「これだから紙媒体あがりは…」って言われないためのブログ執筆メソッド
ブログをはじめて、もうすぐ5か月が経ちます。私は、以前出版社で働いており、雑誌の編集者という仕事に従事しておりました。退職して早6年。こんなところで「ドヤァ」って言っちゃいけないくらいの年月が経過しているんですけども、“人様にお見せする文章を書く”という行為は、このとき以来となりますので、どうしても当時と比較してしまうのです。
5か月前、突如私はブロガーになりました。はじめは、「ゆうても私、元編集者ですよ? 原稿書くのとか、全然よゆうなんですけどー。負ける要素ないっす。ブログちょろすぎワロター」とか思ってました。別に誰かと戦っているわけではないのですが、なにかと勝負ごとに持ち込みたがる血気盛んな性格なので、見えない読者に対して「負けてない感じ」を出したかったんでしょうね。
かつて私が作っていたファッション雑誌というものは、 “紙”媒体。そして、現在ブログを書いているのは“インターネット”というメディアです。そして前者は、雑誌名を背負っての執筆。自分の名前なんて、目次ページの隅っこに小さく載るくらいのもんです。ところが後者は完全に自由な状態でのライティング。個人を前面に押し出しながら、自分の庭で自分の心の内を好きなように書いていいという、まさに野放し状態。
これが同じなわけがありません。いろいろと違いすぎて戸惑うばかりです。なかなかうまくできない。もともと、定期的にチェックしているブログなんてものもなかった私。むしろブログはリア充がやるもの、という歪んだ思い込みがあり、どっちかというと目をそむけるように過ごしてきた感は否めません。
「このままじゃ勝てない…(誰にともなく)」そう思った私は、いろんな方のブログチェックを開始します。せっかくブログを始めるわけですから、中途半端なことはしたくない。そして、いつものやつです。「教えて! Google先生! 」。検索ボックスに「面白いブログ」と入力してみました。出るわ出るわ「本当に面白いブログはこれだ!! 」とか「最強面白ブログ発見!! 」とか。面白いと言われるブログを集めたサイトは腐るほどありました。それを片っ端から読んでいくわけですが、これ、ブログ執筆ハードモードじゃないですかね。「こいつ今から面白いこと言うってよ。ね? はいどうぞ」みたいなことですよ。やられたほうも「ちょ、やめて」ってなるよ。
こんな紹介のされ方しちゃったら、もう読み手としては、どんだけ面白いんだと期待に胸膨らませてクリックするわけですよ。そんな言うならお手並み拝見といこうじゃないですか、と。こうなるともう「この筆者いつ面白いこと言うんだろう」と、今か今かとわくわくしながら待っているハングリー精神の塊。欲しがり度MAXです。「あ、もしかしてこれのことかな? 面白いってこれのこと? ここのくだりのこと言ってんの? ねぇ? ねぇっ?」
こんなふうに、吸収できるものは何でも吸収してやろうと必死で食らいついてくる社会人1年生みたいな勢いで自分のブログ読まれるのイヤでしょ…。
そこで私は悟ります。「あ、人から面白いって言われるブログになっちゃいけないんだ」。だって私こんな辱め受けたくないですもの。なんかもっとこうゆるーい感じで、「通勤中暇だからちょっと見てみるかー」くらいのテンションで読んでもらいたいです。社会人12年目の私くらいの、先輩のアドバイスを鼻ほじりながら「うぃーす」つって聞き流すくらいの感じで。
ということで、内容が面白いかどうかにこだわるのはやめました。それがダメなら次に学ぶべきはテクニック。いろいろな方のブログをチェックするなかで、私が学んだテクニックをご紹介します。
■スクロールを意識した文章構成
するよねー、スクロール。私のサイトを訪問してくださる方の約70%がスマートフォンから。PCは25%、タブレットが5%です。なので、スマートフォンで見てくださっている方を意識して、スクロールについて検討せねばなりません。
よく見られるスクロールを使ったテクニックとして「文中の“間”を表現する」というのがあります。文中に空白を開け、スクロールによって下にさがっていくことで、数秒の“間”を表現するというもの。
