南アフリカ2(5)無意味な寒さ対策と小さなベイトボールおよびサメ
現在南アフリカにあるポートセントジョーンズにて「サーディンラン」というイベントに参加しております。イワシの大移動を目撃するために、生命力を削りながら、寒さ・吐き気と戦った昨日。2日目の今日は、なんとか少しでもそのつらさを和らげようと、可能な限りの対策を講じてみました。その効果とともにお伝えする、2日目の模様。本日もまた、びっくりする生き物に巡り合えました。
【現在地】ポートセントジョーンズ(南アフリカ)
Port St John’s(South Africa)
【天候】晴れ
【気温・湿度】20度・32%(昼)
【為替】1ランド=約7円
サーディンランってなんですか、というかたは、とりあえずこちらの投稿をご覧ください。
現在世界一周をしている私にとって、この「サーディンラン」というイベントは、ベスト5に入るくらいに楽しみにしていたものでした。しかし、昨日1日、たった1日ですが、このイベントを経験して思いました。
サーディンラン、くっそつらい。
世界一周を始めてからこれまでで、5本の指に入るどころか、ぶっちぎりナンバー1につらいです。昨日はイルカと泳げて、一瞬その辛さを忘れたのですが、朝起きて冷静に考えると、やっぱりあの寒さと船酔いは、常軌を逸している。
まともな人間のやることではないとつくづく思いました。
そんな昨日の投稿はこちらです。
しかし、日本から遠く離れたこんなところまでわざわざ来といて、今更リタイアするのもためらわれます。せっかくなら、最後までやり遂げたい。嗚呼、なんで私はこんな苦行のようなイベントに喜々として参加表明したんだろう…。初日が強風と荒波のため中止になり、5日海に出る予定が4日に減ってしまいましたが、今となってはむしろありがたいとすら思います。
ハートの弱い私が、ギリギリのところでなんとか踏みとどまっている状況。しかし、やると決めたからにはやるのことですね。昨日の大参事を教訓に、できる限りつらさをやわらげるための対策を講じることにしました。
いろいろと消耗が激しいので朝ごはんはしっかり食べておきたいところですが、抗えない吐き気のトラウマがあります。消化に良さそうなバナナ多めのフルーツ盛り合わせにヨーグルト。それからグラノーラ。
「私が今食べてる朝食が、そっくりそのまま、数十分後には魚たちの朝ごはんになったりして…」
なんていう1ミリも笑えない、この上なくネガティブなことを考えつつ、最悪な気分で無理やり飲み込みます。食事が終わったタイミングですぐに酔い止めを1錠。遅いととりかえしのつかないことになりますから、もうここからスタンバイ。
朝食を終えると部屋に戻って着替え。
体温とか、エナジーとか、生きる意欲みたいなものは、すべてつま先と足の裏から奪われていくというのが、昨日の地獄のような寒さから学んだこと。
ということで、
足にゴミ袋を履き、その上にソックス。そしてその上にさらにゴミ袋を履き、ガムテープで密閉。こうしておけば、足先が水に濡れることはありませんので、少なくとも昨日よりはマシになるはず。自分のスネおよびふくらはぎに直にガムテを巻きつけることに若干抵抗はありましたが背に腹は変えられません。
こうして7時になり、昨日と同様、ダイブショップのデビーさんのお迎えです。
「ハーイ!! マユミ、ハワユー? 」と聞かれ、投げやりな気持ちで「GOOD、GOOD!! 」と答えますが、
ひとつもGOODではありません。
今日はどれだけつらい状況が待っているのだろうという不安しかない。
昨日同じボートだった方々もひとりぐらいリタイアしてるかもなあと思いきや、ダイブショップに到着すると、1人もかけることなく勢ぞろいしてらっしゃいます。みなさん私よりだいぶ年上でいらっしゃるのにそのタフさには脱帽です。やっぱ欧米の方々とは体感温度が違うんじゃないかなあ。おかしいなあ。
今日もまた荒波をかいくぐり海へ
本日も、河口付近の荒波をなんとかクリアし、7:30には海のど真ん中をぷかぷか漂っている状態。サーディンラン参加者にはあるまじき弱気思考ではありますが、まだ気温の上がらない早朝に潜るのだけはご遠慮したい私の心の中を占めるのは、
「イワシさん、頼むから今出てこないで」という切実な祈りのみ。
気温水温ともに20度に到達していない状態で海にドボンはこれ完全にアウト。
