最終出社日に思う「もっと早くからやっておけばよかった」1つのこと
「お体に気をつけてー。あとお命もー」みたいなことを言われながら会社を後にした今日は、ついに最終出社の日。
ものすごい勢いで身辺整理をし、誰もが引くほどの汚さを誇っていた自慢の机もきれいさっぱり片付いた。「やっぱ整理整頓って大事よねー。机の上がきれいだと仕事の効率もアップよねー」みたいなことを最終日に気付く。
ほとんどのものをどうにかこうにか処分したけど、モノを捨てることに対して激しい抵抗を感じる私には、どうしても捨てられなかったものがいくつかある。仕事をするうえで、決して欠かすことのできなかったもの。仕事へのモチベーションを保つためのカンフル剤。せっかくだから記念に写真を撮って実家に送った。
それが、上に写真を載せた大量のクリアファイル。「楽しいクリアファイルを使えば、少しでも仕事が楽しくなるんじゃないか」と信じて買い集めたもの。それからもう一つ。
あーやばいかなー、これひょっとして企業コンプライアンス的にギリアウトかもしれないなー。
でもお気に入りだったしなー。
愛用していたクリップ入れ。クリップを入れるとか何を入れるとかどうでもいいんだけど、とにかくこれが心の支えだった。
あれ…? 私何の仕事してたんだっけ。
まあこれを一言で説明するのはちょっと難しいので割愛するけど、キャラクター関連、アニメ関連、クリアファイル関連の仕事ではなかったことは確かだ。とにかく入社から約5年半、私は上で紹介したアイテム関連の業務に携わってきた。
世界一周に旅立つことを決めたあと「持ち物の準備」に関しては、早期から積極的に取り組み、コツコツと日々収集を怠らなかった。
でも、「人の準備」は全然整ってなかった。完全に時間が足りなくて、もっと早くからやっておけばよかったと心底思った。これが今日のタイトル。つまり、“「もっと早くからやっておけばよかった」1つのこと”というのは
「会社の人と別れることに対する心の準備」だ。
1月中旬に退職を申し出たあと「期末のバタバタした時期に辞めるとか言うと課内が混乱する」みたいな理由で、しばらくは周りに伏せておきましょうね、という指令が出ていた。そして、結局正式に発表されたのは、退職を申し出てから2か月半後の4月1日。退職の1ヶ月前だ。
最後にもめたりしたくないので、私はその指令をそれなりに遵守し、一人コソコソと準備を進めてきた。でも、本当にまわりに打ち明けたいと思うなら、そんな指令は無視すればいいだけの話。どうせそのうちバレるし、実際報告を待たずしてほとんどの人が知っていたと思う。
でも私は、自ら職を辞すると言うことに関して、「中途で採用してくれた人」「正社員にしてくれた人」「育ててくれた人」「仕事を任せてくれた人」など私に何かしら期待してくれていたいろんな人を裏切ることになるなという自覚があった。
今ここで「会社辞めて世界一周行ってきます! 」と騒ぎ立てることで、その人たちにさらに迷惑をかけるのは本意ではない。
それから、退職の理由も理由だから、「世界一周とかいい歳して何言っちゃってんの」「危険なところにわざわざ足を踏み入れてバカなんじゃないの」みたいになるのも怖かった。
だから、「上司から他言を禁止されている」という理由だけでなく、「はいはい私がすべて悪いんですよ。なんかすいませんね迷惑かけちゃって。どうせこんなこと誰にも理解されないでしょうけどね」みたいな激しく歪んだ思い込みが心を占拠して、自分自身でブレーキをかけてしまっていた。
結果、報告がどんどん先延ばしになって、直接会って退職報告ができたはずなのに、メールで済ませてしまったり、相手から聞かれてしぶしぶ報告する、みたいなとんでもなく失礼な状態になってしまった。
退職が発表されてからは、いろいろな人たちが、送別会を開いてくれたりごはんに誘ってくれたりした。私らしからぬチャラさで毎日毎日誰かと食事をし、お酒を飲んでいる。結果的に、1日も休むことなく3週間くらい飲み続けているけど、それでも時間は全然足りない。
友達が少ないことで有名な私ですらこんな状態なんだから、普通の人はもっともっと時間が必要だと思う。
その過程で「早くからやっておけばよかった」ことに気付いた。
てっきり「ばかじゃねーの。考え方あめーんだよ。いくつだよおまえ」みたいなリアクションとられるかと思って、勝手に意地になって「理解のない人に報告なんてする必要ないし。私はとりあえず波風立てずに辞められたらそれでいいんで」なんていう気持ちになってた中学2年生みたいな自分がバカみたいだ。
