キューバ(41)幻想的なフィナーレとラスパランダスまとめ
前回、前々回と2日にわたりレポートしてきました、キューバのお祭りラスパランダス。本日はその最終章。このイベントのハイライトでもある、祭りの締めくくりの様子をご紹介します。眠らない町と化したレメディオスの町の異様な盛り上がりをご覧ください。
【現在地】レメディオス(キューバ)
Remedios(Cuba)
【気温】30度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】1CUC=約115円、1CUP=約4円
■ラス・パランダス【昼の部】
■ラス・パランダス【夜の部】※戦闘モード
2017年1月8日、時刻は午前4時。
7日の夕方16:00から始まった大花火爆竹火薬祭り(※戦闘モード)は、なんとびっくり、12時間継続。ひときわ激しい音と光を上げて炸裂した花火を最後に、あたりは突然静かになりました。
あぁ、ついに火薬が尽きたのね…。
それでもレメディオスに集まった人々のボルテージは衰えることなく、いよいよ最終章「ラスパランダス【夜の部】※ファンタジーモード」に突入です。
ヒートアップした人々を諫めるかのように、ここで小雨が降り始めます。気温も20度を下回り、Tシャツ&ビーサンでは寒いくらい。強烈な火薬のにおいと白煙がゆっくりと薄れてゆき、それに合わせて、人々は公園を囲む道路の周りに集まります。
さっきまで尋常じゃない量の花火を打ち上げ続けていた場所はこのようになっております。
マジで凄惨な事故現場なんですけど。
教会も傷だらけ。
弾痕(ロケット花火)が生々しいですね。
さあここでおさらいですが、ラス・パランダスの会場の中心は、小さな広場。それを取り囲むように、謎の山車がスタンバイしております。
昼間にしっかり確認しておきましたので、その様子をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
あまりの花火の激しさにすっかり忘れておりましたが、
そういや、エジプトとか
タイ(インド? )とか
まだ使ってないじゃん…。
キューバ感のまるでない、しかし、なかなかのクオリティのフロート(山車)。可動を予感させる車輪まで付いていたのに。
そう、あれらの出番はこれから。
祭りの大トリを飾るフィナーレにふさわしい出し物がいよいよ始まります!!
まずは、タイ(インド? )。
教会に近い道路にはものすごい数の人が集まり、“それ”が始まるのを今か今かと待っています。
そしてここで、なんだかファンタジーなお衣装に身を包んだ若者が続々と入場。
さ、寒そう…。
そうして大人たちの手を借りながら、山車の上の所定の位置にスタンバイ。
山車のすべての電飾に灯りがともされ、とんでもなく見事なフロートが完成いたしました。
そして、楽団が演奏をスタートし、観衆からは大きな歓声があがります。
華やかなミュージックと手拍子に後押しされ、さあ、エレクトリカルパレード(ver.キューバ)の始まりです。
生涯で1度だけ行ったことのある東京ディズニーランド。それも15年ほど前にまりますかな。ほとんど記憶は残っておりませんが、キラキラと幻想的に光り輝くエレクトリカルパレードを見ているあいだ、
くっそ寒くて、帰りたくて仕方がなかったことだけは覚えています。
あれは2月だったでしょうか。あのときより、確実に楽しいことだけは間違いないですね。
ゆっくりと進む謎のタイ王朝的なテーマの山車を見てふと、思います。
いやーお金かかってんなーって。
3週間ほどキューバを旅行してきて、深刻なモノ不足、食料不足を肌で感じてきましたが、ラス・パランダスに関して言うと、そんなものは一切感じさせない羽振りの良さなんですよね。
キューバ貧しいの!? 貧しくないの!?
ねえ、ラス・パランダスにいくら予算注ぎ込んだ!?
