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2016-03-16

旅の準備|「バックパッカーに海外旅行保険は必須」を論破しようと試みた結果

ロイヤルストレートフラッシュ

世界一周を志すバックパッカーにとって海外旅行保険はものすごく大切です。さんざん言われていることですから、もう入らないで行く人なんていないと思うんです。私も、もちろんそうです。で、そろそろどの保険にするか決めなきゃだなーなんて思ってインターネットで調べるじゃないですか。

そしたらまあ出るわ出るわ。

海外旅行保険こそ正義。入らないなんて愚の骨頂。庶民の血税使って救護や捜索させてお国に迷惑をかけるのか、この非国民が。世話になった家族にも迷惑をかけるなんてこの親不孝者め」的な趣旨の海外旅行保険至上主義者のお言葉の数々。

だからはいるっつってんじゃん!!! がたがたうっせーな、と。わかってんだよこっちも海外旅行保険の必要性。たださー、もう、あんまり「入れ入れ」言われると、ほんとやる気なくすっていうか。入るもんも入らなくなるっていうか。

「先生! mayumiさんが海外旅行保険に入らないって言ってます! 」みたいな、もうほんとにどこにでもいますから。こういう学級委員長タイプ。だーかーらー、入んないって誰も言ってないじゃん。

海外旅行保険、正直かなりの出費です。でも入んなきゃいけないのはわかってる。つい後回しにしてしまって、いままでノータッチだったけど、やっと重い腰を上げてさあ入ろうかってときにこれですよ。

やる気なくすわぁ。、ほんっとやろうと思ってたからね、私は。

この正論を振りかざしてくる感じ。世論代表してますよ、みたいな口ぶり。悪質なプロバガンダなんじゃないかとすら思う風潮。「私は入ったから、偉いぞ」と。いやいや、もう保険とかふつーに入る時代だから。今どきいないから「私だけは大丈夫」とか思ってるやつ。

日本のために保険に入ろう的な過激な愛国主義をふりかざす方々。そんな言うなら、さぞ多種多様な保険会社やプランを比較検討なさって、あらゆるトラブルを想定したうえで最善の海外旅行保険をお選びになったんでしょうね、と思うじゃないですか。そしたら結局これですよ。

金子秀人損害生命保険事務所さんにおまかせしました! 

は? もうさ、「海外でもしもの時を考えて、保険に入りました! 」でいいじゃん。偉いのはおまえじゃねーよ、金子秀人だろ、と。

私のこの歪みきった性格もかなり問題だとは思うんですが、でもさー、ほんのちょっとだけ私と同じように感じた人いるんじゃないかなー。保険の大切さを説いてまわるのは、大変けっこうなことだと思います。ただ、善意のお節介はいつの世でも嫌われます。そしてつい思い立ってしまったのです。

どうにかこいつらを論破できないもんか」って。

「海外旅行保険なんてわざわざ入る必要ない」と言ってるわけじゃないんです。このブログ、せっかくコメント欄もあるんだし、一回炎上ってやつを経験しといたほうがいいかな、なんて気持ちは、あたりまえですがただの1ミリもありません。しかしながら「みんなが入るから私も入る」なんて理由で保険に入るのが納得いかない。けっこうな大金払うんだから、しっかりその必要性を自分の頭で理解してから決めたい。入る気でいるのにやいやい言われてちょっとイラッとした。そんな方のために、私自身が貴重な有給休暇1日をまるごと費やして情報収集・整理整頓した戦いの軌跡をここに記します。


「保険に入らなくていい」とか言ってる人は、海外でもしものときどうするつもりなんでしょうか。そう、彼らは「クレジットカードの付帯保険だけでなんとかなるんじゃないか」と考えているんですね。世の中そんなに甘くないんですけど、金銭的に余裕のないバックパッカー予備軍は、それはもう浅はかなうえに必死ですから、まずは自身のクレジットカードだけでどうにか凌ごうとするらしいです。

■私の所持カード5枚

ということで、まずは私が所持しているクレジットカードをご覧ください。今現在私が切れるカードはこの5枚。

クレジットカード

①ANAワイドゴールドカード(VISA)
②三井住友アミティエカード(VISA)
③楽天プレミアムカード(VISA)
④リクルートカード(VISA)
⑤SuMi TRUST CLUB エリートカード(VISA)

 

「ちょっと待て。あんた、海外旅行保険入らないつもりだったでしょ!?」

あ…、バレました? クレジットカード付帯保険について調べたことがある人はすぐわかると思います。①から③で十分なはずなのに、ちょっとマイナーな④と⑤を所持している時点で、これはもう完全に保険に入らない気満々なラインナップ

