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2017-01-16

キューバ(3)驚きと混乱。二重通貨の弊害とキューバの食事情

キューバ_食事

世界一周、中米周遊なんつって旅をしている私は、現在キューバに滞在中。昨日の続きにはなりますが、非常にもやもやして私を悩ませるキューバのお金事情についての投稿です。毎日毎日お金の話で申し訳ないのですが、どうかお付き合いください。


【現在地】ハバナ(キューバ)

Havana(Cuba)

【気温】28度(昼)

【天気】晴れ

【通貨】1CUC=約115円、1CUP=約4円

キューバに存在する2つの通過について

キューバでは以下の2種類の通貨が流通しております。これらを臨機応変に使い分け、常にフレキシブルに生きていかなければならないのです。

【CUC】

キューバ_通貨_CUC

「兌換ペソ(だかんペソ)」peso cubano convertible。1CUC=1USD=約115円(2016年12月現在)

【CUP】(またはMN)

キューバ_通貨_CUP

「人民ペソ」moneda nacional。1CUP=1/25CUC=約4円(2016年12月現在)

ただし、これらが完全に旅行者用、キューバ人用としっかりきっちり分けられているわけではありません。旅行者がCUPを使うのもアリですし、キューバの方々がCUCを使われる場合も多々あります。

 じゃ あ な ん で 2種類あるんですかねぇ、ねえ!?については昨日の投稿をご覧ください。

それぞれに役割がある2つの通過。しかしながらこのふわっとした2重通貨制度が我々旅行者を混乱させ、お財布の中身もぐちゃぐちゃになり、いったい今自分がいくら所持しているかもあいまいにしてしまうという残念な状況を招いています。数字って苦手ー。

そんな私は、とりあえず、

CUC(兌換ペソ)で買えるもの=概して高額。CUP(人民ペソ、MN)で買えるもの=爆安。

という知識のみでキューバにやってきてしまいました。昨日掲載した情報なんて、キューバに入ってから調べたことです。

野菜や肉を売るローカルな市場や、地元の方が集う食堂、ジューススタンド、カフェテリアなんかでCUPが使える、というのが事前情報。

そんな無知で銭ゲバ、守銭奴な私がまずぶち当たる壁。

「えっとー、ここはどっちの通貨が使えるお店なのかな?? 」

もっとはっきりと、何らかの形で表記され、ぱっと見で判別可能なもんだと思っておりました。しかし全然わかんなーい。おまけに、店によって使える通貨がしっかり別れているとばかり思っていましたが、どうやら両方使えるお店もけっこう多いのです。

混乱しないわけありません。

ですから、こっちはCUP(人民ペソ)払いの店だろと思ってCUPで払って、

例えばおつりが25CUP(人民ペソ)だったとすると、1CUC(兌換ペソ)を返してくれる場合があるのです。

こっちとしては25CUPが返ってくるもんだとばかり思っていて、“1”と書かれたお札を見て一瞬「え、1!? いち!? 1ってなに!? 」と慌てるんですけれども、少しして「あぁ1CUCかぁ」(1CUC=25CUP)と理解するのです。

キューバの人、ものすごく数学が得意なんじゃないかなあ。

こうやって書いた文章を読んでいるだけでも、いまいち意味が分からないと思います。私も意味が分かりませんが、でもこれが日常なのです。

CUCとCUPが混在していて、どうやってものの値段を判断するんですか!? と疑問に思われるかもしれませんが、例えば、街中でたくさん売られているファストフード。

キューバで散々お世話になった、PIZZA de QUESO。チーズピザです。

キューバ_ピザ

料金表がこちら。

キューバ_ピザ

チーズピザ1枚、5」

これ単位書いてないですが、もしこの単位がCUCだったら、ピザ1枚が500円ってことになってしまいます。これはちょっとおかしい。このような、道端のシンプルでこじんまりとしたピザ屋さんで、

