【イスラエル】【パレスチナ】2013.02
この国のことを、あまり軽々しく書くのは憚られます。書たことはあくまで、私個人の見解です。
私はここでは、部外者すぎて、完全にアウェイだった。まず、東アジアから来たっぽい人をほとんど見かけなかった。日本人宿と言われるところに行かなかったのもあるけど、一人も日本人っぽい人に会わなかった。
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、それぞれの宗教の人が、それぞれの聖地として崇めているエルサレム。一生に一度は行きたいと願う聖地中の聖地だ。宗教を持たない私は、完全に興味本位の旅行者で、「岩のドーム見てみたかったっすー」「ヴィア・ドロローサ歩いてみたくてー」「嘆きの壁にも行きたかったんだー」とか言って観光してても、なんか、自分が軽々しすぎてバカみたいだと思った。
それから、バンクシーの壁画を見にベツレヘムに行った。ここはキリストが生まれたという聖誕教会がある場所で、テレビとかでよく耳にする「パレスチナ」というエリアの中にある。パレスチナ、という地区(もしくは国)の中では、その名の通り、パレスチニアンが暮らしている。高い高い分離壁で囲まれて、まるで隔離されているかのように。
日本は現在、パレスチナを国家として承認していない。ユダヤ教の人たちが建国したイスラエルと、アメリカは仲良しだ。そのイスラエルにとって、パレスチナは正直邪魔な存在。分離壁で囲っちゃってどんどん狭いエリアに閉じ込めていっちゃってるくらいだから。当然、国家としてなんて認められない。パレスチナが国連への加盟を申請したけど、拒否権を持つアメリカがいるので、認められなかった。だから日本も「アメリカさんが、認めないとおっしゃるなら、我々日本も認めるわけにはいきませんよ~」みたいな感じ(なのかどうなのか分からないけど)で、国家として認めないとしている。
私が行ったベツレヘムの聖誕教会は実は「イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路」としてユネスコの世界遺産に登録されている。申請“国”は、パレスチナだ。イスラエルとアメリカは、当然反対したけど、賛成多数で世界遺産に認定された。そもそも、パレスチナのユネスコ加盟にも、イスラエルとアメリカは大反対。でも国連と違って拒否権とかのないユネスコでは、圧倒的多数の賛成をもって、パレスチナの加盟が許可された。なんか、ユネスコ、国連の機関なのに、やるやん! ってちょっと思う。2国とも、パレスチナのユネスコ加盟に怒っちゃって、ユネスコに払う分担金の支払いを拒否。結局、投票権を失うっていう残念な結末に…。
そんなパレスチナにあるベツレヘムは、当時の外務省の安全情報では、「渡航の延期をおすすめします」とされる地域だった。世界中から多くの人が訪れる(とくにキリスト教徒)場所なので、悩んだ末行くことにした(本当は、みんなが行ってるから自分も大丈夫だろ、で行動するのはNGです)。ただ、ベツレヘム近辺でも、ガザほどではないけど、テロによる爆破や、暴動などが起こっていて、“安全”ではない。
エルサレム、テルアビブ含め、イスラエル全体を通して感じたのは、表面上の安全というか、つかの間の平穏というか、実は一触即発なのを隠しているんじゃないかという雰囲気。テルアビブなんて、おしゃれなビーチがあって、なんかのびのびした、自由っぽい雰囲気で、「俺らが作った国、イケてるでしょ?」みたいな感じ出してくるけど、これなんかあったらすぐ戦闘態勢になるんでしょ? ていう危うい感じがした(※完全に個人の感想です)。
エルサレムのホロコースト博物館にもちゃんと行った。普段何も考えないで暮らしていると、あまり“民族意識”とかについて考える機会なんてないけど、それでも、やっぱり“日本人であること”を理由に、日本人が迫害されるなんて絶対嫌だ。自分たちの民族が大虐殺される生々しい映像とか写真とかを見て、ここの人たちは何を思うんだろう。映像も写真もほとんどモノクロだったけど、これは、ちょっと、言葉にできないくらい衝撃的だった。もう行きたくない。
今まで訪問した国はだいたい好きになって、また行きたいなーって思うところが多いけど、イスラエルはまた行きたいとは思わない。別に、冷たくされたとか、何か嫌な目にあったとかではないんだけど…。でも、行かなければよかったとも思っていない。行ってよかったと思うんだけど、もう行かなくていいかなー。
(あ、私は今まで訪れた国の数の1つとしてパレスチナをカウントしています)
あ、死海の対岸から、ちゃんとイスラエルが見えました! 10年以上前に向こう側からこっちを見ていたんだな~。
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