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2016-07-07

南アフリカ2(8)サーディンラン最終日にミラクルなんて、出来過ぎてる…

サーディンラン

本日は、サーディンランの最終日。1週間にわたり滞在してきたポートセントジョーンズとも本日でお別れです。夜には夜行バスでダーバンに向けて出発します。本当は移動日は落ち着いてゆっくり過ごしたいところではございますが、このイベントにかける私の執念はなかなかのものでして…。結局毎度のことながら、最後まで遊び倒すことになってしまいました。

【現在地】ポートセントジョーンズ(南アフリカ)

Port St John’s(South Africa)

【天候】晴れ

【気温・湿度】20度・32%(昼)

【為替】1ランド=約7円

つらいけどやめられないサーディンラン

移動日にも関わらず、またしてもギリギリまで海に潜ることになってしまった私。詳しくは昨日の投稿で書きましたが、5日海に出る予定のうち2日が強風高波のため中止になってしまい、今日海に出てもバスに間に合うね、ということで、1日追加していただいたのです。

そもそもサーディンランってなんですか?というかたは、こちらをご覧ください。

サーディンランってね、

それはもうびっくりするぐらいつらいんですよww

部活みたいな感じです。それも何かしらで“全国”とか目指しちゃってる感じの、“強豪校”とか言われる団体の夏合宿ぐらいのつらさ。所属したことないから実際よく分かんないですけど、たぶんそれと似たようなもんだと思います。

そんなイベントですが、そのぶん得られるものはとんでもなくすごくって、

1日目はイルカと泳ぎ、

2日目はサメと泳ぎ、

3日目はクジラと泳ぐ

という、ビギナーダイバーの私にとってはあまりにも贅沢な経験ができるわけです。しかし「サーディンラン」というその名のとおり、一番の目玉はイワシの大群そしてそれに集まる海の生き物たち。

毎日、目の前で起こる感動的なシーンに度肝をぬかれてはいるものの、私としましても、こんなところまで来たからには、どうしても大きなベイトボールを中心としたサーディンランを見たいですからね。

あ、ベイトボールと言うのは、捕食者から逃げ惑うイワシの群れが球体状になって、まるでボールのように見える現象です。こんな感じのやつ。

サーディンラン_ベイトボール

途中、小さいのは見られたんですが、やっぱりそれでは満足できません。というわけで、

最後の最後まで悪あがきしてみることにしました。

朝7:00いつものようにダイブショップオーナーのデビーさんのお迎えです。

今日こそサーディンランを見てやるぞという前向きな気持ち20%。またあの地獄へと連れて行かれるのかと憂鬱で後ろ向きな気持ち80%

ダイブショップに着くとイントラのベスが元気いっぱいに挨拶をしてくれます。

「mayumi!! 今日は最終日だ! 今日こそでっかいサーディンランを見ような!

Today is The day!!!!」

この1週間、毎日毎日会って、たぶん1番仲良くなったベス。

南ア出身だけど、タンザニアやモザンビークなどアフリカのいろんなところでダイビングのイントラとして働いていたそう。一箇所に定住せず、各地を転々としている彼は、このダイブショップで働きだしてからまだ2シーズン目。

実は彼もまだ大きなベイトボールにお目にかかったことはないそうで、2人して「この村中に貼ってあるサーディンランのポスターはだいたい合成写真だよねww。ほんとに大きなベイトボールって実在するのかね」なんて話しておりました。

そんなベスの笑顔に少しだけ元気付けられながら、冷たいウェットスーツに袖を通し、ノロノロと着替えます。

くぅー!! さみーぜ!!

準備ができたらボートへGO。タバコを吸いながら待っていた船長ロブさんに挨拶をすると、

「今日は何かが起こる気がする! 最後にスペシャルなものを見せてやれるといいがなあ!! 」と笑っています。

I hope so!!!!

わたしだって心の底からそう願っています。メンバー全員がボートに乗り込んだら、いざ出発!!

さんざんつらいと書いたのになぜまた…

サーディンランの辛さについては散々書いてきましたが、それでもまだやるのか、と自分でも呆れています。しかし、あと1日、これで最後、とか言われるとなんか頑張れそうな気がするじゃないですかー…。

で、開始10分で後悔。

「移動日なんで海に出るのはやめときます」ってなんで辞退しなかったんだろう、と昨日の自分を恨みます。しかし、ひとたび海に出てしまったら、もう後戻りはできません。

今日もまたイワシの大移動を探す1日が始まりました。

ポートセントジョーンズのサーディンラン恒例、ローンチ(進水)をいかにかっこよく決めるかバトル。これは、各ボートの船長さんたちにとって、絶対に負けられない戦いなのです。

ボートは毎日、河口から3キロほど上流のダイブショップから海へ向けて出発します。上から見るとこんな感じ。

ポートセントジョーンズ_サーディンラン

河口は、波がとんでもなく高く、まさに洗濯機状態。引きで見るとこういうことになっています。

サーディンラン

これを超えてしまえば、あとはそれなりに穏やかな海なんですけどね。この波の山をいかにスムーズにかっこよく超えて沖に出るか。ここで船長の腕が試されるのです。

本日はいつもよりさらに波が高め!!

