モザンビーク(11)運命のバティックを眺めながらモザンビークを想う
現在モザンビークの首都マプトに滞在しております私は、世界一周の真っただ中。明日は、次の国「マラウィ」へと飛びますので、本日でモザンビークともお別れです。11日間滞在したこの国でいろいろな体験をしてまいりましたが、今日はその集大成ともいえるスペシャルなお土産を購入いたしました。
【現在地】マプト(モザンビーク)
Maputo(Mozanbique)
【天気】くもりときどき雨
【気温】19度
【為替】1メティカル=約1.6円
さくっとマラウィビザをゲット
本日10:00、昨日申請をしにいったマラウィビザを受け取りに、マラウィ大使館へと行って参りました。マプトでのマラウィビザ取得方法はこちら。
無事にビザが貼られたパスポートを受け取り、入り口に数人たむろしていらっしゃった大使館関係者の方々に「うまくいったか!! やったな!! 」「よかったね!! 」と口々に声をかけていただきながら大使館をあとにします。
昨日ぐるりと市内を一周しましたので、本日は何をしようかなと考えつつ、大使館からすぐ近くのクラフトマーケットへ。実はここへは昨日もやってきているのですが、海外の手工芸品に目がない私は、こういう場所は何度訪れても楽しめるのです。
今日のターゲットはアフリカンなバティック
入り口付近にたっぷりと展示してあるのは、バティックというろうけつ染めの技術を使ったタペストリー。
昨日は完全にスルーして縫製品にまっしぐらでしたが、本日はバティックを見てみようと思い立ちます。このバティック、インドネシアやマレーシアのものが有名ですし、タイやインドでも見かけます。なんとなく、アジアのご当地クラフトというイメージがありましたので、アフリカバージョンはどんな感じなのだろうかと気になりまして。
アジアでは、幾何学模様や花柄をモチーフにした、お部屋によくなじみそうなデザインが多いのですが、やはりここはアフリカ。
ぐっとカラフルで、鮮やかな色が目に飛び込んできます。存在感というか、主張がすごい!! なかなか自分の部屋に飾るのは難しい気がします。
わあーアフリカっぽいなあーなんて思いながら歩いていると…
あれ…!?
1枚だけやたら青いバティックが風にはためいています。
近付いてみると…
これは!!!!
こういうの、ひとめぼれって言うんでしょうね。ビビッときてしまいました。
大きな大きなジンベイザメ!!
つい先日、モザンビークのトーフという村で遭遇したミラクル。マンタを探していたら、なぜかジンベイを見つけていっしょに泳ぐというなんとも素敵な体験をしたばかりです。投稿はこちら。
そんな私の目の前に現れたバティック。
運命的な出会いだと感じました。
モチーフもいいけどこの色使いも素晴らしい。淡いブルーの濃淡は、まさにジンベイザメのようでもあり、
バザルートの海のようでもあり、
なんだか私のモザンビーク滞在を象徴するかのようなデザインではないですか。
お店の男性も「これはいいやつだ!! 」とイチオシ。
まあどれもいいやつだっておっしゃるんでしょうけど。
これ、欲しい。
しかし、何を隠そう、私は金額の交渉というのがとても苦手。うまく事を運べなくて、だいたいいつも相場より高いのを自覚しつつ購入してしまっています。でも今日はなんとしてもこのバティックをお手頃価格で手に入れたい…。
とりあえず、軽くジャブを打ってみます。
「いやーいいですねぇこのバティック。でも一番大きいサイズですから、きっとお高いんでしょう?? 」
「4,500メティカル(約7,200円)だ!! 」
はぁ!? 高っ!! たっっか!!!