その理由は、④リクルートカードと⑤SuMi TRUST CLUB エリートカードの、海外旅行保険の発動条件を見ていただければ一目瞭然。

④リクルートカード(VISA)

・被保険者適用条件
被保険者が「搭乗する公共交通乗用具」の料金の支払いに本カードを使う。

・補償期間
「搭乗する公共交通乗用具」の料金支払いに本カードを利用した時以降の当該旅行期間を補償。

 

⑤SuMi TRUST CLUB エリートカード(VISA)

・補償が適用される場合
被保険者が日本を出国後に「公共交通乗用具」の料金をカードで支払った場合。またはその予約を行い料金をカードで支払った場合。

・責任期間
「公共交通乗用具」の料金を初めて当該カードで支払った翌日から数えて2ヵ月後の午後12時(24時)を限度とする

つまり、旅行の途中からでも海外旅行保険に入ることが可能。簡単に言うと、旅行の途中に、その旅行関連の交通費をカードで支払えばそこから保険期間がスタートする。よく「海外旅行保険の期間を延長する裏技」とかいってどやぁって紹介してる人いるじゃないですかー。それに該当するカードなのです。通常、保険適用期間は「自動付帯」にしろ「利用付帯」にしろ日本出発から○ヶ月(長くて3ヶ月)っていうパターンが多い中、数種類だけ、「利用付帯かつ旅行の途中でしかるべき利用手段をとればそこから発動可能」というカードが存在します。

ちなみに、「公共交通乗用具」とは

航空法、鉄道事業法、海上運送法、道路運送法(滞在国のこれらに準じる法律を含む)に基づき、それぞれの事業を行う機関によって運航される航空機、電車、船舶、バス、タクシー等のうち、当該旅行のために乗用するものをいいます。

【公共交通乗用具の料金の対象とならないもの】 自家用車等の関連費用、高速道路代、空港駐車場代、空港利用税、航空券の発券手数料、マイレージの交換手数料、レンタカー代、飛行機チャーター料金、複数のホテルがサービスとして合同で行っているような私設のエアポートシャトルバス、一定期間を包括的に契約しているハイヤーの包括契約料金、電子マネーのチャージ 等。

まあ普通に飛行機とか電車とかのチケットを買えばいいってことです。


正直に言いましょう。私はこのようなクレジットカードの発動条件を利用して、海外旅行保険に入ることなく世界一周を目論んでおりました。だから、それを断念せざるを得なくなった今、保険に入れ入れ言う人がなおさらうっとうしいのです。「うっせーな、わかってるよ」と。当初の計画はこうでした。

■裏技を駆使した浅はかな計画

バックパッカー_海外旅行保険

私の旅程は、5ヶ月アフリカ→一時帰国→5ヶ月中南米ですから、これはもう完璧。後半2ヶ月の保険発動条件「公共交通乗用具の支払い」に関しては、帰りのチケットを丸を付けたあたりで買えば問題なくクリアできそうです。1ミリの隙もない最強の布陣。まさにロイフラ(ロイヤルストレートフラッシュ)。向かうところ敵なしの「俺TUEEE」状態です。で、こんな作戦を練っているときは保険の補償内容については一切考えていませんでしたから、今日初めてちゃんと確認してみましたよ。

■カード付帯保険でカバーできる範囲

まず旅の前半3ヶ月。

バックパッカー_海外旅行保険

こちらが後半の2ヶ月。

バックパッカー_海外旅行保険

疾病死亡ついてませんけど、そんなに悪くはないと思うのです。クレジットカード付帯保険の適用ルールは以下の通り。

  • 「傷害死亡・後遺障害」は入っている保険の中で一番大きい金額だけしかもらえない(合計ではない)。
  • その他の項目は基本的に合算できるので、合計金額が限度額となる

つまり、私の旅の前半3ヶ月を例に挙げると、「傷害死亡・後遺障害」はANAワイドゴールドカード(VISA)の5,000万円が最高金額ですのでこれが適用されます。

私が死んだ場合にはこの金額が法定相続人である父と母に支払われることになります。その際保険会社の負担は、5,000万円をANAワイドゴールドカードさんと三井住友アミティエカードさんと楽天プレミアムカードさんが、5:2:5の割合で負担します(たぶん)。ただ、この3種のカードの引受保険会社はすべて三井住友海上なので、結局三井住友海上さんが5,000万円支払うわけですが。