サーディンラン

ほとんどのボートが、波が落ち着くのを待つために河口手前で待機しています。

サーディンラン

なかなか出発できないので、みんな砂浜に降りて様子をうかがいます。

サーディンラン

しかしそこで真っ先に名乗りを上げるのが、我が船長ロブ。われわれ乗組員に急いでボートに戻るよう指示を出し、

サーディンラン

大勢の人々が固唾を飲んで見守る中、先頭切って猛スピードで荒波につっこんでいきます。

やばい吐く吐く、今日こそ本当に吐く。

もうやだやっぱ辞退すればよかったと激しく後悔しても後の祭り。しゃべると舌噛みそうになるので、無言でじっと耐えるしかありません。

ものすごい揺れ、そして水しぶき。

これも今日で最後かあ…なんて感傷に浸る余裕なんてまったくなく、振り落とされないようにひたすらロープを握りしめます。

この1週間でだいぶ腕の筋肉が鍛えられたなあ。

荒波と格闘すること数分、無事に沖へ出ることができ、一同安堵の表情で拍手。

船長やるやん!! と賛辞を送り、まずは朝一の試練を乗り越えました。

今までと違う表情を見せる海

沖に出て、いつものようにホットチョコレートで一息つき、目を凝らして周りを観察します。ここで気付く異変。海に出るのはこれで4回目ですが、海の様子が今日はなんだか今までと全然違う気がします。いい意味で。

イルカも海鳥も、今までとは比べ物にならないくらいにたくさん…。

サーディンラン

これはサーディンの予兆!?

それから数分後、双眼鏡で遠くを見るロブさんの顔に緊張が走り、ボートのスピードがみるみるアップ。なになに!? 今日はこれ期待しちゃっていいじゃないですかね!? 一同の期待が高まるなか、着いたところは、明らかに今までと違う賑わいを見せておりました。

イントラのベスが指さす先にはたくさんの海鳥たち。しかも次々と海へ垂直にダイブしています!!

サーディンラン

やばい! これは間違いなくサーディンいるって!!

じっと海面の様子を眺める船長ロブさん。

サーディンラン

それを気にしながら、猛スピードでマスク、フィン、フードを装着する乗組員。もうこれを何十回繰り返したか分かりませんが、この瞬間が一番ドキドキします。

そして、いよいよロブさんがこちらを振り返り「準備はいいか!? 」と尋ねます。大きな声で返事をする我々を見て、ニヤリと笑ったロブさんが放った「Go!!! 」の一言。

その瞬間、全員が一斉に海に飛び込みます。

本日は、いつもに増して水温が低く、あとでダイコンを見ると19度でございました。水温が低いほどサーディンランを見られる確率が上がると言うのは本当だったようで、海に飛び込んだ直後に私が見たのは、

小さな小さなベイトボール(イワシの群れが球体になったもの)。

サーディンラン

一瞬ですが、サーディン、いました!!!

しかしそんな喜びに浸る間もなく、すぐさまボートに戻ります。残念ながら5kgのウェイトを付けて自力でボートに這い上がる力のない私は誰かしらに引っ張り上げてもらわなければならないのですが、ボートに上がると、

「まだフィンを外しちゃだめだ!! もう一回追いかける!! 」という船長ロブさんからの指示。

緊張感でいっぱいの乗組員を連れて、猛スピードのボートは、再びサーディンランの前方に回り込みます。

みなさま、一回海に入って上がった後ってね、寒さ倍増ってことご存知でした?

しかしここで、容赦ないロブさんの叫び声!!

ほらもう一回だ!! GO! GO!! GO!!! GO!!!! 」

う゛う゛ーざーぶーい゛ぃぃ。

でも、でも、

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬も…

あれっ!!!! 」

ドボン!!!!

入水直後、海中をすごいスピードで泳ぎ去るイルカ。そして…

サーディンラン

こ、これは!!

サーディンラン

わわわ!!!

サーディンラン

うわぁぁぁあああ!!!

サーディンラン

大量のイワシが私の周りを通過!!!

そして、それを追うイルカたち!!!