いきなりのカウンター。今までの私なら、さすがにこの値段を言われるとあきらめざるを得ませんでした。しかし今日は違います。このバティックに一目ぼれしちゃってますから、なんとしてでも買って帰りたいのです。
このバティックにいくらまでなら払えるか。内なる私と、私のお財布と相談した結果、
マックス2,000メティカル(3,200円)だな。
いいでしょう。とことん付き合いますよ。今日は逃げも隠れも致しません。お互い納得がいくまでやりあって、双方にとってのベストプライスを模索しましょう。
まずは私のターン。
「私セーブマネーしなきゃいけなくって。そんなん買えません。見てのとおり貧乏なんですよ」
まずは基本中の基本。貧しさをアピールし、自分の資本に限りがあることを伝えます。
「じゃあおまえのベストプライスを言ってみろ!! 」
なるほど、受けて立とうというのですね。
では…
「1,000メティカル(約1,600円)でお願いします!!! 」
「はぁ!? 何言ってんだ!? こっちもビジネスでやってんだ、1,000で売れるわけないだろう。
だったら小さいサイズのを買え」
のっけから全力で放ったパンチは、華麗にかわされました。
今までの経験上、小さいサイズや低スペックのものを勧められる場合、こっちがあまりに安い値段を言いすぎているということ。しかし私はバティックならなんでもいいわけではなく、このホエールシャーク(ジンベイザメ)のが欲しいんです。
ここで再び私のターン。
「ちょっとこれ見てよ!! 」
そう言って、スマホに入れておいた、先日ジンベイと泳いだ際の写真を見せます。
「こないだトーフでジンベイと泳いだんだって!! ホント最高!! モザンビーク最高!! 私こんなにアイラブモザンビークなんだよ。だから、どうしてもこれが欲しいの!!! 」
もちろんこのこの言葉に嘘偽りはなく、私の溢れんばかりのモザンビーク愛を必死でアピールします。
「そうか。じゃあ…
1,000は無理だけど、4,000(約6,400円)まで負けてやる」
「ノーォォォ!!!! 4,000でも高いぃぃぃ!!! 」
すると今度は男性のターン。
「でもこれは、おれの父親が描いたもので、父親にもお金を渡さなきゃいけなくって…」
「そういうのいいから」
親を持ち出してきた男性の攻撃。しかし、たぶん描いたのは全然関係ない人。というわけで私にダメージはありませんが、少し歩み寄ってみます。
「じゃあ1,500(約2,400円)!! 1,500なら出せる!! 」
「わかった!! じゃあこれが俺のファイナルプライスだ!! 3,500(約5,600円)!! 」
わかってないじゃん!! 安くないじゃん!!
今の私に途中棄権はあり得ません。私このバティック絶対欲しい。なおかつあまりお金をかけたくはない…。
「わかった。じゃあ2,000(約3,200円)。本当にもうこれ以上は払えません。マジで私セーブマネーしなきゃいけないし…お財布に2,000しか入ってないんですもん」
たまたまホントに2,000しか入っていない財布の中身を披露します。
ここまでやれば着地すんだろ。と思いきや
「うーん。3,000(約4,800円)だな。俺だってもう限界だ。ドル払いでもこっちはOKだぞ」
チッ。なかなかしぶといな。
と思いきや、このあたりで、男性はバティックを包むための包装紙を用意し始めました。
お、これはゴールが見えてきたか!?
……(両者沈黙)。
そして、
「わかりました。残念ですがあきらめます」
最後の切り札。「あきらめたふりして立ち去る」という高等テクニック。男性に背を向け遠ざかります。1歩、2歩、3歩…。そして、そして、ついに
「オーケー!!! 2,000(約3,200円)だ!!! ファイナルプライスだ!! 」
やったー!!!!! バティック2,000メティカルでゲット。
試合開始から約1時間。お互いの健闘を称え、力強い握手を交わします。
これが相場と比べてどうなのか、正直さっぱりわかりません。しかし、私はこれに2,000までなら出せると判断したわけですから、これが私のベストプライス。全力で戦った我々の顔には爽やかな笑顔。「このバティックを見て俺のことを思い出せよ!! 」という男性に、心の中で、
「いや、ジンベイのことを思い出します」
と答えながら、とても充実した気持ちでその場を後にしました。
マプトのインターネットカフェ&コピー屋さん
この日私には1つのミッションがありました。それは、マラウィ行き航空券のEチケットのプリントアウト。それからパスポートのコピー入手。この2つを成し遂げるためにはインターネットカフェというものを探さなければなりません。が、まあ見つからない。
マプト、ネットカフェ全然流行ってません。
町中をけっこううろうろしたのですが、結局見つけたのはプリンターが故障中のネットカフェ1軒と、ネットカフェじゃないけどデータの出力とかコピーをやってくれるお店1軒のみ。
ネットカフェじゃないけどデータの出力とかコピーをやってくれるお店で私の目的は達成されましたので、一応場所のっけときます。
外観これ。
非常に分かりづらいですが、ここでできます。
備え付けのPCでプリントアウトしたい画面を表示して、普通にプリント。Eチケットのページは4ページあり、これで40メティカル(約64円)。あと、パスポートのコピー5枚で10メティカル(約16円)。合計50メティカル(約80円)払いました。
モザンビーク滞在について思ったこと
そんなこんなで、本日はモザンビーク滞在の最終日。わずか11日という短い期間ではありましたが、私はこの国がとても好きになりました。
3都市しか行っておらず、おまけに半分以上が海、そしてダイビング関連です。これでモザンビークを語ろうというのはなかなかに難しい。それは分かっています。
だってこの国すごく広いんですよ。日本の約2倍!!! もっともっといろいろ見てみたかったです。
でも今は、この国の情勢がそれを許してはくれませんでした。
まわりに心配やら迷惑やらをおかけしてまで旅を続ける気はありませんので、今回は後ろ髪引かれながらも隣国マラウィへと向かいます。こればっかりは私にはどうしようもありません…。
評判のくっそ悪いモザンビーク。
しかし、ここほど聞いてた話と全然違う国は初めてです。
自然もいい! 海もいい!! でも“人”が…とかね。どんだけひどい目に合うんだろうと思いながらやってきましたが、これが本当にとんだ勘違いで。
バスが故障してあたふたしているとき、ポルトガル語が分からなくて買い物に困っているとき、荷物が重すぎてつい立ち止まってしまったとき、
必ずモザンビークの優しい人が助けてくれました。もちろんチップとか請求されません。
歩き疲れてぐったりしながら道を歩いていると「大丈夫か、疲れてんのか!? 」と声をかけてくれるおじさんもいましたし、泊っている宿の人も、一人でこそこそしている私に「元気か!? 何か困ったことはないか?」と言ってごはんを分けてくれたり、いちいち優しい人が多い!!