キューバ_ピザ

そんな高級ピザを売っているわけがなく、つまりCUPなんだなあ、と理解するのです。ピザ1枚、約20円。爆安です。

そして、こちらのペットボトルのお水。

キューバ

「いくらですか? 」と尋ねると、「0.45」という答えが返ってきました。もしこれがCUPだった場合、2円くらいということになりますが、いくらなんでも2円は安すぎる。というわけで、「あぁ1CUC(約45円)なんですね」とこうなるわけです。

めんどくさいですね。

おまけにたまにフェイントがあって、こちらのジェラート大盛り。

キューバ

値段を聞くと「4」と言われます。

「4CUC(約400円)ですね。はいはい。かなりボリュームあるし、そんなもんですよね」なんて思っていると、なんとこれが4CUP(約16円)なのです。えーそっちー!? と戸惑いを隠しきれません。

しばらくキューバにいれば、このへんの違いは慣れてきて、それなりに使い分けられるようになります。そして、もし間違えても「違うよ」と教えてもらえるのでそんなに大変なことにはなりません。

とはいえ、金額格差自体には疑問が残るままです。

例えば、泊まっている宿の朝食。私は1回も宿で食べていないのですが、コーヒーとかサンドイッチとか卵とかついて、3CUC(約300円)です。まあ、安いっちゃ安いんですけれども、これが町中で売っているハンバーガーのようなサンドイッチのようなもので済ませると、10CUP(約40円)。

キューバ

さらに朝のコーヒー1CUP(約4円)、たばこ2本1CUP(約4円)。

キューバ

おまけにデザートのバナナ6本で3CUP(約12円)も付けちゃいましょうか。

キューバ

バナナを売っているおじさん。

キューバ

食べ物にあまりこだわりのない私は、60円でお腹いっぱい、っていうかバナナは1回では食べきれない量ですし、そのうえたばこも2本ついてくるならそれで大満足です。ちなみにたばこは、キューバ最安値の1箱7CUP(約28円)のCriollos。

キューバ_たばこ

えー、フィルターがないタイプのやつです。

キューバ_たばこ

ニコチン1.13mg、タール16.9mg。鬼のようなたばこです。

このように、食事に関しては、CUP利用一択。だって安いんだもん。

お金を倹約するに越したことはない! と考える私のような旅人は、CUPを存分に利用し、その恩恵にあずかりまくって旅をしていこう! なんでもかんでもCUPで支払いを済ませ、常に地元の人たちと同じ値段で押し切ればいいんじゃないか、と考えてしまいがち。

しまいがちっていうか、私は当初そのように考えておりました。だって、キューバに行かれた方々のブログを読むと、CUP安ーい!! キューバの物価安ーい!! なんてよく書いてあるんですもの。私もさっきからさんざん書いています。

ところがそうは問屋が卸さない。いや、キューバ政府が許さない。

旅をするうえでの必要経費といえば、食事以外に、宿・移動・観光などがありますが、キューバでは基本的に宿・移動・観光はCUC払いです。あとお土産品も。なぜならこれらが必要なのは旅行者のみ。否応なしに旅行者用通貨CUCが適用されてしまいます。

このあたりはけっこうがっちり線引きがしてありますので、CUP払いで安くあげよう、なんていうのは不可能に近いのです。

【宿泊費】

宿情報は各町のページでご紹介したいんですけれども、首都のハバナ以外は、ドミトリーというものが存在いたしません。このドミトリーも実は違法なんだという話を聞きました。

ハバナ以外の町で宿泊する場合は、「ホテル」「casa particular(カサ パティクラール)」の2択。ホテルはほとんどが“高級”といわれるクラスなので、まあ高額。ですから、多くの旅人は「casa particular(カサ パティクラール)」に宿泊することになります。

casaはスペイン語で「家」。particularは「個人の」。つまり、民宿です。政府から認可を受けた一般のご家庭に泊めていただくのです。

この宿泊費が、安くても20CUC(約2,000円)くらい。

詳細はわかりませんが、所在地や設備などを鑑みて、政府によってその料金が決定されているんだと思います。交渉すれば安くなるとのことでしたが、私の場合ほとんど20CUCからは下がらなくて、がんばってたまに15CUCにしてもらえる程度でした。

