あと1か月半くらいしたら、私は世界一の無職になりたいと言うよりなる
一昨日の投稿で、将来バックパッカーを夢見るお子様読者へのメッセージを書きました。あれを投稿した後で、ふと思ったこと。
「ところで、私は子供のころ何になりたかったんだろう…? 」
よくスポーツ選手の幼少期の作文がテレビで紹介されたりするじゃないですか。「ぼくは大人になったら、世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる」みたいな。で実際大人になってサッカー選手になってマジで大活躍しちゃうパターンのやつ。あれはやっぱかっけーな。成功する人っていうのは幼いころからすでにその片鱗のぞかせちゃってたんだな。幼少時代とはいえ自分が宣言したことを華麗に有言実行しちゃうってすげーっす。こういう人は「本田△」(読み方:本田さんかっけー)ってなってさらにはその上位互換である「本田□」(読み方:本田氏かっけー)ってなってサッカーとか全然わからない私のようなにわかファンからも尊敬されるようになるわけですよ。いやもうこれ完全に本田圭佑選手の話なんですけど。
そういうの、実は私にもあったりしないかな、って。
せっかく実家に帰ってきたタイミングなので、ちょっとなんか作文とか寄せ書き的なやつ残ってませんかね、と思って探してみたところ、わりとあっさり発見。保育園卒業の際に記した「ぼくのわたしのゆめ」というテーマの寄せ書きが大切にとってありました。ひらがなだらけの子供の字って、一生懸命書いたのが伝わってきてかわいいですよね。それがこちら。
当時の自分が何を書いたかなんてもちろん覚えていませんから、ワクワクしながら「まゆみ」という記述を探します。そして、見つけました!!
え…ちょ…これって……
うわぁ…ある意味、ものすごく有言実行しちゃってる…。自身のコミュニケーション能力不足に関して、きっとこのころから自覚があったのでしょう。将来に対する言い知れぬ不安。「おともだちとなかよしになりたり(い)」という切実な思いをあえて卒業文集に書くと言う、切なさの集大成。力強い文字がさらに胸を打ちますね。しかもただの“なかよし”じゃない。“なかよし”2回分の重み。
よく言えば人見知り、悪く言えばコミュ力の大幅な欠如。そんな状態の32歳になった今、この言葉は非常に心に迫るものがあります。
かんごふさん、せんせい、おもちゃやさん、みんな将来の夢としていろんな職業を挙げています。でも…「そういうことじゃねーぞ」と。「何になりたいとかは問題じゃねーんだよ」と。幼いころの私は敏感に察知していたのでしょう。
ほとんどのことが“個性”で押し切れていた保育園から、小学校へ上がる人生の節目。コミュニケーション能力至上主義の最たる場「学校」というコミュニティへの恐怖が見て取れます。もしかして、この先に待ち受けるのは、とんでもない試練の連続なんじゃないかという予感。しかもこれがまた的中! 幼少期に自分で仕掛けた伏線をキレーに回収しながら成長していく様は見事としか言いようがありません。伊坂幸太郎も尾田栄一郎もびっくりです。
それから、寄せ書きとは別に、先生からのメッセージが書かれた紙もありました。みんなが在園中にがんばったことや、どんな子供だったかなどを短くまとめている感じの一言コメントですね。私のところは…
「絵本がだいすきなまゆみちゃん。日めくりを毎日めくってくれましたね」
あのさぁぁぁ!! がんばったのそこだけでしたかね? 先生ちゃんと私のこと見てました? そうじゃなくて、もっとこう、あったでしょー!! ……いや、なかったのかな。ちょっと自信ないからとりあえず日めくりを毎日がんばった私、乙。
なんか、幼少期の自分に愛しさと切なさと心強さを感じるんですけど、あのころの私は、今と違ってとてもアウトドアな少女でした。
鼻水垂らしながら暗くなるまで野山を駆け回り、晩御飯を食べたら疲れ切って夜8時くらいに就寝するような健康を絵にかいた子供です。そんな私は、ある日両親に新しい自転車を買ってもらいます。コアラの絵がかいてある黄色い自転車。リカちゃん人形やシルバニアファミリーには一切の興味を示さず、外で走り回るのが大好きだったので、より遠くまで足を延ばせる自転車を与えられ、狂喜乱舞。過度の興奮状態にある私に両親は言いました。
「危ないなって思ったら、ハンドルに付いてるベルを鳴らすんよ」
田舎すぎて通行人なんてほとんどいないうえ、道路の幅も無駄に広いので他人にぶつかる可能性は皆無。しかし、常識のある両親は、調子に乗った私が人様に迷惑をかけることがないよう自動車のクラクションに相当する警音器の使い方を真っ先に教えたのです。
毎日保育園から帰るとすぐに、補助輪付自転車での暴走行為に明け暮れる私。そんなある日、事件は起こります。
家のすぐ前にあるちょっとした崖からの転落。
幸い大事には至りませんでしたが、自転車に乗った状態のまま崖からその下の植え込みにダイブしてしまいました。自身のハンドルさばきへの過信がまねいた事故。両親はもちろん心配しましたが、どうにも腑に落ちない様子。角度的にそんなにやすやすと落ちるような崖ではないですし、落ちそうになったら自転車を放り出して、最悪自転車だけダイブさせればよかったのです。なのになぜこの子は自転車に乗った姿勢のままむざむざ崖から転落したのか…
