キューバ(10)何もほしくない病とキューバ人の平均月収にもやもや
現在世界一周みたいなことをやっている私は、キューバのハバナに滞在中。昨日は、「ハバナ・バス・ツアー」という2階建て観光バスに乗車に、ハバナ市内をぐるっとまわってみました。そうして、最後に降り立った場所が、お土産マーケット。本日は、おみやげというより、キューバ人の所得についてお話します。
【現在地】ハバナ(キューバ)
Havana(Cuba)
【気温】28度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】1CUC=約115円、1CUP=約4円
お土産が全然欲しくならない理由
観光バスでハバナ市内をぐるぐるし、最後に私が降りたのが、大きなお土産マーケットの前です。キューバについてまだ数日なので、“お土産”という気分ではないのですが、とりあえず視察。
見かけるお土産は、「チェ・ゲバラグッズ」「手作りのレース編みの白い洋服」「絵画」「葉巻・煙草グッズ」「皮革製品」などなど。一通りみて回ったのですが、
なにひとつ欲しくない。
これまであれほど様々な国でお土産を買いまくり、バックパッカーらしからぬ散財をしてきた私。そんな私が、ここキューバで突然購買意欲をそがれてしまった理由。
クオリティが低い、とか似たようなものが多い、とかそんなんは問題ではありません。手作り感あふれるゆるーいもの、けっこう好きですし。じゃあなぜか。それは、キューバの人々の収入事情に起因します。
キューバ人の平均月収、ご存知ですか?
私も直接キューバの人から聞いたわけではないので、正確なことは分かりませんが、ある調査による「世界の月収ランキング」なるものがあります。下記ブログから引用させていただきます。
こちらの結果によると、
日本人の平均月収は、2503.62USD。
約28万円です。なんとなく予想通り。では、キューバはというと…
25.8USD。
え!? もっかいお願いします。
25.8USD。
約2,800円
!?
うそ!!!!
100倍ぃぃぃぃぃ!?!??!
これが嘘ではないようなんです。月収に100倍もの開きがある。
キューバを訪れた多くの旅行者さんのブログでもこの事実に触れていらっしゃる方は多いのですが、本当に、驚くべきことに、キューバ人の(公的な)平均月収は2,800円くらいなんだそう。
先日の投稿で書きましたが、キューバには2種類の通貨が存在しています。主に、キューバ人用として使われるCUP(またはMN、人民ペソ)で購入可能なものが驚くほど安いんです、とご紹介したと思います。
その理由がこれですよ。平均月収が2,800円。これで納得です。だからあんなに爆安でピザやらジェラートやらが食べられるんですねえ。
旅を始めて8か月。使ったお金を記録するのは第一か国目のマダガスカルだけで終わってしまった残念な私ですが、ここキューバではお金についてもんもんと考える時間が増えてしまいました。
お土産を買うのをためらう理由
だってさあ、平均月収2,800円の国の方が売ってるこのようなバッグを、
12CUC(約1,300円)で買うとか、どうなの?
ねえ、どうなんですか?
なんかおかしいですよねぇ?
