「言うこと聞かない悪い子は夜中むかえにくる」とかいう風潮
本日は予防接種2回目のため、会社をお休みした。3本もの注射を打たれ、先生に「よく頑張りました〜じゃあまた次も元気に来てください」と言われて東京医科大学病院を後にする。
予防接種の詳細はこちら。
天気もいいので、めずらしく人ごみを歩いてみる気になり、新宿界隈を少しぶらぶらしてみた。
昼はのんびりお散歩だ
楽しいな 楽しいな
おばけにゃ会社も
仕事もなんにもない
小学生のころドはまりして、今の私のオカルト好きのきっかけを作った、いい意味でトラウマ級アニメ『ゲゲゲの鬼太郎(第三期)』のオープニング。作詞は水木しげる先生。吉幾三が歌う伝説の神曲です。若い人は、第五期で泉谷しげるが歌ってるって言えば分かりますかね。今この歌のような状態です。
アニソン史上最強なんじゃないかと思われる異常に高揚感のあるイントロから始まるオープニング、覚えてますか? (っていうか知ってます? )上で紹介した、心揺さぶるフレーズは二番の歌詞で、アニメのオープニングではカットされちゃってるんですね。これあれだな、たぶん子供向けアニメだからだな。2番の歌詞、完全にお仕事してない大きなおともだち向けだもん。せっかくだからフルバージョンで聴いてみてください。
まじで神曲だな。鳥肌ハンパない。
悪いことをすると親が子供に言う常套句「そんなことしてると○○が来るよ」。何が来るか、我が家では「どんどん」「かやねほり」「かんすころげ」という謎の妖怪が来ることになっていた。私は人一倍想像力の豊かな子供だったので、頭の中ではこれらの妖怪がとんでもなく恐ろしい風貌で描き出され、少しでも悪いことをしようものなら、私を連れに来るんだと信じて疑わなかった。
実家は、田舎特有の古くてだだっ広い昔ながらの木造家屋。漠然と思い描く「おばあちゃんち」みたいな感じの、いわゆる古民家というやつだ。夏でも異様にひんやりとしている蔵と、つるべ式の井戸と、大きなかまどがあって、築100年は経過していると思われるこの家には、そこかしこに得体の知れない何かが潜んでいる気配がむんむん漂っていて、「悪いことをしたら連れて行かれる」という両親の言葉を裏付けるには十分すぎるくらいだった。
「悪いこと」っつっても、門限を破って遊び続ける、とか、文房具を無くすとか、その程度のことで、それを理由に拉致されるのは、よく考えるとあまりに酷ではないか。なにかとこれらの妖怪を持ち出してくるのは父親のほうで、私は父に「ほら、うしろに『どんどん』が!!」と言われただけで号泣した記憶がある。
そんな私も大人になり、妖怪のことなんて忘れて東京で暮らし始める。ある日フラッと立ち寄った書店で、1冊の本の表紙に目が釘付けになった。
そこには、なんと、幼い日に思い描いた妖怪の姿があったのだ。いた! 「どんどん」いた!
「ほんとだもん! ほんとにトトロいたんだもん! うそじゃないもん! 」
映画『となりのトトロ』メイちゃんのセリフより引用。
うちの親が私を戒めるためにことあるごとに持ち出してきた「どんどん」という妖怪が見事に具現化している! 誰がどうやって召喚したんだ! よみがえる幼い日の記憶。お化け屋敷より、放課後のトイレより、何より自分の家が怖かったこと。死ぬほど恐れていたあいつが確かにそこにいた。
門限を過ぎているのに気付かず遊び続ける子供。ふと気づくとあたりは薄暗くなっている。
「ヤバい! 今日も門限を破ってしまった」
街灯のない田舎のあぜ道で一人帰りを急ぐ。気づくと周りは真っ暗。
「早く帰らなくちゃ! 」
タッタッタッタ
モフモフモフモフ
「あれ…? うしろから何か付いてきてる? でもここには自分一人しかいないはず」
タッタッタッタ
モフモフモフモフ
「やっぱり何かの気配がする。何か大きなものがさっきから後ろにいるような…」
おそるおそる振り返るとそこには…
うわぁぁああぁぁ!!!!!!
