キューバ(25)サンタクララで足止め。キューバでの何もしない1日
現在世界一周みたいなことをしている私は、キューバのサンタクララにいます。この町では、チェ・ゲバラ霊廟や、ゲバラといっしょに写真を撮れるスポットなんかを訪問し、大変充実した日々を過ごしてまいりました。ところが、本日は、残念ながらこのサンタクララにて足止めをくらい、何もしない1日というものを過ごすことになったのです。
【現在地】サンタクララ(キューバ)
Santa Clara(Cuba)
【気温】30度(昼)
【天気】晴れ
【通貨】1CUC=約115円、1CUP=約4円
サンタクララで足止めくらったいきさつ
昨日のことです。朝いちで、「次の町への移動手段を確保しよう」と、キューバの旅行者用バス会社「Viazul」のターミナル兼オフィスに赴きました。
Viazulバスは、公式HPからインターネットで予約購入が可能なのですが、利用日まで1週間をきってしまうと直接オフィスまで出向いてチケットを買わなければなりません。私の次の目的地は「カマグエイ(Camagüey)」という町。
ターミナルに到着し、Viazulスタッフさんに尋ねます。
「明日カマグエイに行くチケットありますかー? 」
昨日と今日の2日間がサンタクララ観光に充てる時間。私はゲバラさんのお墓参りと
ゲバラさんと手をつないで写真を撮る
というミッションがクリアできればそれで満足だったため、サクッと観光を済ませて明日には次の町に移動しようかなぁと考えておりました。(ちなみに、あまり時間がない方、この町の観光名所だけをまわるなら1日あれば十分だと思います)
ところが、Viazulスタッフさんのお返事は、
「ないよ」
とのこと。空席状況確認のためにPC画面をチェックすることなく即答。
私「え、あさっては? 」
Viazul「ない」(即答)
えー!! それはちょっと予定が狂っちゃうなぁ。
私「じゃあむしろ今日は? 」
Viazul「ねーよ。
つーか、カマグエイだろうとハバナだろうとサンティアゴクーバだろうと、ここサンタクララ発でどこかに行くチケットは、
今年いっぱい、無い」
はぁぁぁああ!?
この日は12月26日でしたけども、少なくともあと一週間は、ここサンタクララからどこかに向かうViazulバスは、すべて完売とおっしゃる。
おいおいほんとかよ。つーかなんでちょっと怒ってんの!?
と思って、オフィスの外をよくよく見てみると、たくさんの旅行者っぽい方々が困った顔をしてたたずんでいます。
あーなるほど。みーんな同じようなことを聞いてくるから、スタッフさんイラッとしたんですね。そんでもって、もれなくみーんなチケット買えなかったんだ…。
完全にホリデーシーズンなめてました。
年末年始は、「その日の気分で行きたい町に行くんだ。だってバックパッカーだもの」なんて思想は命取り。そもそもViazulバスの本数と旅行者の人数が釣り合ってないんじゃないかと感じていましたが、それがここへきて確信に変わりました。
年末年始にキューバを旅行し、なおかつViazulバスを利用したいと考えていらっしゃる方は、旅行の日程をさっさとフィックスして、可能な限り早めにインターネットでViazulバスのチケットを押さえてください。
「えー行ってみなきゃその町が好きかどうかわかんないし、何日滞在するかもわかんなーい。そんなの今決められなーい」なんて甘ったれたこと言ってると、まじでどこにも行けなくなります。
ターミナルの外に出てみると、バスに乗れない人々を集めて目的地まで連れて行ってくれるコレクティーボのドライバーさんがしきりと行先を叫んでいます。
一番多く耳にしたのは、ハバナ。次が、バラデロ。あとは、トリニダー。この3か所は、行きたい旅行者が多いのでお金を積めばコレクティーボで行くことができます。
ただ、私が行きたいのは「カマグエイ」なんだよなぁ…
地図で見ると、こんな位置にあるんです。カマグエイは。
その距離約270km。車で約5時間。でも、ほらハバナもそんぐらいじゃん、なんて思いますが、カマグエイという行先を叫んでいるコレクティーボドライバーさんはいません。
ターミナルの前でどうするか考えていると、コレクティーボのドライバーさんではなく、BICIタクシー(人力タクシー)のドライバーさんが話しかけてきます。ちなみにこれがBICIタクシー。
