南アフリカ2(4)サーディンラン過酷すぎ(涙目)でもイルカと泳げたよ
現在、南アフリカのポートセントジョーンズという村に滞在しております。ここでは、「サーディンラン」というダイバー憧れのイベントに参加!! のはずが、昨日は強風高波のため、しょっぱなから海に出られませんでした。今日こそは、イワシの大移動を目撃してやる!! というわけで、記念すべきサーディンラン1日目の模様をお伝えします。
【現在地】ポートセントジョーンズ(南アフリカ)
Port St John’s(South Africa)
【天候】晴れ
【気温・湿度】20度・32%(昼)
【為替】1ランド=約7円
はじめてのサーディンラン。その実態とはいかに
サーディンランってなんですか、というかたは、ぜひこちらの投稿をご覧ください。
簡単に言うと、6月下旬から7月上旬にかけて、南アフリカのモザンビーク海峡沖を北上してくるイワシの大移動(サーディンラン)およびそれ目当てに集まってくるイルカ、クジラ、サメなどの海のアイドルが織りなす海中スペクタクルショー。これをぜひ見たいという、酔狂なダイバーたちが世界中から集結するイベントなのでございます。
朝7:00ダイブショップのオーナーのデビーさんが車でホテルまで迎えに来てくれます。そして、隣のホテルに泊まっている方々など数人もいっしょにピックアップして、ダイブショップに。
ダイブショップには、“ソーセージさん”と呼ばれる丸々と太った犬たちがいて、元気いっぱいお出迎え。
そして、私が乗るボートの船長とインストラクターを紹介されます。
これから私が乗船するのは、赤×グレーのイカしたボート。船長はロブさんです。
デビーとともにダイブショップのオーナーで、この道20年のベテラン。もともとこのあたりの漁師のご家庭に生まれ、幼いころに見たサーディンランが忘れられず今に至る。ダイブマスターであり、海のことにすごく詳しいし、ボートのドライビングテクニックも最強。何度もサーディンランに遭遇していらっしゃっる経験で、我々を必ずやビッグなサーディンランへと導いてくれるはず。
とりあえず彼に任せておけば安心なのです。
そしてインストラクターのベス。
カモ柄のウェットスーツがよくお似合いの彼は、南アだけでなくモザンビークやタンザニアのダイブショップで働いていたこともあるそうで、若いのにベテランダイバーさん。とても頼りになります。
この2名+乗組員で一週間行動をともにするわけです。どうぞよろしくお願いします、と挨拶し、まずはウェットスーツのサイズ選び。安定のエクストラスモールを手渡され、さっそく着替えます。
機材はスタッフの方々が準備してくださっているので、あとはカメラやらグローブやらフードやらを忘れずに持って、ボートへ。
ボートは、最大10人乗りくらいのゴムボート。 エンジン2つ搭載。
真ん中にテーブルがあって、すぐ使いたいものはこの上に固定。
ウォータープルーフバッグは下に吊るし、フィンは立て掛けて置いておきます。
全員揃ったら、緑色の防水防風ジャケットを着用し、その上にライフベストをオン。
準備が整ったら出航です。
この場所は上空から見るとこのようになっており、
ボートに乗って川を下り、そして波を乗り越え海に出ます。
海に向かって進むこの感じ、非常にドキドキします。
しかし、海に出るまでがすでにもうなかなかの冒険で、狭い入り江にはかなりの波が打ち寄せてきて船転覆すんじゃねーのってぐらい揺れまくります。
私は普段お薬を飲むのはあまり好きではありません。できれば自分の免疫力とか自然治癒力とかでどうにかしたいと思っています。だから、今回のサーディンランでも、「酔い止め」というお薬をできれば飲まずに済ませたいなあ、なんて思っておりましたが出航からわずか10分後、
飲みましょう!!! 酔い止め!!
これはやばい!! すぐさまアネロンという1日持続の酔い止めを飲みました。ボートの揺れ、ハンパなーいww笑っちゃうくらいのウォッシングマシーンっぷり。でも笑うと舌噛むので危険。
足はボートの床にしっかりと固定。
手で力の限りロープを握っておかないと、確実に振り落とされます。
しょっぱなの荒波を乗り切ると、そこに広がるのはどこまでも青い海。
なーんにもないように見えますが、これから夕方まで、サーディンランなり、大型の海のアイドルなりを探し続けるのです。
覚えておきたい!! サーディンランの見つけ方
1.ポップコーンを探せ!
サーディンランがいる場所は、海中からブクブク泡が出てきたり、海面近くで跳ね回るイワシの姿が見られたり、それがポップコーンが弾ける様にそっくりだそう。これが見られる場所は、海中にたくさんの魚がいる証。サーディンラン確実です。
2.旋回する鳥の群れを探せ!