おまわりさんこっちです! これ大人でも怖くね? こいつの名は「クケリ(Kukeri)」。ブルガリア全土で行われている祭りに登場する妖怪で、日本のなまはげに似た意味合いを持ち、祭りのカギを握る存在だ。
クケリという伝統行事は、このような格好をした村の男たちが新春に騒々しく村を練り歩き家々を一軒ずつ周り各家の中を土足で入り込み荒々しく踊りまわり腰につけたベルの音と怒声を家中に響かせることによって悪い霊を追い払い、家の主人はクケリ達にワインや食べ物を振舞うという。
相当な破壊力を持つルックスながら、クケリの武器はその怒声とベル。どのクケリも、みんな腰に大きなベルをつけています。詳しく知りたい人はこちら。
やばい! クケリやばい! なにこのもふもふ! もふもふすぎるでしょー。このもふもふにもふもふしつつ、もふもふされたい。
空の色が、不穏な空気を演出します。
躍動感ハンパない。
これ反則ー!! 子供ずるい。かわいすぎるだろ。
子供クケリ、萌える。
そうか、妖怪「どんどん」は「クケリ」だったんだ…。
「好きなひとが、できました。」
映画『耳をすませば』キャッチコピーより引用(コピー作者:糸井重里)
クケリ、クケリ、クケリ…。その日からクケリのことが頭から離れず、寝ても覚めてもクケリのことばかり考えるようになった。クケリのことが気になって仕事は手に付かず、食事も喉を通らない日々。クケリに好かれたい一心で、自分を変える努力もした。ムダ毛の処理を怠り、美容院にも行かなくなった。「クケリ、今ごろ何してるかな…」。この胸の痛み、もしかして、これが、恋? 「クケリのすべてを知りたい! 」そう思った私は、勇気を振り絞って行動に出る。
「教えて! Google先生! 」
ふつーにインターネットで検索すると、出るわ出るわクケリの画像。そして新事実発覚! 現在確認されているクケリは1種類だけではないらしい。地域によっていろんな種類がいる。
お面っぽかったり、
ちょっととんがっていたり、
けっこうとんがっていたり、
中学の文化祭っぽかったり、
これちゃんと中に人はいってるよね? って不安になる感じだったり、
ヤギっぽかったり、
でもね、派手さはないものの、やっぱり「どんどん」タイプが一番イケてる。何っぽくもないその何かが無言でたたずむ姿は、どれにも増して恐怖心を掻き立てる。
ブルガリア、1月~3月、ざっくりすぎる情報しかないけど、ちゃんと調べて「どんどん」に会いに行きたい。
ちなみに、私が見つけた本はこちらです。
続いてご紹介したいのが、「かやねほり」。「かやねほりも」もちゃんと見つけていますよ。それがこちら。
尖ったドリルのような頭。なんかこう、掘ってやるぞ的な鋭角のフォルム。まさに、“茅根掘り”(漢字は勝手に当てました)。
間違いない。「かやねほり」だ。
これは、ドイツのヘルドラ村というところで1月13日前後に開催される祭り「Straw Bear」(シュトローベーレンの日)で使用されるコスチューム。Straw Bearとは日本語で“藁の熊”。村を練り歩くこの謎の藁男は、実は熊を模しているらしい。これが熊なのかどうかは置いといて、イベントの流れとしては、
若い男の人たちがクマの着ぐるみ(藁製)を着せられる。
村中を引きまわされる。
よく見ると、確かに手綱的なもので引っ張られてる。
で、最終的に燃やされる。
ちょ、ま、えぇぇぇぇ!!
(あ、もちろん燃やすの藁だけね)
こんなに仲良しだったのに。
ストローベア、公開処刑。
ちょっと、イベントのコンセプトが分かってないんで、行くまでにはこの行為の意図とか誰得なのかとか、ちゃんと理解しとくようにします。
で、これまた子供のかわいさがハンパない。右の小さいほう。
下の写真なんか好き。
やめれwwww吹く!