キューバで私が滞在したカサはほぼすべて室内にシャワーとトイレがあり、ダブルベッドもしくはダブルベッド+シングルベッドが用意された非常に清潔感たっぷりのお部屋でした。

私にはもったいないくらいの立派な個室に2,000円で泊まれるなら別に高額ではないのかもしれません。しかしながら、2人も3人も寝られるようなベッドは必要ないし、シャワー・トイレも共同でいいから安くあげたいなぁという方針のバックパッカーからすると、やはり痛い出費としか言いようがありません。

コミュニケーション能力が平均以上ある方は、キューバ旅行に関しては、同行者を見つけるのが鉄則のようです。宿代、バカになりませんからねえ。

【移動】

街から街への移動は長距離バスを利用することになるのですが、利用できるバスは「Viazul」という会社一択。

ビアスール

このバスは、“外国人旅行者用”でして、キューバ国内の大きな街をほぼ網羅しているので非常に便利なのですが、支払いはCUC払いのみ。そしてなかなかにいいお値段。でもほかに選択肢がありませんので、世界各国の旅行者はこぞってViazulバスを利用することになるのです。

じゃあキューバの方々はどうしているか。キューバ人専用の長距離バスがあります。これは普通の観光バス。

それから、おそらくもっと経済的なのが、バスって呼んでいいのか、トラックって呼んだほうがいいのかわかりませんが、このような乗り物。

正式名称は、カミオンだそうですが。

キューバ_トラック

もっとよくわからないこんな乗り物もあります。

キューバ_トラック

私もぜひ乗ってみたかったのですが、ことごとく拒否されました。5、6回アタックを試みましたが、すべての回答は「NO!! 」。値段を聞くチャンスすらなかったのでよくわかりませんが、おそらくすごく安いんでしょうねえ。

ちなみに、長距離ではなく近距離の移動はというと、ローカルなバスが存在します。ローカルバスはほとんどの場合1CUP(約4円)です。近距離のバスは拒否されず、何度か乗せてもらうことができました。

それから、複数人乗れる馬車

キューバ

BC(ビーシー)タクシーと呼ばれる三輪の乗り物。

キューバ

この2つは旅行者も普通に利用可能です。しかし、ローカルの方々はCUPで払い、旅行者はCUCで払います。値段が10倍以上違うのですが、基本的にどうすることもできません。言い値を払うことになるのです。

タクシーも同じで、旅行者は近くても5CUC(約500円)。ちょっと距離があるとすぐ10CUC(約1,000円)と言われます。ヨーロッパを旅している感覚で旅したほうがよいと思います。

【観光施設への入場料】

たとえばハバナにある「チェ・ゲバラ第一邸宅」の入場料。

キューバ

旅行者は、6CUC’約600円)。そしてキューバの方々は6CUP(約24円)。まあ観光地の入場料に関しては、キューバ以外の国でも地元の方々と旅行者で金額が違うのはよくあることなので仕方ないです。でもなぁ、25倍かぁ…。

以上がキューバを旅行するにあたり、旅人がぶち当たるであろう最初の壁です。お金に対する困惑もそうですし、自由に選べない、選択肢があまりにも限られている。これがキューバ、これが社会主義かあ、なんてことがやっと身に染みてわかってまいりました。

日本とはもちろん、今まで訪れてきたどの国とも違うシステムで、最初はいちいち「はぁ!? なんで!? 」と疑問に思ったり、「そんなのおかしいよ! 」なんて腹が立ったりしましたが、旅をしているうちに、そういうのすべてどうでもよくなりました。すべてはなるようにしかならないし、あらかじめ決められていることであればそれは守るしかないんだなあと。

二重通貨対策について考えた結果

というわけで、キューバを旅するにあたり、どうやってこれらと付き合っていけばいいかを考えた結果、私の出した結論。

CUP(人民ペソ)なんてものは見なかったことにする。

これに尽きます。そんなものの存在自体、なかったことにしてしまうのが最善な気がします。

具体例を挙げてみましょう。

例えば、これはおいおい旅するトリニダードという町のレストランで食べたお料理ですが、

ツナ&野菜サラダ(けっこうなボリューム)3.5CUC(約350円)。

キューバ

野菜ピザ(けっこうな大きさ)3.5CUC(約350円)。

キューバ

わりと安いと思いませんか!? うん、安い安いー。こんな素敵なお料理がこの値段で食べられるなんてありがたい!