サーディンを餌とする海鳥たちが真っ先にサーディンランを発見します。海中にたくさんの魚がいると、そこに留まり旋回し、次々と海にダイブ!! ほぼ直角に海の中につっこんでいく姿が見られます。これもまた、サーディンのサインです。
上記2つの特徴を教わり、あとはみんなで目を凝らして捜索あるのみ。
しかし捜索といっても肉眼には限界がありまして、頼みの綱は船長ロブさんの携帯電話。周りのいるほかのボートの船長さんとこまめに連絡をとり、そっちはどうだ? とか、何か見つけたか? とか、ちょくちょくやりとりをしています。
そして、何か耳寄りな情報を掴むと、すぐさまそっちの方向へ急行。
猛スピードで!!
それはもう全速前進で一目散に進むのです。しかもその間、我々乗組員は、いつ潜るタイミングが来てもいいようにバタバタと準備を開始しなければなりません。
外していたフードをかぶり、マスクにつばをかけて曇り止め、そしてフィンを装着し、
着いた先に何があるんだろうとドキドキわくわくしながら待ちます。
そうして、到着すると、鳥たちがたくさん。
これは海中にお魚がいるのでは!? と期待させますが、少し経つとあっという間に鳥たちはいなくなってしまいました。
お魚、逃げちゃったみたいです。
みんな少しがっかりしながら、フードとマスクとフィンを外し、おとなしく着席。もしここで、何か見られそうなら海に飛び込みますし、何もなさそうなら、再び捜索開始。
サーディンランは、基本的にこの繰り返しです。
サーディンランって具体的にどんな状態?
サーディンラン(イワシの大移動)を見たいと散々書いてきましたが、具体的にどういう状態なのかというと、
まずメインは
ベイト・ボール(bait ball, baitball)
と呼ばれるイワシの群れ。大量のイワシが群れをなし、それをイルカやらサメやらクジラやら海鳥が狙います。逃げ惑うイワシの群れはまるでボールのように丸い塊となり、それが壮大な海中ショーの中心となります。
このベイトボールが大きくイワシの数が多いほど、スペクタクルの規模は大きく、よりアメイジングな光景が繰り広げられるというわけです。
大規模なベイトボールを見られる確率は、10%以下と言われています。10日海に出て、一回見られるかどうか。
確かに、今日が最終日だというドイツから来たおじさんは「すでに12日いるけど、1回も見られなかった」と笑っていました。思っていた以上に高難度なサーディンランですが、サーディンを見る見ないの前に、私にとって1番辛いのは何と言っても
その寒さ。
気温23度。水温18度〜22度。
これに5mmのウェットスーツ。
今まで潜ってきた海の27度とか28度は、これもうお湯です。
で、私が今やっているのは寒中水泳。
この水温だと通常はウェットスーツではなくドライスーツを着用するんじゃないですかね。しかし、ここにドライスーツは無く、否が応でもウェットスーツを着るしかないのです。
いつもならウェットスーツを着て「わあプラグスーツみたいww」なんてふざけたことを言って喜んでいる私ですが、今回に関してはそんな余裕は無く、ただ無言でガタガタと震えるしかありません。
そしてもうひとつ辛いのが
抗えない吐き気。
朝一酔い止めを飲んだのに、お昼を過ぎた頃から徐々に酔い始め、「ほんとにもう今にも吐きそうです」って英語でなんて言うんだっけ、とそればかりが脳内を駆け巡ります。
リバース! リバース!!!
As soon as possible!!!
絶対違うんですけど、とりあえず、みなさん船酔い対策はしっかりとやっておきましょう。さいわい、今日のところはなんとか耐え、皆様の前で盛大に嘔吐する最悪の事態は避けられましたが、まじであとひと押しでした。
過酷すぎて笑っちゃうサーディンラン。
どこの部活だよ、と思ってしまうとってもハードなアクティビティなのです。
イワシはなくともイルカはたくさん!!
サーディンを探していると、この日はたくさんのイルカの群れに会いました。船のすぐ近くにイルカがやってきて、いっしょに前進。
こんなに間近で野生のイルカを見たのは初めてです。
100頭どころじゃないな、もっと多かったと思います。
あまりにたくさんやってくるものですから、船長ロブさんからイルカと一緒にスノーケリングをする許可が下りました!!
移動するイルカの群れの先頭までボートをぶっ飛ばし、猛スピードで海に入る準備。イルカはそこまで深く潜らないので、スノーケルで十分です。
フード、グローブ、マスク、フィンを装着。沈みやすいよう5kgのウェイトを腰につけ、船長ロブさんに「クイック! クイック!! クイック!!!」と急かされながら準備完了。
そして、タイミングを見計らい、「よーし!! みんな行ってこい!! 」とロブさんが叫び、「GO!!! 」という掛け声とともに、一斉に海に飛び込みます。そしてイントラのベスを見失わないようにしつつも、すごい勢いでイルカ方面へと水泳開始。
そしてそして、やってきましたイルカの群れ!!!
水中でキューキューというイルカの鳴き声が聞こえたかと思うと、たくさんのイルカたちが目の前を通り過ぎていきます。
イルカ、超きれい。すごく優雅に泳ぐんだなあ。
スピードめっちゃ早くて、あっという間に追い抜かれてしまいますが、次から次へとやってきて、これ以上ないというくらい贅沢なイルカワールド。
そして驚くべきことに、好奇心の強いイルカは、ものすごく近くまでやってきます。
近い!!! 近すぎる!!!
