ぼくらが旅に出る理由
その昔、小沢健二が歌った『ぼくらが旅に出る理由』。ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり、誰もみな手を振ってしばし分かれる、と。
本日のテーマはそんな感じで旅に出る理由で、もちろん、私には私の旅に出る理由がある。だから、毎日のように旅情報を検索してはルートを考察し、あそこに行こうここに行こう、とひそかに興奮しながら荻窪のコメダ珈琲に長居しているわけですが。
旅行の情報を調べていると、なぜか何度も同じ人のブログに行きつくことがある。情報収集は、だいたいバックパッカーさんのブログで、私がつい読んでしまうのは、出発までの日記とかプロフィールとか。
旅に出ちゃえば、あとはもう、後ろを振り返らず走り出すだけなんだけど、ブログの筆者さんがどんな思いで旅に出ようと思い立ったか、どんな心境で出発を迎えたか、そもそも旅に出るきっかけは? なんていうのが気になる。
やっぱり、これは私がまだ旅に出ることへの最終的な意思決定ができてない証ですね。
せっかくだから、「ブログ村」のブログランキングの上位の方の旅に出た経緯をご紹介します。人は人、自分は自分って言っちゃえばそれまでなんですが、なんとなく気になって調べてみました。
佐々木舞さんという女性の世界一周ブログ。出発は2013年8月。旅立ちを決意された2013年5月の記事です。
私にとって『世界一周に行きたい』はついこの間までこれらと同じ夢物語の夢でしかありませんでした。ぜんっぜんリアリティーがない架空の夢的な。ただ、リアリティーがないながらも物心ついた時からずっとわたしの胸の中にあったんです。
で、いつかチャンスが来たらいきたいなって漠然と考えていたんですだけど、28年生きてて気付いたんです普通に生活している中で世界一周に行くチャンスもタイミングも舞い降りてくる訳ないんですよね。しかも、私は28歳。お仕事もしているし周りはどんどん結婚し子育てを始めてるこんな状態で今までこなかったタイミングがこれから先くるはずもない。
てことは私、気付いたらお婆ちゃんになってて『昔は世界一周に行きたいなんて夢物語語ってた時期もあったなぁ』ってなつかしんでるの!?なんて考えたらいきなりそんなのやだ!!!!行かなきゃ!!!!!ってなったんです笑
で、その勢いで友達に電話で『私実は世界一周にいきたいんだよね』って話したらその友達、なんて言ったと思います??私も自分で言っときながらはぁ?何言ってんの?位言われるかと思いきや『舞ならやりそうやねー!絶対楽しいと思う!!いってらっしゃい!』って。友達は何気なくいったんだろうけどそれが私の夢物語が現実の目標になった瞬間でした。
『世界一周☆ヒトリポート』より引用
その衝動、すごく分かります。私も似たようなもんだ。続いて、ご夫婦で世界一周をしていらっしゃる方のブログ。
『ふたりでふらり ゆるりとぐるり 夫婦で地球一周旅行』
奥様は、もともとバックパックでの旅行に何度も行ってらっしゃったようで、旦那さまがそれに引っ張られて旅行を決意なさった感じ。実際に決意した瞬間の記事は見つけられなかったですが、以下のような旦那さまのコメントが掲載されていました。
3年近く前、仕事が終わったイクエが疲れた声で電話してきた。「今日は飲まんとやってられん!飲み行こう」。待ち合わせの本屋に行くとイクエが旅行ガイドブックコーナーにいた。目線の先には棚に並んだ『貧乏一人旅』『バックパッカー世界旅行』という本。
イクエがつぶやいた。「仕事辞めて、世界旅行しようかな。うん。行ってくるけんよろしく。」「はあああああ!!俺は!?」「るすばん・・・」「はあああ~~????」「だってケンゾーは行かんやろ。」突然のイクエの思いつき発言。けど、そんな夢物語も案外いいかも。「俺も・・・行くよ・・・。」
『ふたりでふらり ゆるりとぐるり 夫婦で地球一周旅行』より引用
長期旅に出られる前にもお二人で短期のバックパック旅をなさっていて、最終的に長期に出発されたということです。素敵な旦那さまですね。ちなみに奥様の旅への思いはこちら。
猿岩石の有吉が「海外旅行で人生観かわったというヤツは、日本でたいした経験をしてないんだよ」とテレビで言っていた。そう、その通り。
わたしが旅に行くのは「自分探し」でも「自分をかえる」ためでもない。
アジアを歩いていて感じるなんだかわからない心地よい懐かしさ。 みんなが動き始める朝の街の空気。 こどものころお祭りのときに感じたようなワクワクする活気ある夜。 言葉や文化が違ってもいっしょに現地の人と分かち合う至福の時間。 「あ~みんな生きてる」と感じる瞬間。そんなすべてがいとしくて大好きで。
それをパートナーといっしょに感じることができれば、すてきなことじゃないですか??