「BICIタクシー乗る? 」
「いや、乗らない。
私カマグエイに行きたいんです。これで270kmはちょっと…」
そう言うと、彼は周りの人に、カマグエイ行きのコレクティーボがないか聞いてくれました。しばらくすると、一人のコレクティーボドライバーさんが名乗りを上げ、カマグエイまで連れて行ってもいいよとおっしゃいます。
「ちなみに、カマグエイまでおいくらですか…? 」
「60CUC(約6,600円)」
「ご、ごめんなさい。払えません」(即答)
シェアする人もいないのにそんなに一人で払えない…。こんなときの交通手段として、そこそこの距離を移動するときに地元の方々が利用なさる「カミオン」という乗り物もあるにはあるんです。こんなやつ。
このカミオン、私は乗りたくって仕方がなかったのですが、残念ながら今回のキューバ旅では1回も乗ることができませんでした。理由は1つ。
荷物が多すぎた。
これに尽きます。
賢い旅人は、キューバ入りする前にホテルにあずけて身軽な状態でやってくるのでしょうが、キューバでもスノーケリング&ダイビングするつもりで、フィンとかいろいろ持ってまして…。25kgくらいのバックパックと、10kgくらいのコロコロと、8kgくらいのサブバッグ。バカみたいですね。
このカミオン、尋常じゃないくらいぎゅうぎゅうに人間が詰め込まれるらしいんですよ。密着度がすごいって噂です。そんな乗り物に大荷物抱えて乗り込むとどうなるか。
キューバの人に迷惑かけて白い目で見られるのはちょっと…。
そして、カミオンは、キューバ人がデイリーに利用する手軽な乗り物。ちょっとした移動はおてのものですが、270km離れたところとか、そんな長距離は運航していません。ですから、途中のいくつかの町で乗り換える必要があり、ちょっとずつ刻みながら目的地まで行く必要があるのです。
私、荷物重いから、たくさん乗り換えるのはちょっと…。
そんなような理由から、バックパッカー失格と言われてもいいから、できれば完全旅行者用のバスで行きたかったのに。
ちなみに、かなりの頻度でお世話になっている超ためになる旅ブログ『WORLD RUNNER ~世界一周旅日記~』のoka先輩が、くしくも同じようなタイミングで、華麗にカミオンを乗りこなしカマグエイ入りされたとの投稿をなさっていました。
旅慣れた方は、こんなふうにいともたやすくカミオン利用をモノにしてしまうわけですね。いいなーいいなー。真の旅人の移動手段をご覧になりたい方は、ぜひ上記ブログをチェックしてください。
で、バスのチケットが買えず、渋い顔をしている私に、先ほどのBICIタクシーのドライバーさんが言います。
「なんかごめんね。キューバって旅行しずらいでしょ? でもね、俺たちキューバ人にとっても、長距離移動はものすごく大変なんだ…」
うーん。確かにそうですよね。移動が大変なのは我々旅行者に限ったことではないのです。
ここでふてくされていても始まりません。とりあえず、観光でもしながらどうやって移動するか考えよう。というわけで、BICIタクシーのドライバーさんにお願いし、Viazulターミナルから、この日のお目当ての観光名所「トレンブリンダード」まで連れて行ってもらったのです。
料金2CUC(約220円)。トレンブリンダードの話は昨日の投稿をどうぞー。
襲撃された走行車両を見て感じたこと
「トレンブリンダード博物館」とは、キューバ革命時に、チェ・ゲバラ率いる革命軍が、政府の所有する走行車両を襲撃した記念すべき場所。この襲撃の成功が革命成功のきっかけとなった非常に重要な遺産なのです。
で、襲撃されたそのままの姿を残す装甲車両を見て、ひらめきました。
「あ、列車っていう手があった!! 」
キューバで列車はそれほどメジャーな移動手段ではないためすっかりその可能性を排除しておりましたが、サンタクララとカマグエイは、270km離れているとはいえ隣の駅。写真撮影中に、運航している列車も通りましたから、たぶん列車でも行ける!!
生々しい弾痕の残る車両を見て思いつくのもなんだかアレですが、とりあえず駅に行ってみましょう。
サンタクララの駅が見えてきました。
おぉ…なかなか素敵な車両。
遠めに見て、正直、貨物車なのか客車なのか、はっきりと分からないのが恐ろしいなあとは思いますが、
それでも列車は走っている。
ホームに掲示してあった時刻表。
あー!! あるじゃん!!
