エチオピア(7)インセクトの襲撃とはじめて本格的に騙された心境
世界一周、アフリカ大陸北上! なんつって旅をしております私は、現在エチオピアにいます。本日は、ラリベラという、石窟教会で有名な町から、次の目的地「メケレ」へと移動。”第二のエルサレム”なんて呼ばれているラリベラですが、実際に滞在した今となってはそのイメージはガラッと変わりました。百聞は一見に如かず、インターネットの情報が世界の全てではない、ということをあらためて思い知らされました。
【現在地】メケレ(エチオピア)
Makale/Mek’ele(Ethiopia)
【気温】25度(昼)
【天気】晴れ・くもり
【通貨】1ビル(ブル)=約5円
ついにインセクト的な何かの餌食に
朝7:00起床。なんかお腹がかゆいなあと思ってTシャツをめくると…
!?
え…なにこのプニッと感!! やだ太った!?
ショックです。毎日毎日おなかいっぱいインジェラを食べているせいで、確実におなかがプニッてしてきました。あー過酷なアフリカ旅なのになんでこんなことになっちゃったんだろう。この赤いツブツブはいいとして、お腹と背中の間のこの腰のところのお肉をなんとかしないとちょっとこれもうやだ誰か助けて。
という具合に、何かのインセクトの襲撃に気付いたわけですが。布団をめくるとピョンピョンと飛び跳ねる黒い虫がいましたので、これはきっとノミだろうなあ。赤い点々がお腹まわりにたっぷりと。刺されたのが腕とか脚なら記念に写真の1枚でも掲載できたかと思うのですが、いかんせんこの状態のお腹ですからね。また別の機会に。
ちなみに、身軽に旅をするためにほとんどの荷物をアジスアベバのホテルに預けてきた私ですが、こんなこともあろうかとしっかり持参しておりました。
「カンピオーネEX ゲル」(虫さされ・しっしん・かゆみに。患部に素早く効く)
というわけでこれは想定内。しかし、この宿(BLULEL HOTEL)はノミだけでなく、周囲にめんどくさいゴロツキさんたちがたくさんいて、なかなかプライベートな時間を確保することが難しいという点でも、まったくおすすめできません。詳細情報書かなくていいですかね。1泊250ビル(約1,250円)です。どうしてもここに泊まりたい人は、そこらへんにいる人に聞けば誰でも知ってますから、尋ねてみるといいんじゃないですかね。
朝8:00ホテルの人が「エチオトラベルの人が迎えに来たよ」と部屋に呼びに来て、このマイナス面しかない宿をチェックアウト。
ラリベラからメケレへの行き方(エチオトラベルの手配車にて)
私は本日メケレという町まで移動し、明日からメケレを起点とする3泊4日の「ダナキル砂漠ツアー」なるものに参加する予定。
ツアー会社はダナキル関連で最大手の「Ethio Travel and Tours」(エチオトラベル&ツアーズ)さんです。
事前に公式HPから連絡をとり、金額交渉の末450USDを提示してくださったので、ここに決めました。過去に参加された方々の金額を見るとだいたい350~500USD。私はひとり参加ですので、ツアーの催行が決まっている日があればその日に参加するんで、と言って金額の交渉を行いました。
この日ちょうど私と同じようにエチオトラベルさんでツアーを申し込み、明日からダナキル砂漠ツアーに参加する人たちをピックアップするそうで、私も公共バスを使わずに、エチオトラベルさんの車に乗っていくことにしていました。
ラリベラからメケレまでは、公共のバスでも行くことができるのですが、ダイレクトバスは無く、どうしても1~3回の乗り換えが必要なようです。過去に行かれた方のブログを拝見したところ、運が悪いと1日ではたどり着けないようで…。そうなると旅の日程に支障が出ますので、もし、可能であればエチオトラベルさんにお願いしてみるのも手だと思います。
ホテルを出ると、目の前に1台の4WD車が停まっています。車内には一緒にメケレまで行くことになるスペインからお越しのファミリー3人と、エチオトラベルの人、そしてドライバーさんが乗っていました。
車から降りてきたエチオトラベルの人に、車代として、ツアー料金450ドルのうち50ドルを支払い、ここで彼とはお別れ。
ドライバーさん、後部座席にスペインファミリー3人、助手席に私で、いざメケレへと出発!!