『ふたりでふらり ゆるりとぐるり 夫婦で地球一周旅行』より引用
確かに、すてきです。そんなパートナーうらやましい限りです。しかし、非常に残念なことに、私にはそんなパートナーいない!! でも、奥様のおっしゃっていること、とてもとても理解できます。
続いては、世界1周を終えて、今2周目突入中の女性のブログです。
2013年11月から世界一周スター。51カ国511日で完。そして、2015年7月から世界二週目だそうです。そんな方の旅に出たいきさつ。
世界一周したいと思ったのは、なんと12年前。
超思いつきで決めて友達5人で行ったハワイ。 旅行ではなく、コンドミニアムを借りて初めてした1ヵ月間のプチ滞在。 お菓子を食べながらレジを打つ自由すぎる店員、 写真を撮ってくれた見知らぬ人がかけてくれる「Have a good day」というフレンドリーな言葉。 今まで生活してきた日本とは明らかに別世界で、衝撃的だった。
他の国ってどうなんだろ?? 見てみたい。 行ってみたい。 その時「絶対世界一周する!!」って心に決めた。 それから時間が経って、もちろん年もとって、 なんのために世界一周するのか 旅の目的についていろいろ考えていたけど、 旅立ちを前にして今改めて思う。
ただ、 知らない世界を見てみたい。 見たことのない景色が見たい。 食べたことのないモノを食べてみたい。 見知らぬ国の見知らぬ人と出会いたい。 つまり、ただの好奇心(^_^;) でも私的にはそれで十分。 だから答えはやっぱりシンプルに世界一周は行きたいから行く!! で決まり。
「ゆきんこついに世界一周だっ!!」から引用
これも分かります。私も、こう見えて好奇心のかたまり。いろいろ理由付けようと思えば出てくるけど、結局は、「行きたいから行く! 」になっちゃうんだよな~。
次は、こちらも人気ブログ旅丸さん。直接の理由とかは見つけられなかったのですが、お仕事を辞められる際の記事が印象的でした。
現在アパレル企業で店長をしております。 2003年に入社し、現在で10年の節目を迎えています。 でも、辞めます。
人事の面談でこう尋ねられました。 『本当にいいの? 何か決まってからでもいいんじゃないの? 』確かに、転職するのであれば、何か決まってから退職した方が良いとは思いますが、 私の目的は転職ではない!!(帰ってきたら社会復帰頑張ります)
私はこういいました。 『そんな、中途半端な根性で、世界一周なんて・・・・』 『できるか!!』 と、山田太郎ばりに申し上げたところ、はうあ!! と、人事の方はなりました。 というのは、小粋なアメリカンジョークでして、 実際は 『未練はありますが、後悔はありません』 と伝えました。 正直な気持ちです。 そりゃ、10年間頑張って働いた会社ですから。 異動もしょっちゅうで大変な会社でしたが、 異動の度に出会うスタッフ達も自分にとっては、この10年で得た財産ですからね。
未練はありますが、今辞めずに、このまま続けるときっと後悔するやろうなって思ってしまったんです。 思ってしまったんですもん。 なら、仕方ない。
『旅丸』より引用
うん、思っちゃったんなら仕方ない。この記事、あいだあいだに漫☆画太郎先生のイラストが差し込まれてて笑えますが、書いてあることめっちゃ共感できる。
ちなみに、もはや伝説的な人気ブログ(現在も更新中だけど)、『タビジュンのテキーラみるく★~世界一周編~』は、旅に出るきっかけ的なページ見つけられなかった。でもなんか面白すぎていろいろ熟読しちゃった。やっぱこの人すごい。なんでホストから世界一周の旅に出ちゃったのか知りたかったな~。
そして、私がアフリカのことを検索していると絶対行きついちゃう『daiki55.com』も、見つけられなかった。この人のリアルで正確な情報が詰まったブログ、本当に尊敬します。
人気ブログを読んでいると、ホントに個性豊かな人たちばかり。内容に関わらず、ぐいぐい読ませる力があるから、つい書き手のことが知りたくなってプロフィールのページまでチェックしちゃいます。
ブログのアクセス数を増やす系のアドバイスが書いてあるサイトをチェックすると、無難な記事じゃなくて、個性を発揮する記事を書け! と書いてあった。そして大事なのはプロフィールのページなんだ、とも。記事を見て、その書き手に興味を持ってもらうっていうのは、ブログのファンを増やすための第一歩。検索にひっかかりやすいトレンドキーワードを詰め込んだザ・アフェリエイトブログより1ステージほどステップアップするために大切なことらしい。
「確かに。」と思った。自分だって、検索ワードを入力してたどり着いたブログが興味深いものであれば、他の記事も読みたいと思うし、書き手のことも知りたいと思うもの。
私は以前、ファッション誌の編集者をしていた。そこで書く記事は、雑誌名を背負ってのものだから、あまり偏った内容にできないし、私個人の意見はそんなに求められてなかったと思う。それから、なんとなく導きたい結論が決まっていて、そこに行きつくように軌道を整えながら全体を構成していくようなところがあった。あくまで雑誌のテイストを意識しつつ、万人受けする、なるべく多くの人から支持を得られ、参考にされる内容であることが重要だ。じゃないと雑誌は売れないから。
でも個人のブログは違う。私が私を背負って発信していいんだ。最初、これになかなか慣れなくて、なるべくフラットなトーンで記事を書こうとしていた。それに、私の私的なことなんて、誰も興味ないだろうから、情報メインにして自分のことはあんまり書かなくていいや、とも。だけど、だんだん、そうじゃなくてもいいことに気が付いた。
私が興味のあることを私の視点で書くことに意味がある。「私が私が」ってちょっと恥ずかしいんですけど、それが個人ブログのおもしろいところ。無難で薄っぺらい情報を羅列しただけの、今流行りのまとめサイトと一線を画すためには、書き手に強烈な個性が必要なのかも。
じゃあおまえに強烈な個性があるのかって言われると、ちょっと自信がないですが、でも、文章って、書き手の人となりが表れますよね。淡々と綴っているようでもなんとなく、「この人たぶんいい人だ」とか「この人と飲んだら楽しそうだな」とか思うことがあるもん。「私、他の人とは違うんですよ! 」的な個性は難しくても、文章で、何か私らしさみたいなものを伝えることができるといいなと思う。
ふらっと何の気なしにこのブログに飛んできて、そこから私という人間に興味を持ってもらえるようなブログ。そんなものを目指して、今日も更新しています。
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