幸い、まだ何も起こらないおとなしい海が広がっており、インストラクターのベスが、朝のホットチョコレートを淹れてくれます。ほかにも、お菓子やフルーツ、ジュースや軽食などがボートに積んであり、ちょこちょこつまむことができるので、なんだかピクニックみたいで楽しいのです。初日は、激しく船酔いしてしまったため、何も口に入れることができませんでしたが、この日はしっかり乗船30分前に酔い止めを飲み、効果が切れたときのためにもう1錠持参しております。
怖いものなしの私は、おいしいホットチョコレートであたたまることができました。
昨日1日で、サーディンランの1日の流れを把握しました。簡単に言うと、
この繰り返しです。1日に10回前後は水温20度前後の海に飛び込んではまた上がり、寒さに震え、また飛び込んではまた上がり、たまに海水飲んでものすごくテンションが下がり、また飛び込んで泳いで、ボートに上がって、ガタガタ震えてみたいなループはこれもう本当にどうしようつらいよおぉぉぉおお。おえっ。
という発狂寸前、ギリギリの精神状態でございます。
そうして今日も、この無限ループに放り込まれ、鳥たちが集まる場所へとボートを急行させること数回。そのうち2回ほどは海に入ってみたものの、何も見ることができず、寒さだけが激しさを増している状態。
お昼近くなり、酔い止めが切れそうだなやばいなあ、なんて思っていると、双眼鏡で遠くを見ていた船ロブさんの顔つきが変わります。
「みんな、準備だ!! 」と一言叫んだかと思うと、ボートの速度をマックスまで上げ、目的地までぶっ飛ばします。
今日一の緊張感に、乗組員もドキドキ。着いたところには、またもやたくさんの鳥たち。
垂直に海の中にダイブしているではないですか!!
今度こそ、この下にサーディンがいるといいなあ。全員の準備が整ったところで、ついに船長ロブさんから「GO!!! 」の合図。
心の中で「くっそさみいい゛い゛い゛ぃぃ!!!!!! もう海に入るのいやだぁぁぁ」と叫びながら、海にドボン。
そして、浸水直後、ついについに、目撃しました!!
ベイトボール!!
イワシ、超逃げてんじゃん!!!
イワシが球体となってすごい速さで海の中を泳いでいます。その様はまるでボールのよう、まさにベイトボールです。
これよこれ!! 私が見たかったの!! ちょっと小さいけど、でもイワシの群れには違いありません。
そして、それに引き寄せられるように現れたのが
サメ。
サ、サメ!?
えーーー!!!! サメ来てるサメ来てるwwうしろ!! イワシの後ろにいますよ!!
近い近い近いww
ものすごいサメな感じのその姿はまさにサメ。
本当にこんなに近くに現れるとは。
初日に植え付けられた人食いザメへの恐怖心はどこかに吹き飛んでしまい、想像よりかなり近くまでやってくるサメから目が離せません!!
サメかっけぇぇ!!
水族館の水槽越しではなく、今まさに目の前を泳ぐ野生のサメに感動。あぁ行っちゃったー…。
サーディンラン、すげええぇぇぇー!!!!
直径1m程度の小さな小さなベイトボールではありましたが、2日目にしてついにイワシ様の群れに遭遇することができました。それにサメも。
実はこのベイトボールを目撃することすら、かなり稀で、一同大興奮。
ボートに上がった後は「ベイトボール、小さかったけど、見られたよね!! 」「やったね!! 」とかなり盛り上がりました。この一体感はなんなんでしょう。ただの魚の群れに、大の大人が狂喜乱舞。想像を絶する世界だと思うのですが、これがサーディンランでございます。
こうして15:30になり、ダイブショップへと帰還する時間に。みんな晴れやかな顔で凱旋。ダイブショップでは各自が撮った写真やムービーを見せ合ってわいわいと盛り上がりました。
ちなみに、ソックス&ゴミ袋を重ね履きするという「足元からあったか作戦」についてですが、見事に、水はブーツの中のゴミ袋の中のソックスの中の私の足まで到達しておりました。何の意味もなかったですよということをここに記します。
尋常じゃない寒さと引き換えに、とりあえず見られたイワシさん。心の中のもう一人の自分が「ねえ、もうイワシ見たじゃん。もういいじゃん。ギブアップしちゃいなよ。あんたよくがんばったよ」と甘い言葉をささやいてくるんですけど、これどうしたらいいですか。
世界一周史上、一番の心の葛藤。わずか2日目にして早くもサーディンラン編終了なのか、それともさらなるベイトボール、ビッグなサーディンランのためにがんばり抜くのか。乞うご期待!! ということで、本日はこれにて終了です。最後までお付き合いくださってありがとうございました~!!
コメントを残す