今までで1番の絶景! ラリベラからメケレへの道のり
8:30 ラリベラ出発
ラリベラは、標高2,600mに位置するとてもとても高いところ。ここからメケレまでは、山を下っていくことになります。雨季の終わりの8月末から9月頭にかけては、山々の緑が生い茂り、とてもみずみずしく気持ちの良い眺めが続きます。
これが乾季だとまたガラッと表情が変わるのでしょうが、この時期にこのルートを通るのはすごくおすすめ。アフリカを北上する過程で見たどの景色とも違う素晴らしい景観です。
ちょっと町中をはずれと、農村部で暮らす人々の姿を目にすることになります。
裸足で追いかけてくる子供達が叫んでいる言葉は、
「ハロー! ペン! ハロー! ペン! 」
ペンとは、そのまま、ボールペンとかのペンです。物資の不足。これがエチオピアの農村部に暮らす人々の現実。小さな町ながら、世界遺産石窟教会という強力な観光資源に恵まれたラリベラは、ある意味狂っていると言っても過言ではありません。
貨幣価値、ライフスタイルなんかが、一般的なエチオピアの人々のそれとはまるで違うんだろうなあと感じました。
途中で見た猿。なんかこわい。
日本でいうと、梅雨明け~初夏な感じのラリベラからウォルディヤという村までの道。今まで通ったルートで1番好きでした。
12:00 ウォルディヤ着
ここでランチタイムです。一緒に車に乗ってきたスペイン人ファミリーと自己紹介。17歳のクララちゃんという女の子とそのお母さんとお父さん。家族三人で、夏休みを利用してエチオピア旅行をしているそうです。
オーダーしたのは、おなじみ、エチオピアの定番料理インジェラ。
ここのインジェラは、上に乗っている具材の種類が豊富で、いろんな味を楽しめました。
その中のひとつに、とても柔らかな噛み応えのものがあり、「うん、これはおいしくて食べやすいですね」ともりもり口に運びます。
すると、クララちゃんが微妙な表情で、私が食べていたものを指差し一言。
「それ…たぶんロウミート(生肉)だよ。ねえ、パパ、これ生肉だよねぇ? 」
え、そうなのパパ!?
「ああ、そうだよ(苦笑い)」
エチオピアには牛肉を生でも食べる習慣があります。ユッケとかタタキとか、生の肉も大好きな私ですが、これがエチオピアとなると話は別。ほら、バクテリア的なアレがあるじゃないですかー。やだー。しっかりたっぷり食べちゃったー。
焼肉屋さんで出てくるユッケみたいな状態ならば、しっかり気づくことができたと思うのですが、
こんなふうにカムフラージュされちゃうと、
これは手の打ちようがありません。トラップ以外の何物でもないじゃないですかー。
明日から参加するツアーは、ほぼほぼ青空トイレ(つまり屋外の草むら)と聞いています。これが何を意味するか。
つまり、どう転んでも絶望。
まずいよー。生肉はまずいってー。
もちろん、バックパッカーたるもの、ときにおかしなものを食べておなか壊しちゃった、みたいなイベントが発生してもいいとは思うのですが、
でもそれ今じゃない。
涙目で完食しましたが、とりあえず、今のところお腹は大丈夫です。
食後は、こちらもおなじみ「コーヒーセレモニー」。エチオピアの伝統で、丁寧に入れたコーヒーを小さなカップでいただきます。レストランにもちゃんとコーヒーセレモニーのセットがあるんですねぇ。
そして運ばれてきたのは、ポータブルコーヒーセレモニー的な、持ち運べるテーブルセット。
エチオピアはコーヒー好きにはたまらない国です。インジェラ80ビル(約400円)、コーヒー一杯5ビル(約25円)。
ちなみに、ドライバーさんにずっと気になっていたことを聞いてみました。このブログを読んでいただいている方も気になっていたと思います。
こいつ毎回でっかいインジェラよく1人で完食してんなあ、と。
そうなんですよ。これけっこうきつくって。「あのー、このインジェラですけどね、1人1枚は多いと思うんですよ。とくに女性には。
1人で食べる時どうしてんですか? 残すんですか? 」
「簡単だよ、ハーフサイズを注文すればいいんだ」
あ、あるんだ、ハーフサイズ。勉強になりました。次からはハーフサイズをオーダーします。
13:20 出発
荷物を運ぶ動物が、ロバからラクダにシフトしていき、だんだんと暑いエリアに近づいてきたのを感じます。
ところで牛の角、デカくないですか?