私を送ってくれる人たちは、みんなびっくりするくらい、しっかりと私の話を聞いてくれた。「やりたいことがあって、それに向かって進むのはすごくいいと思う」と賛同してくれ、「何をやっていても、元気でいることが一番。楽しんできてね」と背中を押してくれ、「とにかく生きて帰るという意思を強く持ってね」とものすごく身を案じてくれ、事前予想の100倍くらい好意的に受け止めてくれていて驚いた。
あーあ、こんなことならいつまでもコソコソ隠蔽してないで、もっと早くからまわりの人に打ち明けてればよかったなー。謎の箝口令とか無視して。
もっと、みんなといっしょにご飯に行ったり、ゆっくり話をしたり、そういう時間をたくさん作ればよかったなーって今になって思う。っていうか“辞めるからごはん行く”じゃなくて普段からもっとそういうことをしておけばよかったんだ。
「人の準備」をないがしろにしたばっかりに、最終出社日にして「自分の本音を素直に出せば、結構相手も心を開いてくれる気がするなあ」みたいな、仕事も世界一周もまったく関係ない、人とのコミュニケーション的な気付きを得るハメになった。あの会社いい人がたくさんいたのになあ。
帰り道、「どうしよう、泣きそう。っていうかもう泣いて…
今日が、雨でよかった…」
みたいないい感じにセンチメンタリズムを炸裂させたのはここだけの話。
とはいえ、この件に関してはリカバリー効かないことはないと思っている。今私こんなだけど、これ旅行中どんどんアフリカナイズされていくからさ。すげーどうでもいいメールとかするし、アフリカで撮った自分の写真とかも送りまくる。空気とか一切読む気ないんで。
それから、みんなが私のことを忘れたころに帰国して、めっちゃ飲みに誘う。温度差とか気にしない。それがアフリカンスピリット。
だから、引き続きどうぞよろしくお願いします。
ということで、会社のみなさまにいただいたお餞別を披露したいと思います。
さばスモーク。
さすが、クリエイティブな人は選ぶものが違う。センスが群を抜いてる。
あげる側の課員一同も、果たして「笑うところ」なのかどうかもちょっとわからなかったみたいで、リアクションのとりかたに戸惑いを感じました。でもそこがいいね。今のまま、魅力を失わず突き進んでほしい。
おされなネックピローとモスキートバンド(蚊対策)。
どう見ても救命胴衣なデザインが素敵。
飛行機や長距離バスで爆睡してるだけでも、「あの日本人意識たけーな」ってなりますね。
こちらは、日本のいろいろなものがイラストとローマ字で紹介されている手ぬぐい。
外国の方に日本のことを紹介するときに使います。「OKE」とか使いどころがなかなか難易度高いです。
これは日本で食べる用。
かなり前から憧れていた帝国ホテルの高級フルーツケーキ「ORCHARD」。ずっしりとした重みがたまらなく贅沢。コニャックを加えて焼き上げた生地に、リキュールやブランデーに漬け込んだフルーツがたっぷり乗っかっています。夕方に一切れ食べたから、最後の退職の挨拶はお酒の力で乗り切れたようなもんです。
欲しかったイヤホン。「すごーい! なんでこれ欲しいって分かったんですかー?」なぜならこの投稿に全力で「よこせ」と書いたから。
ブログのURLを伝えたら、まさかの全記事読破してくれて、超グッときました。おまけに、お餞別までいただいて、本当に、気を遣わせてしまってすみません。すごくすごくうれしいです。ただ、上の投稿ではラブソングを聴く的なことを書きましたが、実際のところ9割がアニソンになるかと思います。悪しからず。
右のキーホルダーは、ダイバーズフラッグ。周囲30mにダイバーがいることを知らせるための旗のデザインです。意味としては「ここに、ダイバーがいます」。これをバックパックに付けておけば、「そっかそっか、あの人ダイバーか。ならフィンとか持ち歩くのも当然かー」ってなるやつ。
全部、持って行きます。ケーキは完食します。本当にありがとうございました。
最後に、私を困らせてばかりのiPhone6がまたやらかしてくれました。予測変換でこのような罠を仕掛けていて、
見事にそのトラップにひっかかりまくって、たくさんの人たちに「ありがとうのざいました! 」って送り続けていたことに今気付いて、穴があったら入りたい。
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