロスチャーチ
Bet Abba Libanos (Church of Abba Libanos)
教会が大きいので、信者たちは外でも祈りを捧げます。
中に飾ってあった絵画。
最後は、モンク(ムンク)と呼ばれる、世間を離れて修道院などで生活する修道士さんたちのおうち。
世間との交流を裁ち、たった一人で神に祈りながら死ぬまでここで暮らすことを選んだ方々。
こうして1日がかりでみっちりしっかり教会を堪能。
【教会めぐりのポイント】
- ほぼすべての教会で靴をぬぎます。
- 各教会に敷かれている絨毯にはノミがいますのでご注意ください。
- サクサク見れば半日で全部まわれます。
- 日曜の午前は地元の人が集まるミサなので、教会巡りはやめたほうがよいと思います。
- ガイドなしでもまわれますが、説明を聞かないとどれがどれかも、ルートも、みどころも一切分からないと思いますので、私は付けたほうが良いと思います。
- 高地にあるラリベラ。さらに、起伏が激しいので、高地が苦手な方は息切れします。ゆっくりと余裕を持って観光しましょう。
観光中はガイドさんの言葉をしっかりメモとったりしながら聞いたんですが、実のところ、私はそこまで宗教に興味があるわけではなく…。
というか自分がなんの宗教ももっておりませんので、ただただ別の世界のお話のようで、あまり現実味がないのです。教会がどうのこうのというか言う前に、そもそもその根底から理解できていないわけですから、完全なる部外者で、それはもうものすごいアウェイ感があります。
じゃあ何に興味があったのかと言うと…
各教会、正確な建造年代は不明。ザグウェ朝のラリベラ王が君臨していた12世紀から13世紀にかけてだと言われていますが、はっきりとは断定されていません。おまけにその作り方も謎とされていて、具体的にどのようにして建造されたかは分かっていないらしいのです。
いわゆるオーパーツ。
不思議大好きの私としては、そっちのが興味津々で。とくに、【7】聖ジョージ教会とか、どうやって1枚岩からあんな美しい教会を作り出したのか、気になって気になって仕方がないわけですよ。
ガイドさんや、ラリベラのチケットをチェックする人に尋ねてみたんですけど、
「建物は普通、下から(1階から)順番に造るだろ? でも石窟教会はその反対で、上から造っていったんだ」というようなことをドヤ顔で説明され、
「まあ確かにそうなんだろうけど、私が聞きたいのはそういうことではなくって」という気持ちになり、結局具体的にどうやって作ったのかは分からないままでした。
どうやって穴を掘ったとか、何人くらいが関わったとか、その辺もまったく分からなかったですね。謎のままw。
夜は伝統文化を楽しめるレストランへ
この日、教会観光中に出会ったドイツからお越しのグループさんたち。夜は、地元の飲み物やダンスが楽しめるレストランに行かれるということで、私もいっしょに行ってみることにしました。
夜8:30に待ち合わせて訪れたのがこちら。
「Torpedo Tej Bet」通称トルピードというレストラン。
場所はこちらです。
店内は、エチオピアの伝統的な布や小物で溢れていてものすごくかわいいんです!!
こちらは農具やバスケットなど。
ロバの背中にかける布。
伝統的な手織りの布。
赤を基調に、すべてが華やかな色使いで、初めて見るエチオピアの伝統的なアイテムたちに心躍ります。
ダンスや楽器の演奏、歌のパフォーマンスがはじまるのは、それなりに客が集まってから。だいたいは9時過ぎぐらいにスタートします。
というわけで、それまで飲み物を飲んで待ちましょう。
ここでのおすすめの飲み物は、なんといっても「ハニービア」。
町の名前「ラリベラ」は、ハニーイーターという意味で、かつての王ラリベラから取ったもの。そしてこの地方の特産品はハチミツ。ということで、はちみつを使ったアルコール「tej(テジ)」をぜひ。
メニューはこちらなのですが、ソフト、ミディアム、ストロング、スペシャルの4種類がありますねえ。
ここは無難に「ミディアム」をオーダー。
そうして出てきたのがこちら。
なぜフラスコのようなグラスww。
そして、飲むのをためらうヴィヴィッドな黄色の液体。全く味の想像が付きませんが、勇気を出して飲んでみます。
んー…なんだか、よくわかんないや。
まずね、甘い。はちみつだから甘いんでしょう。ビールと呼んでいますが、苦みはありません。
そして、後味がなんか、燻製の失敗したやつみたいな感じです。キャンプで張り切って燻製セットとか買ってやってはみたものの、たいしておいしくなくって、普通に食べたほうが絶対おいしかったよね、みたいな状態の味がほんのり。
お店の人に「このビアはハニー以外に何を原料にして作られているんですか」と聞くと、
「バッレーとソルゴーンよ」
とのことでした。つまり、この後味は、バッレーとソルゴーンからくるものなんですねえ。
ところでバッレーとソルゴーンてなんですか?
お酒に弱い私からのアドバイス。「ミディアム」でもしっかりアルコール感はあります。そしてここは標高2,600m。もしあまりお酒を飲めない方は「ソフト」にしたほうがよいかと。
9時を少しまわったころ、ついにパフォーマンスが始まりました。
民族衣装に身を包んだ女性スタッフさんと、楽器を持った男性スタッフさんがお店の中心に躍り出ます。
エチオピア(ラリベラ近辺)の女性の民族衣装は総柄の長め丈のワンピース。そしてウエストには、ストールとしても使える布を巻きつけるスタイル。
エチオピアの女性たちのふんわりカールしたヘアスタイルともマッチしてすごくキュート。
まずは男性の歌。
楽器を弾きながら熱唱。この楽器は、弦が1本しかなく、それなのに幅広い音域の音を奏でていて、素晴らしい。音の出し方は、中国の楽器「胡弓」に似ていると思います。
そしてダンスがスタート。エチオピアの伝統的なダンス、初めて見ました。
ポイントは、なんと言っても肩。
肩をね、ものすごい速度で揺らすんですよ。
早すぎてうまく写真に撮れませんでしたので動画をぜひー。
楽器の人じゃまー。
ここはローカルの方々にとっては若干高めのお値段。観光客が多く集まるので、「地元っ子の行きつけレストラン」という感じではないですが、それでも私はすごく楽しめました。地元では有名なので「トルピード」といえば、みなさん場所を教えてくれると思います。
こうしてラリベラのフライデーナイトを満喫し、22:30ホテルへ帰還。暗くなってからの外出は避けたいところですが、いっしょに行ったみなさまにホテルまで送っていただきましたので、ギリギリよしとしましょう。
ちなみに、ラリベラの治安はというと、ごろつきみたいな人はたくさんいますが、命を取られるとか襲われるとか、そういうレベルの心配はないように思いました。絶対とは言い切れませんが。ビーケアフルというより、テイクケア。節度を守って遊びましょう、という感じですね。
それでは本日の投稿はこれにて終了。今日は教会についてがとても長かったですが、しっかりと最後まで読んでくださってありがとうございました。それではまたあしたー。
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