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2016-07-06

南アフリカ2(7)サーディンランでできたダイビング友達と最後の悪あがき

ポートセントジョーンズ

現在南アフリカの「ポートセントジョーンズ」という村に滞在し、高いお金を払って寒さに耐えながらイワシの群れを捜索するという、常軌を逸したイベントに参加している最中です。5日間のサーディンラン合宿は本日が最終日。今日こそは!! と意気込む私にまたしても残念なお知らせが…。

【現在地】ポートセントジョーンズ(南アフリカ)

Port St Johns(South Africa)

【天候】晴れ

【気温・湿度】20度・32%(昼)

【為替】1ランド=約7円

はい、また残念なお知らせです。

サーディンランで、この村に滞在するのは7日間。うち、中5日は、毎日海へ出るという地獄のサーディンラン合宿を予定していたのですが、まず初日が強風高波のため中止となってしまいました。そして3日ほど海へ出て、本日が最終日

恒例となりました「今日こそは、今食べているものがそっくりそのまま海の魚たちの朝ごはんになるんじゃないか」という恐怖におびえながらの朝食タイム。

できるだけ消化に良さそうなバナナを中心に、腹六分目くらいでストップ。そして酔い止めを1錠。そして、部屋に戻り着替えを済ませ、地獄(冷たい海)へと連行されていくのを待ちます。

いつものように7時ごろドアをノックされ、開けてみるとそこにはダイビングショップのオーナー・デビーさんではなく、インストラクターのベスが立っていました。

「おはよう、mayumi、今日は残念ながら風が強くて海に出られないんだ…」

またしても強風のためキャンセルとなってしまいました。

初日と最終日がキャンセルとは。私の天候運はあまりよくないらしい。申し訳なさそうなベスですが、実は「ラッキー」とほくそ笑む内なる私がいたのは否定しません。もちろん、最後なのに海に出られないのは残念ではありますが、「あの辛さから逃げられた」と、ちょっぴり安堵の気持ちがないでもない…。

「ほかのみんなはハイキングに行くらしいけど、mayumiはどうする? 」

またハイキング…。サメの恐怖を植え付けられ、ものすごく小さな滝を見に行くハイキングは初日にすでに経験済み。投稿はこちら。

この3日間で消耗しきった体に鞭打ってハイキングに行くのはさすがに無理だと思い、丁寧に辞退します。

するとベスが言いました。「ハイキングじゃなくて、近くの海岸までドライブはどう? 」

「あーそっちのがいい。ハードなやつは無理な気がいたします…」

フィジカルに自身のある私ですが、この3日の過酷な日々で正直だいぶ参っていたのは事実。ということで、イージーモードのドライブ連れて行っていただくことになりました。

10時になると、ベスがダイブショップの車を借りてきてくれ、ドライブへGO!!

ワイルドコーストと呼ばれるこのあたりの海岸は、その名のとおり、整備された砂浜ではなく、切り立った崖や、岩山や、でこぼこした海岸が続きます。変化にとんだ地形はとてもかっこよく、さらに強風のこの日はなおさら迫力がありました。

海外沿いを北へと進み、遠くに、いつも出発している河口のライトハウス(灯台)が見える高台へ。

ポートセントジョーンズ

まわりにはポツポツとしか家がなく、とても穏やかでゆったりとした空気が流れています。

ポートセントジョーンズ

今滞在しているポートセントジョーンズは、このあたりのワイルドコーストの中では一番規模の大きな村だそうですが、たぶんサーディンランの時期以外は、もっと人が少なくてもっとのんびりしているんだろうなあ。

このビーチからさらに北へ行くと、波によって岩が浸食された、とても荒々しい崖が臨める砂浜があります。

ポートセントジョーンズ

確かにワイルドです。天気はいいのに波はびっくりするぐらい高い…。

ポートセントジョーンズ

南半球にある南アフリカは現在冬真っただ中。というわけで、砂浜で泳ぐ人はいないのですが、こじんまりとしたきれいなビーチはのんびり散歩するのにぴったり。

ポートセントジョーンズ

ヤギがいます。

ポートセントジョーンズ

ダイビングのインストラクターのベスも、多くのダイバーでにぎわう真冬のサーディンランの時期だけここで働いているそうです6月、7月の2ヶ月間、ダイブショップのオーナー宅の一室を借りて生活し、その間休みなしなのだそう。

サーディンラン経験わずか3日にして身も心もボロボロな私が「2ヶ月間ほとんど毎日海に出て休みなしかあ。それはけっこうハードだねー」と言うと、

ベスは笑って「でも好きなことだから、全然大変じゃないよ。オフィスで働くいわゆる“仕事”って感じでもないじゃない? 好きなことだったら休みとかなくても平気なの、分かるでしょ」と。

うん。確かに、分かる。

でも今の私は、

仕事=“好きなこと”

であるべきなのか、

仕事=お金をかせぐための手段

であって、働いて得たお金を使って“好きなこと”をやるべきなのか、

どっちがいいのか判断できないでいる状態。

とはいえ、好きなことをやっていれば時間なんてあっというまに過ぎていくし、徹夜も土日返上も、全然つらくない、ということは経験上知っています。

南アフリカ出身のベスは、ここに来るまでに、タンザニア、モザンビーク、マラウィ、そして南アと、各地を転々としてダイビングのイントラとして働いているそうで、なんだか一か所にとどまらないその生き方がすごくうらやましくあります。

「mayumiもダイビングのインストラクターになればいいよ。そうすれば、旅行しながら働ける!! 」

だよねー。あれ…でも、就労ビザとかどうするんだろとか、ダイビングのイントラはこれ人命に関わるから私には向いてないんだよなーとか、いろいろ思うところはありますが、それでも、