スペインからお越しのファミリーに対して「あれで闘牛やったら大変なことになりますね」っていうその先を具体的に想像するとけっこうスプラッターな発言を繰り出したりしながら、和気あいあいとしたドライブは続きます。
しかし、このルート、車窓から目撃したなんやかんやはかなり壮絶で、まず目につくのが尋常じゃない数の事故車。山を下りますので、スピードも出てしまうんでしょうね。
カーブを曲がり切れずガケぎりぎりにまで突っ込んだハイエースや、派手に正面衝突した2台の車。どうしてそうなったのか分かりませんが、道路のど真ん中に横転しているトラックなどなど。ヤバイ事故のお手本ロードみたいな状態。
おまけに、山道はくねくねとしたカーブが続きますので、すれ違うバスの窓から、道路に嘔吐している人の姿も。
このルートを、パブリックトランスポーテーションで行くのは、けっこう命がけなんじゃないですかね。
19:30 メケレの「エチオトラベル」オフィス到着。出発から10時間半。
中に入ると1人の女性がいて、ようこそ、と歓迎してくれました。彼女はエチオトラベルのスタッフMariaさん。ツアーの申し込みにあたり、メールでやりとりをしておりました。明日からツアーに参加するmayumiですと自己紹介し、ツアーの詳細が書かれた紙を手渡されます。ざっと内容を説明してもらい、そのあとお支払い。
「じゃあ450ドルね」というMariaさんに「あ、私ラリベラのスタッフさんに50ドル先に払ったんで、残り400ドルですよね? 」と言うと、途端に彼女の表情がくもります。
「あなたそれ、誰に払ったの…? うちのスタッフは、先払いなんて要求しないハズだけど」
……
……はあ(深いため息)。
ついにやられてしまいました。
あいつ、にせものかぁ(遠い目)
ラリベラで詐欺にあった経緯について
えーっと、つまり、朝、私のホテルに迎えに来たエチオトラベルのスタッフを名乗る男性、彼は偽物で、私はその偽物に50ドルもの大金を支払ってしまったのですねえ。残念なことに。
実はこの男性とは一悶着あり、先払いなんて聞いていない私は「払わない」と一度は拒否したのです。
しかし、偽物の男性は、私がメールでやりとりをしていたMariaさんの名前を出し、さらにMariaさんから聞いていたエチオトラベルのラリベラ営業所のスタッフさんの名前を名乗り、
「払わないなら車に乗せられない」の一点張り。
車内でスペインファミリーを待たせているし、悩んだ私は結局払ってしまったのです。そのときドライバーさんにも「この人に50ドル払っていいんですよね? 」と確認したらイエスって言ったんだけどなあ。それに、ホテルの人も、たぶん偽物だって知ってたと思います。こうなってくると、どこまでがグルなのか正直よく分かりません。
しかーし、念のため偽物男性の写真をこっそり撮影しておりました。
Mariaさんに、「私、この人に50ドル払っちゃいました」と写真を見せると「あーはいはいこの人ねー」と。偽物男性は常習犯らしく、他にも被害にあった方がいらっしゃるそう。
とはいえ私が立派に騙されたことに変わりはなく「50ドル痛いなー」と思っていると、
なんとなんとなんと、Mariaさんの口から出たお言葉は、
「支払い、400ドルでいいわ。でもこれからはくれぐれも気をつけてね。絶対にオフィス以外の場所でお金を支払ってはダメよ」
えぇぇえぇぇぇっ!?
いいんですか!?
「ラリベラのスタッフに伝えて、取り返せるよう動いてみるわ」というMariaさんですが、この状況で、本当に取り返せるのかは微妙なところだと思いますので、これは完全に彼女&エチオトラベルさんのご好意。
「Ethio Travel and Tours」立派な会社やでー!!
結局ラリベラとはなんだったのか
私にとってのエチオピア最初の場所、ラリベラ。ここでの、エチオピアvs.私の戦いは、くやしいですが私の負けだと言わざるをえません。見事にきれいに騙されてしまいました。幸い、エチオトラベルさんに助けていただきましたが、偽物男性が、なんの苦労もなく簡単に50ドルを手にしてしまったのは事実。くやしいなあ。
料金をちょっと多めに請求するだとか、勝手に旅行者プライスを設定するだとかとは違い、今回のは完全に悪意。とても嫌な気持ちになりますねえ。
毎週日曜の朝に白いスカーフを巻いて教会のミサに行き、十字架を首からぶらさげ、司祭さんの持つクロスにキスをし、
そして、人を騙しお金を奪う。
神はそれすらお赦しになるのですか? なんかこうちぐはぐというか、いままでの私の常識では結びつかないんですよねえ。しかし、実際問題、ラリベラではこれが見事に両立しちゃっているわけで、改めなければいけないのは、私の常識のほう。
そうして、やはり強く強く再認識するのは、
何らかの宗教に対する敬虔な信仰心も、人を騙して平気で笑っていられる心理も、
私には一切理解できないということ。理解できないままでいいんですけどね。
私がどれだけがんばっても追いつけない、圧倒的な文章力と圧倒的な荷物の量。あらゆる面で他のブロガーさんとは一線を画している尊敬すべきの世界一周準備中のブロガー「モーストリーサンダーストームぷりこーしょん(MTP)」のふじ先輩もかつて、「人の善意につけこんでくる所詮この世は性悪説」という投稿でおっしゃっていました。
みなさま、しょせんこの世は弱肉強食。
世界の小悪党には一分のスキも見せたら、あきませんよ。
『モーストリーサンダーストームぷりこーしょん』より引用
スキだらけだったなあ、私。がっちり固めていかなければならないところだったのに…。今回ばかりは自分の甘さを痛いほど実感いたしました。
まったく、ラリベラは、ほんとうに理解不能なところでしたが、ひとつ私が言えることは、
町中にたむろしている人、むこうから話しかけてくる人の言うことは10割、嘘だと思ってオケ。
あと、みなさん、お金は事務所で払いましょうね。
というわけで本日の投稿はこれにて終了。さあ気持ちを切り替えて、明日からは、超絶楽しみにしていた「ダナキル砂漠3泊4日」がはじまります!! 本日も最後までお読みくださってありがとうございました。
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