この祭りは、ドイツ中部ヘッセン州のユグノー派(プロテスタントの一派)の住民の多い村で、1月13日前後に行われている。詳細が判明している上に、祭りの公式HPまでつきとめた。(公式HPはこちら)。よし、待ってろよ「かやねほり」。
こうして、幼いころの私をビビらせた「どんどん」と「かやねほり」の正体が判明した。残すは「かんすころげ」だけだ。
ちょっと冷静になって、インターネットで「かんすころげ」を調べてみると、こいつだけは実在することが分かった。実在っていうと語弊があるけど、ちゃんと、妖怪として文献に残っている。それがこちら。
うん、意外と地味でした。言いようのないコレジャナイ感。だってこれじゃないんだもの。これは私の知ってる「かんすころげ」ではない。
じゃあ私の知ってる「かんすころげ」とは? それは水木しげる先生が自らの戦争体験を描かれた『水木しげるのラバウル戦記』の中に出てくる。パプアニューギニアでの生活を綴っている部分だ。それがこちら。
そして、実際に行かれた方のブログも見つけた。では、ご紹介いたしまししょう。私の頭のなかの「かんすころげ」とはこちら!
やだかわいい。“ころげ”という響きを見事に体現した丸っこいシルエット。これがコミカルな動きをしながら近づいてきたらどうだろう。あぁ萌える。かわいい。筆箱の中とかに入れときたい。
このもじゃもじゃは、パプアニューギニアの「トゥブアン(tumbuan)」という精霊。ココポという村で行われる「マスクフェスティバル」に行けば会える(らしい)。シーズンは7月20日前後だと思われる。このマスクフェスティバルは、パプアニューギニアに住む様々な民族の人たちが一堂に会し、精霊を迎え、伝統的な踊りを披露する祭事のこと。その主役と言っても過言ではないのが「トゥブアン」だ。
このマスクフェスティバルでは各地から民族が集まり踊りを披露してくれます。伝統文化に触れるのに、これを利用しない手はありません♪そして、このマスクフェスティバルのもうひとつの見所は早朝に海を渡って島に上陸するトゥブアン! トゥブアンとは僕が住むニューブリテン島の主要民族、トーライ族が崇める精霊です。
早朝に海の向こうからトゥブアンがやってくる! うわぁ胸熱! 詳細な様子はこちらの旅行記に書かれております。
この祭りの主役はトゥブアン。トゥブアンが船に乗ってやってきて、
走って、
転んで、
踊って、
戯れて、
高速回転。
もうやめてーーー!! トゥブアンが好きすぎてつらい。
ちなみに、この「トゥブアン」、数ある精霊の中でも、最も神聖な精霊の一つ。当然中に人(たぶんおっさん)が入っているわけですが、「自分が入っているぞ」と絶対他人に漏らしてはいけないそうです。言ったら呪われるって。どこかのネズミーランドのキャストさんみたいですね。精霊はパプアでは今も信仰の対象となっており、マスクフェスティバルもかなり宗教色の強いイベント。ちょっとふざけて書きましたが、パプア人のアイデンティティに関わる非常に神聖な儀式なので、その辺はしっかり意識しつつ、この祭事を楽しむのがよいでしょう。
「夢だけど、夢じゃなかった! 」
映画『となりのトトロ』メイちゃんのセリフより引用
記憶の中にいる妖怪たちは確かに実在した! こうして「どんどん」 (=クケリ)、「かやねほり」(=ストローベア)、「かんすころげ」(=トゥブアン)は私にとって、絶対に遭遇したくない恐怖の対象ではなく、どうしても会いに行きたい憧れの存在となった。
ちなみに、「かやねほり」と「どんどん」という妖怪に関しては全く検索に引っかからなかった。まさか、この謎の妖怪たちは、うちの父親の創作なのか!? 超が付くほど真面目で常識人な父のネーミングセンスが意外と斜め上で、私はちょっと見直した。
最後に『ゲゲゲの鬼太郎(第三期)』のエンディング。最後の最後にでてくる例のアレに毎回びびってました。
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