サーディンラン

びっくりしすぎて一瞬何もできず、あわててカメラを構えたときには、私の横を豪快にすり抜けてサーディンラン御一行様は通り過ぎて行きました。

一瞬過ぎてあまり見ごたえないかもですが、そのときの映像ww。

そうしてまた一同は一斉にボートへ戻り、再び猛スピードでサーディンを追う船長ロブさん。

息つく間もなく、三度目のドボン!!

またイルカがたくさん!!

サーディンラン

キューキューという鳴き声がいろんな方向から聞こえてきます。

サーディンラン

美しい泳ぎを見せるイルカに見とれていると…

サーディンラン

こんどはサメ!!

サーディンラン

やばい!! すごい!!! 近い!!!

そして再びボートへ。これを5回ほど繰り返したあと、サーディンラン御一行様はどこかへ消えてしまいました。

ハアハアと息を整えながら、ボートの上でぐったりしている乗組員の顔には、それでも満面の笑み。

みんなでハイタッチして、この喜びを分かち合います。

こ、これがサーディンランですか!!!!

なんともハイスピードで、なんともエキサイティング!!!

いやあ!! 楽しいですね!! これは毎年来たくなる気持ちも分かります。

YOU TUBEなどでみるサーディンランとは全く違い、すべてが一瞬の出来事でしたが、私は確かに目撃者となりました。イエイ!!!

最終日に無理やりねじ込んだ悪あがきの航海でこんなミラクルが起こるなんて素敵すぎてどうしよう。

毎日つらいつらいと書き続けたネガティブ極まりないブログ投稿でございましたが、本日ですべて帳消し。マイナスな記憶が一瞬でなかったことになるくらい大興奮でした。

最後、逃げなくてよかったマジで。

そして、最後は大きなクジラと並走です。

サーディンラン

ざっばーんと大きな波をたてて、クジラがダイナミックにボートを追い抜いてゆきました。

サーディンラン

ばいばーい!!!

サーディンラン

こうして15:30、ダイブショップへと帰還。

サーディンラン

ほんとのほんとに、私のサーディンラン終了です。

着替え終わって、温かいコーヒーを飲みながら、インストラクターのベスと再びハイタッチ

「mayumiはこれからまた旅を続けるんだろう? モザンビークもマラウィもタンザニアにも、すばらしい海が待っているから、楽しんで!! そして、本当に気を付けて旅をするんだぞ!! 」と。

ここに来なければ絶対出会うことのなかったダイビング友達ベス。海を愛してやまない彼は、来年メキシコで働きたいと言っていました。私がメキシコに行くのは、その少し先になってしまうかもしれないけど、いつかどこかでいっしょにダイビングができたらいいねと言って、お別れ。

サーディンラン、寒くて、つらくて、吐きそうだったけど、スーパー楽しかったなあ。

サーディンラン

これから、消耗しきった体を無理やり引きずって、夜行バスが発車する「Umthatha」という町まで移動。そして深夜1:30のバスに乗り、向かう先は「ダーバン」。明日の朝には到着する予定です。

さあ、寒いところはもう終わり。

おなかいっぱいです。ほんとに。これからはどんどん北上してまいります。赤道、そして北半球目指して。

というわけで、本日で、サーディンラン編終了。今までにないくらい、弱音を吐きまくった8日間でございましたが、また一つレベルがあがった気がします。この先のダイビング、ちょっと寒いくらいじゃ私はへこたれない自信がありますww。それでは本日も最後までお付き合いくださってありがとうございました。

サーディンランに参加をご検討の方へ

サーディンランって、実際問題ダイビングするタイミングないよなあ、と思いました。だって、この一週間、初日にチェックダイブをしただけで、結局最後まで一度も機材を使っていません。

そんなことしてる余裕ないですもん。

てっきりダイビング的なアクティビティだと思っていましたが、これは完全にスノーケリングメインです。なにより優先させるべきはスピード!!!

すべてはあっというまに起こり、あっという間に過ぎ去ってしまいます。

自然現象ですのでサーディンランを見られるかどうかの9割は運。しかし、それプラス、ボートの船長の腕にも確実に左右されると思います。ほかのダイブショップを利用したことがないのでよくわかりませんが、私はポートセントジョーンズの「Offshore Africa」というダイブショップの、船長ロブさんのおかげで、非常に貴重な経験をたくさんさせていただきました。

もしこの先、サーディンランに参加なさる方がいらっしゃったら、ぜひぜひ「Offshore Africa」をおすすめします。ダイブショップの詳細は、こちらの投稿の最後に書きました。

いいね! と思ったらぜひシェアを。

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