「このあとどうなったと思います? 」
ドキドキ
ワクワク
( ´_ゝ`)´_ゝ`)´_ゝ`)
使われるとイラッとする顔文字第1位(2014年マイナビウーマン調べ)
的なやつです。(マイナビウーマン関係ありません)
こんな感じ(わざわざキャプってまで自分の投稿を自分で解説する羞恥プレイ)。間を置いて、読み手に考える時間をあたえ、後に続く文章に対して期待を持たせる。さらに、疑問形にすることで、答えを知りたいという知的探求心を煽り読み手を引き付ける高等テクニックです。
わかるー! これ続き気になりますもんね。すごい速さでスクロールしますもんね。
しかし、紙媒体上がりの人は、この“空白”というやつに異常な恐怖心を感じます。雑誌で見たことありますか? 文中にぽっかり空いた真っ白なスペース。ほとんどと言っていいほどないでしょう。なぜなら紙媒体にとって“空白”というのは、「未完成」に等しいからです。そこに入るべき原稿や写真が間に合わなかった結果としての空白。多くの場合それは、このように、
『Now Printing』というよくわからない表現でごまかされます。なんとなく英語でそれっぽく書いて、間に合わなかったという事実の隠ぺいを図るわけですね。
締め切り直前、もう何日もまともに寝てない。必死で働き続けているのに全然終わらない編集作業。眠い。でもやらなければ。でも眠い。終わらない。なんかもうどうでもいいや。このような絶望的状況下に置かれた編集者は遠い目をしてこう言います。「もう…ページまるごとNow Printingでいいかな…」。
このような理由から、私はページ内の空白が異常に怖い。できることなら白い部分が残る紙面も画面もあまり見たくはないわけです。スマホならまだ余白が多くてもあまり気になりませんが、これパソコンで見ちゃうとやっぱスペース空きすぎじゃないですか?
これを見ると思い出す、締め切りに間に合わない恐怖。この手法を取り入れるためには、今なお消えることのない心の奥深くに刻まれたトラウマを取り去ることが先決です。
■躍動感のある級数設定とフォントの使い分け
これも、よく見られます。強調するときはめちゃめちゃ文字を大きくして「しっかり声張ってます」感を出し、内緒話っぽく言いたいときはものすごく文字を小さくして「ヒソヒソ&コソコソ」感を出したりするテクニック。さらに強さを出すために文字色を赤にしてみたり、フォントを太字にしてみたり。みなさんホント上手にこのテクを多用されている。文字から伝わる生き生きとした躍動感。ページが楽しげで盛り上がります。読むほうもワクワクしてきますよね。
しかし私はと言うと、「本文の色は墨(黒)、フォントは統一があたりまえ! 」そんな固定観念にしばられている紙媒体出身者。このテクニックを駆使するにはかなり勇気が必要。だってさー、統一しないとなんか気持ち悪いんだもん。結果、何を書いてもあまり感情というものを感じさせない抑揚のないブログが完成します。無表情で淡々と話すさまは起伏が乏しい朗読のよう。それはまるで…まるで…そう、綾波レイ。もちろん、感情がないわけじゃないんです。ただその表し方がものすごく不器用なだけなんですよ。碇シンジの「笑えばいいと思うよ」からのあの笑顔。あの儚げで繊細な、今にも消え入りそうな優し気なほほえみ。そんな感じでたまに文字をちょっと太くするとか、強調したいところの
(グレーだけど)とか、控えめに感情表現をしています。
綾波か…。あ、なんかこれはこれで悪くないですね。それどころかむしろいい! すごくいい!! ということで、躍動感はあきらめました。文字の使い方に関しては今のまま「ごめんなさい、こういうときどんな顔をすればいいかわからないの」みたいな感じで行きましょう。
■運営者の裁量で行われる自由な投稿スタイル
人それぞれ、様々な投稿スタイルがあります。投稿時間を指定できるのがブログのいいところですから、毎日同じ時間に投稿予約を設定しておけば、読者からするとその時間が楽しみになりますもんね。この応用で、「日付をさかのぼって投稿する」という技があります。紙媒体上がりからすると、かなりアクロバチックな力技にも思えるこのテクニック。過去の日付で投稿とかやっていいの?