あれ、おかしくないのかな。
いや、このバッグが1,300円っていうのが高いか安いかっていうのは置いといてですよ。シーチングみたいなぺらっぺらのバッグにシルク2色で印刷しただけのバッグですけども。
それでも気に入れば私は買うと思うんですよ。今までだって、もっともっとどうでもいいよくわかんないものをさんざん買ってきましたから。
でも、でもね、なんか、違和感。
「月収2,800円」というのが、あまりにも衝撃的で、キューバ滞在中、あらゆるシーンでこれが頭をよぎり、出費に関して相当ナーバスになってしまいました。
私は、良くも悪くも、「もし私だったらどうだろう? 」と何かにつけて考えてしまうところがありまして、キューバでもこれが発動。
もしも、私が月収2,800円のキューバ人だったら…
海外から、自分の100倍ほどのお金を稼ぐ人が大挙して押し寄せてきて月収の1/2もするよれよれのバッグをヘラヘラ笑いながら買っていったらどんな気持ちになるんだろう…と。
宿泊だってそうです。キューバでは、普通のホテルはほとんどが“高級”と呼ばれるホテルで、一般的な旅行者さん、カサ・パティキュラールと呼ばれる「民泊」を利用します。こちらのほうが経済的ではありますが、それでも20~30CUC(約2,200円~3,300円)。
1泊でほぼ月収と同額の宿泊施設に泊まっていくわけです。
食事にしたってそうです。旅行者用のレストランで10CUC(約1,100円)の何かのセットをオーダーする。けっこう安いねーなんつって追加で飲み物も頼んじゃったりしましたけど、1食で月収の約1/2です。
あれーなんだろう、なんかおかしいよなあ。
こんなことをぐちゃぐちゃと考え、ここへきて急に財布のひもが堅くなってしまいました。もうガッチガチ。お金を使うことにものすごくためらいを感じる。
キューバの人はどう思ってるんだろう
私みたいな汚い格好したバックパッカーだって、旅行者用のバスに乗れと言われればおとなしく高いお金を払って乗るし、カサパティキュラールに泊まれと言われればしぶしぶ高いお金を払って泊まります。
つまり「キューバを旅行している」って時点で、相当なお金持ちなのです。年収の数倍はするiPhoneなんて持って…すごいことですよ。
私が「お金ないんですー」と言ったところでなんの説得力もないし、なんていうかそれはただの、“お金がないごっこ”に等しい。
なんとなく、ぐいぐいと距離を縮められない見えない壁がある。今私はキューバに来てキューバを旅しているのに。
キューバって水槽みたいだなあ。
中は見えるけど、間には透明なガラスがあって、向こう側に世界に入っていきづらい。
社会主義という全く違うシステム、あまりにも差がある貨幣価値、そして、それらによって生じる様々な文化や生活の違い。おまけに“違う”ってことをキューバの人々も旅行者も意識しているから、さらにガラスの厚みは増すばかり。
旅人としては、やはり、できるだけ現地の人々の生活に近づき、ふれあい、同じように暮らしてみたいと思うものですが、それが非常に難しいと感じます。普段であれば、旅行者用の快適だけど高級な施設や交通手段より、どちらかというと地元の人と同じものを利用したいなあと思う私。
しかし、キューバにいる期間が長くなるにつれて、キューバ人用の施設や乗り物や売り物を旅行者が利用するのは、あまりよくないことなんじゃないか、と思い始めてきました。
安いバスとか安い食事とか安いビールとかね。私一人ぐらいいいだろ、と。まあ確かに私一人ぐらいいいんでしょうけど、それでも全部推奨しちゃうと、たぶん外国人が押し寄せる。あまりに金額の差が大きすぎるから。あっという間に食い散らかされる。
キューバ人用のバスに乗ろうとして断られた。CUP(キューバ人用人民ペソ)払いの安い食堂は、なんとなくひっそりと隠れるように営業している。何かにつけて、旅行者用・キューバ人用の料金がわかれている。このあたりの理由。
100倍のお金を持っている外国人が「安い安い」って利用しまくったら、地元のキューバ人が利用しずらくなる。
それはよくない。キューバ政府が、「観光に力を入れますよ」と言いつつも、旅行者とキューバ人を分けときたい気持ちもなんとなく理解できます。
それから、気持ちの面でも、政府にとってキューバは“水槽”であるほうが都合がいいんじゃないかなあ。