これがCUCのみの世界で生きていくということです。

しかし、ここでCUPに片足をつっこんでしまうと…

道端のこのような飲食店。

キューバ_食事

キューバの方々が頻繁に利用なさっているんですけれども、ここのチーズピザ。

キューバ_食事

かなりのボリュームで、これが5CUP(約20円)なんですよ。フライパンで焼いたピザで、ほどよくサクサクふんわりですごくおいしい。

キューバ_食事

ちょwこれで20円てww。

えー、こうなってくるとですね、やっぱピザ1枚に3.5CUC(約350円)は高いよー。

なんてことになってしまいます。CUPピザの安さの前に、十分にコスパの高いCUC野菜ピザとサラダがかすんじゃってる。

ここまで読んでいただいて「あーなんかちっちゃいなーこいつ」と思われた方は、CUPなんて通貨はなかったことにして、CUP払いの店には行かず、CUPに両替もせず、CUCのみの世界で生きていくのが一番幸せです。

それでもやっぱり、削れるところは削りたい。二重通貨のもやもやを抱え、それでもなんとかキューバで生き抜いてやろう、と思われた方はぜひがんばってみましょう。本日の投稿を読んで「ピザばっかじゃねーか」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、それは否定しません。CUPで買えるものは、そんなにバリエーションがありません。栄養の偏り方が半端ないので、そこは覚悟しておいてください。

2種類の通貨が流通しているというなんともカオスな日常ですが、キューバ政府は2013年に、「ゆくゆくはこの2つの通貨を統合していきたい」という発表をいたしました。

キューバ_通貨_CUP

現在25倍もの開きがあるCUCとCUPですから、それがどのようにどのタイミングで行われるのかは謎ですが、いずれは廃止されるということです。そう考えると、

今のこの状況も、ある意味貴重なこと。

そんなわけでこんなに一生懸命、やれ高い、やれ安いと書き綴っている、ということにしておいてください。それでは本日の投稿はこれにて終了。

明日は、ハバナ観光について。ここのところお金の話ばかりで申し訳なかったですが、やっと明日はしっかりキューバの観光情報をお伝えいたします。

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コメント6件

  • マッハ より:

    今度キューバに旅行に行くことになり、貨幣のことが理解できずにこのブログにたどり着きました。
    めちゃくちゃ分かりやすかったです。
    このままキューバ編全て読ませていただきます!

    • mayumi mayumi より:

      マッハさま
      コメントありがとうございます。
      そう言っていただけると非常にうれしいです!!!
      キューバはほんとうに今まで行ったどの国とも違い、私はキューバに翻弄されたまま終わってしまったように思いますww
      マッハさんはこれから行かれるとのことですので、ぜひぜひキューバを満喫してくださいね!!

  • mimi より:

    なんとすれ違うのでしょう。
    20日にベリーズを出ました泣

    どこかでお会いできる日を楽しみしております。

    • mayumi mayumi より:

      mimiさま
      なんと…。私、ひたすら追いかけてる感じですね笑
      そのうちどこかでお会いできるでしょう!!!
      それまで安全に、元気に旅をしてゆきましょう!

  • MIMI より:

    mayumiさん。
    たぶん同じ時期にキューバにいました!
    今どちらなんですか?

    ちなみに私はローカルトラックに乗ってキューバ内移動できました!!
    なぜなんだ。私がだいぶ黒いからですかね苦笑

    どこかでばったり(でなくてもいいのですが)お会いしたいです。
    私は今日からベリーズに行きます。

    • mayumi mayumi より:

      MIMIさん
      コメント気づくの遅れてすみませんー!!
      キューバの時期、かぶってたんですねえ!
      私も昨日からベリーズ入りしております。キーカーカの物価が高すぎてびびってます!!
      でも、すごく雰囲気のいい島ですねえ。
      MIMIさんも楽しんでください^^

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