しかも、ハイテンションでなれなれしくグイグイくる感じではなく、そっと声をかけてくれる感じがまたいい!!
まったくの個人的感想ですが、この国は、なんだか先日訪れたマダガスカルと少し似ています。
スリル満点の乗り合いバス、バオバブの木、貝殻を灰皿にするところ。あまり観光客慣れしていなくって、控えめにコミュニケーションを取ろうとして近づいてくる大人。そしてそれとは対照的に、元気いっぱい手を振って挨拶をしてくれるお子様たち。
緯度、同じくらいですしねww
だから、なんというか、私が大好きになったマダガスカル同様、ここモザンビークにも計り知れないポテンシャルを感じましたよ。
20年続いた内戦が終わってから、約25年が経過。かつてこの国を訪れた方々が味わわれたネガティブな部分は、きっと時間の経過とともに薄れているんだと思います。
海外からやってくる旅行者も増え、その対応に慣れてきたのもあるでしょうし、生活にも心にも少し余裕が生まれたのかもしれません。私がモザンビークを訪れるのは今回が初めてなので、実際のところどうなのかわかりませんが、
ネットで見る過去のモザンビークと、現在のモザンビークは確実に違うと思います。
幸い私は、腐敗しているという警察の方々と接する機会はなく、職質も尋問もわいろ要求もされませんでした。危ない目にも嫌な目にも合わず、いたって平和に旅をすることができました。運が良かっただけだと言われればそうですねと言わざるを得ませんし、私のルートでは、おそらく負の部分を見る機会は全くない。
だからこそまた来たい。もっとモザンビークを知り、もっとどっぷりとつかってみたいなあと思うのでした。いつになるかは分かりませんが、国内の情勢が落ち着いたらぜひ、中部、北部とゆっくり旅をしたいなあ。
というわけで、本日でモザンビーク編は終了です。
モザンビーク編の振り返りと言えば、せっかくのパスタ作り(女子力アピールの場)の投稿を途中で切れたままアップするという痛恨のミス。大事なところでやらかしてしまう私の詰めの甘さが露呈してしまいましたね。今さらですが、ちゃんと最後まで書き上げてアップしておりますので、お暇な方はぜひご覧になってみてください。
明日は早朝の飛行機でマラウィへとむかいます。経由地、ヨハネスブルグ(南アフリカ)。
あ゛あ゛あぁぁせっかく北上したのに、一瞬ですがまた南下。
ほんとうに意味の解らないルートですが、引き続き「北上」していきますよ!! ではでは本日も最後までお付き合いくださりありがとうございました。
コメント4件
ジンベ売りの彼、意外とコンパクトサイズなのですね!
(もしくは、mayumiさんの身長が180cmオーヴァー)
わーい布!
布って素敵です。体を覆えば服に、体に掛ければ布団になる!布団大好き!
思い出の象徴になる戦利品ゲットおめでとうございます♡
値下げ交渉もお見事です。
私はトランジットでシンガポールに行った時に、バティックを使った服を売っている素敵なお店を見つけましたよ。
そこで売っている服のバティックは色も独特で本当にキレイでした。
今回はシンガポールには行かれないかもしれませんが、もし行かれる際にはブログ書いてくださいね。
是非ここへ行けという指令を出させていただきたいです。指令とかって偉そうに…笑
あー、このブログが1位になればいいのに!と思って日々ポチってます。
なかなか海外に行けなかったり、自分では行けない場所もあるので、素敵なお土産を見せてもらえるのは本当に楽しいです。
私の場合、ごはんにお金を使ってしまって、それこそお土産も食べ物で…というパターンが多く、結構その土地のものを見ていないのです。
これはちょっと勿体なかったかもしれません。
次から食べ物以外も見ようと思います! まずはお腹を満たしてから…