持ち物とか身に着けているものとか、ほんと目ん玉飛び出すぐらい高価なものを携えた、100倍の収入がある国から来た旅行者。月収2,800円で、自由に外国に行くことはおろか、バス代の高い遠くの町に行くことすら苦労する彼らの目には、興味本位とバケーション気分をひっさげ、信じられないほどの大金をさらっと使っていく外国人はどう映っていることか。
あまりに旅行者がキューバ人の生活にぐいぐい入っていくと、水槽の中に、繁殖能力とか生命力がすごく高い外来種を入れるようなもんなのかもしれません。現在のキューバの安定を脅かす存在、外国人。
とはいえ大量の外貨を手にする効果的かつ非常に有効な手段は言わずもがな“観光業”。今のキューバには必要不可欠なわけで…。キューバ政府も大変です。
ちなみに、月収2,800円と何度も書きましたが、これだけで生活していくのは実質不可能だそうです。
学費と医療費はすべて無料。生活必需品は政府による配給制度があり、タダではないですがかなり安い値段で購入することができるそう。しかし、それでも2,800円では一か月暮らしていけない。
というわけで、現在は、一部の職種では政府の認可を受けて副業とすることも可能なようで、それが、カサ・パティキュラール(民泊)の運営であったり、タクシーの運転手だったり。そのほかにも、合法、非合法、さまざま。
あとは、アメリカなど海外へ亡命した身内からの仕送りを頼りにしている人も少なくないそう。
国民のほとんどが国家公務員で、“平等”をモットーに、ある程度均一化された本業での収入。それよりも、旅行者を相手にする副業や仕送りのほうが数倍稼げるので、今や貧富の差がすごいことになっているキューバ。それは旅行者の目から見ても顕著です。
というわけで、実質もうちょっと収入は高いような気がしますが、それでも、所得に大きな差があるのは事実。旅行者に対する「どうせお金あるんでしょ、このぐらい払えるでしょ」的な言いぐさや態度。これ、様々なシーンでものすごく感じます。
「お金なんてあるところから取ればいいじゃない」というのはね、間違ってないですよ。外国人なんてお金使うために旅行に来てんだから、どんどん使わせればいいわけです。
でもやっぱなんかもやもやするんだよなー。でもうまく文章化できなくてさらにもやもやするなー。
このもやもやはキューバ旅行中に晴れるのかなあ。とにかく今までになく“お金”というものについて深く考えることになり、なんだか「何も買いたくない病」を発症したみたいです。なんだろうこれ。どうしよう。考えすぎかなあ。
あ、そういえば、お土産マーケットでまさに絶賛モヤモヤ中のところで、世界一周ブロガーの
『WORLD RUNNER ~世界一周旅日記~』のokaさんと
『モグネル メグル』のボブさん
にばったりお会いしたのです。okaさんは、実はメキシコのオアハカで「死者の日」の前にいっしょにコーヒーを飲んだ仲でして。それが偶然キューバで再開なんて超びっくりしました。
この流れで行くと、「じゃあ飯でも」とかってなるのが普通だとは思うのですが、ちょっとほんと頭の中がモヤモヤで。もちろんお二人には「ちょっと今モヤモヤしてるんで」なんてことは言いませんでしたけど、もしこれを読んでいらっしゃったら、ほんとごめんなさい、あのときモヤモヤの真っただ中にいたのです。次どっかで会ったらぜひごはんでも行きましょう!!
というわけで、今日はものすごくまとまりのない内容でほんとごめんなさいね。でもキューバで私が感じたことそのままです。こんなんじゃ楽しめるもんも楽しめないですよねぇ…。
キューバを旅行なさったことがある方は、このへんどのように消化し、楽しい旅行に転換させることができたのでしょうか…。今更ですが、教えてほしいです。それでは本日はこれにて終了。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
コメント4件
お、名前出してもらってどうもです。
あの時はそんな感じだったんですね笑
確かにキューバでの金銭感覚については悩まされましたねー。結局外国人でも利用できるものはモネダでも利用させてもらいましたけど。
能天気に安い安いとしないmayumiさん、良いスタイルだと思いますよー。
次回はまた食事でも!
紹介していただけるんて光栄です〜
もやもやの真っ只中だったんですね!!!w
僕は2種類もあって面倒だな、安いマンゴジュースとメンチカツバーガーは好きだなっていう何も考えてないタイプの人間だったのでアレですが
ちょっとでもお会いできてよかったです。
今後もお気をつけて〜^^