そして、それ以外の項目は合算できますのでその合計金額が出発から3ヶ月の間、私を守ってくれるのです。

で、ここまでやって、補償金額的にはけっこういい線いってるんじゃないか(適当)と一時的に大満足。私が一番重要視しているのはなんと言っても「治療・救援費用」。病気やけがをしたときに通院は避けて通れませんから、この金額が最も大切だと思ったのです。目的地はアフリカや中南米ですから、意図せずとも危ない目に合う可能性は高く、慣れない環境で体調を崩すことだって大いにありうるのです。

この「治療・救援費用」、前半3ヶ月は550万円、後半2ヶ月は250万円。まぁなんとかなるんじゃないですかね…? と、ここで大切なことに気づきます

「あとで請求すれば、これだけの金額補償してくれるって言うけどさ、あんた、この金額一旦立て替えておけんの?

いや、無理でしょ。立て替えたらそのまま世界一周終了だわ。これは困った。しかし、そんな貧乏人の救済策として、各保険会社は「キャッシュレス診療」という素敵システムを採用しています。これは、治療や診察にかかった費用を、病院から直接保険会社に請求してくれるという大変ありがたいサービスで、海外にある提携病院であれば、このような診療を受けることが可能です。建て替えられないとかそういうことじゃなくって、突然具合が悪くなって、ATMでお金おろすのもつらい、みたいなときにも大活躍です。

保険会社によって、提携病院の数やエリアに違いがありますから、私は、目的地であるアフリカと中南米の状況を調べてみることにしました。


■キャッシュレス診療対応病院のある都市

【各保険会社のキャッシュレス診療可能な提携病院の状況(アフリカ・中南米)】

三井住友海上

(ANAワイドゴールドカード、三井住友アミティエカード、楽天プレミアムカード)

アフリカも中南米も無し。ただしHPに「掲載している病院以外にもキャッシュレスメディカルサービスを利用できる病院紹介させていただきます」と記載あり。

―――――――

損保ジャパン日本興亜

(リクルートカード)

アフリカ

・南アフリカ(ケープタウン、ダーバン、ヨハネスブルグ、プレトリア)
・タンザニア(ダルエスサラーム)
・エチオピア(アディスアベバ)
・エジプト(カイロ)

中南米

・メキシコ(メキシコシティ、イラプアト)
・ペルー(リマ、クスコ)
・ブラジル(サンパウロ)
・アルゼンチン(ブエノスアイレス)

―――――――

東京海上日動

(SuMi TRUST CLUB エリート)

アフリカは無し

中南米

・ブラジル(サンパウロ)
・メキシコ(メキシコシティなど複数都市)

―――――――

あれ、これ全然ダメじゃない?? 前半キャッシュレス診療うけられない。後半も、リクルートカードに付帯した治療救援費用100万円分しかキャッシャレスできない。弱い。あまりに脆弱。お金がないからって、ちょっと体の様子がおかしくても我慢するなんてことは一番避けなければならないと思っています。それで命を落とされたバックパッカーさんもいらっしゃる。やっぱり、カード付帯じゃダメだ。ちゃんと任意保険に入ろう


■私が選んだ保険会社

こうして私は、ものすごく手間のかかるまとめ作業を経て、やっと自らの意思で保険に入る決意をしました。上で、各保険会社のキャッシュレス診療状況をまとめましたが、これは、任意で入る海外旅行保険も同じです。つまり、大手海外旅行保険会社「三井住友海上」「損保ジャパン日本興亜」「東京海上日動」のうち、私が選ぶべき保険会社はおのずと決まってきます。私のアフリカルートの要所要所にしっかりキャッシュレス診療提携病院(地図の青い星)を配備してくれている大変優秀な保険会社。

バックパッカー_海外旅行保険

そう、「損保ジャパン日本興亜」。

例の「金子秀人損害生命保険事務所」が代理店をなさっている保険会社です。結局私も金子秀人のお世話になるのか。

ちょっと金子秀人にメールしてくる


実は本日朝一で金子秀人損害生命保険事務所に問い合わせフォームを送っておいたんですけど、昼過ぎにはお返事をくださいました。保険に入る手続きの方法とおすすめのプランをメールで教えていただき、さっそく選定作業に入ります。今の私は、自分のクレジットカード付帯保険について熟知していますから、これでカバーできていないところを厚めに補償してくれるやつを選べばいいのです。死亡補償はカード付帯で十分な気がするから、薄くていいかなー。で、あと必要なのは…といろいろ考えて、最終的に目星をつけたのがこの2種類。

バックパッカー_海外旅行保険

この違いは、賠償責任、携行品損害、航空機寄託手荷物の補償があるかないかです。賠償責任、カード付帯で十分なんじゃないですかね? 前半3ヶ月なんてカード三枚合わせて8,500万円もあるし。けっこう派手にやらかさないとなにかしらの賠償金がここまで跳ね上がることはない気がするんですよね。

でもここで思います。万が一、何かしら理由があって、後半2ヶ月の海外旅行保険発動条件を満たせなかったら…。もし「公共交通乗用具の支払い」ができなかったら私は後半2ヶ月、何らかの賠償に関して丸腰で旅をすることになる。どうせ保険に入るんだから、いっそ全部付けちゃえば?