イルカかわいいよイルカ。
イルカと泳いだのは人生初の経験。
イワシは見つかりませんでしたが、イルカと泳げただけでとりあえず大満足。イルカの群れが行ってしまうと、再びボートへ戻り、また寒さとの戦いに。このようなことを数回繰り返し、15:00になるとダイブショップへと帰還。
ダイブショップに戻ったら、温かいコーヒーでホッと一息。私が参加しているダイブショップ「offshore Africa」は、二台のボートを所持していて、それぞれに6~8人のダイバーが乗船して出掛けますので、ダイブショップでは、お互い今日は何が見られたとか、わいわいお話しをして、ホテルへと送り届けてもらいます。
こうして私の世界一周史上、もっとも過酷だった1日が終了。あまりの疲れに20時には起きてられなくなり、ベッドに倒れ込むように就寝。
【サーディンランについての感想】
後半まじで寒さのあまり意識を失いかけました。大袈裟ではなくやばい。雪山でありがちな、「寝ちゃダメだ!! しっかりしろ!!」みたいな状態。もう少しでなにかしらの悟りが開けるところでした。
サーディンラン、こんなに過酷と思わなかったあぁあああ。
そもそも、サーディンランに参加された方の情報自体少なくて、正直あまりよくわかってなかったんですけど、
これは削られる。
体力、生命力、精神力、そのすべてが底をつくぐらい消耗します。完全になめてました。
とりあえずポートセントジョーンズに行って、ちょっと海にはいりゃすぐ見れるもんだと思っていましたが、そんな甘っちょろい考えでいた自分を殴り飛ばしたいです。
あと3日、海に出るわけですが、果たして私は最後まで耐えられるのでしょうか。これが千葉とか神奈川の海で、もっとゆるい感じなら間違いなく今の時点で
「もういいです。やめます。おつかれさまでしたー」って言ってます。
でもなー、わざわざこれ目当てに南アまで来ちゃってるからなあー。それにイルカと泳げた興奮は忘れがたい。一瞬ですが、寒さとか吐き気とか忘れましたもん。明日の朝「お腹痛い気がする」みたいな嘘くさい言い訳を持ち出して、ハートの弱い私が逃げ出さないことを祈って、本日の投稿を終了とさせていただきます。今日もまた、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
【サーディンラン詳細】
ダイブショップ:Offshore Africa
場所:ポートセントジョーンズ(南アフリカ)
ホームページ:http://offshoreportstjohns.com/
期間:2016年7月1日~7月7日(6泊7日、うち中5日海に出る)
料金:25,210ランド(約18万円)※すべての機材、宿泊、朝昼夜の食費込み
宿泊:Port St John’s River Lodge(ポートセントジョーンズリバーロッジ)※詳細はこちらの投稿をご覧ください
申し込み方法:Eメールにて参加希望の旨を送ります。1人参加だと部屋代とか割高なので、できることなら2人で参加されたほうがお得です。「Offshore Africa」にはボートが2台しかなく、1台につき最大10人乗れます。船長とインストラクターさんは必須なので、お客さんは8人しか乗れません。ギリギリに予約すると、もしかしたら、人数がいっぱいになってしまう可能性がありますので、早めに予約をしたほうがよいと思います。
夕食を込みにしない場合は23,698ランド。しかし、疲れ果ててホテルに帰ってきてそこからまたどこかに食べに行く元気はない気がしますので、私は夕食も付けておいてよかったと思っております。
ご自身の機材を持参する場合、その分安くなります。ビギナーダイバーゆえ、装備について詳しく分かりませんが、とりあえず、レンタルできる5mmのウエットスーツのみだと、マジでつらいです。ご自身のウエットを持参して重ね着したり、もっ厚いウェットを持参したり、何かしら対策を講じないと、風邪ひきます。
内容:サーディンランの基本は、ダイビングではなくスノーケリング。ダイビング機材は、人数分ボートに積み込むのですが、タンクは1人1本。よっぽどのことがないと、ダイビング機材は使用しません。初日の今日は、適正ウェイトの確認と、基本的なダイビングスキルのチェックのために潜っただけでした。
ビギナーダイバーだけど大丈夫かなと不安でしたが、そもそもダイビングしながらしばらく眺めていられるほどの時間的余裕はなく、あっというまに起きる海中ショーを見逃さないようにするのに必死。スノーケルじゃないと見逃してしまう気がします。ほとんどの人は、ダイビング機材を一度も使用しないまま、スノーケルだけで終わっちゃうんじゃないかなあ。
コメント4件
お疲れ様です!
過酷さが十二分に伝わって来ました。
私もサラッと見れるものだと思っていたら10%なんですね笑(*_*)
残りのダイブも楽しみにしてます!!
うぉぉぉイルカ!!可愛いぃぃ!!
南アかぁ、遠いですね汗
いつか大物見に行ってみたいです(*^^*)
水温、ヤバめですがサーディンラン見れることを祈ってます!