どこででもやっていける“手に職”というものに私はすごく憧れます。何かに秀でた才能があるってうらやましいなあ。

ベスはダイビングのイントラですが「本当はスキューバダイビングより、フリーダイビングのほうが好きなんだよね。機材を付けて泳ぐのは窮屈で。フリーダイビングが一番楽しい」ということで、基本的に機材を付けずに潜るサーディンランが自分のスタイルに合っているそう。

サーディンランで海に出る際も、ベスはフリーダイビング用の長いフィンを使っています。そしてスイスイとなめらかに海中を泳ぐ姿はほんとうに驚くほどキレイ。

ワイルドな感じのルックスと、水の中を優雅に泳ぐ姿のギャップがすごすぎてびっくりします。

そういえば、レソトで「南アに着いたら絶対に荷物(フィン含む)を日本に送って半分の重さにするんだ」と決意した私ですが、

「mayumiはフィンを持って旅をしているから、どこででも自由に潜れるね。これから、モザンビーク、マラウィ、タンザニアに行くなら、もっともっと泳ぎたい場所が増えると思うよ」という言葉で、

もう少しこの荷物の重さに耐えてがんばってみることにしました。

これから私が旅する場所で、おすすめスポットを聞いたところ、

タンザニアのマフィア島が一番だとのこと。ここのダイブショップ「BIG BLUE DIVE CENTER」で1年間働いたことがあると言って、地図まで書いてくれました。

ポートセントジョーンズ

マフィア島は、こんな形なんだそうです。

ポートセントジョーンズ

ベストシーズンは9月以降だから、ちょっとルート変更かなあ…。タンザニアといえばザンジバルでのダイビングが有名ですが、その南に位置するマフィア島はノーマークでした。多くのバックパッカーが集まるにぎやかなザンジバルより、もっと人が少なくて田舎な感じだそうです。うん、たぶん私はそっちのほうが好きだ。

新たな旅の目的地も増えたところで、ドライブは終了し、帰路につきます。

車中での私の葛藤はこの旅史上最大

ホテルへと戻る車中で、ベスからひとつの提案が。

「mayumiは、明日の深夜のバスで発つんでしょ? だったら、明日も海に出よう!! 」

一瞬、頭の中でおこった葛藤。

「またあの寒い海に入る覚悟はあるのか」

「やっと地獄のサーディンラン合宿が終わったと安堵したのに自らまたそれに志願するのか」

「そもそもなぜそこまでしてイワシの大移動をみたいのか」

0.8秒くらい、さまざまな想いが頭の中を駆け巡りましたが、

こんなときの魔法の言葉。久々に書きますけど、

「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…」

そして口をついて出た言葉は

「やります、僕が乗ります!!」

ではもちろんなく、

「Yes,sure! 」そして、

「Why not??」

いやいやいやいや、調子こいて「Why not? 」とか言ってる場合ではないんです。

「Why 断らなかった!? 」ですよ実際。

「移動日だからやめときます」という絶好の御断りのセリフを吐けば簡単に逃げられたのに、わざわざ最後にもう1回海に出る決意をしてしまった…。

散々つらいつらいと書き綴ってきたサーディンラン編の投稿を自分で読み返してみろ、と。毎日20時には、意識を失うかのようにベッドに倒れ込んだ日々を忘れたのか、と。

いや、忘れてはいないのですが、でも…でも、

海を愛するベスのキラキラした瞳に完敗。

実は、ダイブショップのオーナーに、私が追加料金なしで、もう1日海に行く許可まで取ってくれたみたいで。「明日こそはでっかいベイトボールを見よう!! 」と満面の笑みで語り掛けるダイビング友達の誘いを

断れるわけあるか。

それに、こんなにつらいサーディンランですが、私は本当に心の底から楽しみにしていて、参加申し込みのメールを送ったのは半年以上も前。今年の1月頭なんです。

その時期って、実はまだ立派な会社員仕事を辞めますと上司に告げた直後で、これからどうなっていくの全然わからなくて、本当に世界一周に行くのかどうかも具体的にイメージできてなくて、というこの上なくふわふわとした状態。

そんなタイミングで、まっさきにサーディンランへの参加を決め「今年の7月には絶対に南アにいてやるんだ!!! 」と強く決意したのを覚えています。おかげさまで、アフリカ北上したかに見せかけてぐるっとまわってまた南アに戻るっていう謎のルートになってしまいましたがしかし…

嗚呼、確かに、私は今、南アにいます…。

想像よりだいぶシビアな状況ではありますが、半年前の自分が思い描いたとおりに、元気いっぱい世界一周をやっている。

そう考えると、やっぱり、あと1日、海に出られるチャンスがあるなら、乗っかってみなきゃですよね。

それに、今の状況はこのブログ的にも、あまりに中途半端。だって「明日が最終日です! どうなることやら! 」みたいに煽っといて、「最終日、強風でキャンセルになりましたー残念ですがこれにて終了」って、いまいち盛り上がりに欠けるなあとは思います。

下手したら、サーディンランの過酷さに音をあげた私が、強風でキャンセルになったってことにして強制終了させたんじゃないかという疑惑をもたれてもおかしくありません。

だったら最後の最後まであがいてみようではないですか(涙目)。

こうして複雑な気持ちで部屋に戻った私は、海用品一式以外をきれいにパッキングし、明日に備えて目覚ましを4時にセットして眠りにつきます。

明日移動日ですが、海に入ります。明日こそサーディンランを目撃するためにがんばります(棒読み)。

本日も最後までお付き合いくださってありがとうございました。ではまた明日(震え声)。

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