このサンチアゴ・デ・クーバ行きの列車に乗れば、たぶん方角的にカマグエイ通るはず。
ホームにいたスタッフさんに、詳細を訪ねようとすると、「あっちが窓口だからあっちで聞いてね」と言われます。あっち、というのがこちら。
これがチケット売り場の建物です。正式な駅舎は、おそらく工事中。
チケット売り場の窓口にいたスタッフさんに尋ねます。
「カマグエイに行きたいんですけど、明日、この14:25発の列車乗れますか? 」
「あー、明日は走ってないよ。その列車は3日に1本の運行だから、次はあさってだね。あさっての10時からチケット販売開始だから、10時にここに来てくれればいいよ」
とのこと。列車、3日に1本だそうです。というわけで長くなりましたが、これがサンタクララ足止めの理由です。ちなみに、チケット売り場横に掲示してあった時刻表がこちら。
料金表はこちら。
サンタクララからカマグエイは9CUC(約990円)です。※旅行者価格適用。キューバの方は、9CUP(約36円)。
サンタクララでの何もしない1日
列車が来るのは明日なので、この日は本当になにもすることがなく、ただただサンタクララの町中をうろうろと歩き回ったり、ときに公園のベンチにぼーっと腰かけてみたり、これといって特別なことをしないで過ごしました。
サンタクララは、キューバきっての観光地ですから、町の中心の公園は観光客でにぎわっています。それでもひとたび住宅街に入ると、いたってキューバらしい、普通ののんびりした雰囲気。
キューバに来て約2週間。私は「キューバの人って、時間をたくさん持ってるんだなあ」ということに気が付きました。
社会主義という世界の中では、長時間の労働に拘束される人も少ないでしょうし、インターネットを使える場所が限られていますのでスマホをいじって時間をつぶすこともない。
それに、販売されている書籍もかなり規制されているらしいですし、なおかつkindleも制限かかっちゃって使えないので、本を読んで過ごすこともそう多くはないのでしょう。ゲームは高級品だし、観られるテレビ番組も限られている。
私が東京にいたころに用いていた多くの「時間を埋める手段」がここキューバでは使用不可なのです。
あの手この手で時間を埋めることをしないから、キューバの人々は、私よりたくさんの時間を持っているように見える。
だからかなぁ、日常のさまざまなシーンで「待つ」という場面に出くわすのに、みなさんがそれほどイライラした感じを受けないのは。
Wifiカードを買いに行ったETECSA。
安定の行列でしたけど、だーれも焦っていなくって、知り合いとおしゃべりをしながらのんびりと待っていました。
ちなみにWifiカードを買ったら買ったで、こんどはみんな公園に行って、ただインターネットをするだけのために長時間ベンチに座っているのです。
キューバでWifiを使えるのは、高級ホテルのロビーか、このような大きな公園しかないのです。が、平日の昼間にこれだけたくさんの人が公園にいるのはとても不思議な気がします。
無職で、なおかつこの日はほとんど公園およびその周辺でボーっとしていた私が言うのもなんですけど、
みんな仕事とか、どうしてるんだろう。
町を徘徊している途中にスーパー(外貨ショップ)に立ち寄りました。ここでもはんぱない行列。なんでだろうと思って見てみると、お店の人が、袋に入ったキャンディーを開けて、丁寧に個数を数えています。
キューバでは、輸入品はとても高級なものなので、驚くべきことに、キャンディーも1個1個ばら売りされています。
輸入品である歯ブラシとかライターとか、ほんと、何気ない日用品ですら、こんな風にディスプレイされて売られているんですねえ。
私としては「どっちかひとり、キャンディー数える手を止めて、レジやってくれればいいのになぁ」なんて思ってしまいましたが、キューバの方々は誰一人せかしたり怒ったりすることなく、黙ってキャンディーを数え終わるのを待っていました。
待つことがそれほど苦じゃないのは、みんな時間をたくさん持っているから。そして、それに「あきらめ」という感情を少々加えれば、立派にキューバの人々に混ざって生活できる気がします。
「急かしたって無駄でしょー、無理なもんは無理だし」みたいなあきらめの心はね、確実にあると思います。だって私がそうですもの。わずか2週間いただけで、普段は前のめり気味な私も、
「もういいです。大丈夫です。なるようにしかならないのはわかっていますので、私のクソみたいな意志は無視してもらってけっこうです。ひたすら慣性の法則に従って旅しますから」という気持ちになっちゃってます。
だからって、キューバ旅行が楽しくないとか、この国が嫌いだとか、そういうのとはまたちょっと違います。うまく言えないですけど、
キューバは、キューバ側のペースに合わせて旅をしたほうが、なにごともスムーズにいく。
この2週間で、私が導き出した結論がこれ。
例えばこの先、キューバに欧米資本がなだれこんで来たとして、コロニアルな街並みや、クラシックな車なんかは少しずつ姿を消してしまうかもしれません。あと、人々を悩ませる二重通貨もそのうち統一されるでしょう。
でも、真っ先に変わってしまうのは、今日私がボーっと観察したような何気ない日常の一コマ一コマだったりするんじゃないだろうか、と思ってみたり。あとは、目に見えない、今旅をしていて感じる、キューバの町や人々が醸し出す独特の雰囲気もそう。
うまく言葉で表現しきれてないですけど、こればっかりは、実際来てみないと感じられないわけです。
限られた日数しかないキューバ滞在なのに、何もしないのはもったいない気もしますが、足止めですから仕方ありません。それに、これはこれで実のある1日でございました。と、いうことにしておいてください。
それでは本日の投稿はこれにて終了。まとまりのない感じでしたが、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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