私は私でまったく腑に落ちていませんでした。「あれ? おかしいな。聞いてた話と違うんですけど…」
かつて両親が言った言葉「危ないなって思ったら、ハンドルに付いてるベルを鳴らすんよ」。私の解釈はこうでした。
危ない時にはベルを鳴らす=私の身に危険が迫ったときベルを鳴らすと何かしらのメリットがある=私がピンチの時には誰かが助けに来る。その誰かを呼ぶためにベルをならす必要がある。
驚異的な変換能力を持つ脳内フィルターのおかげで、私の中では、用途的に言うと完全にこっち。
「え、誰も助けに来なかったんですけど…」まさかこんなことになるなんて思ってませんから、ものすごい人間不信ですよね。こっちはもう、親がものすごい真剣な顔して言ってきた言葉ですから、100%信頼していたわけですよ。でもヒーロー的なやつは全然姿を現さなかった。このころからでしょうねー、「あぁ人に頼って生きてちゃだめなんだ。困ったとき誰かが手を差し伸べてくれるなんて甘えたこと考えてちゃいけないんだ」って思い始めたの。
こうして、両親がきちんとした説明を怠ったばっかりに、私は転落の直前まで必死にベルを鳴らし続けました。そして、さっさと自転車から降りてしまえばよかったものを、両親のいいつけどおり、あくまでもベルに呼ばれて駆けつけてくるヒーロー的な誰かを待つ羽目になり、そのままスローモーションのようにがけ下へと落下していったのです。
両親の想像の斜め上をいくこのような思考や行動は、その後もとどまることなく、むしろ成長とともにどんどん過激になっていきました。ただし、一見突飛に思える行動も、実はちゃんと意味があり、本人にしてみればしっかりとした理由のもとに行動しているわけです。ちょっとおかしくても、おかしいなりに筋が通っている。私の両親は次第にこのような私の性格に慣れていきます。今思うとこのおかげで、30過ぎてバックパッカーになるとか言い出してもそんなにびっくりされることもなくすんなり受け入れられたんでしょうね。
これがいわゆる「両親に反対されないための下地作り」です。一昨日の投稿では、バックパッカーになりたいならこれやっとけ、みたいなこと書きました。
それに加え、「両親に反対されないための下地作り」もけっこう大事なんじゃないかと思っています。
簡単に言うと、親御さんに「あぁ、この子にはもうなにを言ってもムダなんだろうな。私たちがなんと言おうと、我が道を歩いていくんだろうな」そう思ってもらうための努力を惜しまない、ということです。この努力を怠ると、いざ大人になって「会社辞めてバックパッカーやる」と言い出した時に、猛反対に合い下手するとあなたの夢を断念せざるをえなくなります。ご両親は子どもの夢を尊重したいと思う半面、現実的な考えを持たざるを得ないため、これは仕方のないこと。
しかし、しっかりとした下地作りができていればこんなことにはなりません。具体的に何をすればいいのかというのはよくわかりませんが、とにかく何をするにも常にご両親の想像のななめ上を行くこと。これが大切です。「下」ではありません。あくまでも目指すのは「上」。しかもただの上ではなく「ななめ上」。常に志を高く持ち、ななめ上を意識して行動すれば、必ずやあなたのご両親はあなたに対して「あきらめ」に似た感情を抱いてくれるに違いありません。こうすることで、旅立つバックパッカーの試練のひとつ「ご両親説得」の手間が省けます。
ここで注意していただきたいのは、「我が子がどこで野たれ死のうが興味ない」まで持って行く必要はないということです。さすがにこれはやりすぎですから、程よい「あきらめられ感」を得るための絶妙なさじ加減が非常に重要と言えるでしょう。
私は今実家に帰ってきているのですが、このブログの貴重な読者である母が聞いてきます。
「ねえリア充って何? 」リアルが充実した人のこと。「ねえ腐女子って何? 」え…それは…。「お母さんね、まゆちゃんのブログいつも楽しく読みよるけど、たまにね、よく分からん言葉がでてくるんよ」でしょうね。それから、「あの漫画家さん(漫☆画太郎先生)だけはちょっと共感できんやった。ごめんね」うん。全然大丈夫。むしろ、大丈夫。
ほんのり天然な母は、私の思考よりさらに斜め上、二時の方向・上空3,000mぐらいのところにいますから、もしかしたら私のブログに頻繁に登場する「Google先生」のことを実在の人物だと思ってるんじゃないかなってほんの少し不安です。ひょっとしたら、グーグルとかいう外人の指導者が私のバックに付いていて、なんかこうブレーン的な感じで毎回的確な指示出してるって思ってるんじゃないかなーって。ひょっとしたら、ですけどね。まさかないとは思いますが、ちょっと怖くて聞けません。
最高だよ!!!!!!!!!!!
偶然見かけた記事だけどハマったよ!
そしてコメントをする勇気すら与えられたよ!
これからも読むよ!全部よむよ!拝読しちゃう勢いだよ!
できる広告はすべてクリックしちゃうから安心しちゃいなよ!
稀有な文章力と人間センスに脱帽だよ! そして着帽だよ くるりんぱ。
旅費用、投げ銭募集しちゃいなよ!
パトロン、タニマチすぐ集まる魅力たっぷりだ!
自転車ベルのくだり最高www
あーおもしろかった。 ありがとう