あの火薬の量、花火の量、そしてこの豪華絢爛なパレード。全編通して、一千万とかゆうに超えてんじゃないかなあ。きっと、それほど特別な行事なのでしょう。
光り輝くタイ王朝が所定の位置まで移動した後は、広場を挟んで反対側にある、エジプト王朝の番です。
昨日の時点で、まだ完成しておらず、クレーンを使って何かしらを組み立てている途中でしたが、どうやら間に合ったようで、よかったです。
エジプト感溢れるお衣装に身を包んだ若者が次々とスタンバイ。
サソリの王。
彼女が紅白でいうところの小林幸子さん。つまりラスボスです。
すげぇー豪華ー!!
さあ皆さんの準備が整ったところで、パレード行ってみましょう!!
クレオパトラやファラオやサソリの王やラスボスを乗せたフロートもまた所定の位置までゆっくりと移動。途中カーブを曲がり切れずひやっとする場面もありましたが、そこをなんとか切り抜けたときは、群衆から盛大な拍手と歓声が巻き起こりました。
最終的に、2つのフロートは、広場の正面の中心で、向かい合う形で停止。見事クライマックスをむかえました。
こうしてキラキラ華やかな電飾まみれのパレードが終わり、カサに戻ったのは午前6時。もう翌朝です。ボーっとする頭で、長かった1日を振り返ってみました。
いったいラスパランダスとは何だったのか
日本でいったら「事故」と断定されてもおかしくないくらいの、大量の花火の応酬。鼓膜が破れんばかりのロケット花火の破裂音。脳や心臓に響く打ち上げ花火の爆発音。
ときに必死で逃げ惑い、ときに自ら前線へと赴き、人々と笑いあい、いっしょに歓声を上げ、あっという間に過ぎて行った楽しい時間。
おまけに最後は、12時間にわたる凄惨を極めた花火の打ち合いから一転、幻想的で荘厳な光のパレード。
それまでの激しさとは打って変わって、ゆったりとした時間が流れ、その美しさに参加者全員が心を奪われました。
言ってみれば、無理やり「終わりよければすべてよし」という形にまとめあげた力業のプログラム。
火薬や花火といっしょに、日々のストレスや、鬱憤、閉塞感、発散しきれていないエネルギーなんかもいっしょに爆発させ、力の限り大暴れしてみたものの、最後は美しいものでそれらすべてを覆い、まるで何事もなかったかのようにスッと日常に戻っていく。
実にキューバらしいお祭りではないですか。
キューバ観光のみどころとして挙げられるのは、オールドハバナの歴史的な街並みや、たくさんの要塞群、それからキューバ革命時の記念となる施設や戦闘跡などです。これらは、言い方あれですけど、
過去の遺物。
もちろんそれらすべて大切な歴史でありぜひ訪れるべき場所だと思いますが、それはなんていうか、時間とともに変化するのを楽しむというよりは、変わることが無いよう大切に保護し、守っていくもの。
でも、このラスパランダスは、数少ないキューバの“今”を感じられる場所だと思うのです。
もちろん500年続いている伝統行事ではありますが、現在進行形で熱狂し、興奮し、暴れたり、踊ったり、力の限り叫んだり、ラスパランダスはキューバの人々にとって、素の感情を爆発させることができる場所なんじゃないかなあ。
“時間が止まったようだ”なんて言われているキューバですけど、当たり前ですが、そんなわけなくって。しかし、同じ時間を生きているはずなのに、どうしてか、その間には見えない壁があるように感じてしまうキューバの人々と我々旅行者。
人当たりはよくって、親切で、優しい人が多いとは感じますが、それでも、なんとなく私には、キューバの人々の本音が見えてこなかった。でも、ここへきて初めて、キューバの人々の素に少しだけ触れられたような気がします。
容赦なくこっちに向かってつっこんでくるロケット花火の前では、キューバ人も外国人もありませんからね。
今を生きるキューバの人々のエネルギーを、肌で感じられる場所。
それが、ラス・パランダスだと私は思いました。
もっと言うと、祭りの激しさは、抑圧や閉塞感に対する不満の表れであり、最終的にそれを隠してしまうのもまたキューバの社会情勢を如実に表現している。ラスパランダスは現在のキューバ社会の縮図でもある。
なんて解釈をするのは、キューバにコテンパンにやられている私の偏った見方なのかもしれませんが、