雑誌製作において、締切は締切。私以外は私じゃないの。決して揺らぐことのない真理です。あまりにも絶対的すぎて泣きたくなる。
でも、このテクニックを駆使すれば、思いのまま投稿日時をあやつれるということ。締め切りと言う概念すらなかったことになる。「いっそ殺してくれ」みたいなノリで「いっそナウプリンティングでいいです」っつって頭を抱えることもないわけです。すげーなブログ。あたかもその日に書きましたよみたいな顔して後日しれっと投稿しちゃえばいいわけですから、これほど便利な機能はありません。最高です。
それから、私が一番びっくりしたのが、下記のような投稿スタイル。
ある日、面白いブログを見つけて、夢中になって読み始めます。あはは、おもしろいな~! まじか~、いやいやそれはないでしょ~。なんて心の中でコメントしたりつっこみ入れたりして楽しい時間を過ごします。そして、唐突に下記のような爆弾が投下されます。
「今日は疲れたし、もう長くなったので、続きはまた次で~」
次回持ち越し、だと…!?
いやいやいやいや、いいよいいよ長くなっても。知りたいよ続き。こんなとこで止めないでよ。もっとさー、ちゃんと前半部分を推敲して必要ない箇所削ればよかったんじゃないの? 最初のほうで(笑)とか顔文字たくさん使ったの、あれたぶんいらなかったよね?
っていうかめんどくさくなったよね?
これには度肝を抜かれましたね。分かるよ、書いてて思いのほか長くなっちゃうことありますよね。入れたい要素がたくさんあって入りきらないんじゃないかって時。確かに私もかつて「スニーカー特集」とか任された日には、(スニーカー好きなので)もう全部かわいいし、ページ作るのも楽しくて、もっともっといっぱい紹介したい! 8ページじゃ全然足りない! って思ってましたもん。でも、だからって、勝手に次号で続きやりますみたいなことは言えなかった…。
それにさ「疲れたから残り次でやるわぁ。後半2ページ“Now Printing”って入れといてよ」じゃ済まないから。3日、4日寝食忘れて全力で取り組んで、それでなお終わらなかった時が“やれませんでした”です。それ以外は“やれなかった”じゃない、“やらなかった”でしょ? 三食睡眠しっかりとって何が「続きはまた次で~」だ。それで許されると思うなよ!!
あ、許されるんですね。ブログ界じゃ全然普通なんですね。
紙媒体あがりからすると、このテクはものすごく斬新! 新しすぎて「えっ…」て声にでちゃったもん。いいよねー次回持ち越し。続き読むの楽しみになるもん。でも、できれば続き書くとき、今回の記事へのリンク貼っといてくださいね。内容忘れちゃうから。
■瞬時に修正・変更ができる仕様に心から感謝
これはテクニックではなく、ブログの特性。記事を読み返して、誤字・脱字・誤情報に気付いた時、インターネット環境下にあれば、瞬時に修正できるのがいいですね。これはかなりの神仕様。インターネットで記事を書くことの、一番のメリットじゃないでしょうか?
不注意が取り柄の私ですもの、誤字・脱字は得意技。っていうかむしろ決め技、リーサル・ウェポン。リーサル(致命的)っつっても、自分にとってですけどね。お恥ずかしい話、編集者時代それが原因で大問題に発展したり、しかけたりしたことは、一度や二度ではありません。 無神論者の私が「神様、どうか、どうか、バレませんように」と必死で祈り、かかってくる電話に「バレたかも!? 」とおびえながら過ごしたあの日々。
でも、ブログの世界なら安心です。あの頃のように、雑誌が書店から消える次号の発売日まで、生きた心地のしない1ヶ月間を過ごさずにすむわけですから。
なんか、こうして考えると、いいことだらけなブログ運営。っていうか、紙かネットかっていうよりも、私がただブログ界の常識を知らなさすぎるだけですね。まだまだ初心者の域を出ない未熟者ですが、いつかこうして学んだ数々のテクニックを披露できるように日々精進してまいります。本日も、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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