そうです。ここへきて、だんだんと考えるという行為がめんどくさくなってきました。そもそも数字とか苦手なのに、今日はとてもよく頑張っていると思うのです。金額差、約10,000円。もう払います。もうK21でいいです。十分です。保険は大事。それでいいじゃないですか

とりあえずさ、アフリカと中南米は、金子秀人損害生命保険事務所でいいって。さっき不明点とか聞きたくて電話したら金子秀人本人が出てめっちゃ感じよかったもん。あの人たぶんいい人だな

一応、最終的に私がどれだけ守られることになったか晒しときます。(アフリカ5ヶ月、中南米5ヶ月その都度、保険をかける想定です)

バックパッカー_海外旅行保険

バックパッカー_海外旅行保険

クレジットカード付帯保険と、任意の海外旅行保険を併用する際のルール。

  • 「傷害死亡・後遺障害」はカード付帯保険の補償金額と任意保険の保証金額を合算する。(合計金額がもらえる)
  • その他の項目も基本的に合算できるので、合計金額が限度額となる

「傷害死亡・後遺障害」以外で、治療などにかかった費用は、クレジットカード付帯保険会社と任意の海外旅行保険会社で補償金額に応じて分担するそうです。費用の請求は、任意で入った海外旅行保険(私の場合、損保ジャパン日本興亜)にすれば、そっち側で勝手にクレジットカードの引受保険会社と連絡をとって、負担割合を決定してくれるらしいです。なので、何社にも連絡しなきゃいけないというわけではないみたい。


■まとめ

とりあえず自分の命と健康と預金を守るために、任意の海外旅行保険には入って行ったほうがいいんじゃないですか? あ、もちろんね、みなさんが今まさに入ろうとしてるっていうのは分かってるんですよ。だから、私ごときのアドバイスなんて全然無視してもらっていいんですけど。今日の投稿読んでどうでした? 正直、

めんどくせぇぇぇぇぇ

って思いませんでした? はい。くっそめんどくさかったです。この投稿を読むのもめんどくさかったですよね。もう金輪際海外旅行保険のことは考えたくありません。だからできるだけ旅行中に海外旅行保険のお世話になる事態に直面しないよう心がけます。こんだけやってみた私が言います。何も考えず保険に入るっていう選択肢も、なくはないよ。前半、かなり暴言を吐いてすみませんでした。私の負けです。「みんな入ってるし私もとりあえず入っとくかー」くらいの心構えで保険入ったほうが100倍賢いと思いました。

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コメント4件

  • なおち より:

    めんどくさいと言いつつ、めっちゃ詳しくて、まじ、すごいっす!

    見習いたいわーと思いつつ、何も考えず入るって選択肢を選びました♪(´ε` )

    カード保険全く把握してないんで参考になりました!

    • mayumi mayumi より:

      なおちさん
      保険めんどくさいですよねー!
      とはいえ入らないわけにもいかないし…
      参考になったと言っていただけ、がんばったかいがありました!
      よかったー

  • coco より:

    まゆみさん

    ものすごいありがたい情報ありがとうございます。私もカード付帯で行けるんじゃないかと調べまくり、リクルートカードを作ったひとりです。
    でもカードが届きカード会社に保険のことを聞いたら、日本出国の際に公共交通期間の支払いをしないと、適応されないと言われました!

    もう一度粘り、
    「海外で公共交通機関の支払いをした日から保険の適応期間が始めると聞きました」
    と言ってみたけど、MUFGは違うと。。
    次会った時この話めっちゃしたいですー!

    • mayumi mayumi より:

      cocoさん
      あ、やっぱ一度はカード付帯でいけんじゃないかって考えますよねwwww
      リクルートカードは、カードと一緒に送られてきた説明書にちゃんと発動条件書いてあるんですけどねー?
      いろいろ難しくてよく分かんないんですけど、ここかなり大事なポイントだから妥協できませんよね~
      次回、熱く語り合いましょうー!!!

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