それでも、この祭りが特別であることに違いありません。
キューバにとって大きな時代の節目となった2016年、ラスパランダスが「中止」ではなく「延期」になった意味。ギリギリのところで踏みとどまった理由は、祭りに参加して十分すぎるほど理解できました。どのような理由があろうと、これを開催しないわけにはいかないでしょう。
このブログでも、何度も書いておりますが、「ラスパランダス」は、毎年12月24日のクリスマスイブから、翌日のクリスマスにかけて行われるお祭りです。
日本で普通に働いていらっしゃる方は、このピンポイントのタイミングでキューバを訪問するのは難しいかもしれませんが、私としては、ぜひともおすすめしたいです。
最後に、今後ラスパランダスに参加しに、レメディオスに行かれる方のために、少しアドバイスを。そんな予定はない、という方は、スルーしてもらって大丈夫です。
【ラス・パランダス参加の心得】
●祭りは、12月24日から25日にかけてですが、できれば23日にレメディオス入りするのがよいでしょう。なぜなら、ほかの国からの旅行者さんはそのパターンが多く、24日からカサをとろうと思っても、すでに満室になっている可能性が高いです。
●レメディオスに行くには、まず、最寄りの町「サンタクララ」に行く必要があります。そこからは、キューバの長距離バス会社「Viazul」のバスが出ていますが、1日1本です。ラスパランダス前後は、空席がない可能性が高いですが、あきらめないでください。タクシーで、片道25CUC(約2,700円)払えば行けます。交渉力があれば、もっと安くもなると思います。仲間がいれば、割り勘もできます。
●ぼっちの私が言うのもなんですが、ひとりよりも、お友達や、見ず知らずの地元の方といっしょになってわぁわぁキャーキャー言って楽しむのがよいと思います。
そして、危険と隣り合わせな場所につきものの、いわゆる“吊り橋効果”的なものも、確実にありますから、気になるあの子を誘ってみるのも手かと。
ご夫婦、カップル、友達以上恋人未満のみなさんも、手と手を取り合って、きゃっきゃうふふと逃げ惑えばいいんじゃないですかね。
まあ、そんな甘ったれた意識で臨むと、大げさじゃなくほんとに怪我すると思いますけど。
●火薬とか灰とか花火の残骸が降ってきますので、帽子があったほうがよいでしょう。
●夜は冷えますので、羽織るものがあったほうがよいでしょう。
●ラスパランダス前後は、町中のホテルやカサ・パティクラールは、ほぼほぼ満室になってしまうと思います。早めに予約をしておきましょう。
私が滞在したカサの情報はこちらのページにありますので、事前にメールをしておけば部屋の予約は可能です。
もし、このカサが埋まっていても、どこか紹介してくれるかもしれません。
そして、どうしても宿が取れなかった人は、「どこにも泊まらず一晩中、中央広場周辺で過ごす」ということも可能だと思います。もちろん大荷物を抱えた状態では不可能ですが、最寄りの町「サンタクララ」に宿を取り、大きな荷物はそこに置いて、とりあえずレメディオス入りするのもありかと。
公園は一晩中人であふれかえっておりますので、どうにかなると思います。
●レメディオスからタクシーで行ける「カヨ・サンタマリア」の「プラヤ・ガビオタ」というビーチは、私が行ったキューバのビーチの中で一番きれいでした。せっかくレメディオスまで行かれるなら、ぜひともセットでどうぞー。(詳細はこちら)
●可能な限り、キューバに対するストレスやフラストレーションが蓄積した状態で行くのがよいでしょう。「もうほんとキューバ無理。今すぐ帰りたい」くらいの精神状態で臨むと、より大きな爽快感を味わうことができ、心から楽しむことができると思います。自分を追い込んでください。
それでは本日の投稿はこれにて終了。数日にわたるラスパランダス編も終了です。明日はここレメディオスから、最後の町「サンチアゴ・デ・クーバ」まで移動いたします。それでは本日も最後までお付き合いくださってありがとうございました。
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